2007 Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 予選リーグ 第5節
 午後6時20分、楢崎・櫛野両選手がゆっくりとした足取りでピッチへと登場すると、名古屋のサポーターの陣取るスタンドから大きな拍手が沸き起こる。上空は太陽が西に沈んでしまったが、まだ明るさが残り、水銀灯の明かりが、青さを増す空の中で彩りを増していく。リーグ戦第10節で復活を遂げた楢崎だったが、好ゲームを展開しながらも、今一歩のところで力及ばず敗戦してしまった悔しさをバネに、最後方から力強い影響力を発揮して、今日の勝利に貢献して欲しい。

 5分ほど遅れて、他の選手達がアップに現れると、再びスタジアムが賑やかさを取り戻す。アウェイ戦に続き、古巣相手に試合出場を果たす金古は、早くも気合い十分だ。チームがもがいている今だからこそ、彼に活躍を期待したいところだ。また、磐田戦では途中出場ながらも、シュートシーンも多く、しっかりと存在感を示していた巻も力の入ったアップを見せている。アウェイ戦でもゴールを決め、ここへ来て、怪我人の多い中、徐々に頭角を現し始めている。決定力・得点力不足が言われているだけに、彼にはここで本領を発揮して貰い、杉本や玉田、津田等が不在の今日の試合で結果を出して欲しい。
 藤田に代わって、今日は中盤の守りの要の役を受け持つ吉村。どちらかと言えば、普段は余り目立つこともなく、大人しい存在だが、今日の試合は、鹿島の攻撃陣をしっかりと抑えるプレイを見せて、その存在感をフィールドの上で示して貰いたい。

 午後6時45分、暗闇が濃さを増し始めると、アップを終えた選手達が、時折抜ける心地よい風に、表情を落ち着かせながら、ロッカールームへと向かっていった。
キックオフ直前4月度の月間ランクル賞が発表され、本田選手が受賞しました。
〜前半15分
サポーターの高らかに唱い上げる応援歌に守られながら、入場を果たす選手達。
右にエンドを取る鹿島に対し、ホーム・名古屋は左にエンドを取り、右へと攻め上がる。前半は、名古屋のキックオフでスタート。
今日の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは、米山を中央に据え、右に大森、左に金古の3バック、MFは右に中村、左は阿部、中央下がり目に吉村、前目の位置に山口と金、FWはヨンセンと巻という11人で鹿島に挑む。
 
 
1分、右のスペースへと米山が大きく蹴り出したボールを中村が拾うと、ダイレクトで中へと折り返していったが、ゴール前のヨンセン・巻の頭上を越えてしまう。
3分、右タッチ際で山口がキープして、味方のフォローを待つが、足下への厳しい寄せに倒され、ボールは奪われてしまう。
4分、右に抜け出してきた鹿島・野沢のゴール前を狙ったボールは金古が頭でカットする。
 
 
5分、大森が下がってきたヨンセンに当てると、このボールを縦へと送ろうとするが、マークに付いた選手に弾かれてしまう。
7分、右のスペースへ出たボールを中村がDFをかわしてクロスボールを入れてゆこうとしたが、これは精度が無く、ゴールの上へ抜けてしまう。
9分、相手陣内右中程でのFKのチャンス。大森がゴール前に張っている巻に狙って蹴っていったが、厳しいマークに抑え込まれ、ボールを触ることは出来なかった。
 
 
11分、中央でセカンドボールを拾ったヨンセンがそのまま縦へと抜けてゆこうとするが、ここはDFにコースを阻まれ、前に行かせて貰えなかった。
12分、右からのDFの裏へのパスに抜け出した鹿島・マルキーニョスが楢崎と1対1になるが、ボールへ無理に飛び込まず、コースを上手く阻むと、ルーズになったボールをゴールマウスに転がり込む前に米山がクリアする。
 
 
13分、ゴール前で混戦からシュートを許すが、ここでも楢崎がシュートコースへと体を入れて、ボールを弾き出し、ゴールを守る好セーブを見せてスタンドを沸かせる。
15分、右で相手パスをカットした吉村がそのまま持ち込んでゆこうとしたが、体を入れた鹿島DFに前に阻まれてしまう。
 
