2007 Jリーグ ディビジョン1:第15節
 午後3時30分、名古屋の選手達が万博記念競技場のピッチへと顔を見せると、ガンバのサポーターから厳しいブーイングが浴びせられる。しかし、名古屋から応援に駆けつけているアウェイチームのサポーターから送られる拍手と声援にしっかりと応え気持ちを引き締めた後、選手達は、早速試合に向けた最後の調整をスタートさせる。
 前節の川崎戦で杉本の得たPKをしっかりと決めて、99得点目のゴールを挙げた藤田。首位・ガンバとの対戦と言うこともあってか、彼らしいリラックスした表情はほとんど見えず、早くも気合い充分の様子が伺える。「チームが勝てればそれでいい、自分のゴールは気にしていない」と語る彼の言葉通り、今日も攻守に渡ってチームの要となり、しっかりと牽引役を果たしてくれることだろう。
 公式戦3連続ゴール中で、目下絶好調のヨンセンにとって今日の暑さは少々厳しいところかもしれない。強豪・ガンバ相手にゴールを奪うことは相当の難行となりそうだが、彼の労を惜しまぬ頑張りはきっと実を結ぶはずだと信じたい。そしてそのヨンセンを盛り立てるためにも、もう1人のFW・杉本の活躍も見逃せない。彼の尽きる事のないスタミナから繰り出されるスピードで、ガンバの守備網を切り裂いて、勝利への足がかりを作って欲しい。
 午後3時45分、太陽が少し西に傾き、心地よい風がピッチの上を抜けるようになって気温も下がり始めた中、しっかりとコンディションを整え終えた選手達は、気合い充分の表情を見せながら足早にロッカーへと向かった。
〜前半15分
強い日差しは相変わらずだが、開場してすぐの頃を思えば、幾分気温も下がり、抜ける風の肌触りも柔らかくなった。しかし、午後4時、ピッチへと入場を果たした両チームのスターティングイレブンに向けた両サポーターの声援は、徐々に高みへと上り始め、万博のスタンドは熱気で満ち溢れる。
前半は、左エンドのホーム・ガンバに対し、名古屋は右から左へと攻め上がる。試合はガンバのキックオフでスタート。
今日の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から竹内・大森・増川・阿部の4バック。中盤は右に金、左に本田、中央は山口と藤田が並ぶ。FWは、ヨンセン・杉本の2人。4-4-2の布陣でガンバに挑む。
 
 
1分、自陣から阿部の出したロングボールに杉本が走り出すが、これはガンバDFにカットされる。
2分、ガンバ陣内中程やや右寄りの位置でのFKのチャンス。本田が直接狙って強いボールを蹴っていったが、これは壁に弾かれてしまう。
 
 
4分、左からガンバ・バレーが抜け出してくると楢崎と1対1になるが、ゴールを阻む楢崎をかわしきれないバレーが縦に抜けて戻したボールは、しっかりとクリアし、このピンチを逃れる。
6分、右でヨンセンが落としたボールを竹内が縦に送るが、杉本はこれに追いつけず。
 
 
 
7分、左からのCKのチャンス。この場面で本田が左足で入れたボールを増川・竹内が合わせるが、一旦はGKが抑えるものの、こぼれたところを増川が押し込んで先制点を決める。
9分、ガンバ・マグノアウベスが右から入り込もうとしてくるが、大森がしっかりとボールを抑えてこれを止める。
【得点】
7分 増川(名古屋)
 
10分、金が杉本に当てて縦に抜け出すと、ゴール前へとクロスボールを入れるが、これには誰も詰めることが出来なかった。
11分、右からのCKのチャンス。本田が入れるが、今度はボールが伸びてしまい、逆サイドへと抜けてしまった。
13分、右からのCKのチャンス。本田の左足からのボールはガンバGKに直接キャッチされてしまう。
 
 
14分、エリアの中右寄りでのルーズボールを右足で放ったガンバ・バレーのシュートは右のポストが弾く。  
〜前半30分
16分、縦のボールにバレーが抜け出そうとしてくるが、今回も大森がしっかりとボールを抑えて、突破を阻止。
18分、右寄りの位置でボールを持ったヨンセンが厳しいプレッシャーに遭いながらもキープしたボールを大きく金が左に展開するが、走り込んだ阿部が拾う前にタッチを割ってしまった。
 
