強い横風がスタンド全体を揺らすような勢いで吹き抜けているヤマハスタジアム。しかしそのお陰もあって、上空は見事に晴れ渡り、雲一つ無い青空が広がっている。我らが名古屋グランパスエイトは、午後3時からの、ジュビロ磐田とのサテライト戦に向け、念入りなウォーミングアップを開始している。普段であれば、どちらかと言えばのんびりとした雰囲気の中でスタートするサテライト戦だが、前日、トップチームがFC東京に敗戦したこともあり、いつもとは違う、緊張感の高い雰囲気の中でアップが続けられている。また、長らく怪我のため、戦線離脱していた玉田・吉村の2人が揃って先発メンバーに名を連ねており、彼らの復帰後、最初の試合と言うこともあり、彼ら2人の気合いが他の選手やサポーターにも影響与えていると言えるかもしれない。
序盤は、久し振りの試合と言うことで、ゲーム勘が戻り切っていないこともあって、中盤でボール捌き役の吉村に固さが見え、思うように名古屋はボールを前に運べず、豊田や玉田にボールを集めようとするが、相手の早い寄せもあり、なかなか前を向いてシュートを打つどころか、ドリブルすら簡単にさせてもらえない。逆に磐田は、シンプルにボールを持って前を向くと、強い追い風を生かし、積極的に名古屋のDFの裏へとボールを入れようとしてくるが、ベテラン秋田の落ち着いたプレイに、若い竹内・青山が刺激されるように集中力を高めてゆき、簡単にはボールを持たせることはない。
磐田は平均年齢が20.73才名古屋に比べ、茶野を除いて、ほぼ若手選手中心で臨んできたこともあり、試合は徐々に名古屋がペースを掴み始める。この日は両サイドに足の早い、左は渡邊・片山、右は阿部・津田と言った選手を揃えたことで、彼らのスピードに載った仕掛が徐々に磐田陣内深くへとボールを持ち込んでゆけるようになる。それでも、ゴール前に構える豊田へは簡単のボールを入れさせてはもらえず、こぼれ球を拾った玉田もまだまだかつての鋭い切れ味を見せることがず、勝負に行こうとしたところで相手の鋭い守備に捕まってしまい、シュートを打たせてはもらえない。
エンド入れ替わり、後半は左エンド風上の名古屋に対し、右エンドのホーム・磐田のボールから試合が再開する。名古屋メンバー交代:吉村→高橋。磐田も、平気年齢、20.06才という、更に若い控えの選手5人を一気に入れ替え、更にチームを若返らせて臨んでくる。
3分、右サイドの磐田・犬塚(2)が突破を図ると、ゴール前へと鋭いボールを入れてくるが、これは川島が前に出て正面で押さえてゆく。更に7分には、磐田・中村(6)にフリーでミドルシュートを許すと、これが枠を捕らえるが、前半同様ここでも川島が好セーブを披露して、チームを救う。 8分、左サイドを高橋からのパスを受けて上がった渡邊からのクロスがゴール正面に詰めていた豊田にタイミング良く入ると、これをヘディングシュートにゆくが、ボールはポストの左に流れ、枠を捕らえることは出来なかった。9分には、中央で玉田から出た絶妙のスルーパスに反応した豊田がドリブルからGKと1対1の場面になるが、シュートはGKに正面で止められ、これも決めることは出来なかった。
10分、今度は中央から右にドリブルで抜け出した津田がGKのポジションを見て、ゴール左奥に狙ってシュートを放つが、これはポストに当たって弾かれてしまった。後半、磐田がメンバーを大きく代えたこともあり、名古屋はポジションチェンジを盛んに繰り返しながら、相手のマークを外し、再三、良い形でチャンスを作ってゆくようになり、次第にゴールの匂いがし始める。18分、名古屋メンバー交代:玉田→井上。 そして21分。後半に入って果敢に勝負を仕掛けていた津田が、片山からの縦パスにタイミング良く左を抜け出すと、ゴールラインギリギリで折り返したボールを、中央に飛び込んだ豊田が右足で押し込み、ついに名古屋が先制点を挙げる。
32分、右から相手DFがカットしてこぼれたボールを井上が奪うと、そのまま中へと切れ込み、相手GKの位置をしっかりと確認し、左足から技ありのシュートをゴール左隅に決め、磐田を突き放す追加点を挙げる。36分、阿部のスルーパスに抜け出していった津田がシュートにゆこうとしたが、これは相手DFの厳しいマークに打たせてはもらえず、42分には、右サイドからのクロスボールに相手DFの間から頭から飛び込んでヘディングシュートを狙っていったが、これはポストの右に飛んでしまう。
名古屋メンバー交代:43分、片山→太田(ユース)、ロスタイム、津田→土屋(ユース)。何としても、自分でもゴールを奪いたいという気迫溢れるプレイを最後まで見せていた津田だったが、この日は残念ながらノーゴールに。しかし、この日の試合を通して、津田の積極的なプレイが名古屋の試合のテンポを作る中心だったことは間違いない。そして、サテライトリーグ・Dグループ・第12日「ジュビロ磐田戦」は、名古屋が、後半途中の豊田と井上による得点で2-0として、若い磐田を下す結果となった。