2007 Jリーグ ディビジョン1:第4節
 午後1時30分、スタンドに手が届く程、近接したピッチの上では、選手達がキックオフを間近に控え、気合いの入った表情を見せながらボール回しを繰り広げている。その一方で、スタンドでは両チームのサポーターが、これまた気合いの入った応援を競い合っており、試合への機運の高まりに花を添える。

 今日は、第4節:横浜FC戦。ここまで3連勝と好スタートを切った名古屋としては、この好調を続けてゆきたいとばかりに、気持ちが入っていることは当然と言えるだろう。この二週間、メンバーを代えて臨んだとは言え、ナビスコカップを連敗し悔し涙を流してきた選手達にとっては、今はどんな相手でも、気持ちを切り替える意味では絶対に負けたくないはずだ。
 ヨンセン・金・本田と共に代表でナビスコカップは出場せず、それが原因で連敗したとは思いたくはないだろうが、大きな要因ではあると言われても仕方が無いほどの選手であることは確か。逆に、今日は彼らがいることでリーグ戦に連勝した、という結果を出すために、強い気持ちを持って戦ってくれることだろう。

 1時45分、少し雲が強い太陽の日差しを遮り、心地よい風が吹き始めた三ツ沢の芝生の感触をしっかりと確かめた選手達は、アウェイスタンドに陣取り、すぐ目の前とも言える程の近い距離の名古屋のサポーターの顔を1人1人確かめるようにしながら、大きく手を振ってロッカーへと向かっていった。

〜前半15分
少し西に傾き始めた太陽が柔らかい光を運んできてくれる三ツ沢のピッチの中へ、両チームのイレブンが登場すると、両チームサポーターの声援のボルテージがグングン上がり始め、横浜FCサポータの腹の底に響くような野太い声と、名古屋サポーターの良く統制の取れた掛け声が綺麗なハーモニーとなって、まもなく切って落とされる試合開始を盛り上げる。両チームイレブンはスタンドへと大きく手を振ると、すぐにピッチへと散らばり、臨戦態勢へと入る。  
 
前半は右エンドの名古屋のキックオフでスタート。
今日の先発は、GK守護神・楢崎、DFは竹内・大森・増川の3バック。中盤は、藤田を中盤の底に、右は中村、左は本田、トップ下には山口と金、FWは戻ったばかりのヨンセンと杉本が2トップを組む、3-5-2の布陣だ。
 
 
1分、左深くの位置で、横浜・ジウマールがボールをキープしようとするが、ここは竹内が体を入れクリア。
2分、左からの横浜のCK。横浜・奥のボールは横浜・難波が頭で合わせるが前には飛ばず。
3分、ボールを左右に回しながら、中央にスペースを見つけた山口が走り出すが、藤田からのロングボールは相手GKの下へ。
 
 
4分、左の竹内の裏へのボールを受けた横浜・滝澤が切り返して、エリアの外から右足シュートを放ってくるが、これはバーの上へ。
5分、右に抜け出していった横浜・奥のクロスに中央から選手が飛び込んでくるが、恐れずに飛び出した楢崎がこのボールを交錯しながらも、しっかりとカットする。
6分、左で本田のパスに抜け出そうとした金だったが、厳しいファウルに止められてしまう。
 
 
7分、相手陣内左中程でのFK。本田が入れたボールを相手DFに体を預けながらヨンセンが入っていくが、ボールに触れる前に倒れてしまう。
10分、ここで先ほどの交錯で何処かを痛めた楢崎が担架に乗せられ、ピッチの外へ運び出されてしまい、名古屋は緊急事態を迎えてしまう。これまで再三に渡り、毎試合で神掛かったセーブを見せていただけに残念だ。
 
12分、左からエリア内へと入れたボールをヨンセンが落とすと、これを杉本が持ち込もうとしたが、ボールが流れたところをDFにカットされてしまう。
14分、左で金のヒールパスを受けた本田が右足からクロスを入れるが、これは中村に届かず。
自陣にほぼ全員が引いて、堅い守りを見せる横浜をなかなか切り崩せない名古屋だが、この時間帯は、当然のように名古屋がボールを支配する展開だ。
【交代:10分・名】
楢崎櫛野
 
〜前半30分
16分、右で落としたボールを中村が縦に大きく蹴って杉本を走らそうとしたが、これは追い付く前にボールがタッチの外へ。
17分、左からドリブルを仕掛けた横浜・ジウマールが正面へと流れてシュートコースを見つけようと入り込んでくるが、増川が上手いスライディングを見せて、左足でボールをカットする。
19分、大森の落としたボールを山口が拾って左に展開すると、これを受けた金がDFをかわしてクロスを入れるが、相手DFの足に当たって弾かれてしまう。
 
