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 前節ホーム・瑞穂陸上競技場で行われた大宮戦に完勝したことで、2連敗の嫌なムードを断ち切った名古屋。今季初先発となった玉田の先制ゴールや、藤田のJリーグ通算100得点目となる記念すべきゴール等で、5-0と派手な勝利を収めて得た自信を胸に選手達は第23節・敵地での川崎フロンターレとの試合に臨んだ。
 昼間から鉛色の雲が低くたれ込めた等々力陸上競技場は、気温こそさほど高くないものの、蒸し暑さと少し前から降り出した雨がピッチを滑りやすくさせる、あいにくの天候となった。
 この日の先発は、GK守護神・楢崎、DFは大森・米山・阿部の3バック。中盤は右に津田、左に本田、中央下がり目には怪我の吉村に代わって山口が入り、攻撃的な位置には藤田と中村の2人が並ぶ。FWは前節と同様に玉田と杉本のスピードコンビが組み3-5-2の布陣で川崎に挑んだ。

 前節のG大阪戦を鄭・ジュニーニョという2TOPのゴールで4-1と快勝した川崎。しかし、立ち上がりは名古屋の試合運びの様子を伺いたいこともあってか、“らしく”ないスローなペースで試合を進めてくる。対する名古屋もしっかりとした守備から試合に入る。そして、出来るだけ早い時間帯で先制点を奪い、その後しっかりと守って川崎から逃げ切りたいという狙いもあって、玉田・杉本が果敢に飛び出し、パスを引き出そうと相手のDFの裏のスペースを突くが、川崎DFが安定した守備を見せて、簡単には付け入る隙を与えてはくれない。

 しかし37分、本田の左CKのボールに、「来そうな気がしていた」と語る玉田がニアサイドに入り込み、難しい体勢からワンタッチでボールを流し込み待望の先制点がうまれる。玉田が完全復活をアピールする2戦連続のゴールを決めると、その後も名古屋ペースで前半が進む。そして、チームは良い流れを掴んで後半へと折り返した。
 後半に入ると、これまで玉田・杉本にタイトなマークを見せていた川崎DFが守り方を変化させる。川崎DF陣は、前半よりも少しラインを下げることでライン裏のスペースへのケアを意識した守備をするようになる。そのため次第に名古屋は、攻め手が無くなってしまい、失ったボールを川崎のマギヌン・中村(憲)や両サイドの森・黒津といった個人技に長けた選手に拾われて、早い攻撃を仕掛けられるようになる。これによって、FWの鄭やジュニーニョと絡んだ攻撃の場面が目立ち始め、名古屋は自陣へと押し込まれるようになってしまう。

 更に後半23分に本田が、この日2枚目となるイエローを受けて退場し10人での戦いを余儀なくされてしまう。更に25分には、審判に対し異議を唱えたフェルフォーセン監督がベンチから退席を命じられてしまい、1点リードの名古屋は苦境に立たされてしまう。
 それでもチームは、大宮戦で見せたアグレッシブさや精神的な強さを見せて、1人少ない状況の中で、川崎のかさに掛かった分厚い攻撃を跳ねかえし続ける。かつての同僚・川島を前にして楢崎も、神懸かり的なセービングをこの日も連発。チームの最後の砦として川崎の前に立ちはだかる。

 しかし終了間際に、途中交代の川崎・井川のシュートをクリアしたボールが不運にもジュニーニョの前にこぼれる。そして、ジュニーニョはきっちりとゴールを決めて名古屋は土壇場で同点に追いつかれてしまう。それでも、最後まで選手達は肩を落とすことなく高い集中力を保ちアグレッシブなプレイを続けて、1-1の引き分けというスコアで試合終了を迎えた。

 終了のホイッスルまで残りわずか。あと数分というところで、名古屋の手から無情にも勝ち点3がこぼれ落ちてしまった。しかし、爆発的な攻撃力を誇る川崎を相手に、指揮官と選手1人を欠きながら戦い抜き全員で手にしたアウェイでの勝ち点1。この勝ち点は、「更なる自信」という目に見えない価値をチームに与えてくれるに違いない。