2007 Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 予選リーグ 第1節
 リーグ戦のメンバーから大幅に入れ替えて臨む、今日の甲府とのナビスコカップ第1節。平均年齢では、26.27歳の甲府に対して、23.18歳と3歳以上も若いメンバーで挑む。しかし、選手達の間には気負いは全くと言っても見られない。逆に今日の試合で、自分達がここまで学んできたものを何処まで通用するのかを早く試したいとばかりに、生き生きとした表情でアップに臨んでいるほどだ。竹内・阿部と言った先輩と共に、初の先発のピッチに立つ吉田もいつもの穏やかな表情とは打って変わって、気合いの入った様子を見せながら体を動かしている。

 リーグ戦はここまで3戦を戦って3勝。しかも3試合連続完封勝利と、チームのコンディションは最高と言っても良いほど。しかし、怪我人が目立ち始めている中、この後どんなことが起こるかはまだ分からないだけに、こういったチャンスでしっかりとアピールをして貰いたい。
 そして、若手選手に混じって、いつも通り黙々とアップに集中しているのが山口だ。ゴール前は、キャプテン・楢崎がしっかりと守ってくれるはずだが、ピッチ内では彼と共に吉村の2人は重要な役割だということをしっかりと承知した上での気迫と考えて間違いないだろう。

 対戦する、ヴァンフォーレ甲府は、つい先日リーグ戦第2節を戦い、2-0と勝利を挙げた相手。今季は、チームの得点源の柱であったFWバレーを失い、3節を終えて3敗と苦しい状況。そのためにも、例えカップ戦の初戦とはいえ、今一番欲しいのは“勝利"という結果だろう。そういった意味で、今日は序盤から、得意の全員攻撃サッカーを仕掛けてくるはずだ。若い名古屋の選手達がその攻撃をどう凌ぐかが、今日の最大の見どころと言えるだろう。
 午後1時45分。若い選手達に大きな声援を送るアウェイサポーターのスタンドに向け大きく手を振って挨拶を交わした選手達は、1人また1人と納得した表情を見せてロッカーへと向かっていった。

〜前半15分
春の暖かい日差しがスタンドを気持ち良く包む、甲府・小瀬スポーツ公園。午後2時のキックオフに向け、両チームのメンバーが入場を始めると、それまで静かに試合開始を待ちわびていたサポーターの気持ちにスイッチが入ったようで、急速に熱気をおびていく。そして、ちびっ子を引き連れて入場を果たした選手達に大きな拍手が送られると、両イレブンも臨戦モードへと表情を変える。
前半、左エンドのホーム・甲府に対し、ホームカラーのユニフォームに身を包んだ名古屋のキックオフで試合がスタート。
今日の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは、竹内、吉田・阿部の3人。MFは、右に津田、左が片山、中は吉村を中央下がり目に、山口と須藤。FWは玉田と巻という11人で臨む。
 
 
 
1分、右にドリブルで仕掛けてきた甲府・杉山がエリア内へと入ったところでシュートを放つが、楢崎が落ち着いてボールを抑える。
2分、楢崎のロングボールに巻が走り込むが、エリアを飛び出した相手GKが、パンチングでクリアする。
3分、片山の縦パスを玉田が中へと狙うが、これはDFがカット、左CKに。
 
 
4分、左CKのチャンス。片山のボールは中央で弾かれるが、これを拾った須藤が1人かわしてDFの裏へと入れて、玉田がトラップをしたところでオフサイドに。
6分、自陣中程左寄りの位置での甲府のFK。甲府・藤田の入れたボールを中で受けようとするが、しっかりと体を寄せて前は向かせず。
7分、甲府・茂原がパスを受けて前を向くと。ゴール前へと放り込んでくるが、楢崎がしっかりとキャッチ。
9分、中央でパスをカットした須藤がすぐさま縦に送って玉田を走らせようとするが、これは戻りながらの相手DFにカットされてしまう。
 
 
11分、縦パスを巻が競り合いながらスペースへと落としたところで玉田が受けにいくが、体を入れたDFにボールをクリアされてしまう。
12分、右タッチ際でパスを受けた津田が、寄せた選手を上手くかわして左足で縦にボールを出すが、走り出した玉田には届かず。
 
 
 
