高円宮杯第17回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会 決勝
風もなく、朝から雲一つ無い、良く晴れたこの日の埼玉スタジアム。高円宮杯決勝戦という、最終決戦を迎える我らが名古屋グランパスエイト・ユースのメンバーにとっては最高の舞台が用意されたと言えるだろう。遠く名古屋からも、バスや車を飛ばして応援に駆けつけてくれた人たちも、この日の晴れ舞台を待ち望んでいたはず。チームにとって新たな歴史を踏み出したこの日の試合を、選手達には是非とも満足するプレイを見せて戦って欲しい。
前 半
この日は上下赤のユニフォームで臨む、左エンドをとった名古屋。前半は右エンドの滝川第二高校のキックオフで試合開始。先発メンバーは、準決勝と同じ、GK長谷川、DFは右から酒井・三宅・森本・後藤、MFは中央にキャプテン・吉田、左に福島、右に西山、FWは久保を中央に、右にチーム得点王の花井、左は新川という、4-3-3の布陣だ。

ここまでチーム総得点9の名古屋に対し、滝川第二は19と圧倒的な決定力の違いを見せる。名古屋としては、決勝ラウンドへ入ってから見せていた堅い守りから、少ないチャンスをものにして奪った得点を守りきるという、自分達のプレイの形を見せてゆきたいところ。しかし、朴監督が「滝川第二は先制して逃げ切るチーム」と語っていたように、滝川第二の勢いを立ち上がりから押さえようと、ここまでの戦いでは見せなかった積極的な押し上げで、序盤から積極的にボールを持った選手を勝負にいかせる。そして、これが功を奏し、名古屋は再三、酒井や福島、新川と言ったスピードのある選手が相手陣内深くへとボールを持ち込んでは、ゴール前でのチャンスを演出してゆく。

ここまで5得点とチーム得点王の花井もボールを持つと積極的に仕掛けてゆくが、定評通り、守備の固い滝川第二の堅い守りに阻まれ、簡単にはシュートは打たせてもらえない。前線で汚れ役となってボールをキープに時間を掛けようとする久保もこれまでのように簡単にはボールすら触らせてもらえない。12分、13分と立て続けに相手ゴール前でチャンスを作るが、ゴールを割ることは出来ない。すると、19分、滝川第二・森本(9)が自陣中程やや右の位置でのこぼれ球を豪快に右足で振り抜くと、ボールはゴールに吸い込まれるようにして、GK・長谷川の指先を抜けて名古屋のゴールネットを揺らしてしまう。そして、このスーパーゴールで滝川第二が先制、ここまで押し気味に試合を進めていた名古屋の選手が落ち着きを無くしてしまう。

22分、左からのCKのチャンス。新川のボールを遠いサイドで折り返すと、中央で花井が頭で流したところに、右から酒井が詰めてヘディングシュートを狙ったがこれはクロスバーの上へ。25分、相手ペナルティエリアのすぐ外やや右の好位置でFKを得ると、これを花井が直接狙ってゆくが、ボールはクロスバーの僅か上に抜けてしまう。27分、右に抜け出した酒井が深く持ち込んで、そのままシュートに持ってゆくが、ボールはポストの左に。37分、先ほどと同じような位置で、気持ちゴールに近いところでのFK。今度は花井がDFとGKの間に浮かしたボールを入れて味方を飛び込ませるが、ここは相手のDFの反応が早く、カットされてしまう。

先制されてからも、積極的に攻め込んでいった名古屋が立て続けにチャンスを得るが、先制したことで滝川第二に落ち着きが見え始め、なかなか名古屋はチャンスをものに出来ないまま前半を終了、試合を折り返すことに。序盤から良い内容で攻め続け、ポストに嫌われる場面やシュートが枠を捕らえることが出来なかった等、運がなかったこともあって、その時間帯にゴールを奪えなかったことは残念だ。