 
20分、左からのCKのチャンス。本田の入れたボールは中央に待っていたヨンセンの頭上を越えてしまう。
22分、増川の縦のスペースへのパスに、左に流れて受けた山口が中へと入れてゆこうとするが、横浜のDFにカットされてしまう。
24分、杉本の落としたボールを、本田がダイレクトで斜めにゴール前へとパスを送り込んむが、反応した金の足には届かず。
 
 
25分、増川の縦パスをゴール前で受けたヨンセンがワントラップで左に抜けると、左足でシュートを狙うが、これは枠を捕らえることが出来ず、ポストの左に。
26分、櫛野からのロングフィードをヨンセンが頭で落とすと、杉本が詰めるが、ボールはその前に相手GKが抑えてしまう。
28分、ヨンセンが自陣から右足のアウトで出したパスに走り込んだ杉本がそのまま持ち込むと、寄せてきたDFをかわして、ゴール左にシュートを打っていったが、ボールは僅かに左に流れ、ポストの外へ。
 
 
30分、右でこぼれ球を拾った中村のシュートはDFに当たってしまうが、更にこぼれ球を拾ってゴール前に入れる。これに走り込んだ本田がダイレクトでシュートを放つが、惜しくも相手GKの正面。  
〜前半終了
32分、中央で横浜・根占のスルーパスに横浜・難波が飛び出してくるが、これは完全にオフサイド。
35分、左から本田がワンタッチで寄せてきた相手DFの頭上を抜くパスを送ろうとしたが、相手の体に当たってしまい、抜け出してゆこうとした杉本へは届かず。
36分、左から横浜・滝澤が入り込んでこようとするが、竹内・中村がしっかりと挟み込んでこのボールを奪う。
 
 
37分、自陣からのロングボールに杉本がタイミング良く走り込むが、体を入れた横浜・和田にボールを頭で弾かれてしまう。
40分、左でヨンセンの縦パスを上手くDFをかわして縦に抜けだした本田がエリアの近くまで持ち込むが、詰めてきたDFをかわそうとしてボールをゴールラインの外へ出してしまう。
 
 
42分、左深くでボールを持った横浜・滝澤が竹内をかわしてクロスボールを入れようとするが、厳しいプレッシャーに無理矢理入れたボールは櫛野の正面。
43分、右で山口の縦に送ったボールに、DFと交錯しながら上手く抜け出した杉本だったが、その前のプレイでファウルを取られてしまう。
ロスタイム1、右で中央のヨンセンの落としたボールを受けた山口が、中へと入っていって左足からのシュートを狙うが、これはポストの左へ。
 
 
ロスタイム2、右で縦に入ったパスを上手く落とした杉本が、中のヨンセンに預けて縦に上がってゆこうとしたが、パスが逆に流れてしまい、相手に渡ってしまう。そして、ここで前半が終了。
圧倒的なボール支配率を誇りながらも、横浜の堅い守りにチャンスを潰され、なかなかゴールを奪えない名古屋。しかし、楢崎の怪我による途中交代以外は問題はない。このまま自分達のペースで試合を進めることが出来ればゴールのチャンスは必ず生まれるはず。後半に期待しよう。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、左から右へと攻め上がる名古屋。後半は横浜のボールで試合が再開する。
1分、中央でボールを持った山口が右のスペースへとパスを出すと、これを受けた杉本がゴールラインギリギリで切り返して、左足からのシュートを放つが相手GKに抑えられる。
2分、ゴール正面で金がヒールで流したパスを、藤田が左足で抑えの効いたシュートを打つが、これは相手GKが正面でパンチングで跳ね返してしまう。
3分、自陣中程ほぼ中央での横浜のFK。これを右に上がっていた横浜・小村に合わせて山口が入れてくるが、このボールは増川がカット。
 
 
4分、大森の戻したボールを櫛野が抑えようとしたところへ走り込んだ横浜・ジウマールにシュートを打たれそうになるが、身体ごと跳び込んだ櫛野がボールをしっかりと押さえつける。
6分、中央でボールを持ったヨンセンが自らも上がりながら、左から付いてくる本田にパスを送ってゴール前へと走り込む。しかし、本田からのクロスはゴールラインを割ってしまう。
 
