前半は、左にエンドをとった名古屋。試合は鹿児島のボールからスタートする。名古屋の先発は、GKは体調不良の長谷川に代わってゴールマウスを守る鈴木、DFは右から磯村・三宅・森本・酒井による4バック、MFはキャプテン吉田を真ん中に、右に西山、左に福島、FWは久保を中心に、右に花井、左を新川が務める、4-3-3の布陣で臨んでゆく。
ところが、前半24分。立ち上がりから、ここまでアグレッシブなプレイを見せて、名古屋の試合のリズムを作る役を担っていた西山が負傷、奥村と交代を余儀なくされると、チーム内に落ち着きが無くなり、相手選手へのマークが中途半端となってしまう。そして、28分。左サイドから鹿児島・佐藤にフリーでの侵入を許すと、三宅をかわして放ったシュートが、GK鈴木の指先をすり抜けて、右のポストに当たってゴールネットを揺らしてしまい、先制点を奪われてしまう。このゴールで鹿児島が調子に乗って勢いのある攻撃を仕掛けてくるが、名古屋も意地を見せて、失点を忘れようと高い集中力を見せてゆく。
前半41分。今度は予選リーグも含め、森本とともに守備の要でもある三宅が、相手選手との接触プレイで怪我を負い、西部と交代してしまう。前半だけで2人の選手を失い、先制点を与えてしまうという苦しい状況となったが、高円宮杯での経験が活きたのか、選手達は、度重なるアクシデントをしっかりとこらえ、苦しい展開でも浮き足立つことなく、相手の攻撃を凌ぎながら、前半を1失点のみで終えてゆく。
久保の待望の先制弾で、それまで遠慮が見えていた名古屋の選手達の動きが俄然良くなり始め、ボールを持って前を向くと積極的に勝負を仕掛けてゆく。113分には、左サイドを切り裂いた新川のマイナスのクロスを、逆サイドから走り込んだ奥村がしっかりとボールを捕らえる追加点を挙げ、鹿児島を突き放してゆく。 前半は、相手の積極的な攻め上がりもあってか、守備に時間を割くことの多かった吉田も、逆転してからは、積極さを見せ始め、セットプレイ以外にも自ら持ち上がり始める。19分には、中央をドリブルで持ち上がり、相手DFの足下を抜いてゆく鋭いグラウンダーのボールで久保を使おうとしてゆくが、これは相手DFの素早い反応にあい、チャンスを作ることが出来なかった。
22分、中央をドリブルで持ち上がっていった花井が、相手DFが寄せて出来た右のスペースへと上がってきた久保にあわせてパスを出すと、相手GKのポジションを見て、ループシュートを狙うが、これは力が入ってしまったのか、クロスバーの上へと外してしまう。前半から互いに飛ばしてきたこともあり、後半途中から全体的に運動量が落ち始め、ボールが両陣営を行き来し、落ち着かない状況が続くようになる。後半26分、名古屋メンバー交代:磯村→津田。
前半こそ、先制したことや、怪我人が2人も出たことで落ち着きのないプレイを見せていた名古屋を押し込んでいた鹿児島だっただが、久保・奥村のゴールでしっかりと自分達のリズムを掴んでからは、試合の主導権を握り、最後まで危なげない試合運びを見せた名古屋が2-1で逃げ切り、きっちりと勝利を収めて、12月10日(日):大阪長居第2陸上競技場で行われる準々決勝へと駒を進めてゆく。