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名古屋グランパスエイトU-18は、2年連続決勝戦進出と初の頂点を目指し、サンフレッチェ広島ユースとの高円宮杯準決勝に臨んだ。上空には雲が多く、秋晴れとは言えない天気となってしまったが、気温は涼しく湿度も低いため、緑鮮やかな聖地・国立の芝生の上で思い切りサッカーをするには最高のコンディションに恵まれたといえる。
前半は右にエンドを取る名古屋に対し、左エンド広島のキックオフで試合が始まる。この日の先発メンバーは、GK鈴木(規)、DFは右から中田・三宅・津田・三島の4バック、中盤は安藤・西部・西山の3人、FWはアルベス・中田・磯村の4-3-3-という布陣で広島に挑む。

試合は、開始直後から厳しいプレッシャーをかけてくる広島の前に名古屋は押され気味となり、早い仕掛から前線の中野(9)へボールを集めてくる相手の攻撃をはね返す展開が続く。更に中盤の選手等も、スピードに乗ったドリブルと鋭い切り返しでペナルティエリア内を所狭しと動き回る広島・大崎(27)のケアに追われ、なかなか前線へとボールを運ぶことが出来ない。16分、中田からのサイドを変えたパスを受けた太田が縦に勝負を仕掛けるが、彼の自慢のスピードをもってしてもマークの選手を振り切ることが出来ず、ゴール前で待つアルベスにボールを入れることが出来ない。

序盤から思い通りの攻撃をなかなか出来なかった名古屋だが、広島の攻撃にしっかりと対応することで自分達のリズムを徐々に掴めるようになる。40分、安藤からのパスを、中に入り込みながら受けた三島が縦にパスを送る。これを中央で受けた磯村が、DFの厳しいプレッシャーを受けながらも右足でシュートを放つが、これはポストの左へ。

44分、右からのCKのチャンス。中田のボールを中央に詰めた三宅のヘディングシュートはDFに弾かれてしまうが、ルーズボールを拾った西山が、左足でコントロールしてシュート、これは、枠を捕らえたかと思われたが広島GKの好セーブの前に弾き出されてしまう。前半は、広島の強力な攻撃陣に苦しめられた名古屋だったが、2年連続決勝進出を目指して高い集中力を見せて、前半を0-0で折り返した。
後半のキックオフからは、前半途中から自分達のリズムを掴みつつある名古屋が、試合の主導権を握ろうと積極的な攻撃を見せる。3分、広島陣内の中程右サイドでのFK。中田のボールを上がっていた津田がヘディングでシュートするが、これは枠へと飛ばすことは出来ない。5分、相手ペナルティエリア内でゴールに背を向けてボールを受けた磯村が、反転しながらのシュートを試みようとするが相手の厳しい寄せに潰されてしまう。

ところが12分。自陣左サイド中程の位置でのFKを広島に与えてしまうと、広島・岡本(13)からの精度の高いボールを中央の広島・横竹にヘディングで合わせられ、広島に先制点を決められてしまう。16分、名古屋は、疲れの見えた太田に代えて岸を投入。

22分、左サイドをフリーで駆け上がってきた岸にパスが通ると、中へと切り込んで右足シュート。しかし、惜しくも右のポストに嫌われてしまう。更に、こぼれ球に何人かが詰めるが広島の体を張った守備に阻まれてしまい得点をあげることができない。。26分、右からのCKのチャンス。中田のボールを中央で三宅があわせるが、ボールはポストに左へ。30分、相手ペナルティエリア内でゴールに背を向けてパスを受けたアルベスがオーバーヘッドのループシュートを狙う。そして、不意を突かれた広島GKの反応が遅れたため、あわやゴールかと思われたがボールはゴールライン手前のところでGKに押さえられてしまう。

35分、左に開いた岸の落としたボールを、中田が拾って角度のないところからシュートを狙ったが、これはGKの正面を突いてしまう。何とか早く同点に追い付きたい名古屋は、残り10分を切って、1点を守ろうと自陣に引いて守る広島の守備を崩して、ゴールをこじ開けようとするが、なかなか決定的な場面を作ることが出来ない。そして、試合は約3分と告げられたロスタイムへ突入した。

ロスタイムの残り時間30秒、名古屋が、ラストプレイかと思われた右からの名古屋のCKを得る。そして、終了間際から仕掛けていたパワープレイで前線に上がっていたDF三宅だけでなく、GK鈴木(規)も上がってこのCKに備える。そして、中田が左足で入れたボールに、厳しく体を当ててくる広島DFを振り切って飛び込んだのは三宅。彼のヘディングシュートが相手ゴールネットへと突き刺さる。この劇的な同点ゴールで名古屋は土壇場で試合を振り出しに戻して、2戦連続の延長戦へと突入した。
10分ハーフの延長戦は、左エンドの広島のボールからスタートする。後半の終了間際での劇的な同点弾の勢いをそのまま試合に繋げたい名古屋は、立ち上がりから勢いのあるプレイを見せる。

そして、延長前半7分。左から岸が持ち込んだボールを磯村が繋ぐと、広島DFの裏へと出したパスに抜け出したアルベスが落ち着いてシュートを沈め、ついに名古屋が広島を逆転する。ところが逆転ゴールの直後、広島・岡本(13)の放った無回転のミドルシュートが、体の正面で押さえようとした鈴木のグローブをすり抜けてしまい試合を再び振り出しに戻されてしまう。
延長後半は、左にエンドを代えた名古屋のボールでスタート。しかし、名古屋の選手達は、広島の怒濤の攻撃を前半から体を張ったプレイで耐えて見せたこともあり、足が止まったり、大きな動きを見せた後には足がつってしまう選手も見受けられ、疲労の色は隠せない。

そして延長後半7分、広島・内田、横竹と繋いだパスが、後半途中から入った広島・宮原に通ると、これを右から中央に入り込んで左足からシュートを沈められ、広島に再度リードを許してしまう。この後も名古屋の選手は再び試合を振り出しに戻そうと力を振り絞って懸命のプレイを続ける。しかし、このゴールが広島の決勝点となり、110分間を力の限り戦い続けた選手達だったが、残念ながら2年連続の決勝進出の道は閉ざされてしまった。

序盤からの広島の攻勢をしっかりと耐え、先制を許しながらも土壇場で追い付くだけでなく、延長では一度は逆転する勝負強さを発揮した、名古屋グランパスエイトU-18の選手達。最後まで試合を諦めずに全力を尽くして戦った彼らの闘う姿勢は、間違いなく応援に駆けつけたサポーターの胸に強く焼き付けられたことだろう。