マッチレポートフォトギャラリー

サッカーの聖地・国立競技場で行われた高円宮杯第19回全日本ユースサッカー選手権準決勝。対戦相手のFC東京とは夏に行われた『第32回日本クラブユース選手権』の準々決勝でも対戦をし、名古屋は苦い敗北を喫している。今回の準決勝は、リベンジと決勝進出に加えて、夏の敗戦以降の自分達の成長を証明するためにも、何としても乗り越えなければならない戦いとなった。国立競技場のピッチには、キックオフが刻一刻と迫り、凛とした表情で戦いの舞台へ向かう選手達からは闘志の高まりが感じられた。

名古屋先発メンバーは、GK岩田、右からDFは金編・岸光・西部・本多、MFは磯村・岸寛大・小幡・矢田、FWはアルベス・奥村の4-4-2。名古屋は左にエンドを取り、FC東京のキックオフで前半戦が始められた。

序盤の名古屋は相手の様子を伺うように、自陣から慎重に前線へボールを送り出していくが、相手のDFラインで尽く跳ね返されてしまいゴールマウスに近付くことができない。しかし3分、左サイドの矢田がドリブルで上がったところを相手にクリアされ、名古屋は左CKのチャンスを得る。岸寛大のショートコーナーは相手DF選手にクリアされてしまい、再び名古屋の左CKに。今度はゴール前に蹴られたボールの落下点に飛び込んだアルベスが頭で落とし、岸光がシュートを放つが、相手GKに捉えられてしまう。

名古屋は、緊張からか動きに硬さが見られ、なかなかスムーズにパスを繋ぐことが出来ない時間が続く。そして、相手に中盤でボールを奪われて攻め入られてしまう。7分には相手に右サイドを上がられるが、ペナルティエリアに差しかかったところで矢田がスライディングでクリア。12分、15分には相手MF選手達にシュート浴びせられるが、GK岩田の好セーブで名古屋は失点のピンチを免れる。

23分、西部が左サイドの長い距離をドリブルで上がり、右サイドに流れたアルベスへボールを送る。アルベスは、中に詰めていた奥村へ向けクロスを上げる。そして落下点でボールを足下に収めた奥村が右足を振り抜くが、ポスト左へと流れてしまう。25分、左サイドから矢田がエリア内中央へグラウンダーのボールを送るが、飛び込んできた奥村よりも相手GKの手がわずかに早くキャッチ。名古屋は、なかなかゴールマウスをこじ開けることができない。

31分、相手MF選手達に中央から右サイドへパスを繋がれるが、矢田がしっかりとマーク。相手がシュート態勢に入ると西部がタイトにプレッシャーをかけ、相手を自由にプレーさせない。

36分、ゴール前で本多、岸寛大とパスが繋がり、最後はアルベスが足を振り抜くが、相手DFが身体を張ってクリア。セカンドボールを相手MF選手に拾われ、名古屋陣内にカウンターで攻め込まれてしまうが、何とかしのぐ。

44分、相手MFからゴール前へ出されたボールを相手FWが足下に収め、エリア内で前を向かれてしまうが、金編と西部が2人がかりでボールを奪い取り、難を逃れる。そして、お互いゴールネットを揺らすことが出来ないまま0-0の同点で前半戦を折り返す。

FC東京の選手よりやや遅れてロッカールームからピッチに現れた名古屋グランパス。エンドが入れ替わり、後半は右にエンドの名古屋のキックオフで試合が再開された。

48分、中央の小幡から右サイドの岸寛大へボールが送られ、ファーサイドを狙ったグラウンダーのシュートはタッチを割ってしまう。50分には左サイドをドリブルで上がったアルベスからマイナスのクロスが奥村へ出される。奥村はシュートを放つが、右ポスト脇に外れて枠を捉えられず名古屋は先制のチャンスを逃してしまう。

54分、相手MF選手に中央を攻め込まれシュート態勢に入られるが、GK岩田が思いきりの良い飛び出しを見せ、相手が足を振り抜くよりも一瞬早くボールをキャッチする。60分にはゴール前に上げられたクロスを岸光が頭でクリアし、セカンドボールもDF選手達の連携の良さで相手を封じる。この時間帯あたりから前半で見られた硬さが無くなり、名古屋はじわりじわりと相手ゴールへにじり寄る。