 
19分、左から突破を図ったガンバ・安田のゴール前へのクロスは、増川がしっかりとクリア。
20分、左タッチ際で杉本のパスを受けた本田が中へと入れてゆこうとしたが、ここはガンバ・加地の寄せにボールを失ってしまう。
22分、中央から右へと送られたボールを受けたガンバ・加地がゴール前に入れてくるが、落下点に入った大森が頭できっちりと弾き出す。
 
 
23分、ゴールに背を向けていたマグノアウベスが胸で落としたボールを更にバレーが折り返すと、このボールにマグノアウベスが飛び出してくるが、楢崎が前へと出てこれを抑える。
25分、自陣中央でルーズボールの奪い合いになると、最後、山口が縦に送るが、走り出そうとした杉本とは逆に抜けてしまう。
序盤、ガンバのチャンスが続いたがしっかりとこれを抑えたことで選手達の気持ちが落ち着き、良い時間帯で先制し、ここまでは良い流れで試合が進んでいると言って良いだろう。
 
 
28分、自陣深くでガンバのボールを奪うと、戻したボールを楢崎が大きく蹴り出して杉本を走らせるが、これはオフサイド。
30分、右の加地からのゴール前へのロングボールに詰めたガンバ・遠藤の左足のボレーは大きく枠を外れる。
 
〜前半終了
31分、左からボールを持って前を向いたガンバ・バレーがドリブルを見せると、エリアの外から右足シュートを狙ってくるが、これは楢崎が正面でしっかりと抑える。
32分、左から抜け出してきたガンバ・橋本だったが、金がしっかりと寄せてゆき、相手のミスを誘う。
33分、左に抜けた遠藤の右足のボールを中央で落としたマグノアウベスのボールを、バレーがシュートに来ようとするが、大森が体を入れてこれを阻止する。
 
 
34分、縦パスに抜け出した杉本が追走するガンバDFを振り切って左足からのシュートを放つが、これはクロスバーの僅かに上を抜けてしまう。
36分、右の藤田からのゴール前へのクロスは、詰めていったヨンセン・杉本の頭上を抜けてしまった。
38分、右からドリブルを仕掛けた杉本が寄せてきたDFをかわして大きく縦に抜け出そうとしたが、ボールがゴールラインを割ってしまう。
 
 
40分、左深くでボールを拾ったヨンセンが戻したボールに詰めていった本田が左足からシュートを放っていったが、これはガンバGKの正面。
42分、左に上がった阿部からのクロスボールは逆サイドのヨンセンの頭上を抜けてしまった。
44分、左から金のスルーパスにDF2人を連れながら杉本が縦に突破すると、ペナルティエリアナイで倒されるが、これは相手のファウルは認められずガンバボールに。
 
 
ロスタイム1、下がってボールを受けたマグノアウベスのDFの足下を鋭く抜けるスルーパスに、左から遠藤が飛び出してくるが、ここでも楢崎がしっかりとこれを抑えてゴールを守り抜く。
そして前半は名古屋が1点をリードすると言う理想的な形で試合を終える。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、左から攻め上がる名古屋のボールから試合が再開。
1分、ゴール前でルーズになったボールにガンバ・バレー、幡戸が詰め寄ってくるが、増川が大きくタッチの外へとクリア。
2分、右に流れながらパスを受けたヨンセンが左足でエリアの外からシュートを放つが、これはポストの左へ。
【交代:45分・大】
マグノアウベス幡戸
安田家長
 
3分、右で竹内からの縦パスを受けた杉本が中へと走るヨンセンの前へパスを送ると、これを右足でシュートを打つが、ボールはポストの右へ。
5分、右に抜けた金のクロスボールに中央でヨンセンが合わそうとするが、ここはガンバDFに体を寄せられ、前に飛ばすことが出来なかった。
6分、右から縦パスに抜け出した杉本がDFを振り切ってゴール前へと入れてゆこうとしたが、このボールはスライディングに入ったガンバ・シジクレイにカットされてしまう。
9分、右から入り込んできたガンバ・遠藤の右足のシュートはクロスバーの上へ抜ける。
 
