Jユースサハラカップ2006 決勝トーナメント準決勝
青く広がる空の下、我らが名古屋グランパスエイトU-18の選手達は、ゆったりとしたペースでアップを行っている。長居第2陸上競技場のスタンド上はポカポカと暖かく、早くから訪れたス名古屋のサポーター達が選手1人1人に声援を送り始めている。いよいよ今日でJユースサハラカップ2006も準決勝を迎え、決勝へと上り詰める2チームの1つとなるべく、熱い戦いを見せて欲しい。

前半は、右にエンドを取った名古屋に対し、左エンド・FC東京のボールでキックオフの笛が鳴る。先発メンバーは、GK守護神・長谷川、DFは、右から磯村・三宅・森本・酒井の4バック、MFは中央にキャプテン吉田、右に西山、左に福島、FWは久保を中心として、花井・新川という、準々決勝の鹿島戦と全く同じメンバー、4-3-3の布陣で挑んでゆく。これまで過去に対戦の無いFC東京との準決勝戦。トップチーム同様にしっかりと走る攻撃的なチームを、名古屋の固い守備がどこまで耐えきれるかが、勝利へのポイントといえるだろう。

前 半
序盤は、予想通り、FC東京がFW・森村(6)のボールを集め、それに呼応する様に中盤の選手達が次々とボールを持って仕掛けてくる。前の、鹿島との試合では、良い攻め上がりを見せていた両サイドの酒井や磯村もこの日は相手のサイドからの攻め上がりをケアすることもあって、自陣でのプレイ時間が増えている。また、キャプテン・吉田もいつもならばボールを持ったら判断良く両サイドの縦のスペースにパスを送ったり、前線の久保にボールを当てて、スピードのある福島や新川を走らせるなどして、名古屋のテンポ作りの役を担うが、FC東京の前から厳しいプレッシャーにあい、前へとボールを運ぶことすらさせてもらえない。

12分、自陣からのロングボールを受けて前を向いた久保が、ドリブルを仕掛けようとしたところで倒され、相手陣内中程やや左の位置でのFKを得る。やや距離があるものの、花井が右足で直接狙って蹴ってゆくが、ボールは相手GKの正面。17分、今度はGK長谷川からのロングフィードを受けた久保が、相手陣内深くでFC東京DFの厳しいファウルに倒され、好位置でFKのチャンスを得る。ここで花井が長めのボールを入れてゆくと、逆サイドに走り込んだ森本がダイレクトで中へと折り返し、相手ゴール前のボールがこぼれて混戦になる。何とかこのボールを押し込もうとしたが、エリア内でのファウルを取られてしまい、惜しいチャンスを逃してしまう。
運動量に勝るFC東京は、徐々に細かなパスもしっかりと繋がるようになり、名古屋は自陣深く押し込まれる時間が長くなる。そして、相手の最終ラインが相当に高い位置まで押し上げられて、コンパクトになっていることもあり、久保や新川、花井という攻撃の選手等も、自陣での守備をすることが目立つように。そして、24分。ペナルティエリアの近くで短く、しかし的確にパスを繋がれると、ゴール前へと入ったボールをFC東京・森村が落としたところを、FC東京・井澤に左足からのシュートをゴール左に叩き込まれ、FC東京に先制点を許してしまう。押し込まれながらも、しっかりと守って、試合の流れを自分達の方へと引き寄せていこうという時間帯での失点となってしまった。

しかし、選手達もまだ早い時間帯での失点と言うことで、気持ちを切り替え、その後はポジションチェンジを繰り返しながら、徐々に相手陣内へとボールを運び始めるようになる。33分には、右から持ち上がっていた新川が深い位置からゴール前へと早いクロスを入れると、これを相手GKが弾いて止めるものの、エリア内にこぼれてルーズになる。しかし、ここへは誰も寄せることが出来ず、FC東京DFがボールを持ち去ってしまった。ところが35分。中盤でのこぼれ球を、FC東京・山浦に右に持ち出されると、ゴール前で待っていたFC東京・山村の足下に低いクロスを入れられてしまい、これを反転から右足のシュートを許してしまう。そして、このボールがクロスバーを叩いてゴールラインを割り、2点目を挙げられてしまう。

先制を許しながらも、再び自分達の流れに変えようとしたところで、ゴールを奪われてしまったことが響いたのか、名古屋の選手達の動きが鈍くなってしまう。その後も、前半終了まで、FC東京は名古屋に流れを奪われまいと、攻撃の手を緩めることなく、攻め立ててくるが、今年で3年生、負ければシーズン終了となってしまう。キャプテンの吉田や長谷川が大きな声でメンバーを奮起させて、前半を0−2で終えてゆく。

