高円宮杯第17回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会 準決勝
エンド入れ替わり、後半は右から攻め上がる初芝橋本高校のボールで試合が再開する。前半無失点で終えたとはいえ、名古屋も殆ど攻め手が無かっただけに、後半は追い風ということもあり、しっかりと前にボールを運んで相手陣内でボールを回して、攻撃のチャンスを作ってゆきたいところ。
後 半

後半5分、新川が福島とのワンツーから抜け出してゆくと、相手ペナルティ内へと切れ込んで、角度のないところからシュートを狙ってゆくが、これはGKに当たって弾かれてしまう。ところがこれが無人のゴールへと飛んでゆくが、走り込んだ相手選手に蹴り出されてしまい、惜しい得点のチャンスを潰されてしまった。

15分には、右にドリブルで上がってきた酒井からのクロスを、中央で久保がスペースに落としたところに走り込んだ花井が強烈なシュートを右足で放つが、これは相手GKに押さえられてしまう。しかし、前半には見られなかった個々の選手による、強引な程の勝負をしようと言うプレイが次第に名古屋にリズムを作ってゆく。逆に、初芝橋本高校は前半の様な厳しい押し込みが目立たず、名古屋が試合の主導権を握り始めてきたと言っても良いだろう。

後半19分、初芝橋本高校:東(5)がドリブルでペナルティエリア内へと侵入してきたところを倒してしまうと、PKかと思われたが、主審はわざと彼が倒れたとして、シミュレーションを取り、この日2枚目のカードが与えられて退場になり、押していた初芝橋本高校が1人少なくなってしまい、名古屋にツキが訪れる。しかし、26分、疲れの見えたFWを入れ替えて、カウンター狙いに徹し始めた相手に、ボールを支配することはあっても、最後のところで厳しい守備にあい、数的優位にもかかわらず、攻めきれないまま時間がジリジリと過ぎてしまう。

それでも、キャプテン・吉田を中心にパスをしっかりと繋ぎながら、相手陣内へと攻め入り、今にもゴールの生まれる雰囲気が漂い始める。後半に入ってから、迷いのないプレイで相手守備陣を脅かしていた新川・福島が相手エリア深くへとボールを持って勝負を仕掛ける時間が増えてゆくが、なかなかゴールが奪えないまま試合は終盤へと入ってゆく。

そして、ロスタイム突入まで残り時間2分を切ったところで、再三、相手エリア深くでボールを持ちながら、前を向かせてもらえなかった花井の前にこぼれ球が出てくると、これを迷うことなく右足を振り抜くと、このシュートがついに相手ゴールネットへと突き刺さり、88分間待ち望んだゴールの瞬間が名古屋に訪れる。

その後は、この1点を守ろうとする名古屋に対し、何とか時間内に追い付いて、延長、そしてPK戦へと持ち込もうとする初芝橋本高校の攻防が繰り広げられるが、数的優位の名古屋が最後まで攻撃を凌ぎ、主審の告げる長い笛で試合終了が告げられ、名古屋の選手達は歓喜の時を迎える事に。前半の勢いであれば、何時失点をしてもおかしくなかった試合展開だったが、後半途中の相手選手の退場により、流れが名古屋に傾いたこと、そして、後半に入ってから強引とも言える突破を積極的に見せ始めたことが、この決勝点に、そして、勝利に繋がったと言ってもおかしくはないだろう。