 
10分、竹内からの縦のボールに反応した金だったが、走り出したときには相手GKの下へ。
12分、右からガンバ・家長が持ち込んできて左足で中を狙ってくるが、体を入れた阿部がこれをしっかりと跳ね返す。
13分、相手陣内深くでボールを持った杉本が、追い風と言うこともあり遠い位置からシュートを放つが、これは風に乗って左に流れてしまい、枠を捕らえることが出来なかった。
14分、右からのガンバのCK。遠藤の右足からのボールは中央で竹内が頭でカットするが、こぼれ球を再び遠藤にゴール前へと放り込まれ、これを合わせたバレーがヘディングシュートはクロスバーに救われる。
 
〜後半30分
16分、ゴール正面に流し込まれたパスに中央に走り込んだガンバ・二川のシュートはミスキックとなり、こぼれたところを大きくクリア。  
18分、中央でのこぼれ球を遠藤がシュートに来るが、ここは藤田が体を張って弾き返すが、右からのクロスボールを中央に詰めていたガンバ・バレーにヘディングシュートを決められ、ついにガンバに追い付かれてしまう。 【得点】
63分 バレー(大阪)
 
21分、ガンバ・家長からのDFの裏へのボールに中央から幡戸が抜け出すが、これはオフサイド。
22分、左から本田が杉本の縦パスに抜け出してくるが、ここは戻って来たガンバ・遠藤に体を入れられボールを奪われてしまう。
 
24分、自陣ほぼ中央でのガンバのFK。これを遠藤が左から走り込む選手の前へと浮き球を蹴るが、金がしっかりとこれを読んでカットする。 【交代:68分・名】
本田中村
 
25分、左からガンバ・家長が抜け出してこようとするが、ここは竹内が1対1での強さを見せてボールを奪う。
26分、左からのCKのチャンス。阿部の左足からのボールは逆サイドに抜けるが、これを拾った中村の左足のゴール前へのボールを、増川が右足ダイレクトで合わせたボールはクロスバーの上へ。
 
 
29分、右に抜け出してきた遠藤からのゴール前へのボールは中村が左足で縦に蹴りだす。 【交代:75分・名】
杉本吉村
30分、右からのガンバのCKがゴール前へこぼれたところをシジクレイに押し込まれ、ガンバに逆転を許してしまう。 【得点】
75分 シジクレイ(大阪)
〜試合終了
32分、ガンバ・家長の右からの突破は増川が体を張って止めCKに。右からの遠藤のボールはニアでしっかりと跳ね返す。
34分、ガンバ陣内右深くでのFKのチャンス。これを阿部が左足で入れると、逆サイドから金が走り込むが、ボールに触れることは出来ず。
 
【交代:79分・名】
藤田片山
36分、右で中村が落としたボールを竹内が大きく相手ゴール前へと入れるが、ボールが流れてしまい、そのままゴールを越えてしまう。
37分、自陣深く右寄りのエリアのすぐ外という危険な位置でガンバにFKを与えてしまう。これを家長が飛んだ壁の足下を狙ったボールを蹴ってくるが、これは壁で弾き返す。
 
39分、左タッチ際でのルーズボールを幡戸に拾われると、中央に流し込んだボールを受けたバレーに強烈なミドルシュートを叩き込まれてしまい、痛恨の3点目をガンバに与えてしまう。 【得点】
84分 バレー(大阪)
 
41分、右に抜け出したヨンセンが左足でゴール前へ入れてゆこうとするが、これはボールが大きく流れてしまう。
42分、左からヨンセンに当てて吉村が入り込むが、ヨンセンからの縦パスはガンバDFにカットされてしまう。
44分、右でヨンセンからのパスを受けた中村がDFを縦にかわしてゴール前へ入れてゆこうとしたが、ボールはラインを割ってしまう。
 
 
ロスタイム1、自陣から大きく蹴り出されたボールに片山が走るが、これは相手GKの下へ。
ロスタイム2、左から阿部のスルーパスに上手く抜け出した片山がGKと1対1になるが、その前にオフサイドの旗が上がってしまう。
そして試合は、前半、好ゲームを展開しながらも、後半一気に3ゴールを奪われ、底力を見せつけられる形で敗戦を喫してしまう。
最後まで応援ありがとうございました。