後 半
エンド入れ替わり、左にエンドを変えた名古屋のボールで試合が再開。名古屋メンバー交代:西山→奥村。2分、左でボールを受けて前を向いた花井が勝負を仕掛けてゆくと、ペナルティ近くのところで後ろからマークに来た選手に倒され、好位置でのFKをもぎ取ってゆく。壁の左を抜けるボールでゴール左ギリギリを狙っていこうと、花井が直接このFKを蹴っていったが、相手選手に当たってコースが代わり、ポストの左へ。4分、左からのCKのチャンス。花井の大きく蹴ったボール遠いサイドに走り込んだ森本が右足で中へと折り返してゆくが、その前にボールがゴールラインを割ってしまう。後半は立ち上がりから名古屋がFC東京陣内へと攻め立て、交代で入った奥村がテンポ良く、プレイを進めてゆくこともあって、試合の流れをしっかりと掴んでいる。

ところが、16分。ゴール前での早いパス回しでDF陣が振り回されると、FC東京・山村の落としたボールを、FC東京・森村に左足からのシュートを許してしまい、3点目を奪われてしまう。またしても、自分達の流れで試合を進めてゆこうとしたところでの失点は落胆が大きく、選手達の表情に硬さが増すばかりとなってしまう。

21分、名古屋メンバー交代:磯村・三宅→津田・後藤。なかなか攻撃の手だてがない名古屋は、ここでDFにいた酒井を前に上げ、吉田をDFに下げて、3−5−2の布陣に変えてゆく。名古屋らしい、最終ラインからボールを回しながらビルドアップをして、吉田を中心にサイドを使って、攻め上がるという攻めの形が封じられていることもあり、前線に久保と酒井というターゲットを増やし、ロングボールを放り込む策に変えてきた朴監督。

24分、右で津田が奥村とのパス交換でタッチ沿いを抜け出そうとしたが、これはサイドの相手選手に当たってしまい、タッチを割ってしまう。25分、中央でボールを持った福島が左に上がる後藤にパスを送ると、これをゴール前へと放り込んでゆく。久保がタイミング良く頭から入ってゆくが、ボールは前に出た相手GKが奪ってしまう。28分、吉田からのロングボールを酒井が相手DFに競り勝って落ちたところを福島が拾って、持ち込んでゆこうとしたが、FC東京のDFの早い寄せにあい、倒されてボールを奪われてしまう。31分、左からのCKのチャンス。早いのゴール前を抜けるボールを押し込もうと森本が飛び込んでゆくが、コースを呼んだFC東京GKが片手で弾き出してしまう。

35分、右サイドでこぼれ球を拾った奥村がキープしたボールを寄せていった久保がもらって、エリア内へと攻め入ると、ゴール前に早いボールを蹴り入れて行き、中央に酒井が飛び込んでヘディングシュートを狙うが、このボールは惜しくもクロスバーの上へと消えてしまい、決定的なチャンスを逃してしまう。3点リードをして余裕の見えるFC東京は、この時間帯になるとあまり押し上がることもなくなり、名古屋の攻撃の裏を突くカウンター狙いに徹してくる。逆に名古屋は何とか一矢報いようと、盛んにロングボールを酒井・久保に集めてゆくが、こぼれ球は簡単に拾わせてもらえず、チャンスを作らせてもらえないまま、時間が刻々と過ぎてゆく。44分、右サイド深く持ち上がっていった津田からのパスを中央で受けた花井が相手の寄せる前に早い振りでシュートを打ってゆくが、これは相手GKの正面に飛んでしまう。

ロスタイム、花井のパスを相手ペナルティエリアの近くで酒井がスペースに落とすと、最終ラインから上がっていた吉田がこれを拾ってシュートにいこうとするが、厳しいマークに阻まれてしまう。そして、FC東京が右からのCKのボールを短く出して、時間稼ぎを狙ったボールをゴールキックとして、長谷川がボールをセットしたところで、主審の手が上がり、試合終了を告げる笛が、長居第2陸上競技場に鳴り響き、名古屋グランパスエイトU-18の選手達の今シーズンは終わりが告げられる。

昨年はこの地で、神戸に準々決勝で破れて、涙を飲んだことを思えば、ベスト4まで勝ち上がったことは、新しい歴史だ。今年は高円宮杯でも決勝戦に駒を進め、準優勝を挙げるなど、過去の先発達に自慢できる成績をしっかりと残してきた。これで、卒業してゆく選手達は、新たな地でまたサッカーを続けてゆくはず。今年の自分達の残したものを胸にしっかりと秘め、今後の活躍を期待したい。また、1・2年生の選手達は、来年からは他のクラブから名古屋が注目される存在となるはず。今年以上に結果を出すためにも、新シーズンからトレーニングに頑張ってもらおう。サポーターの皆さん、最後まで熱い声援をありがとうございました。