海の向こう北京で熱い戦いを見せているアスリート達に負けじと、Jヴィレッジで行われている日本クラブユースサッカー選手権も連日のように熱戦が繰り広げられている。この日はベスト8に残ったチームによる準々決勝が行われ、名古屋グランパスU-15は午後2時に鹿島アントラーズとのゲームに臨んだ。
試合会場周辺の地域は朝から濃霧注意報が発令されており、試合開始前には湿り気を多く含んだ空気がピッチ全体を包みこみ、かなりの蒸し暑さをみせる。しかし選手達は、試合前から気合い充分な様子を見せ、リラックスした表情をで試合開始の笛を待ちわびていた。
試合は、前半左エンドを取った鹿島のボールからキックオフに。この日の名古屋の先発メンバーは、GK伊藤、フィールドプレーヤーは、三鬼・奥山・川本・佐藤・水野・樋江井・加藤(凱)・都竹・加藤(翼)・高原の11人だ。
前日の試合で圧倒的な強さを見せた名古屋に対し、序盤から鹿島は球際の厳しさを見せて名古屋にチャンスを作らせないようにと、堅い守りを見せてくる。しかし、名古屋も水野を中心に慌てることなく、機を見ながら隙を突いた鋭いボールを縦に入れて鹿島のDFを揺さぶる。
ところが14分、自陣中程左寄りの位置で鹿島にFKを与えると、鹿島・山田の出したボールを鹿島・梶野がシュート。しかしこのシュートは、壁に立ったDF選手でブラインドになってしまい、GK伊藤が反応できずゴール左に直接決まってしまう。これまでの3試合を安定した守備を見せて完封で勝ち上がってきた名古屋は、4試合振りの失点を喫してしまう。
しかし、この失点で逆に火が付いた名古屋は、サンフレッチェ常石戦でハットトリックを決めた高原や加藤(翼)が個人技で鹿島陣内深くへと攻撃を仕掛け始め、勢いに乗ろうとしていた鹿島の選手達を徐々に押し込む。
17分、左サイドを縦パスで抜け出してきた高原が深い位置で倒され、好位置でFKを得る。水野がこれを直接狙ったが、ボールはクロスバーの越えてしまう。20分、高原が裏へと抜け出すと左足シュートを放つが、鹿島GKの正面を衝いてしまった。24分、左から佐藤の入れたボールを中央で高原が落とすと、樋江井が走り込んでくるが足下に収まらない。
29分、左に流れてきた加藤(凱)からのパスに反応して、加藤(翼)がタッチ際から中に入り込んでいったが、シュートにゆく前にボールをDFにカットされてしまう。そして31分。水野からのパスを受け、左からドリブルで仕掛けた加藤(翼)が寄せてくるDFを巧みな個人技を見せてかわすと、中央へと入り込んだところで右足を振りぬく。すると、このシュートが鹿島のゴール右に見事突き刺さり、鮮やかな同点弾が名古屋に決まる。
38分、右サイドを抜け出した鹿島・花ヶ崎からの早いクロスから鹿島・谷川にシュートを許すが、これはGK伊藤が正面でしっかりと捕らえる。そして同点弾で試合を振り出しに戻した名古屋が、良い流れを掴んで前半を終える。
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