2007 Jリーグ ヤマザキナビスコカップ　予選リーグ　第2節
　午後1時30分、水曜の試合の借りを返そうと気合いがタップリ入ったアップを行っている選手達。芝生こそ前日からの雨で湿り気を帯びているが、ピッチコンディションは問題なさそうだ。

　アウェイ甲府戦で、キャプテンの守護神・楢崎、山口と共に2試合続けての先発の座を得た竹内も少し緊張しているのかと思われるほど力が入っている様子だ。初先発の新潟戦での勝利に気を良くして試合に臨んだものの、結果は悔しい逆転負け。ようやく得たポジションでこれからも続けてプレイするためにも、彼にとっては1試合1試合が勝負のはず。今日はこの間の借りを返す為にも、きっちりと勝ちにこだわったプレイを見せて欲しい。

　しかし、誰よりも気合いが入った動きを見せているのは杉本だろう。普段から疲れ知らずのプレイで、チームの攻撃の核となって働く彼にとっては、どんな試合でも、総てに出場して勝ちたい、と言う欲張りで勝ち気な性格が今日は彼のプレイの底上げをしてくれるはずだ。また、出場時間では圧倒的に彼より少ない玉田がきっちりと結果を出していることを考えれば、ヨンセン不在の今日は、彼にとって絶好のゴールを挙げるチャンスの日と言えるかもしれない。彼の大爆発が期待できるかも。
　1時45分、満を持した表情を見せる選手達は、納得の表情を見せながらピッチを後にしていった。
〜前半15分
早めに点灯された水銀灯の光線に水分をしっかりと含んだ芝生が緑を際だたせる中へ、両チームイレブンが足を踏み入れると、それまで名古屋サポーターの気迫に押されたのか、スタンドで大人しくしていた甲府のサポーターにも火がつき、瑞穂陸上のスタンドにいつもの賑やかさが戻ってくる。
新潟とのリーグ戦を考えると、スタンドには空席が目立ち少し寂しいが、こんな日こそ選手を応援しようと駆けつけるサポーターのパワーは彼らが90分間を戦うには、充分と言っても良いだろう。
右にエンドを取るアウェイ・甲府に対し、ホームの名古屋はいつも通り、左から右へと攻め上がる。前半は、ホーム・名古屋のキックオフで試合開始。
今日の先発は、GKは守護神・楢崎、DFは大森を中央に、右が竹内、左が増川の3バック。MFは中央下がり目に藤田、右は中村、左は甲府戦に続き片山、中は山口と須藤が受け持つ。FWはこれも甲府戦に続く2試合連続出場となる巻と杉本の2人という、11人で臨む。		  
 
 
1分、右深くで甲府・茂原のパスを読んだ竹内が縦にすかさず送ると、杉本がワンタッチでスペースへと叩くが、ここには誰も詰められず。
2分、左に抜け出していった片山がゴール前で待つ巻へとクロスを入れるが、厳しい相手の寄せに触らせて貰えず。
3分、楢崎の相手DFの裏へのロングボールに杉本が飛び出すが、これは相手DFの戻りが早く、GKへと渡されてしまう。		  
 
4分、右の甲府・鈴木がボールを持って前に抜けようとするが、ここは片山・須藤が厳しい寄せを見せてきっちりと抑える。
6分、須藤が左タッチ際で縦に送ると、これを受けた巻が左足で中を狙うが、DFの足に当たりCKへ。左からの中村のCKのボールは大きく逆に抜けてしまう。
8分、右タッチ際でボールを中村が奪うと、パスを受けた竹内が大きく前線に送り、これに須藤が走り出すが、エリアを飛び出したGKにクリアされてしまった。		  
 
10分、藤田が楢崎からのロングボールにDFの間を抜け出そうとするが、足下への厳しいタックルに倒されてしまう。最終ラインを上げて、中盤をコンパクトにして、得意の早いパス回しで攻め上がる甲府だが、ここまでは名古屋の選手も集中したプレイでパスをカットする場面が多く、落ち着いたプレイを見せている。
12分、右から抜け出してきた甲府・石原がクロスを上げてくるが、これは楢崎が正面で難なくキャッチする。		  
 
14分、ゴール右での奪い合いでこぼれたボールを甲府・井上が拾ってシュートを放ってくるが、これはゴールポストに当たって跳ね返る。  
〜前半30分
16分、上がってきた甲府・山本がゴール前へと速めのボールを入れてくるが、走り込んでくる選手が来る前に楢崎が先に抑える。
17分、相手DFの裏へのボールに杉本が飛び出すと、GKと1対1になるが、ワンタッチしたところでGKの弾かれ、体に当たったボールは大きくゴールラインを割ってしまう。
18分、中央でボールを持って出しどころを捜す甲府・林に対し、藤田、中村が厳しく寄せてボールを奪い、相手にチャンスを作らせず。		  
 
