2007 Jリーグ ディビジョン1:第9節
 初夏を思わせる強い日差しも一段落し、午後3時30分現在、ポッカリと白い雲がそこかしこに浮かび、時折スタンドを涼しい風が吹き抜け、心地良い日となった、今日の、第9節:大分トリニータ戦。しかし、10分ほど前からアップを始めている選手達の表情は、今日の爽やかな天候とは裏腹に、どの選手も一様に固い。神戸戦できっちりと連敗を止め、勢いに乗って柏戦に臨んだはずだったが、結果は0-2と敗戦を喫し、またしてもチーム内に目覚め始めた自信の芽が縮んでしまいそうだ。
 そして、フェルフォーセン監督はこの嫌な流れが長引かないようにという事からか、大胆にメンバーを入れ替えて臨んできた今日の大分戦。不動と思われていた中村や山口を控えに回して、米山までも今日はベンチスタートだ。逆に、吉村、須藤を先発させ、チームの雰囲気をリフレッシュさせると言う手を打ってきた。
 柏戦では2失点したものの、片方はセットプレーから、もう1点は運が悪かったとも言える。それに対して、攻撃面に対して、監督は大きく不満が残った様子だ。そういう意味でも、メンバーを入れ替えて臨む今日の試合は大きな賭とも言えるかもしれない。ただ、これでしっかりと自分達のサッカーを見せて、勝利を収めることが出来れば、監督の采配がズバリ当たったと言える。対戦相手の大分は、ここ数試合、失点も多く、勝ち星からも遠ざかっているだけに、自信を取り戻す試合としてはうってつけだろう。前人未踏の、392試合出場に向け、残り1つとなった藤田を中心に、しかりとオーガナイズされたプレイで試合を制して欲しいところ。
 午後3時45分、日差しが柔らかくなったピッチの上で、入念に最後の調整をおこなった選手達は、力強い足取りで、サポーターで埋まるスタンドに大きく手を振りながら、ロッカーへと向かった。
〜前半15分
G.W.と言うこともあり、小さな子供も多く訪れ、明るい声が聞こえてくる今日の瑞穂陸上競技場。そしてサポーターが歌い上げる応援歌を背に、名古屋イレブンと共に、大分の選手が入場をし始めると、いつも以上に気迫のこもった声がスタンドから届けられる。
前半は、左エンドのグレーのユニフォームに身を包んだ大分に対し、名古屋は右から左へと攻め上がる。
今日の先発メンバーは、GK櫛野、DFは大森を真ん中に、右が竹内、左が増川の3バック。MFは右に藤田を配し、左は本田、中央下がり目に吉村、攻撃的な位置に、須藤と金が入り、FWはヨンセンと杉本という11人だ。試合は名古屋のキックオフで幕が切って落とされた。
 
 
1分、相手陣内右中程でのFKの場面。本田がセットしたボールを吉村が右足でゴール目掛けて蹴り入れたボールを増川が頭で落としたところに竹内が走り込むが、オフサイドを取られてしまう。
2分、相手陣内中程中寄りの好位置でFKを得る。今度は本田がセットしたボールを増川が強烈なボールを右足で蹴っていったが、クロスバーの上を抜けてしまう。
4分、大分の左からのCK。大分・根本のボールを大分・高松が中央で合わせようとするが、前に出た櫛野がパンチングで弾き出す。
 
 
5分、右からの大分のCK。大分・アスグストの直接狙いのボールが枠に向かって飛んでくるが、櫛野がしっかりと反応、両手で弾き出す。
7分、金が右からスペースに出たボールを持ち上がると、DFに潰されたところを上がってきた藤田が拾って一気に抜け出すと、深い位置でマイナスに折り返す。しかし、このボールには誰も走り込めず、大分の選手に大きくクリアされてしまった。
9分、中盤でのルーズボールを拾ったヨンセンがすかさず縦に送って金を走らせたが、一人守備に残っていた大分・深谷に間一髪のところでクリアされてしまった。
 
 
11分、櫛野の蹴ったボールが小さくなったところを大分・松橋(章)に拾われると、ワンツーから大分・アスグストが右に抜け出してきたが、これはオフサイド。
12分、左からのCKのチャンス。本田の蹴ったボールをペナルティ内で激しくポジション取りで争っていた選手が走り込もうとしたところで、ファウルを取られてしまう。
 
 
14分、須藤のスルーパスに抜けだした金だったが、相手DFのタックルにボールを見失ってしまう。  
〜前半30分
16分、相手のクロスボールを竹内がクリアして落ちたところを拾った藤田が、縦に長いボールでDFの裏へと杉本を走らせるが、これは戻ってきたDFが先にボールに体を入れてしまい、チャンスへと結びつけることは出来なかった。
ここまでは大分は、FWの高松へとボールを当ててゆこうと、早めに前にボールを入れてくるが、DF陣は慌てることなくこれに対処し、危なげなく試合が進んでいる。名古屋も金が良い飛び出しを何度か見せ、試合の流れは掴んでいると言えるだろう。
 