 
9分、相手陣内右深くで山口のパスを受けた中村が左足でゴール前に放り込んでいったが、ボールは大きく抜けて左のポストを巻いてゴールラインを割ってしまう。
11分、右からのCKのチャンス。目の前でのこのチャンスに名古屋サポーターの応援に一層の力が入るが、本田の入れたボールはバーに嫌われてしまう。
12分、エリアすぐ外右寄りの位置でボールを持った金が右足で入れたボールを、エリア内にいた藤田がコースを変えてゴール左を狙ったが、惜しくもポストの僅かに左。
 
 
14分、自陣で大森が相手パスをカットすると、これを縦に送って本田が一気に持ち上がる。相手DFの戻る足に当たらないギリギリのところへと本田がパスを出して、上がってきたヨンセンに繋いでゆこうとするが、僅かに短く、スライディングしたDFの足にカットされてしまった。  
〜後半30分
17分、左からの横浜・滝澤のCKのボールがゴール前でこぼれたところを横浜・難波に押し込まれてしまい、横浜に失点を許してしまう。 【得点】
62分 難波(横浜)
 
 
19分、左でこぼれ球を拾った増川が入れた速い弾道のクロスを、ニアサイドにいた杉本が頭で合わせたシュート。これが見事横浜のゴールネットに突き刺さる同点弾となり、試合を振り出しに戻す。 【得点】
64分 杉本(名古屋)
 
 
 
21分、右で中村の出した縦パスを受けた杉本がゴール前へと入れると、中央に走り込んだヨンセンが相手DFを引き付けながら流したボールを、左に詰めていた山口が体勢を崩しながらもシュートを打ち、これが相手GKの逆を突き、しっかりと枠を捕らえ、名古屋が横浜を逆転する。 【得点】
66分 山口(名古屋)
25分、ここで横浜・高木監督は一気に2人を代えて、勝負をかけてくる。
27分、左でパスを受けた横浜・小野のクロスは、寄せた中村がカットする。
28分、左からの横浜・奥のCKのボールは浮いたところを櫛野が叩き出す。
【交代:70分・横】
山口
滝澤久保
 
29分、右のスペースに山口が出したボールを拾った杉本が右足で中へと折り返したが、これはDFがクリアしてしまう。右からのCKのチャンス。本田の蹴ったボールは遠いサイドの選手がクリアしてしまう。  
〜試合終了
31分、竹内の縦パスを受けた杉本が右足で斜めに、ゴール前へとパスを入れるが、これは中央を詰めていった金には届かず。
32分、ゴール前でボールを持った横浜・奥が中央に詰める横浜・久保へとパスを送るが、これは大きく流れたところを藤田がしっかりと詰めてカットする。
 
35分、右からドリブル仕掛けてきた横浜・アドリアーノがゴール前へと入れてくるが、ここは落ち着いて中央で弾き出す。この時間、金が負傷でピッチを離れ、1人少ない状況が続いている。 【交代:79分・横】
根占アドリアーノ
 
38分、中央でヨンセンのボールを奪った横浜・アドリアーノが長い距離を持ち上がってくるが、ヨンセンが戻ってこれを追いかけ、中村と共に左に追い込んでタッチの外へボールをクリアする。
39分、右に抜け出した杉本の折返しに中央に走り込んだ山口だったが、ボールは僅かに届かず、相手にカットされてしまう。
41分、右でボールを持った中村が右足で丁寧なボールを入れると、ゴール前に詰めていたヨンセンがヘディングシュートを打つが、これは僅かに高く、クロスバーを越えてしまう。
【交代:82分・名】
須藤
 
43分、相手陣内中程やや左の位置で玉田が倒されFKを得ると、本田がこれを直接狙って蹴るが、GKの前で弾んだボールを正面で止められてしまう。
ロスタイム1、ゴール前でボールを拾った横浜・難波に右足からのシュートを許すが、これは相手のミスに救われる。
ロスタイム2、中央の須藤からのパスを右で受けた中村が縦に抜けてゆこうとしたが、体を入れたDFに前を阻まれてしまう。
【交代:86分・名】
杉本玉田
 
ロスタイム3、右のスペースへと出たボールを相手DFをかわした玉田が持ち込むと、左足で角度のないところからシュートを狙うが、惜しくもこれは相手GKの正面。
ロスタイム4、ペナルティエリア内右で横浜・久保が中へと落としたボールに詰めた横浜・和田だったが右足で蹴ったボールは大きくクロスバーを越える。そして、ここで主審の右手が上がり、三ツ沢公園球技場に試合終了の笛が高らかに響き渡り、名古屋の4連勝が告げられる。
相手の堅い守りを崩しあぐねていたところでの先制で、試合が苦しくなるところだったが、杉本の起死回生の、見事なヘディングシュートがチームを救ったと言えよう。最後まで熱い声援をありがとうございました。