65分、矢田から前線の奥村へロングボールが入り、相手DF選手との競り合いの末エンドライン際で奥村が粘り強くボールをキープする。奥村は、再び中へパスを送るが、アルベスが足下へ収めようと試みた瞬間に相手MF選手にボールをカットされてしまう。67分、本多がサイドの長い距離をドリブル上がり、直接ゴールを狙って左足を振り抜くが、ミドルシュートはバーを越える。

そして69分、右CKのチャンスを得た名古屋は矢田がファーサイドを狙ってキックをすると、ボールは相手DF選手達を引きつけていた本多の頭上を越え、アルベスのもとへ。そして、このボールを伸び上がったアルベスが頭で思い切りゴールに叩き込む。ボールはゴールマウスへ吸い込まれ、名古屋に待望の先制点が生まれる。

先制を許したFC東京は、選手交代でFWの枚数を増やし、すぐ反撃に転じる。71分には相手の右CKのチャンスとなり、ファーサイドを狙ったボールに相手MF選手が頭で合わせるが、GK岩田が弾き返す。しかしセカンドボールを拾ったFC東京の選手がゴールにシュートを決められたが、オフサイドのためゴールは無効。あわや同点という場面に、名古屋はヒヤリとする。

名古屋は、先制をしたもののFC東京の攻撃力を知り尽くしているため、全員で追加点を狙って攻撃の姿勢を崩さない。74分、右サイドを駆け上がった磯村が倒され、名古屋はエリア付近・好位置からのFKを得る。岸寛大のキックに先制ゴール同様、アルベスが頭で合わせるが、枠を捉えることは出来ず追加点を奪うことができない。75分、小幡が右サイドをドリブルでえぐるが相手MF選手に奪われ、カウンターを仕掛けられる。しかし金編が奪い返し右サイドをドリブルで上がるとそのままシュート態勢へ。金編は角度のない位置から右足を振り抜くが、サイドネットに阻まれてしまう。

79分にも名古屋のCKを磯村が頭で合わせるが、枠と捕らえられずクロスバーを超えてしまう。89分、名古屋交代:矢田→三浦俊希、アルベス→鈴木。

ロスタイム、名古屋右サイドのスローインから金編がボールを受ける。金編の出したパスは、一旦相手に当たるがこぼれ玉を鈴木が拾い、奥村がドリブル突破を見せる。奥村はゴール前中央で三浦俊希にパスを送ると、三浦は右足を思い切り振り抜いて、ミドルシュートをゴールにねじ込んだ。最後の最後で相手の息の根を止める追加点が名古屋に入り、終了のホイッスルが国立競技場に響いた。

名古屋は2-0のスコアでFC東京に勝利。チームは見事リベンジを果たし、夏以降の成長を強烈に印象付けた。そして10月13日に埼玉スタジアムで行われる決勝の舞台へと2年ぶりに駒を進めた。決勝の相手は、トップチームが埼玉スタジアムをホームとする浦和レッズ。アウェイの地で厳しい試合となることは必至だが、悲願の高円宮杯初優勝に向かってチームの勢いは止まらない。

--------------------------------
<試合後、朴監督コメント>
Q:前回敗北を喫したFC東京でしたが?
A:前半での緊張から解き放たれて、後半はしっかりとプレーすることが出来ました。我々には、浦和レッズのように自分達ありきでやれるほどの“個の力”は無いので、チームとしていかにやっていくのかを考えて戦いました。

Q:3年連続でベスト4入りですが?
A:今高校3年生の選手は3回連続でベスト4入りを果たすことが出来ました。しかし、これは彼らだけの力だけではなく、一昨年の先輩達が決勝まで、昨年の先輩が彼らを準決勝まで連れてきてくれました。色々なことを学ばせてくれたことに対し、後輩達やお世話になってきた人達へ恩返しをしたいという気持ちでサッカーに取り組んでいると思います。