 
21分、藤田の右スペースへのロングボールに追い付いた杉本がすぐにクロスを入れてゆこうとしたが、これは体勢が整わず、逆サイドに大きく抜けてしまった。
23分、右に流れていた本田のゴール前へのボールをヨンセンが頭で落としたところへ、左から抜け出してきた増川がボールを正面で受けて左足からのシュートを狙うが、ボールは右に大きく流れてしまう。
 
 
26分、自陣左中程での大分のFK。大分・梅田のボールを大分・藤田が遠いサイドで折り返してくるが、これはオフサイドの判定。
27分、藤田が右サイドでタッチ際でパスを受けて前に抜け出そうとしたが、厳しい大分DFの当たりに倒されて、ボールを奪われてしまう。
【交代:24分・大】
松橋(章)松橋(優)
 
29分、自陣中程やや右の位置で大分にFKを与えてしまう。大分・根本が蹴ったボールは壁で弾くが、こぼれ球を大分・アウグストに蹴りこまれ、失点を許してしまう。 【得点】
25分 アウグスト(大分)
〜前半終了
31分、自陣でのカットしたボールを大分・高橋に奪われると、そのまま持ち上がって左に上がってきたフリーの大分・根本にパスを繋がれてしまう。しかし、これを直接シュートではなく再度折り返してきたことで、大分・高橋が反応できず、マイボールに。  
 
33分、自陣の増川から縦に良いボールが出ると、これを吉村が走り込んで持ち上がろうとするが、相手の厳しいファウルに倒されてしまう。
35分、右タッチ際で大分・高松が細かい切り返しで抜け出そうとしてくるが、ここは大森と増川がしっかりと寄せてミスを誘う。
36分、右に抜け出してきた藤田からの絶妙なパスを中央で待ち受けていたヨンセンが右足で直接狙うが、ボールをジャストミートできず、このチャンスを決めることが出来なかった。
 
 
39分、自陣深く左寄りの位置での大分のFK。これを根本が蹴ると見せて、大分・アスグストが蹴ってくるが、ボールは壁に入った選手がしっかりと弾く。
40分、左からの大分のCK。根本の入れてきたボールは増川が頭で大きく弾き出す。
41分、右タッチ際で相手選手との足下のボールを競り合って奪ったヨンセンが出したボールを藤田が前に持ち上がろうとするが、その前のヨンセンのプレイがファウルを取られてしまう。
 
 
43分、金が縦に長いボールを蹴り出して杉本を走らせようとするが、大分DFの戻りも早く、エリアへと持ち込もうとする前にカットされてしまう。
ロスタイム1、自陣でクリアしようとしたボールをことごとく大分の選手に拾われ、押し込まれそうになるが、殆どの選手がエリア内へと入って体を張った守備を見せ、ゴールを守る。
 
 
そして、最後は大分・アウグストの左足からのコントロールしたシュートがポストの左に流れたところで主審の笛が鳴り、前半の終了が告げられる。
またしてもセットプレーからの失点を許し、大分にリードを許してしまうが、それ以外のところでは良い形が出来はじめてきている。後半の早い時間帯にまずは同点として、試合を楽にしたいところだ。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、左から右に攻め上がる名古屋。後半は大分のボールから試合再開。フェルフォーセン監督は後半早速、メンバーを2人代え一気に入れ替えて勝負に出る。 【交代:59分・名】
竹内吉田
須藤阿部
1分、右から右から持ち上がる本田の縦パスに中央から藤田が抜け出すが、これはタイミング合わず、ボールに追いつけなかった。  
 
2分、右からのCKのチャンス。本田のボールを増川が上手く中に落とすが、ヨンセンがこれを押し込もうとする前にDFが大きくクリアしてしまった。
4分、右からのCKのチャンス。本田のボールを中央でヨンセンが頭で合わせるが、DFに体を寄せられていたため、コースを変えることが出来ず、ボールはポスト左へ。
 
 
6分、左でヨンセンが落としたボールを阿部が大きく縦に蹴り出すが、これは相手DFの正面へ。
7分、右で相手ボールを奪った藤田が持ち込むと、中へと丁寧に入れる。これを左で待っていた杉本がワントラップからシュートを狙うが、ボールは相手DFに当たって弾かれてしまう。
 
 
 
