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 前節、神戸との戦いでは、自分達のサッカーを全く展開できず、敗戦を喫してしまった名古屋。それだけに「この試合は絶対に負けることが出来ない」という、いつも以上に強い気持ちを持って第27節:柏レイソルとの1戦になった。
 午前中から降り始めていた細かい雨は、キックオフを待ちきれずに強さを増し始め、更に前日までの真夏日とは打って変わって肌寒い気温という、あいにくのコンディションの中で試合がスタートする。
 フェルフォーセン監督はこの日、鹿島・神戸と続いていた布陣から4-1-4-1と言う守備的な布陣にシステムを変更し、現在3連勝中と好調な柏レイソルとの1戦に臨んだ。
 試合開始早々に名古屋は、左サイドを抜け出した柏・菅沼と楢崎が1対1というピンチを迎える。しかし、この決定的な場面は、1対1に抜群の強さをみせる楢崎が体を張った好セーブを見せて凌ぐ。このプレーから名古屋が、良いリズムを掴んで試合の流れを自分達に引き寄せる。

 そして「もう負けられない」という強い気持ちを持った名古屋の選手による厳しいプレッシャーと勢いが、徐々に柏の選手達の勢いに勝り、試合を支配し始める。
 そして22分、立ち上がりから鋭い読みと迷いのないプレイを見せていた金が、阿部からのパスに左サイドを抜け出し、角度の無いところから左足でシュート。これが柏のゴールに見事に突き刺さり、良い時間帯で名古屋が先制点を挙げる。

 金のファインゴールは選手達に自信と共に集中力をもたらし、その後は名古屋が完全に主導権を握り、早い時間帯に追加点を上げようと攻撃を仕掛ける。しかし、柏DF陣の粘りもあって玉田を中心とした攻撃が跳ね返されてしまい、追加点の扉をこじ開けることが出来ないまま時間が経過する。

 前半33分。先制点の時と同じ様な形で縦へのスルーパスに抜け出した金が、柏・古賀にエリアの手前で倒される。このプレイで柏・古賀は、得点機会阻止をしたとしてレッドカードを受けて一発退場となり、名古屋は数的優位の中で残り時間を戦うことになる。柏・石崎監督は、すぐに太田を下げて石川を投入、3バックへとシステムを変えてくる。

 その後も名古屋は、一人多い状況に甘んじることなく全選手が衰えることのない集中力を見せる。そして、果敢な攻めを見せてくる柏の攻撃陣からゴールを守り切り1点をリードしたまま前半を終える。
 後半は右にエンドを取る名古屋のキックオフで試合が再開される。
 何とか早い時間帯で同点に追い付きたい柏は、立ち上がりから積極的にFWのフランサへとボールを集めてくる。そして、そのフランサを起点として李・菅沼の2人を使った攻撃を仕掛けてくる。しかし、名古屋はDF大森を中心として阿部や渡邊、さらに中盤の吉村が素早いチェックと落ち着いたプレイを見せて、高い位置でのボール奪取を心掛け、柏の攻撃のリズムを崩す。

 そして向かえた後半9分。山口が左サイドを強引に攻め上がって入れたボールがこぼれた所に、阿部・玉田が詰める。しかし、自分達の足元に届く前に柏DFに跳ね返されてしまう。だが、そのルーズボールを中村が拾い、右スペースに走りこんできた小川にパス。小川は、寄せてくるDFを切り返して迷い無く振り切ると、ボールはきれいな軌道を描いて鋭く柏のゴールに吸い込まれる。
 名古屋は、ルーキー小川の記念すべきプロ入り初ゴールで2-0と待望の追加点を挙げる。

 チームは前半に1点を先制した後なかなか1人少ない柏を攻めあぐねていたが、小川の追加点で再び勢いを取り戻し、しっかりとしたポゼッションとフリーの位置にいる選手を使いながら自分達のペースで攻撃を組み立てることが出来るようになる。

 更に、この日は守備の意識も非常に高く、柏の選手がボールを持つとすかさず寄せて厳しいプレッシャーを与えるということを繰り返して、相手のチャンスを未然に潰していた。

 終了間際には金に代えて津田、中村に代えて片山を投入。名古屋は残り時間を、しっかりと落ち着いて消化し2-0で歓喜のホイッスルを迎えた。
 この試合、名古屋は後半戦8試合負けなしと勢いに乗っていた柏に対して、数的有利な状況に気を許すことなく試合の主導権を握り、勝ち点3をガッチリと手中に収めた。