Jサテライトリーグ・Dグループ・第8日
名古屋グランパスエイト vs 横浜F・マリノス

朝夕はすっかり涼しくなり、秋の気配が強くなり始めてきたが、午後2時のキックオフを前に、日曜ということで、数多くのサポーターが詰めかけたこの日のトヨタスポーツセンター第1グラウンドは、厳しい日差しが容赦なく照りつけている。

いつものような練習試合用のユニフォームではなく、公式戦と同じウェアに着替えた両チームの選手がクラブハウスから現れると、大きな声援が送られる。そして、5分程遅れて、主審の右手が上がるとともに笛が鳴り渡り、キックオフが告げられる。

前 半
前半は、左エンドの横浜のボールからスタートする。この日の布陣は、GK川島、DFは中央に秋田、右に増川、左が有村という3バック、中盤は、右に竹内、左が渡邊、中に須藤・片山、トップ下に井上、FWは平林と花井(ユース)という11人、3-5-2の布陣で臨む。

横浜は立ち上がりから、FWハフナーマイクの高さを生かして、深い位置でボールを当てて落ちたところを、奥・山瀬が素早く両サイドに展開し、平野や田ノ上等が放り込んでくるという形で仕掛けてくるが、ベテラン・秋田が厳しい寄せでこれを跳ね返してゆき、きっちり相手のチャンスの目を潰してゆく。一方、名古屋も最終ラインから左右にパスを回しながら、相手のバランスが崩れたところで縦に鋭くボールを入れてゆこうとするが、井上・平林、若い花井といった選手等が引いて貰いに受けるところで厳し寄せを受け、簡単には前を向かせて貰えない。

それでも、片山・渡邊、井上等が左サイドを使って早いボール回しで相手の裏を突いた攻撃を仕掛けてゆくが、相手DFの早い寄せもあって、フィニッシュの精度を欠いてしまう。また、この日FWを務めた平林も、上背がそれほどないこともあり、良い形でボールを受けることができず、時間だけが経過してゆく。

横浜の徹底したハフナーマイクを使った攻撃に対し、これを跳ね返してゆく事に時間の殆どを使い、なかなか攻撃の形まで作ることが出来ない。それでも、この日は川島が絶好調で、何度も1対1の場面で、好セーブを連発、ことごとく相手のボールを弾き出していった。30分を過ぎた頃から厳しい暑さの中でのプレイのためか、両チーム共に全体的に運動量が落ちたこともあって、中盤にスペースが出来はじめると、中盤でルーズになり始めたセカンドボールを拾った選手が前を向いてシュートを打つ場面が目立ち始め、試合に動きが出てくる。

44分、右のスペースへ出たボールを拾った井上が切り返して左足からのクロスに中央で平林が詰めてゆくが、ボールはジャンプした僅か頭上を抜けてしまい、捕らえることは出来なかった。ロスタイムにも、井上からの右からのクロスに飛び込んだ平林が今度はタイミング良くヘディングシュートを狙ってゆくが、これはバランスを崩しボールはクロスバーの上へ。前半終了間際、左から抜け出してきた横浜・ハフナーマイクとの1対1の場面でも、川島がシュートをしっかりと止めてゴールを死守、サポーターを大いに沸かせたところで前半は終了に。
後 半

エンド入れ替わり、後半は上下赤のユニフォームに身を包んだ名古屋のボールで試合が再開する。

前半途中から大人しくなっていた横浜・平野が立ち上がりから果敢に攻め上がりを見せ、鋭いクロスをゴール前に放り込んでくるようになる。しかし、前半同様、ここでも秋田が粘り強い守備を見せて、ゴール前で待ちかまえる横浜・ハフナーマイクや、こぼれ球に勝負を仕掛けてくる、横浜・奥や横浜・後藤等に簡単にはプレイさせることはない。

前半はちょっと遠慮が見えたユース・花井が後半に入るとようやく持ち前の判断の良さを見せ始め、積極的に勝負を仕掛けるようになり、名古屋に試合の流れが徐々に傾き始める。8、9分と花井とのワンツーで平林がDFの裏へと鋭い抜け出しを見せるが、横浜DF陣もしっかりとマークについてくることに怠りはなく、簡単には枠を捕らえたシュート迄持ってゆかせてもらえない。

そして後半13分。後半に入って積極的に相手ゴール前へと仕掛けていた平林が、井上の当てたボールが縦に出たところを仕掛けると、DF1人、そしてGKとかわすと、最後左に流れながらも角度のないところからのシュートを無人のゴールへ流し込み、待望の先制点を挙げる。それまで、なかなか試合が盛り上がらないことで大人しかった名古屋のサポーターのボリュームが一気に上り詰め、スポーツセンターに明るさが戻り始める。

17分、横浜1人目メンバー交代:奥→狩野。この日の厳しい残暑には、選手達のスタミナの衰えは思った以上に早く、20分過ぎから足が止まる選手が増え、途中、ファウル等でプレイが止まると、盛んに水分を摂る選手が目立つようになる。27分、横浜2人目メンバー交代:平野→大島。横浜は何とか同点に追い付こうと、早めにメンバーを交代させて勝負に来るが、名古屋もホームでの意地を見せ、全員が集中を切らすことなく、川島の好セーブもあり、相手の攻撃を最後のところで跳ね返してゆく。

32分、名古屋1人目メンバー交代:花井→桐山(ユース)。38分、名古屋2人目メンバー交代:平林→阿部。交代した阿部は、定位置の左サイドではなく、平林の抜けたFWの位置へ入り、サポーターを驚かすが、須藤や竹内、片山からのロングボールにも横浜DFとの競り合いに負けないジャンプ力を見せて、試合の盛り上げに一役買ってくれる。

そして、最後まで横浜の攻撃を跳ね返し、平林の挙げた1点を守りきった名古屋がサテライト戦を前節に続き勝利で終えた。