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 2007年のJ1リーグ最終節は、今シーズン開幕戦と同じジェフ千葉が対戦相手となった名古屋グランパスエイト。来週以降に天皇杯をまだ残してはいるものの、選手達からは、リーグ戦はこの試合が最後の指揮となるフェルフォーセン監督を、2年間で身に付けたサッカーをピッチ上で表現して「勝利」という形で送り出したいという強い決意が試合前のウォーミングアップからも伝わってくる。
 前半は、右エンドの名古屋のキックオフで試合開始。先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは若い吉田を中央に、右に増川、左に阿部の3バック。中盤は、中央ワンボランチに吉村、右は小川、左は本田の両サイドが入る。そして、攻撃的な位置には中村と金が入り、FWはヨンセンと杉本の2人。千葉と同じ3-5-2の布陣で臨んだ。
 試合後、「立ち上がりが重要になる」とフェルフォーセン監督が語ったように、ホーム・千葉が序盤から人数をかけた早い攻撃で名古屋ゴールに襲いかかってくる。しかし、ここ4試合で1失点と固い守備がチームに定着し始めている名古屋は増川、阿部、吉田のDF陣が巧みにラインをコントロール。組織的な守備を見せて千葉の攻撃を凌ぐ。

 攻撃ではFWヨンセンにボールを集めるほか、この日、2005年の中村以来となる全試合出場を果たした杉本が、久し振りの先発出場に燃えて幾度となく裏スペースへの鋭い抜け出しを見せて千葉DFにプレッシャーをかける。またここ数試合、中盤の好守の要となった吉村がこの日も鋭い読みと迷いのないプレイを見せてチームを操り、千葉の攻撃の芽を確実に摘み取る。そして、立ち上がりからの千葉の早い攻撃を凌いだことで落ち着きが出るようになり、試合の主導権を徐々に引き寄せる。

 しかし前半37分、自陣深くのペナルティエリアすぐ左外という危険な位置で千葉にFKを与えてしまう。千葉は、五輪代表の水野が壁を越え沈むボールでゴールを直接狙ってくるが、ここは守護神・楢崎が落ち着き払ったセービングを見せてゴールをしっかりと守り、盛り上がり始めたチームの勢いを加速させる。

 その後、名古屋は危なげなく試合を展開し、前半を0-0で折り返す。

 エンド入れ替わって、後半は右にエンドを取る千葉のボールで試合が再開する。ホームでの最後の試合を勝利で終わって欲しいと願うサポーターの大声援を受けた千葉が、アグレッシブに仕掛けにかかってくる。しかし、前半途中から徐々に流れを掴み始めた名古屋が、後半開始から試合のリズムを完全に掌握して千葉ゴールに襲いかかる。

 11分、本田のパスに反応して、左サイドに抜けだした金がクロスを上げる。これに小川が、遠いサイドに飛び込んでヘディングシュートを狙うがポストの右へ外れてしまう。その1分後には、小川の縦パスに右サイドを抜け出した杉本が、DFを振り切って右足からのシュートを放つが、惜しくもクロスバーの上を抜けてしまう。この日左サイドで、U-22代表でのチームメイト、千葉・水野とマッチアップした本田は、巧みな個人技で幾度も突破を図ると金とのコンビネーションから相手陣内深くへ積極的な仕掛けを見せるようになる。

 12分、ここで名古屋はメンバーを交代し、前半から飛ばしていた杉本に代えて玉田を投入。すると、この交代で千葉DFが玉田へのマークの意識が強くなりすぎたのか、千葉のDFラインが押し上げが甘くなり千葉の中盤にスペースが出来るようになる。そして18分。右でフリーでボールを持った小川が、中村の抜け出しで出来たスペースを突いた思い切りの良いミドルシュートを放つ。そして、これが相手DFに当たってGKの逆を突く形でゴールを捕らえ、名古屋に待望の先制点が生まれる。更にその4分後には、千葉の押し上げた裏のスペースにタイミング良く抜け出した玉田にパスが通る。玉田は、千葉DFがプレスをかけてきたタイミングを上手く見計らって、GKの手の届かないコースへと技ありのシュートを得意の左足から放つ。そして、これが見事枠を捕らえる2点目となり、立て続けのゴールで千葉を突き放す。
22分、名古屋メンバー交代:増川→竹内

 後半の良い時間帯での連続ゴールで、ガッチリとリズムを掴んだ名古屋は、その後も細かなパス回しとスペースを活かした揺さぶりで運動量の落ち始めた千葉を苦しめ、ピッチ上で2年間作り上げてきたサッカーの集大成を表現しながら、自分達のペースで危なげなく試合を進める。
43分、名古屋メンバー交代:小川→山口

 そしてリーグ最終節・フェルフォーセン監督最後の指揮となった千葉との試合は、立ち上がりの千葉のハイテンポな攻撃を凌いで主導権を握った名古屋が、最後まで全選手が揺るぎない強い意志で統一されたプレイを見せて2-0での見事な完封勝利という、申し分のない結果で終了のホイッスルを迎えた。