 
13分、須藤のスルーパスに反応した玉田がタイミング良く、DFを振り切って抜け出すと、左足から飛び出してきたGKをあざ笑うかのような技ありのシュートを放って、これをしっかりとゴールに沈めて幸先の良い先制点を挙げる。 【得点】
13分 玉田(名古屋)
〜前半30分
16分、右の甲府・鈴木の中へと入れたボールに詰めてきた甲府・藤田の右足シュートは、ポストの左へ。
18分、右にポジションを変えていた玉田の縦に送ったボールをエリアの右で巻が受けるが、厳しい相手のDFに倒されてプレイさせて貰えず。
20分、相手陣内左深くでのスローインのボールを受けた巻が落としたボールを、須藤が縦に送るが、これは相手DFが先に反応、クリアしてしまう。
 
 
22分、中央でパスを受けた山口が右に上がる津田に送ると、これをダイレクトで中を狙うが、DFがカットしてしまい、CKに。
23分、左からのCKのチャンス。片山のゴール前へと入れたボールは中央で頭一つ高い甲府DFにクリアされてしまう。
 
25分、左からの甲府・林の折返しをゴール前で楢崎が弾き出すものの、中央に詰めた甲府・石原に右足からのシュートを許し、大きく弾んだボールがゴール前のDFを越えて、ゴールネットを揺らしてしまう。このゴールで勢いづいた甲府の選手達の出足が良くなり始めてくる。 【得点】
25分 石原(甲府)
 
27分、左のスペースへのボールを拾った片山が中を狙うが、DFの早い寄せに合い、タッチの外へ弾かれてしまう。
28分、左からのCKのチャンス。ゴール正面へのボールに巻がジャンプして合わせようとしたが、僅かにボールが高い。
29分、甲府・藤田の落としたボールを杉山が中へと入れようとするが、これは片山が体で弾く。
 
〜前半終了
31分、右からの甲府のCK。石原のボールを中央で甲府・秋本に頭でフリーで合わせられてしまい、甲府に逆転を許してしまう。
32分、左を駆け上がる甲府・茂原を倒してしまい、危険な位置でのFKを与えてしまう。この時間帯は完全に甲府が握っているだけに、ここは我慢のしどころだろう。
33分、甲府・藤田の左足からのFKのボールは中、央で競り合いでこぼれたところを楢崎が抑える。
【得点】
31分 秋本(名古屋)
 
35分、中央を吉村が持ち上がると、右足のアウトサイドで前を走る巻の背中越しにパスを送るが、ボールが長すぎてしまう。
36分、竹内のFKのボールを巻が頭で落としたところに玉田が走り込むが、コースにDFが入り込んでしまい、受けることは出来ず。
38分、中央で細かいパスを繋いだ甲府・林がすぐに左のスペースへとパスを送ってくるが、ここは竹内が良い判断を見せ、スペースをすぐに埋めてパスをカットする。
 
 
40分、自陣入ってすぐ左での甲府のFK。甲府・藤田のボールに甲府・増嶋が飛び込んでくるが、楢崎がボールを前へと弾く。
42分、ロングボールを巻と相手DFに加え、GKが交錯してこぼれると、無人の相手ゴールに向かって転がるが、ゴールラインを割る寸前で、DFに拾われてしまう。
44分、右に出たパスを受けた山口が左足で縦に送って玉田を使うが、相手DFがしっかりと体を寄せていたため、前を向かせては貰えず。
 
 
ロスタイム1、左タッチ際でパスを須藤・片山と繋いでチャンスを窺うが、早い寄せにパスをカットされてしまう。
先にゴールを奪って流れを掴んだ名古屋だったが、甲府の前へ前へと言う勢いに徐々に守勢に回され、前半で逆転されてしまう苦しい展開になってしまった。しかし、残り45分、まだまだ時間は残されている。しっかりと後半は気持ちを切り替えて試合に臨みたいところだ。
 
〜後半15分
前半の失点で落ち着きが無くなり、相手ペースで試合を進められてしまったが、終盤には自分達のペースを取り戻しただけに、後半の早い時間帯で同点として、早く試合の主導権を握りたいところだ。
後半は右にエンドを代えた甲府のボールで試合再開。
 
1分、左でパスを受けた阿部から片山へとパスを繋ごうとしたが、甲府DFの厳しい寄せに前を向く前に倒されてしまう。
2分、右で竹内のスペースへ出したボールを津田が受けようとするが、体を入れたDFに阻まれチャンスに繋げず。
【交代:45分・甲】
アルベルト須藤
 
4分、右からの甲府のCK。甲府・石原の左足からのボールは飛び出した楢崎がパンチングで弾き出す。
5分、中央でのこぼれ球を拾った甲府・杉山がDFの裏へ速いボールを蹴って、代わって入った甲府・須藤を使おうとするが、吉田がコースへ顔を出して頭でボールをクリアする。
6分、津田の入れたパスを巻がワンタッチでスペースへ落とすが、これは相手DFが足を伸ばしてクリア。
 
