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 この1週間、入念なミーティングとトレーニングを重ねて島根県松江市営陸上競技場に乗り込んだ名古屋。ウォーミングアップ中の選手からは、Jリーグ最終戦で千葉に2−0と快勝した良い流れを天皇杯ベスト8進出へ、そして優勝へとつなげたいという気合いが伝わってくる。
 この日のスターティングメンバーは、GK楢崎、DFは大森を中心に右に吉田、左に阿部と若手が並ぶ3バック。中盤は、ワンボランチで吉村、右に小川、左に本田がサイドに並び、攻撃的な2列目に中村と金、FWはヨンセンと杉本という顔ぶれの3−5−2で試合に臨んだ。
 前半の序盤は、HondaFCが高い位置から素早いプレッシャーを積極的にかけてくる。しかし、それをものともせず開始早々に杉本、ヨンセンの2トップが最初の決定的チャンスを作る。その後、名古屋が中盤でボールを支配し、パスがつながり始めると、徐々にHondaFCのDFラインが下がる。チームは、HondaFCのDFラインの裏をしっかりと突きながら、サイドの本田や金が飛び出しを見せ、良い形で攻撃を仕掛けてゴールに襲いかかる。

 16分、本田から金、中央の中村へとパスをつなぎ、右から抜けだしたヨンセンへとラストパスが送られるが、最後列まで下がってきたHondaFC・鈴木にヨンセンのシュートチャンスを阻止されてしまう。

 その後も名古屋は、ゲームを支配しビッグチャンスを作って圧倒的に攻め込んだが、最終局面で決定機を潰されてしまう。試合が徐々にもどかしい展開へとなっていく中、24分にはHondaFC・鈴木が左サイドを駆け上がりクロスを上げると、フリーでゴール前に飛び込んだ新田に決定的なシュートを許してしまう。しかし、これは守護神・楢崎がファインセーブでかろうじて阻止して、難を逃れる。

 この後も名古屋は、ボールを支配しHondaFCゴールに迫るものの、固い守備を崩すことができず前半を0-0で折り返す。
 ハーフタイムには、「メンタルが試される試合だ」と選手を鼓舞して送り出したフェルフォーセン監督の言葉に応えるように、チームは後半序盤からチャンスを作る。
 本田がFKや、サイドからのクロスで、名古屋の攻撃陣を牽引する。しかし、HondaFCも体制を立て直し、徐々に自分たちの切れ味鋭いカウンターサッカーを見せ始めて、試合の流れを引き寄せるようになる。
15分、名古屋メンバー交代:杉本→玉田、小川→藤田

 DFラインを引き、守備を固めるHondaFCに対し、フェルフォーセン監督は狭いスペースでもプレーが出来る2人を同時に投入し、藤田を中央、中村の位置へ、中村は右サイドの位置にポジションチェンジをする。
 そして、この交代が功を奏し、直後に藤田と玉田のラインでチャンスを作る。さらにヨンセンがゴールに襲いかかるが、DFに惜しくもクリアされてしまう。ビッグチャンスを逃したものの、藤田と玉田が入ったことで名古屋は、相手に傾きかけた試合のペースを再び取り戻し、HondaFCが攻撃に転じる場面を作らせない。その後は、金や藤田など中盤の選手の動きが活性化され、名古屋が畳みかけるようにシュートを放つ時間帯が続く。

 しかし23分、怒濤の攻撃を続ける名古屋だったが、隙を突かれてボールを高い位置で奪われてカウンターからシュートを許す。そしてHondaFC・鈴木の放った強烈なシュートは、楢崎の手を弾いて無情にもゴールへと吸い込まれてしまう。この1点をきっかけにHondaFCが勢いに乗り、試合の流れが相手チームへと大きく傾き始めてしまう。さらに29分、HondaFCは再びカウンターから柴田、桶田とつないで鈴木がシュート。これを楢崎が1度は弾くが、ゴール前に詰めてきた新田の前にボールがこぼれてしまう。そして、これを新田に押し込まれて痛恨の追加点を許してしまう。
32分、名古屋メンバー交代:中村→片山

 名古屋は、片山を左に入れ、本田を中央に、金を右にチェンジする攻撃的な布陣で2点を追いかける。チームは、本田、吉村のFKを皮切りに、ヨンセン、片山、玉田のシュートと立て続けにチャンスをつくり、最後には吉田も前線に上げてのパワープレイでゴールを目指す。さらにHondaFC・岩渕がこの日2枚目のイエローで退場し、数的有利な状況になる。

 後半の45分を経過して、チームに残されたロスタイムは3分。名古屋は、諦めることなく怒濤の攻撃を続けてゴールを狙うが、ここでも本田のフリーキックがポストに嫌われるなど不運な場面が続く。

 そして試合は、主導権を握りながらも高い集中力を見せるHondaFCの守備に苦しみ、逆にカウンターから決められてしまった2点ビハインドを跳ね返せないまま終了。
 名古屋はゴールを目指す気持ち、ゴールを奪おうとする固い意図が随所に表れる試合内容ではあったが、0-2で天皇杯5回戦敗退という悲しい結末で試合終了、そして今シーズン終了のホイッスルを聞くことになってしまった。