横一列になってスタンドへと大きく手を振り終えた選手達はリラックスした表情から険しい表情へとスイッチを切り替えて、全員でボールを使ったメニューを始める。そして、控えの選手達と分かれると、気合いの入ったボール回しを行う。チーム最年長の藤田の、良く通る大きな声が響き渡り、ピッチ内で体を動かす選手達もこれを受けて、気持ちを徐々に徐々に高めるのが手に取るように分かる。 シリアでのU-22の試合を終えて、昨夜、日本に戻りチームにすぐさま合流した本田も疲れた様子もなく、元気一杯にボールを蹴っている。代表戦ではしっかりとゴールを決めて結果を出したこともあり、正に“乗っている”という言葉が彼にはピッタリのはず。前節の大宮戦で不在だった分を取り返す活躍を今日は見せて貰おう。 そして、今日は是非とも良いプレイを見せて欲しいのが米山だろう。指宿キャンプでテスト生として参加し、フェルフォーセン監督の目にしっかりと止まり、入団を果たすと、開幕戦でのスピラールの怪我の穴をしっかりと埋め、勝利に貢献する活躍を見せながらも、翌試合で足首を負傷するという不運に見舞われてしまい、ようやく今日の試合から改めて先発メンバーとしてチームに戻ってきた。ビルドアップからの切れ味鋭い、的確なボールをドンドン繰り出し、チームが勢いを取り戻すよう、そして、勝利へと向かって欲しい。