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真夏のような強い日差しを送り届けていた太陽も沈み、スタジアムには午後7時のキックオフを前にして心地良い風が吹き抜ける。この日は、サッカー観戦に最高のコンディションの中でのゲームとなった。そして両チームイレブンの入場時には、水曜の夜の開催の試合とは思えないほど多くのサポーターで埋まったフクダ電子アリーナのスタンドは最高の盛り上がりを見せる。
この日の先発メンバーは、GKは、我らが守護神・楢崎、DFは右から竹内・バヤリッツァ・増川・阿部の4人。中盤は、小川・中村・吉村・深井の4人。FWはヨンセン・玉田の2人。いつもと変わらぬ、4-4-2の布陣。試合は、右にエンドを取るアウェイの名古屋のキックオフで開始。 |
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今季のリーグ戦では、名古屋にアウェイで敗れている千葉。カップ戦といえどもホームのサポーターの前で不甲斐ないところを見せられないと、千葉は、試合立ち上がりは自陣にしっかりと構えて名古屋の出方を伺いながらカウンター狙いに徹してくる。対する名古屋は、序盤からしっかりとパスを回してボールを支配し、自分達のペースでのゲーム運びを狙う。
3分、右深くへと出たボールを拾った小川が、千葉DFをかわして竹内へとボールを渡す。竹内は、これをダイレクトでゴール前に入れるがボールは精度を欠き、大きくゴールラインを越えてしまう。6分、左サイドで阿部とのパス交換から深井が中へと持ち込むと、スペースへと入り込んできた阿部にパスを送るが、わずかに届かない。
そして、鹿島戦では先発して気合いの入ったプレーを見せた深井が、この日も千葉のDFを切り裂こうと持ち前のスピードを活かしたプレーを見せる。9分、バヤリッツァからのロングボールに右にポジションを変えていた深井が裏のスペースへ抜け出して行くが、ボールに追い付くことが出来ない。
14分、千葉陣内左中程でのFKのチャンス。中村が狙い済まして蹴ったボールを、待ち受けていたヨンセンがヘディングで千葉ゴールへと叩き込み、名古屋に待望の先制点をもたらす。そして、このゴールで気持ちが乗った名古屋は、その後もチャンスを作って千葉陣内へと攻め立てる。
37分、右でバヤリッツァからの縦パスを受けた深井が、上がってくるバヤリッツァに再びパスを出す。バヤリッツァは、そのままドリブルで持ち上がり千葉のペナルティエリアへの侵入を試みるが、トラップが流れたところを千葉DFにクリアされてしまう。
40分、千葉の右CK。千葉は、工藤からの出たボールを短く繋ぐと、ゴール正面へとクロスを放り込む。そして、ボールに合わせた中央の千葉・池田のヘディングシュートは枠をしっかりと捕らえるが、楢崎がギリギリのところでボールをゴールの外へと弾き出す神懸かり的な好セーブを見せてゴールを死守。名古屋は、日本代表でも抜群の安定感を誇る守護神の活躍で、失点を逃れる。
42分には、左から勝負を仕掛けた深井が中へと入り込むと、鋭い切り返しを見せて千葉DFをかわして左足でシュートを放つ。深井が「ループシュートを打とうと思ったんですが、上手く足に乗らなくて」と語ったシュートは、DFの伸ばした足に弾かれてしまう。
前半は、早い時間帯に先制した名古屋がしっかりと優位を保ったまま終了。良い流れのまま後半へと折り返した。 |
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エンド入れ替わり、試合は右エンドのホーム・千葉のボールで再開。名古屋は怪我の玉田に代えて、杉本を投入する。
