第23回 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会 準々決勝
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海の向こう北京で熱い戦いを見せているアスリート達に負けじと、Jヴィレッジで行われている日本クラブユースサッカー選手権も連日のように熱戦が繰り広げられている。この日はベスト8に残ったチームによる準々決勝が行われ、名古屋グランパスU-15は午後2時に鹿島アントラーズとのゲームに臨んだ。

試合会場周辺の地域は朝から濃霧注意報が発令されており、試合開始前には湿り気を多く含んだ空気がピッチ全体を包みこみ、かなりの蒸し暑さをみせる。しかし選手達は、試合前から気合い充分な様子を見せ、リラックスした表情をで試合開始の笛を待ちわびていた。

試合は、前半左エンドを取った鹿島のボールからキックオフに。この日の名古屋の先発メンバーは、GK伊藤、フィールドプレーヤーは、三鬼・奥山・川本・佐藤・水野・樋江井・加藤(凱)・都竹・加藤(翼)・高原の11人だ。

前日の試合で圧倒的な強さを見せた名古屋に対し、序盤から鹿島は球際の厳しさを見せて名古屋にチャンスを作らせないようにと、堅い守りを見せてくる。しかし、名古屋も水野を中心に慌てることなく、機を見ながら隙を突いた鋭いボールを縦に入れて鹿島のDFを揺さぶる。

ところが14分、自陣中程左寄りの位置で鹿島にFKを与えると、鹿島・山田の出したボールを鹿島・梶野がシュート。しかしこのシュートは、壁に立ったDF選手でブラインドになってしまい、GK伊藤が反応できずゴール左に直接決まってしまう。これまでの3試合を安定した守備を見せて完封で勝ち上がってきた名古屋は、4試合振りの失点を喫してしまう。

しかし、この失点で逆に火が付いた名古屋は、サンフレッチェ常石戦でハットトリックを決めた高原や加藤(翼)が個人技で鹿島陣内深くへと攻撃を仕掛け始め、勢いに乗ろうとしていた鹿島の選手達を徐々に押し込む。

17分、左サイドを縦パスで抜け出してきた高原が深い位置で倒され、好位置でFKを得る。水野がこれを直接狙ったが、ボールはクロスバーの越えてしまう。20分、高原が裏へと抜け出すと左足シュートを放つが、鹿島GKの正面を衝いてしまった。24分、左から佐藤の入れたボールを中央で高原が落とすと、樋江井が走り込んでくるが足下に収まらない。

29分、左に流れてきた加藤(凱)からのパスに反応して、加藤(翼)がタッチ際から中に入り込んでいったが、シュートにゆく前にボールをDFにカットされてしまう。そして31分。水野からのパスを受け、左からドリブルで仕掛けた加藤(翼)が寄せてくるDFを巧みな個人技を見せてかわすと、中央へと入り込んだところで右足を振りぬく。すると、このシュートが鹿島のゴール右に見事突き刺さり、鮮やかな同点弾が名古屋に決まる。

38分、右サイドを抜け出した鹿島・花ヶ崎からの早いクロスから鹿島・谷川にシュートを許すが、これはGK伊藤が正面でしっかりと捕らえる。そして同点弾で試合を振り出しに戻した名古屋が、良い流れを掴んで前半を終える。

後半は、左にエンドを変えた名古屋のボールから試合が再開する。

2分、左サイドから高原のパスを受けた加藤(翼)が持ち込むと、右足から狙い澄ましたシュートを鹿島ゴール右に沈めて2-1とし、後半は名古屋が最高の良い立ち上がりでスタートする。

前半は、やや下がり目のポジションで守備のバランスを取っていた水野だったが、後半は立ち上がりから積極的なプレーを展開。そして、水野のプレーに呼応するように名古屋の攻撃が勢い付く。9分、三鬼の鹿島DFの背後を突いたロングボールに樋江井がゴール前へと詰めるが、先に追い付いた鹿島GKがボールを押さえてしまった。

12分、右サイド三鬼からのDFの裏を狙ったボールに、オフサイドぎりぎりの絶妙なタイミングで抜け出した高原が、飛び出した鹿島GKの頭上を抜けるループシュートをワンタッチで鹿島ゴールの枠内に決めて3-1として、鹿島を突き放す。

試合は、後半立て続けの失点で鹿島がDFラインを押し上げることが出来なくなったことで、試合が名古屋が主導権をしっかりと握って試合を優位に進める。19分、加藤(翼)が左からドリブルで持ち込むと、中央に詰めている加藤(凱)にボールを当てる。加藤(翼)は、落ちたボールをとシュートにいこうとしたが、体を寄せていたDFにボールをクリアされてしまった。

22分、中央を力強いドリブルを見せた都竹が、エリアに入り込んだところでシュートを放ったが、惜しくも鹿島GKの正面を衝いてしまう。

31分、名古屋メンバー交代:樋江井→辻。34分、三鬼が代わって入った辻に縦パスを当て、再びこれを拾って勝負を仕掛けようとするが、体を入れてきたDFを倒してしまいファウルを取られてしまった。名古屋は35分に都竹に代えて川村を、36分には高原に代えて青山を投入。

終了間際には、青山がこぼれ球を中央で拾って右に展開すると、上がってきた辻がニアサイドにダイレクトでクロスを上げると、これに頭から飛び込んだ青山が、鹿島ゴール左にヘディングシュートを叩き込んで4-1。試合を決定付ける得点を挙げる。そして試合は、このまま終了のホイッスルを迎え、名古屋は鹿島を4-1で下した。

前半早々に4試合ぶりの失点をした名古屋だったが、誰もが慌てることなく統率された組織と高い個人技をもとにバランスの取れた試合を展開。そして、後半開始早々に試合を引っ繰り返すと、怒濤の攻撃で着々と追加点を挙げるしたたかさを見せて、ベスト4に駒を進めた。そして、我らが名古屋グランパスの若鯱達は、最終日の決勝進出を賭け、浦和レッズ・ジュニアユースとの準決勝を、16日(土)に戦うことになった。