〜前半30分
16分、左からの鹿島のCK。野沢のゴールから逃げるようなボールを鹿島の選手が待ち受けるが、コースに入った巻が頭一つ高く、ボールをクリアする。
17分、エリア内でルーズになった浮き球を山口が拾って前を向こうとしたが、鹿島DFに体を寄せられてしまい、力強いシュートを打てず。
 
 
19分、自陣中程中央での鹿島のFK。鹿島・野沢がグラウンダーのボールを蹴ると、これがまっすぐ楢崎に向かってくるが、難なく抑える。
20分、右に抜け出してきた選手からのクロスを中央で鹿島・田代にヘディングシュートを許してしまうが、ここでも楢崎が左手一本でこのシュートを阻止、ゴールを守る。
 
 
23分、自陣左深くでの鹿島のFK。野沢の右足からのボールがゴール前に入ってくるが、こぼれて混戦状態のところを拾った大森が、右足で大きく蹴り出す。
25分、左で金の落としたボールを金古が大きく縦に蹴りだすが、阿部はこれに反応できず。
28分、右でヨンセンが競り合ってこぼれたボールを拾った中村が、ゴール前へと放り込むが、待っていた巻は頭でスペースへ落とすのが精一杯で、前を向いてシュートを打つことは出来なかった。
 
 
29分、相手陣内中央中程でのFKのチャンス。米山がこれを直接狙って蹴るが、抑えの効いていないボールは、クロスバーの上を抜けてしまう。  
〜前半終了
 
 
31分、左で阿部のパスを受けた金が、寄せてきたDFを2度3度と切り返してかわすと、左足で入れたクロスをゴール前に待っていたヨンセンが頭でこれをネットに突き刺し、見事な先制点が決まる。
33分、右に抜け出してきた鹿島・内田のクロスを遠いサイドで待ち受けていた鹿島・中後にボレーシュートを許すが、これはポストの右に流れる。
35分、左で金が粘ったボールを寄せて受けた阿部が中へと入れると、詰めてきた吉村がミドルシュートを放つが、これはクロスバーの上へ抜けてしまう。
【得点】
31分 ヨンセン(名古屋)
 
37分、自陣中程やや左での鹿島のFK。距離があったものの、鹿島・中後が直接狙って蹴ってきたが、楢崎が難なくこれを抑える。
39分、右のスペースへのパスを受けたヨンセンがDFをかわしてゆこうとしたが、コースを阻まれてファウルを貰い、好位置でのFKを得る。
40分、吉村がゴール前へと入れたボールを遠いサイドから飛び込んだ巻が合わせるが、上手く足下にボールが収まらず、足に当たったボールはポストの左に。
43分、中村から巻へと繋ぐと、中央にいた金へパスが通される。コースが空いたこともあってか、遠目からのミドルシュートが枠を捕らえるが、ボールは鹿島GKに抑えられてしまう。
 
 
44分、左から米山のパスを受けた阿部が縦に上がりながらクロスを狙うが、これは相手DFに当たってCKに。吉村が入れていったボールを中央で巻が頭で狙うが、ボールはDFにクリアされてしまう。そして、ここで前半が終了。
立ち上がりから鹿島の方が良い内容の試合を見せていたが、我らが守護神・楢崎が好セーブを連発して流れを変えると、ヨンセンのゴールを生んだ。後半もこのゴールを守ることなく、更に追加点を狙って、鹿島ゴールを脅かしていきたいところだ。
 
〜後半15分
右にエンドを変えた名古屋に対し、後半は左エンドの鹿島のボールから試合が再開する。
1分、左のスペースへのボールを拾った阿部が鋭いクロスを入れるが、中央に走り込んだヨンセンはこのボールには間に合わなかった。
2分、左から入れてきたボールに、ゴール前で鹿島・マルキーニョスが合わせに来るが、ここは金古が体をしっかりと寄せてプレイさせず。
 
4分、左からの鹿島のCK。野沢の右足からのボールを鹿島・大岩にヘディングシュートを決められ、同点とされてしまう。 【得点】
49分 大岩(鹿島)
 
7分、右からの鹿島のCK。野沢の入れたボールはニアでしっかりと弾き返す。  
9分、エリア内で右に抜けた鹿島・マルキーニョスのゴール前へのラストパスが楢崎の指先をすり抜けると、中央に走り込んだ鹿島・田代にシュートを決められ、鹿島に逆転を許してしまう。
11分、自陣深く左での鹿島のFK。野沢の蹴ったボールはヨンセンが頭で弾き出す。
【得点】
54分 田代(鹿島)
 