 
8分、左のスペースへと出たボールを持ち込んだ金が鋭いクロスをDFとGKの間に入れると、逆サイドから走り込んだヨンセンが右足でしっかりと押し込んで、見事な同点弾とする。 【得点】
53分 ヨンセン(名古屋)
9分、名古屋メンバー交代。ここまでずっと沈んでいたスタジアムの雰囲気が、同点、そして、100試合目となる記念すべき出場を飾った山口が交代で入ったことで一気に明るく、賑やかさを取り戻す。
11分、左から杉本がDFを引き連れながら強引な突破を見せ倒されたように見えたが、逆にファウルを取られてしまう。
【交代:54分・名】
増川山口
 
14分、ヨンセンの落としたボールが右のスペースへと出たところを金が拾って仕掛けようとしたが、大分・上本の厳しいプレイにボールを奪われてしまった。
15分、大分・松橋(優)が抜け出してくるが、果敢に飛び出した櫛野が体を張ってこれを阻止する。
 
〜後半30分
16分、右からの大分のCK。アウグストのボールは櫛野がしっかりとジャンプして抑える。
17分、自陣からのロングボールで右に抜け出した杉本が、相手DFをかわしてクロスボールを入れる。逆サイドに上がってきたヨンセンがこれに頭から入っていったが、ボールを枠に飛ばすことは出来なかった。
 
 
19分、左に上がる杉本の前にパスが通ると、これを拾って中央に上がってきたヨンセンへとボールを繋ぐ。ヨンセンが更にスペースへと送って杉本を前に走らせようとしたが、これは追い付くことが出来なかった。
21分、自陣中程ほぼ中央での大分のFK。根本が直接狙って蹴ってくるが、壁に当たる。再度これを拾った根本が左に送って、大分・松橋(優)送るが、ここは藤田がしっかりと寄せていってボールを奪う。
 
 
24分、中央で本田が入れたパスをヨンセンが落としたボールを再度受けて、今度はDFの裏へと蹴り入れたが、さすがにこれは誰も反応が出来なかった。
25分、浮き球を競り合って頭でスペースに山口が落としたところを拾った吉村が左に流れながら左足で強烈なミドルシュートを放つ。しかし、ボールはポストの僅かに左を抜けてしまう。
 
 
27分、吉村が落としたボールを中央で藤田が反応すると、ワンタッチで右のスペースへと長いパスを送り杉本を走らせる。しかし、これは追い付いて中へと上げるのが精一杯で、ゴールラインをボールが割ってしまった。
30分、阿部のクリアボールが小さくなったところを大分・高松に拾われ繋がれると、最後、中央のアウグストからのパスを左に走り込んだ根本にシュートを許してしまうが、ボールはクロスバーの上へと抜け、相手のミスに救われる。
 
〜試合終了
32分、相手DFの裏へと出たボールを杉本がワンタッチで外に送ると、これをヨンセンが追いかけるが、前に飛び出してきた大分GKが先にこのボールを抑えてしまう。  
33分、左でキープを見せた大分・根本にクロスを上げられると、中央に走り込んできた大分・松橋(優)にヘディングシュートを決められてしまい、再び大分にリードを許してしまう。 【得点】
78分 松橋(優)(大分)
 
35分、左からのCKのチャンス。本田のボールをヨンセン、吉田と飛び込むが合わせることは出来なかった。  
38分、右からヨンセンがゴール前で待っている杉本へとクロスを入れるが、厳しいDFに阻まれ、シュートを打たせては貰えなかった。
41分、左で阿部のパスを受けた山口が上がってゆこうとしたが、ついてきたマークにボールを触らせて貰えなかった。
【交代:82分・大】
高松森重
 
43分、金からのスルーパスに吉村が右から抜け出していったが、大分のDFに阻まれてしまい、触ることが出来なかった。
44分、右に上がる吉田からのゴール前へのクロスを中央で待っていたヨンセンが頭で合わせてシュートに行ったが、これはポストの右へ。
 
ロスタイム2、山口のエリア内へと入れたボールを金が上手く受けてシュートにゆこうとしたが、これは2人3人と囲まれしまい、倒されてしまう。 【交代:89分・大】
アウグスト西山
 
ロスタイム3、右深く相手陣内でのFKのチャンスを得る。本田がゴールに向かうボールを蹴ると、中央でヨンセンが飛び込むが、ボールに触れる前に大分GKに抑えられてしまう。そして、試合は大分に1点をリードを許したまま終了を迎える厳しい結果に。
連敗で元気がなかったはずの大分に先制を許しながらも、後半にヨンセンのゴールで追い付き良い流れを引き寄せながら、そこで畳みかけて追加点を奪えなかったことが最後まで響く形となった試合といえるだろう。
最後まで応援ありがとうございました。