高円宮杯第17回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会 準々決勝
エンド入れ替わり、左から攻め上がってゆく名古屋のキックオフで試合が再開する。名古屋メンバー交代は無し。鹿島は一気に2人を入れ替えて、早い時間での勝負を仕掛けてくる。
後 半

名古屋は前半で奪った1点をしっかりと守りきったことで選手達には後半の立ち上がりから自信が溢れ、前半の時のように相手に押し込まれる場面よりも、かえってボールを持って相手陣内へと攻め上がることの方が目立つ展開に。前半は持ち前の攻め上がりの少なかった右の酒井やゴールこそ上げたものの、殆どの時間を守備に費やしていた花井が攻撃に顔を出すようになり、名古屋が鹿島を押し込んでゆくようになる。

3分、花井が酒井のパスを受けると、DFをかわして、右をオーバーラップしてゆく酒井に狙って鋭いパスを入れてゆくが、これは足下に上手く収まらなかった。8分、左サイドをスピードに載ったドリブルで持ち上がっていった新川からゴール前のクロスに中央でタイミング良く飛び込んでいった福島のヘディングシュートは、頭をかすって、前には飛ばず。

なかなか攻撃の糸口が作れない鹿島は、後半13分。選手をもう1人入れ代えて、最後の勝負に出てくる。15分、右サイドを持ち上がってきた、鹿島・佐伯(7)がゴール前へと鋭いクロスを入れると、逆サイドに走り込んできた鹿島・野林(9)がヘディングでゴールを脅かしてくるが、これはオフサイド。20分、左サイドでボールを持って勝負を仕掛けてきた鹿島・山本啓(5)がそのまま中へと流れながら、強烈なミドルシュートを放ってくる。しかし、ボールは僅かに左に流れ、ポストを掠めて外へ。

その後も、ペナルティエリア近くで執拗にパスを回しながら、名古屋の守備を崩しに掛かる鹿島だが、名古屋は前線に久保を残し、殆どの選手が自陣へと戻って、鹿島の攻撃に立ちはだかり、ゴールを死守してゆく。32分、鹿島・山本啓(5)のスルーパスに鹿島・山本祐(26)が抜け出してくるが、この日も再三に渡り好守を見せていた森本が体を厳しく寄せて、シュートを体勢を作らせず、ボールをGK長谷川に押さえる余裕を作る。
40分、41分と鹿島の立て続けのセットプレイの場面も、守備に入っている花井や吉田等が高い集中力を見せ、ボールをしっかりと跳ね返してゆく。

試合はロスタイム、第4の審判の掲げる表示は2分。鹿島は何とか追い付いて延長へと持ち込もうと、両サイドからロングボールをドンドンと放り込む、なりふり構わぬ攻撃を見せてくるが、最後まで気持ちの途切れることなく、選手全員が、正に一丸となって鹿島の攻撃をはね除けてゆく。そして、名古屋の若い戦士達はクラブ史上初となる、高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会・準決勝へと駒を進める大きな大きな勝利の時を、主審の右手とスタジアムに響くホイッスルの音を聞いて確信する。

次は10月7日(土)。サッカーの聖地・国立競技場での初芝橋本高校との準決勝の一戦。1次ラウンドで唯一、負けを喫した相手だけに、今度こそはしっかりと打ち負かして、10月9日(日・祝)最終戦の行われる埼玉スタジアムでの決勝戦へと駒を進めて欲しい。最後まで声援ありがとうございました。

<試合後、朴監督コメント>
Q:試合結果については?
A:今日は耐えて耐えていましたし、攻撃面では上手くできませんでしたが、それを勝てたのは、彼らが積み重ねてきた結果だと思います。鹿島は良い内容だったと思いますし、堅守で攻撃的でした。本当はもっとうちが攻撃的にいきたかったんですが(笑)。

Q:名古屋は久保選手を中心とした攻撃だったようですが?
A:ワントップの形はずっと2年間やってきました。本当は両ウイングの選手も同じようにターゲットになったり、ためを作りたかったんですが、相手の中盤のプレッシャーが速かったので、上手く作れなかったです。

Q:次の対戦相手は初芝橋本高校ですが?
A:1回当たってますし、大丈夫です。名古屋はこれまではベスト16までで、その先はまだですので、もっと上に行けるよう頑張りたいです。

Q:選手の成長については?
A:多くの選手は去年から出ているので、去年の大会の状況を踏まえて、どうやったら上手くいくのか、どうしたらパニクってしまうのか、を分かっていたので、今日はそれを考えながらプレイできていたと思います。

Q:後半途中から選手達の意識が変わったようですが?
A:確かに1-0でリードしているので当然でしたが、守り方は確かに消極的でした。もっとボールを奪いにゆく中で、しっかりと守れることを身に付けていれば、もっと良い場所で取れていたと思います。

Q:これからの目標は?
A:選手達は一番上しか見えていないと思いますので、国立はすごく嬉しいと思います。選手達はさらに先を見据えているので、今後の2試合をしっかりと戦える準備をしてゆきたいです。

<試合後、花井 聖選手コメント>
Q:ゴールについては?
A:久保君から良いボールが来たので決めるだけでした。あそこは狙ってました。

Q: 後半は引いていたようですが?
A:1点リードした時点で引きすぎるのは良くなかったんですが、相手が出てきていたので、引くしかなかったです。ただチャンスがあれば出てゆくようにしてました。もっと前に出たかったんですが。

Q: 初の準決勝入りですが?
A:正直嬉しいです。みんなで力を合わせて、優勝杯を持って帰れるよう、次の試合では良いパフォーマンスを見せてゆきたいです。

Q: 今日の勝利については?

A:自分のゴールで勝てたことは自信になります。