14分、中央でパスを受けた金が前を向こうとしたところで倒され、ゴール正面の好位置でFKを得る。
15分、このFKを米山が壁の下を狙って蹴っていったが、壁の背後で詰めていた選手に弾かれてしまう。
 
〜後半30分
17分、左サイドを抜け出す本山に合わせてスルーパスが通され、シュートを許してしまう。ポストに当たったボールはゴールネットを揺らしてしまい、鹿島に追加点を奪われてしまう。 【得点】
62分 本山(鹿島)
19分、右からのCKのチャンス。本田のボールを中央でヨンセンが頭で合わせてシュートを狙うが、ボールは僅かに高くバーの上へ。 【交代:63分・名】
金古本田
20分、右からの鹿島のCK。野沢のボールを中央で鹿島・田代にヘディングシュートを許し、4点目を鹿島に与えてしまう。 【得点】
65分 田代(鹿島)
 
22分、自陣中央ゴールほぼ正面での鹿島のFK。マルキーニョスの蹴ったボールがコースが変わってゴールへと向かってくるが、これは楢崎が落ち着いて抑える。
23分、大きくサイドを変えた阿部のボールを中村が中へ落とすと、ヨンセン・金とシュートを狙うが、鹿島DFに寄せられてしまう。最後、巻がルーズになったところを拾ってシュートにいったが、これも鹿島DFに跳ね返されてしまった。
 
 
25分、金が巻に当てて落ちたところを拾った阿部が大きくカット、ゴールを狙って入れてゆこうとしたが、ボールはクロスバーの上を抜けてしまう。
27分、中央をヨンセンのスルーパスに抜け出していった巻が、左足でシュートを打つが、これは上手くヒットせず、ボールは相手GKの正面へ。
29分、左で本田が金とのワンツーで縦に抜けてゆこうとするが、ボールが足下に収まらず、タッチを割ってしまう。
 
  【交代:75分・鹿】
大岩増田
〜試合終了
31分、本田のスルーパスに後ろから抜け出していった吉村がGKと1対1になるが、シュートを打つ前に、GKにボールを抑えられてしまう。  
33分、ゴール前でのルーズボールに中村がDFと交錯しながらも、ボールを押し込もうとしてエリア内で倒されるが、ファウルを取っては貰えず。
34分、自陣深くやや右ペナルティボックスのすぐ外で鹿島にFKを与えてしまう。野沢が直接狙って壁の外を巻いてくるが、ボールはポストの僅かに右に外れる。
【交代:77分・鹿】
マルキーニョス興梠
 
35分、阿部の縦パスを受けた本田が左足でパスをややマイナスに入れるが、これは相手DFに読まれてしまい、カットされる。  
37分、左から持ち込んでいった本田が右足からシュートを放つが、これは鹿島GKの正面。
38分、左で山口のボールをもらった阿部がゴール前へと早めのクロスを入れると、ヨンセンが頭を振ってこのボールを流し込んでゆこうとしたが、右に流れてしまいゴールを捕らえることは出来なかった。
【交代:81分・鹿】
本山船山
 
40分、左サイドのスペースへと出たパスを拾った本田がゴール前へと柔らかいパスを送るが、ニアに走り込んだ巻はボールに触れず、中央で待っていたヨンセンに届く前に鹿島GKにキャッチされてしまった。
42分、左で本田のパスを受けた須藤がゴール前へと入れるが、鹿島DFにクリアされ、右からのCKに。
43分、本田が入れていったボールは相手DFがカット、しかし、こぼれ球を拾った阿部のクロスは鹿島GKの下へ飛んでしまう。
44分、左からの鹿島のCK。野沢が短く出してくるが、ここは大森、中村が寄せて潰す。
【交代:84分・名】
須藤
 
ロスタイム1、DFの裏への長めのパスを拾おうと本田が左から飛び出すと、何とかボールに触るものの、GKに弾かれたボールが当たってしまい、相手ボールに。
そして、試合は先制しながらも、後半の立ち上がりの立て続けの失点でリズムを崩してしまった名古屋が鹿島に敗戦を喫してしまった。
最後まで声援をありがとうございました。