 
8分、左からパスを繋いで抜けてきた甲府・茂原を深い位置で倒してしまい、FKを与えると、これを甲府・藤田が右足でゴール前へと蹴り入れてくる。甲府・秋本、須藤と言った上背のある選手が飛び込んでくるが、楢崎が判断良くパンチングで跳ね返してす。
11分、山口の当てたボールを津田が落としたところに詰めた吉村がダイレクトで縦に長く蹴り出すが、これは誰も反応できず。
14分、右からドリブルで抜けてゆこうとした津田だったが、厳しい相手のマークに阻まれ、ファウルを犯してしまう。
 
〜後半30分
16分、ロングボールを競り合いながらも巻が頭で落とすが、寄せてきた玉田の後ろにボールが流れてしまう。
17分、右で津田が弾むボールを上手く処理して抜け出すと、右足でゴール前へと入れる。これをドンピシャリで頭で合わせた巻のヘディングシュートは相手GKの好セーブに阻まれてクロスバーの外へと弾き出されてしまい、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。
20分、左タッチ際を持ち上がる阿部からのパスを受けた片山だったが、厳しく寄せられて足下のボールを失ってしまう。
 
 
23分、左サイド深くでのルーズボールを甲府・茂原が味方に送ると、甲府・石原が抜け出して右足でのシュートを打ってくるが、これは精度が無く、ゴールラインの外へ。
24分、右からの甲府のCK。石原の左足からのボールを中央で楢崎が処理しようとしたところでファウルで倒され、マイボールに。
26分、阿部からのパスを中央で受けた玉田が反転して、縦に上がろうとしたがトラップが大きくなったところをカットされ、チャンスに繋げず。
 
 
27分、左から片山の縦パスに抜け出した津田がエリア内へと持ち込むと、付いてきたDFに倒されるが、この場面は相手のファウルは認められず。  
29分、左に上がる新川に向けて片山がパスを送るが、これは勢いが弱く、DFに奪われてしまう。 【交代:73分・名】
新川
〜試合終了
31分、左から長い距離を持ち上がっていった片山が、寄せてきたDFをかわしてゆこうとしたが、これはスライディングにカットされてしまう。
33分、左に抜けてきた甲府・藤田の折返しのボールは、戻って体を入れた須藤がカット。
34分、左から玉田のパスに抜け出した新川がそのまま持ち込むと、エリア内へと入ったところでシュートするが、これは相手DFに阻まれてしまい、同点弾を決めることは惜しくも出来なかった。
 
 
35分、中央の玉田が左のスペースへ送ったボールを片山が折り返そうとするが、これはDFにカットされCKに。片山がこれを蹴るが、中央で弾かれてしまう。
37分、自陣で奪ったボールを大きく左に蹴り出すと、新川がこれを貰って一気に抜け出そうとするが、マークに付いてきたDFに体をピッタリと寄せられ、シュートまでいく前にボールがゴールラインを割ってしまう。
 
 
38分、左からのCKのチャンス。吉村がこれを右足で蹴っていったが、ゴール前で頭でクリアされてしまう。  
 
39分、甲府のカウンター攻撃から、最後左でフリーでパスを受けた石原だったが、竹内がしっかりとコースを阻み、シュートミスを誘う。この時間帯は衰えを知らない甲府の選手の運動量が勢いを作り、甲府の攻撃が続いている。  
43分、相手陣内中程やや左の好位置でFKを得る。これを玉田が直接狙って蹴っていったが、ボールはジャンプした壁に当たってしまう。
44分、左からのCK。吉村がカーブの掛かった精度の高いボールを入れるが、GKにパンチングで弾かれてしまう。
ロスタイム1、左からのCKのチャンス。吉村がここでも蹴るが、今度は相手GKに正面でキャッチされてしまう。
【交代:87分・甲】
杉山田森
 
ロスタイム2、竹内が右からドリブルで持ち上がると、縦にパスを送って津田を走らせようとするが、これはパスコースを読まれてしまう。ここで試合終了。 【交代:89分・甲】
茂原井上
何とか終盤は、自分達のサッカーを見せて同点弾を挙げようと試合を進めた名古屋だったが、甲府の何とか勝ちたい、今季の初勝利が欲しい、と言う気迫の前に屈してしまった今日の試合だったと言えよう。この借りは、次回ホームでの戦いできっと取り戻してくれるはずだ。
最後で熱い声援をありがとうございました。