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 ヨンセンという攻撃の絶対的な柱を怪我で欠いた上に、チームの精神的な支え藤田も怪我が癒えず、出場ができない苦しい状況の中で迎えた第25節:鹿島アントラーズ戦。チームは、現在勝ち点30で10位となかなか勢いに乗ることができない。そして、上位進出のためにもこれ以上黒星を重ねる訳にはいかないという、正に背水の陣で試合に臨んだ。
 この日の名古屋は、台風が近づいていた影響もあり午前中から厚く黒い雲が上空を行き交い、時折強い雨が降るという不安定な天候。しかし、夕方近くになって雲間から青空が顔を出すようになり、徐々に涼しげな風が吹き抜けるようなる。この9月の風が、蒸し暑い湿った空気でよどんでいたスタジアムを心地良い雰囲気へと変えた。
 試合は鹿島が、戦前の予想通り前線の柳沢とマルキーニョスをターゲットに使い、彼らが落としたボールを2列目の選手が積極的に拾って攻撃を仕掛けるパターンで、名古屋の守備陣を混乱に陥れようとしてくる。前半9分には、鹿島・小笠原が右に展開したボールを縦に仕掛けて抜けだし、そのままシュートを狙う決定的なピンチの場面を迎える。しかし、ここは果敢に飛び出したGK楢崎がシュートを阻止し、不安定だった守備陣に気合を入れる。このプレイで名古屋の目が覚めたのか、選手達に次第に落ち着きが見られるようになり、鹿島に傾きかけた流れが名古屋へと動く。

 前半18分。自陣から杉本が中央にボールを運ぶと、右サイドを駆け上がるこの日Jリーグ初先発の小川にボールを預けて右へと開く。ここでボールを受けた小川は、中央にフリーで上がってきた本田へのパスを選択する。そして、このパスを受けた本田が左足を迷いなく振り抜く。本田の放ったすばらしい軌道を描いたミドルシュートは、見事ゴールネットを揺らし待望の先制点。この一振りで、名古屋イレブンが試合の流れを自分達のものにする。
 さらに24分には、右に抜け出した杉本からの速いクロスボールに走り込んだ本田が、今度は豪快な左足ボレーを鹿島のゴールネットに突き刺して2-0。理想的な形で待望の追加点を奪う。

 前半は、本田の挙げた2得点をしっかりと守った名古屋が、終始危なげないプレイを見せ終了する。
 チームは、良い流れで後半へと向かっていった。
 後半に入ると鹿島・オリヴェイラ監督は、名古屋のDF陣が上手に押さえ込んだ柳沢に代えて、高さのある田代を投入。後半キックオフ開始直後からの巻き返しを図ってくる。すると鹿島に、前半見られなかった縦への飛び出し、楔のボールを拾った2・3列目からの飛び出しが見られるようになる。鹿島の中盤・野沢や本山だけでなく、両サイドバックの内田や新井場も果敢な攻め上がりを見せるようになり、名古屋が押し込まれる場面が次第に目立ち始める。

 しかしこの日は、後半に入ってもこれまで名古屋の全選手が見せていた守備と攻撃の切り替えの意識の高さが衰えを見せない。選手達は、鹿島に傾きかけていた流れを取り戻そうと、相手の中盤選手がボールを持つと厳しいプレスを掛け続け、前線へのパスを阻止する。鹿島は、1点を奪うことができれば試合の流れを変えられると29分に中後を、32分には興梠を立て続けに投入し、パワープレイを仕掛けてくる。

 しかし、その後すぐに試合を決定付けるゴールが生まれる。34分、金の放った縦パスに鹿島・GK曽ヶ端はクリアをしようとペナルティエリアを飛び出す。ところが、曽ヶ端がクリアしたボールはミスとなり、玉田の前へとこぼれる。玉田はこれを落ち着いて左足で無人のゴールへと蹴りこみ、流れを名古屋に引き寄せるダメ押しの3点目で鹿島を再び突き放した。

 その後も名古屋は玉田に代えて渡邊を、さらに杉本に代えて津田を投入し、鹿島の守備陣にプレッシャーをかけ続ける。更に、高い集中力を見せ続けている守備陣の頑張りと楢崎の落ち着きがチームに安心感を与えたこともあり、最後まで決定的な場面を作らせない。
 そして、好調を維持する鹿島を完璧な試合運びで押さえ込み、嬉しい3−0の完封勝利で試合終了を迎える。
 チームは、8月の大宮戦依頼の貴重な勝ち点3を獲得した。