20分、左からのCKのチャンス。今度は片山が左足で入れると、上がっていた増川が飛び込むが、頭には届かず。
21分、左前線のスペースへ巻の出したボールを、杉本が甲府・増嶋と激しい競り合いを見せながら拾おうとするが、相手へのファウルを取られてしまう。
22分、ゴール前へのクロスに巻が飛び出したGKを怖がることなく頭で飛び込むが、これはキーパーチャージに。		  
 
23分、左からの片山がDFを1人かわして縦に仕掛けると、中を狙うが、マークの選手の足に当たってボールを弾かれてしまう。立ち上がりから厳しく前へと出てきていた甲府の選手も、この時間帯は少し大人しい。
26分、須藤の相手DFの頭越しを抜けるスルーパスに杉本が抜けてゆこうとしたが、ボールは戻る相手DFの足に弾かれてしまい、杉本の前には届かず。		  
 
28分、自陣右中程での甲府のFK。ゴール前へ入れてきたところで上がってきていた甲府・林が切り返して中へと入り込もうとしたが、これをしっかりと読んだ藤田がボールを奪う。  
〜前半終了
31分、スペースへのパスに杉本が上手く抜け出すと、相手エリア内へと侵入を試みるが、戻ってきたDFにクリアされシュートすることが出来なかった。
32分、左からのCK。片山が遠いサイドの巻を狙うが、DFの厳しいマークを受けていたため、前を向けず。
33分、自陣右寄り中程での甲府のFK。甲府・山本が大きく蹴ったボールを遠目に待っていた選手が折り返すが、中で増川が頭で弾き出す。		  
 
34分、自陣左深くの危険なところで甲府にFKを与える。甲府・石原がゴールに向かってくるボールを蹴り入れてくる。中央で反対へと弾き出したところを寄せた選手が拾うが、山口がしっかりと体を入れてボールを奪い返す。
37分、中央でこぼれ球に詰めた甲府・林がミドルシュートを放ってくると、これが楢崎の指先を指先を抜けるが、クロスバーに当たってシュートは大きく跳ね返る。		  
 
39分、右タッチ際で中村のパスを受けた藤田が、ダイレクトで縦に送って杉本を走らそうとしたが、パスを読まれて奪われてしまう。
41分、中央で相手パスを奪った中村が右に展開すると、寄せてきた相手選手と交錯しながらも、しっかりとボールを持って須藤が抜け出し、相手ゴール前に最高のパスを入れる。中央を走り込んできた杉本が右足でダイレクトシュートにいったが、ボールはクロスバーの僅か上を抜けてしまい、先制点を決める惜しいチャンスを逃してしまう。		  
 
43分、左のスペースへと出たボールをエリア内で受けた甲府・アルベルトに左足から楢崎の脇を抜くシュートを決められ、甲府に先制点を挙げられてしまう。直前の決定機を外した後だっただけに、この失点は選手達には悔しいところだ。
ロスタイム1、自陣左中程での甲府のFK。甲府・山本がバウンドするボールを入れてくるが、これは誰にも当たることなくポストの左へと抜ける。
ロスタイム2,中村の縦に送る頭からのボールに反応した杉本がエリア内へと向かうと、寄せてきたDFの頭越しに中へとパスを送って、詰めている巻を使おうとしたが、ボールは届かず。そして、ここで前半が終了。
立ち上がりこそ甲府のペースだったが、途中からは名古屋が自分達のリズムで試合を進めていただけに、先に甲府に点を奪われたのは少し残念だ。しかし、リズムはまだ名古屋のもの。後半もこのペースを続けて早く同点、そして逆転へと試合を持ってゆきたいところ。後半の奮起に期待したい。		 【得点】
43分　アルベルト（甲府）
〜後半15分
エンド入れ替わり、右から攻め上がる名古屋に対し、後半は左にエンドを替えた甲府のボールで試合が再開。
このままでは勝負を制することが出来ないと読んだフェルフォーセン監督は一気に2人を代え、4-3-3の布陣を試みてくる。		 【交代：45分・名】
片山阿部
巻玉田
1分、縦に当てたパスを杉本がスペースに落とすと、中村がこれを拾いにいくが、タイミングが合わず。
2分、阿部の当てたパスを左で受けた杉本が中へ落として、玉田に送ろうとしたが、これはDFがカット。		  
 
3分、玉田が右に送ったボールを受けた山口が縦に抜けだして中を狙うが、DFがカット、右からのCKに。
4分、中村の右からのCKのボールは遠いサイドの増川がDFと競り合うが、ファウルを取られてしまう。
5分、左で阿部の縦パスに須藤がDFを追い越して拾いにいくが、体を入れられゴールラインの外へと押し出されてしまう。		  
 
