古くからの戦友であり、しのぎを削ってきたグランパスとガンバに、ある種の因縁が生まれたのは2010年の元日だったといえるかもしれない。2009年シーズンの最終戦。ガンバはシーズン最後のタイトル獲得へ、一方グランパスはストイコビッチ監督の初タイトル獲得へ向け、トーナメントを勝ち上がっていた。リーグ戦では2戦2勝とグランパスが圧倒。ACLで日本勢最高となるベスト4に進出した勢いを駆って、赤のユニフォームは国立競技場に乗り込んだ。
だが、結果は無残なものだった。スコアは1-4。完敗だった。前年にアジアを制し、クラブワールドカップでマンチェスター・Uに打ち合いを挑んだ相手は、やはり強かった。完膚なきまでに叩きのめされた試合後、中村直志はスタンドのサポーター席をじっと見つめていた。「サポーターに支えられてやってきたから、サポーターのために優勝したかった」。その思いは翌年、さらなる大願成就につながる原動力となる。
2010年、グランパスは天皇杯の口惜しさを胸に、新布陣4-3-3を駆使してリーグを席巻。奇しくも開幕戦はガンバのホームゲームだったが、ケネディと玉田圭司の活躍で2-1の勝利。元日のリベンジから快進撃が始まった。18節で首位に立つと、そこから一度もその座を明け渡すことなく1シーズン制での最速優勝。ホーム瑞穂でも中村の得点などで3-1と圧倒し、ガンバへの雪辱もきっちり果たしている。