前半は、右にエンドを取った名古屋に対し、左エンド・FC東京のボールでキックオフの笛が鳴る。先発メンバーは、GK守護神・長谷川、DFは、右から磯村・三宅・森本・酒井の4バック、MFは中央にキャプテン吉田、右に西山、左に福島、FWは久保を中心として、花井・新川という、準々決勝の鹿島戦と全く同じメンバー、4-3-3の布陣で挑んでゆく。これまで過去に対戦の無いFC東京との準決勝戦。トップチーム同様にしっかりと走る攻撃的なチームを、名古屋の固い守備がどこまで耐えきれるかが、勝利へのポイントといえるだろう。
しかし、選手達もまだ早い時間帯での失点と言うことで、気持ちを切り替え、その後はポジションチェンジを繰り返しながら、徐々に相手陣内へとボールを運び始めるようになる。33分には、右から持ち上がっていた新川が深い位置からゴール前へと早いクロスを入れると、これを相手GKが弾いて止めるものの、エリア内にこぼれてルーズになる。しかし、ここへは誰も寄せることが出来ず、FC東京DFがボールを持ち去ってしまった。ところが35分。中盤でのこぼれ球を、FC東京・山浦に右に持ち出されると、ゴール前で待っていたFC東京・山村の足下に低いクロスを入れられてしまい、これを反転から右足のシュートを許してしまう。そして、このボールがクロスバーを叩いてゴールラインを割り、2点目を挙げられてしまう。 先制を許しながらも、再び自分達の流れに変えようとしたところで、ゴールを奪われてしまったことが響いたのか、名古屋の選手達の動きが鈍くなってしまう。その後も、前半終了まで、FC東京は名古屋に流れを奪われまいと、攻撃の手を緩めることなく、攻め立ててくるが、今年で3年生、負ければシーズン終了となってしまう。キャプテンの吉田や長谷川が大きな声でメンバーを奮起させて、前半を0−2で終えてゆく。
21分、名古屋メンバー交代:磯村・三宅→津田・後藤。なかなか攻撃の手だてがない名古屋は、ここでDFにいた酒井を前に上げ、吉田をDFに下げて、3−5−2の布陣に変えてゆく。名古屋らしい、最終ラインからボールを回しながらビルドアップをして、吉田を中心にサイドを使って、攻め上がるという攻めの形が封じられていることもあり、前線に久保と酒井というターゲットを増やし、ロングボールを放り込む策に変えてきた朴監督。 24分、右で津田が奥村とのパス交換でタッチ沿いを抜け出そうとしたが、これはサイドの相手選手に当たってしまい、タッチを割ってしまう。25分、中央でボールを持った福島が左に上がる後藤にパスを送ると、これをゴール前へと放り込んでゆく。久保がタイミング良く頭から入ってゆくが、ボールは前に出た相手GKが奪ってしまう。28分、吉田からのロングボールを酒井が相手DFに競り勝って落ちたところを福島が拾って、持ち込んでゆこうとしたが、FC東京のDFの早い寄せにあい、倒されてボールを奪われてしまう。31分、左からのCKのチャンス。早いのゴール前を抜けるボールを押し込もうと森本が飛び込んでゆくが、コースを呼んだFC東京GKが片手で弾き出してしまう。
35分、右サイドでこぼれ球を拾った奥村がキープしたボールを寄せていった久保がもらって、エリア内へと攻め入ると、ゴール前に早いボールを蹴り入れて行き、中央に酒井が飛び込んでヘディングシュートを狙うが、このボールは惜しくもクロスバーの上へと消えてしまい、決定的なチャンスを逃してしまう。3点リードをして余裕の見えるFC東京は、この時間帯になるとあまり押し上がることもなくなり、名古屋の攻撃の裏を突くカウンター狙いに徹してくる。逆に名古屋は何とか一矢報いようと、盛んにロングボールを酒井・久保に集めてゆくが、こぼれ球は簡単に拾わせてもらえず、チャンスを作らせてもらえないまま、時間が刻々と過ぎてゆく。44分、右サイド深く持ち上がっていった津田からのパスを中央で受けた花井が相手の寄せる前に早い振りでシュートを打ってゆくが、これは相手GKの正面に飛んでしまう。 ロスタイム、花井のパスを相手ペナルティエリアの近くで酒井がスペースに落とすと、最終ラインから上がっていた吉田がこれを拾ってシュートにいこうとするが、厳しいマークに阻まれてしまう。そして、FC東京が右からのCKのボールを短く出して、時間稼ぎを狙ったボールをゴールキックとして、長谷川がボールをセットしたところで、主審の手が上がり、試合終了を告げる笛が、長居第2陸上競技場に鳴り響き、名古屋グランパスエイトU-18の選手達の今シーズンは終わりが告げられる。