試合結果 マッチレポート フォトギャラリー スタジアムイベント
 この日の豊田スタジアムは朝から快晴に恵まれ、芝生が張り替えられたばかりの真新しいピッチには、強い日差しが降り注いでいる。そして、目にも鮮やかな緑と大屋根の落とす影が、美しいコントラストを織りなすピッチ上でリーグディビジョン1第29節:FC東京戦が行われた。
 先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から怪我から戻った増川・大森・阿部・渡邊の4バック。中盤は山口をワンボランチに据え、右サイドに小川、左サイドは本田、中には中村と金が並ぶ。そしてFWには、ついに戦列復帰を果たしたエース・ヨンセンを1トップに置く、4-1-4-1の布陣で試合に臨んだ。
 試合は、序盤からボールを支配した名古屋がペースを握り、ゲームを優位に進める。チームには、怪我から復帰したFWヨンセンという明確なターゲットマンが戻ったこともあり、最終ラインでボールを持つと、早めにボールをヨンセンへと集める戦い方でFC東京に揺さぶりをかける。しかし、最近6試合で5勝1敗、失点も僅か5点という守備の固さを誇る好調・F東京は、茂庭を中心とするDF陣が安定した守備でこの日も名古屋の攻撃を跳ね返す。
 それでも名古屋の選手達は、勝ち点3を目指して終始前へ前へと早いテンポでゴール前へとボールを運ぶ。しかし、監督が試合後に「あと5%スピードがあれば、あと10cmボールに近ければ」と語ったように最終的な局面での精度を欠き、攻撃のリズムを次第に崩すようになってしまう。
 さらに、立ち上がりこそ前掛かりの攻めを見せていたFC東京が、時間の経過と共に次第に自陣に引く戦い方をするようになる。そして、深い位置で守って名古屋の攻め上がりの逆手を狙ったカウンター攻撃に徹してくる。
 前半の名古屋は、FC東京の固い守備を崩しきる事が出来ず0−0のまま終了し、試合を折り返した。
 後半に入っても名古屋が試合の主導権を握り、FC東京陣内へと攻め入るシーンが目立つ。しかしヨンセンが、FC東京DFの厳しいマークにあい、なかなか思う様なプレイをさせてもらえないため、ヨンセンにボールを預けてから次の攻撃の展開へと持ち込むことができない。そして後半12分、前半から中盤で豊富な運動量で名古屋の攻撃を潰してきたFC東京・今野に、一瞬の隙を突かれて左サイドをドリブルで深くえぐられて、ペナルティエリア内への進入を許してしまう。そこからマイナス方向に出されたボールを、中央に詰めていたF東京・ルーカスに押し込まれてゴールを決められて、劣勢のなか1チャンスでFC東京に先制点を奪われてしまう。
 名古屋は2分後の14分、縦への早いパスをヨンセンが落としたボールを、小川が狙い澄ましてシュート。しかし、F東京・塩田の好セーブに弾き出されてしまい、決定的なチャンスを決めることは出来ない。そして、ゴールによって優位に立ったFC東京は、前半以上に自陣に引いてカウンター狙いの戦術に徹するようになる。
 名古屋は、ボールこそ持てるものの、なかなかシュートまで持ちこむことが出来ない時間帯が続くようになる。そしてフェルフォーセン監督は、硬直した局面の打開とリズムを再び取り戻そうと、23分に疲れの見えた小川に代えて杉本、27分には、山口に代わって藤田を投入する。
 31分、交代したばかりの杉本が右から鋭いクロスを上げる。そして、エリア中央でヨンセンが、このボールを絶好のタイミングでヘディングシュートを放つ。しかし、このシュートは枠を捕らえるが、不運にもボールはF東京・塩田の正面に飛んでしまい、この場面でも同点弾を決めることは出来ない。
 名古屋の選手達は、残された時間で同点として勝ち点1、そして逆転による勝ち点3を何としてでももぎ取ろうとFWヨンセンだけでなく、DFの増川を前線へ上げるパワープレイでFC東京のゴールを破ろうと試みる。しかし、最後まで集中した守備を見せるFC東京を突き崩すことは出来なかった。
 名古屋は、清水戦に続いて内容では好ゲームを見せながらも、試合を制することが出来ず0-1のまま試合終了の笛を聞くこととなってしまった。