|
|
|
|
前日に関東地方を襲った台風の影響で、この日の埼玉スタジアムは午前中から台風一過の好天に恵まれた。スタジアムには、午後5時のキックオフを待ちきれない両チームのサポーターが早くから訪れていた。
現在勝ち点67で首位を独走し連覇を狙う浦和レッズは、前日に2位のガンバ大阪が敗れたこともあり、苦手意識のある名古屋相手とはいえ、どうしても勝ちたいという強い気持ちがサポーターの雰囲気からもよく伝わってくる。
一方、清水、FC東京戦は、自分達のペースで試合を運びながらも決定機を決めることができず連敗中を喫してしまった名古屋。フェルフォーセン監督は、試合前日の会見で「(どういうシステムでゆくのか)まだ決めかねている」と語っていたが、この日は3試合続けた4バックではなく、今季一番慣れ親しんだ3バックによる3-5-2の布陣で王者・浦和に挑んだ。 |
|
|
前半、左エンドのホーム・浦和に対し、白のアウェイユニフォームに身を包んだ名古屋は右エンドからのスタート。先発メンバーはGK楢崎、DFは吉田・大森・阿部の3バック、中盤は、吉村を真ん中に置き、右に山口、左に渡邊、中寄りに本田と金の2人を配置。、FWにはヨンセンと中村という11人でキックオフを迎えた。
立ち上がりに試合の主導権を握ったのは、ホームの浦和ではなく名古屋だった。1分、前線から激しいプレッシャーを掛けてボールを奪うと、右からペナルティエリアに入り込んだ山口が落としたボールにヨンセンが右足で狙い澄ましたシュートを狙う。ヨンセンの放ったシュートは、力のこもった良いボールだったが惜しくも浦和GKの正面を衝いてしまう。その後も、水曜日にアジアチャンピオンリーグの準決勝戦で死闘を繰り広げた浦和の選手達の動きが重いこともあって、「自陣ゴールから遠い位置での守備を心がけた」(フェルフォーセン監督)という思惑通り、選手等が一丸となってハイプレッシャーを見せ、ボールを奪うと、果敢に攻め立てる場面が続く。
しかし、疲れが見えているとはいえ昨期の王者で現在もリーグ首位の浦和は、卓越した個人技で名古屋の守備の間隙を縫い、攻撃を仕掛けてくる。浦和は、ポンテや長谷部が危ない位置でボールを持ち、左サイドでスピードのある浦和・平川を使ってボールを名古屋の自陣深くへと持ち込んでくる。しかし、大森を中心とした守備陣が集中したプレイを見せでこれを押さえこむ。特に浦和のFWワシントンには、全く仕事をさせることなく完璧に封じこんで、前半は無失点で終える。 |
|
|
後半に入っても、試合の主導権は名古屋が握る。連戦の疲労が残る浦和が、ワシントン・ポンテらの攻撃陣と守備陣との間が間延びしてしまっていることや、自陣に引いて守備をする事が多いこともあり、中盤で本田や金がボールを持つと細かいパスを繋ぐことができる。
名古屋は、ボールを浦和陣内の深い位置に持ち込むことは出来るのだが、首位を走るチームだけあり固い守備を誇る浦和の壁をなかなか崩すことができない。しかし、厳しい状況の中でも前節で復帰を果たしたエースFWヨンセンが、精力的に浦和DFの厳しいマークをかいくぐりながら、中村や吉村からのパスを活かしたポストプレイを見せてチャンスを作りだす。7分には金、9分にはヨンセンが、ゴール前へと中村が入れたクロスに飛び込む決定的な場面を作り出すが、浦和GKの好守もあってゴールを挙げることは出来ない。
25分、フェルフォーセン監督は前半から激しく削られていた金に代え、スピードのある杉本を投入。その4分後には、疲れの見えた渡邊に代えて小川をピッチに入れて、試合の流れを掌握しようとする。しかし、浦和もホームの大サポーターの前で恥ずかしい試合を見せられないと意地を見せ、それまでの劣勢を跳ね返して徐々に名古屋陣内に押し込んで来る。
29分、名古屋は、ゴールほぼ正面の位置でボールを受けて反転しようとしたワシントンを倒してしまい、危険な位置でのFKを浦和に与えてしまう。しかしここは、浦和・ポンテのシュートがバーを大きく外れる。34分、縦パス1本に抜け出した浦和・田中との1対1の決定的な場面も、落ち着いて前に出た楢崎が、田中の放ったシュートを跳ね返す好セーブを見せて、浦和サポーターのため息を誘う。
終盤は、前半続けていた激しいプレスの影響もあって名古屋の運動量が落ちてきたところを浦和に押し込まれる場面も多くみられた。しかし、名古屋は、小川・杉本というスピードのある選手を活かして、浦和の押し上げた裏のスペースを狙ったカウンター攻撃を繰り返す。チームの鋭い攻撃は、浦和に脅威を与えるには十分だったが課題でもある最後の精度での迷いが見え、得点を決めきることが出来ず0-0のままロスタイムに突入する。
4分間のロスタイムでは、浦和のセットプレイの場面が続いたものの、前半から見せていた高い集中力は途切れることなく、名古屋はアウェイで価値ある勝ち点1を手に入れて試合終了を迎えた。 |
|