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 新潟、そして横浜F・マリノスに失点を重ねての連敗、そして怪我人の発生という非常に厳しい状況の中で迎えた大宮アルディージャとの第22節。ヨンセンや金、増川を怪我で欠き、攻守に労を惜しまぬ中村が出場停止と言う苦しい台所事情、連続しての大量失点にもかかわらず、「ここまでの戦い方は間違ってはいない」と自信を持って語るフェルフォーセン監督は、選手達の持つポテンシャルを信じ、一週間という準備期間の中で納得のゆく布陣を組んて試合に臨んだ。
 序盤の名古屋は、3−5−2の慣れ親しんだシステムで試合に入った。しかしチームは、大宮の3トップに対応しつつ両サイドの本田・津田をより効果的に使うため、即座に4バックへとシステムを変更。これが功を奏して、大宮の攻撃の芽を早い時点で摘み取ることができるようになる。更に名古屋は、大宮が効果的なボールを前線へと入れさせない状況を作りだすことが可能になり、良い流れで試合のリズムを掴む。特に4バックへのフォーメーション変更以降は、左サイド本田の上がりが目立つようになる。
 そして21分。藤田からのパスを受けた本田が深い位置で切り返して、右足でクロスをあげる。これをゴール前に詰めた玉田が自身も「頭でのゴールは珍しい」と語るヘディングでシュートを叩き込んで先制。これで試合の主導権をガッチリと握る。

 37分、杉本のパスを受けた本田が、ゴール前に走り込む津田へクロスを入れる。このボールは大宮GKがクリアするが、こぼれ球を百戦錬磨の藤田が逃さない。ペナルティエリア中央に走り込んで左足を振りぬくと、放ったシュートはGKの手を弾いて見事ゴールを捕らえる。この藤田のJリーグ通算100得点目となるメモリアルゴールが、名古屋を更に勢いづけさせる。

 44分には、右サイドで津田が、ユースの先輩・山口からの縦パスを受けてそのまま持ち込む。津田は、大宮GKが前に飛び出したところを見計らってループシュートを放つ。ボールは、美しい弾道を描きながら無人のゴールを捕らえて3点目が名古屋に決まる。チームは、3得点を挙げてホームの試合としては最高の形で前半を折り返す。
 後半に入ると、大宮もこの厳しい状況をはね除けようとメンバーを2人一気に代えて勝負に出てくる。しかし名古屋は、前半で得たリードを活かしてボールを回しながら落ち着いて試合を組み立て、全く大宮に付け入る隙を与えない。そして後半5分、藤田のFKから出たボールを杉本が見逃さなかった。杉本は、俊足を活かして一気に相手DFの裏へと抜け出すと右足からのシュートを叩き込んで4−0。名古屋は、後半開始からエンジン全開で大宮を突き放しにかかる。

 62分、本田が粘り強いプレイで寄せてきたDFをかわして大宮のペナルティエリア内に入り込み、マイナス方向にラストパスを送る。このパスを逆サイドから詰めた杉本が豪快に右足で蹴り込み、この日2点目となるゴールを挙げる。名古屋は、このダメ押しゴールでスコアを5-0として、試合をほぼ決定付ける。

 大宮も、遠く関東から応援に駆けつけたサポーターのために、一矢報いようと最後の力を振り絞って名古屋のゴールに襲いかかろうとする。しかし、この日はチームに全員が持つ“危機感”を自分達の力で振り払おうとする、名古屋の選手達の必死さが勝っていた。その後も名古屋は、自分達の形で試合を支配し続け、5-0で試合終了を迎える。

 今季最多となる5得点、そして無失点に抑えての快勝は、新潟と横浜F・マリノス戦の連敗で溜まっていた鬱憤を一気に晴らし、次の試合に繋がる大きな価値のある勝利といえるだろう。