1分、左サイド深くでパスを受けた深井が、すかさず右にサイドチェンジを試みるが、ボールはタッチを直接割ってしまう。2分、中央でDFを引き連れながら杉本が持ち上がる。そして杉本が右に送ったボールを、小川がダイレクトでゴール前を狙ってクロスを上げたが、誰も触ることが出来ず反対サイドに流れてしまう。
6分、ヨンセンからのパスを左でフリーで受けた深井がそのまま持ち込む。深井は、中へと走り込もうとするヨンセンを狙って鋭いパスを送ろうとするが、DFに弾かれてしまう。前半からポジションを変えながら、精力的に攻撃を仕掛けていた深井が、後半の立ち上がりでも積極性を見せて、名古屋の攻撃のリズムを作り出す。
8分、名古屋FKのボールがこぼれたところを右サイド深くで拾った杉本が、千葉DFを上手くかわして中央にパスを送る。そして遠いサイドから入り込んだ小川が短く折り返したボールを、更に中央で増川が落とす。すると、これに反応したバヤリッツァが二列目から走り込んでシュートを放つが、惜しくも大きく枠を外れてしまう。
11分、千葉が、右サイドからゴール前へと入れてきた早いクロスを、中央で千葉・巻にヘディングシュートを許してしまうが、これは楢崎が難なく阻止する。16分、右サイド深くに出たボールを千葉・谷澤が拾いマイナスに折り返す。これを増川がカットするが、クリアが小さくなったところへ入り込んだ千葉・巻にシュートを許してしまう。しかし、このボールは楢崎が正面で捕らえる。
17分、名古屋は2人目のメンバー交代で、深井に代えて米山を投入。中村を一つ前のポジションに上げる。
18分、左に開いていたヨンセンからのパスを中央で受けた中村がミドルシュートを放つと、慌てた千葉GKがシュートを押さえ損ねて、右サイドにボールがこぼれ出る。それを杉本が拾って、ゴール前へとクロスを流し込むが、千葉DFの頭で跳ね返されてしまう。
19分、右CKのチャンス。小川が入れたボールのクリアを、千葉のゴールに背を向けていた杉本がオーバーヘッドでゴール前にパスを入れる。そして、ファーポストにいた増川が大きな体を反転しながら右足でシュートに行ったが、惜しくもポストの左に外れてしまう。21分、名古屋は3人目メンバー交代でヨンセンに代え、巻を投入する。
前半からしっかりとボールを支配し、自分たちのペースで試合を進めていた名古屋だったが、後半の20分を過ぎる頃から徐々に千葉にボールを奪われる場面が目立つようになり、試合の流れを奪われてしまう。
FWの巻へと当てたボールを2列目の選手が拾ってスペースへと抜け出し、チャンスを拡げる千葉の攻撃スタイルが目立ち始め、名古屋は守備に時間を費されるようになる。30分、左から入り込んだ小川のシュートがGKに弾かれたこぼれ球を、逆サイドから走り込んだ杉本が左足でシュートに行くが、千葉GKの好セーブに弾き出されてしまう。
36分、右に上がってきた竹内が中へと切れ込みながら右タッチライン際の杉本へとパスを送る。杉本は、ドリブルで持ち上がってゴール前へと右足でクロス上げるが、待ち受けていた小川の頭上を抜けてしまう。千葉は、38分には谷澤に代えて松本、39分には苔口に代えてレイナウドを投入、一気にメンバー2人を入れ替えて、最後の勝負に出る。
名古屋は、千葉の攻撃に耐える苦しい時間ながら、誰もが労を惜しまぬ動きで、勝利を手繰り寄せる気迫のこもったプレーを見せ続ける。そしてチームは、約3分のロスタイムを冷静に消化して、試合終了を迎えた。チームは、勝ち点3と貴重なアウェイでのゴールという、ホーム・瑞穂で行われる第2戦に向けて大きなアドバンテージを手に入れた。
名古屋は、最後まで千葉の攻撃に苦しめられたものの、楢崎を中心としたDF陣が最後まで危なげない守備を見せて千葉の攻撃を零封。名古屋は、再び自信を取り戻して、中2日で行われる新潟との戦いに挑む。 |
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