朝夕はすっかり涼しくなり、秋の気配が強くなり始めてきたが、午後2時のキックオフを前に、日曜ということで、数多くのサポーターが詰めかけたこの日のトヨタスポーツセンター第1グラウンドは、厳しい日差しが容赦なく照りつけている。 いつものような練習試合用のユニフォームではなく、公式戦と同じウェアに着替えた両チームの選手がクラブハウスから現れると、大きな声援が送られる。そして、5分程遅れて、主審の右手が上がるとともに笛が鳴り渡り、キックオフが告げられる。
それでも、片山・渡邊、井上等が左サイドを使って早いボール回しで相手の裏を突いた攻撃を仕掛けてゆくが、相手DFの早い寄せもあって、フィニッシュの精度を欠いてしまう。また、この日FWを務めた平林も、上背がそれほどないこともあり、良い形でボールを受けることができず、時間だけが経過してゆく。 横浜の徹底したハフナーマイクを使った攻撃に対し、これを跳ね返してゆく事に時間の殆どを使い、なかなか攻撃の形まで作ることが出来ない。それでも、この日は川島が絶好調で、何度も1対1の場面で、好セーブを連発、ことごとく相手のボールを弾き出していった。30分を過ぎた頃から厳しい暑さの中でのプレイのためか、両チーム共に全体的に運動量が落ちたこともあって、中盤にスペースが出来はじめると、中盤でルーズになり始めたセカンドボールを拾った選手が前を向いてシュートを打つ場面が目立ち始め、試合に動きが出てくる。
エンド入れ替わり、後半は上下赤のユニフォームに身を包んだ名古屋のボールで試合が再開する。
前半途中から大人しくなっていた横浜・平野が立ち上がりから果敢に攻め上がりを見せ、鋭いクロスをゴール前に放り込んでくるようになる。しかし、前半同様、ここでも秋田が粘り強い守備を見せて、ゴール前で待ちかまえる横浜・ハフナーマイクや、こぼれ球に勝負を仕掛けてくる、横浜・奥や横浜・後藤等に簡単にはプレイさせることはない。
前半はちょっと遠慮が見えたユース・花井が後半に入るとようやく持ち前の判断の良さを見せ始め、積極的に勝負を仕掛けるようになり、名古屋に試合の流れが徐々に傾き始める。8、9分と花井とのワンツーで平林がDFの裏へと鋭い抜け出しを見せるが、横浜DF陣もしっかりとマークについてくることに怠りはなく、簡単には枠を捕らえたシュート迄持ってゆかせてもらえない。 そして後半13分。後半に入って積極的に相手ゴール前へと仕掛けていた平林が、井上の当てたボールが縦に出たところを仕掛けると、DF1人、そしてGKとかわすと、最後左に流れながらも角度のないところからのシュートを無人のゴールへ流し込み、待望の先制点を挙げる。それまで、なかなか試合が盛り上がらないことで大人しかった名古屋のサポーターのボリュームが一気に上り詰め、スポーツセンターに明るさが戻り始める。
17分、横浜1人目メンバー交代:奥→狩野。この日の厳しい残暑には、選手達のスタミナの衰えは思った以上に早く、20分過ぎから足が止まる選手が増え、途中、ファウル等でプレイが止まると、盛んに水分を摂る選手が目立つようになる。27分、横浜2人目メンバー交代:平野→大島。横浜は何とか同点に追い付こうと、早めにメンバーを交代させて勝負に来るが、名古屋もホームでの意地を見せ、全員が集中を切らすことなく、川島の好セーブもあり、相手の攻撃を最後のところで跳ね返してゆく。 32分、名古屋1人目メンバー交代:花井→桐山(ユース)。38分、名古屋2人目メンバー交代:平林→阿部。交代した阿部は、定位置の左サイドではなく、平林の抜けたFWの位置へ入り、サポーターを驚かすが、須藤や竹内、片山からのロングボールにも横浜DFとの競り合いに負けないジャンプ力を見せて、試合の盛り上げに一役買ってくれる。