7分、中村の相手DFの裏へのボールはDFにカットされ、玉田には届かず。
8分、左に抜け出した須藤からのクロスボールは、中央に走り込んだ杉本へは届かず、頭上を抜けてしまう。		  
10分、左に上がる中村からのクロスを中央で玉田がヘディングシュートに行くが、前には飛ばせず。
13分、左でキープする杉本からのパスを阿部が大きく中央へと蹴り入れると、上がっていた山口が頭から飛び込むが、相手GKが一瞬先にボールを奪ってしまう。		 【交代：54分・甲】
田森保坂
〜後半30分
16分、自陣エリア周辺で中央でパスを繋ぐ甲府。最後、中央でパスを受けた甲府・アルベルトが痺れを切らしてシュートに来るが、精度を欠き大きくゴールの上へ。
17分、右から甲府・鈴木が中へ入れてこようとするが、ここは増川が頭でクリア。
18分、右からの甲府のCK。石原のボールは中央で楢崎が抑える。
20分、中央でボールを受けて中村が前を向こうとするが、甲府の選手3人に囲まれしまい、前にすら出させて貰えない。		  
 
21分、右からのCKのチャンス。中村が入れたボールを逆サイドの須藤が待ち構えるが、思った以上に風で伸びてしまい、頭上を抜けてしまう。
22分、藤田のパスを受けた阿部が杉本に預けて中へと入り込むと、中でパスを貰おうとしたが、タイミングが合わずボールは足下には届かなかった。
24分、楢崎からのフィードのボールをワンタッチでスペースへと落とした阿部が縦に送るが、自らが拾いにいくにはボールが長すぎてしまい、相手ボールに。		  
 
25分、右から抜けた甲府・林のボールに代わったばかりの、甲府・須藤が中央で頭から飛び込んでくるが、ボールはその先を抜け、竹内が縦にクリアする。
27分、甲府の左からのCK。甲府・茂原の入れたボールを逆サイドで拾った鈴木がエリアの外からシュートを放ってくる。しかし、ボールはゴールを越えて行く。		 【交代：69分・甲】
アルベルト須藤
 
28分、自陣から楢崎の蹴ったボールを杉本がDFをかわして縦に抜け出そうとするが、こぼれたところを大きく蹴り出されてしまう。 【交代：72分・名】
須藤津田
〜試合終了
31分、阿部のサイドを変えたボールを受けた津田が、中村とのパス交換から抜け出そうとするが、甲府の集中した守備の網の目に掛かってしまい、チャンスに出来ない。
32分、自陣からボールを持った玉田が長い距離を上がると、相手エリアの近くまで持ち上がるが、足下へのスライディングで倒され、チャンスへと繋ぐことが出来なかった。		  
 
34分、中央でパスを受けた藤田がすかさず縦に送って玉田を走らせようとするが、これは副審の旗が上がって、オフサイドを取られてしまう。
35分、自陣右深くでの甲府のFK。石原のゴールに向かってくるボールは楢崎が余裕を持ってパンチングで大きく弾き出す。
37分、右タッチ際で津田がパスを受けて前を向こうとするが、甲府の厳しいプレッシャーに遭い、潰されてしまう。
38分、右から個人技で甲府・茂原が入り込んでくると、マイナスにパスを送られてしまう。中央で1人フリーの選手がスルーしたところを大森が読んで、これをクリアする。		  
 
40分、右深くでの山口のスローインのボールを阿部が縦に大きく蹴り出して行こうとするが、甲府・須藤の厳しい寄せに阻まれてしまう。
43分、右で中村の落としたボールを竹内が縦に送ると、杉本が俊足を飛ばして拾いにいくが、付いてきたマークに邪魔され、プレイさせて貰えず。
ロスタイム1、左からの甲府のCK。甲府・茂原は短く出して、時間を稼いでくる。
ロスタイム2、右タッチ際に中村の出したロングパスを津田が追いかけて行くが、体を入れた甲府DFをかわしきれず、相手のボールに。		  
 
ロスタイム3、自陣でボールを甲府・須藤に奪われると、ゴール正面で甲府・茂原に送られてシュートを許すが、楢崎が好セーブでこれを弾き出す。しかし、試合は0-1で甲府リードの終了を迎えてしまう。
リーグ戦の好調が嘘のようにナビスコカップで結果が出ずに、甲府相手に2連敗と苦しい結果となってしまった名古屋。来週から再開するリーグ戦に向け、試合内容と共に、気持ちもしっかりと立て直して貰いたいところだ。
最後まで応援ありがとうございました。