2006 Jリーグ ディビジョン1:第34節
 一時は、このまま寒い天気になるかと思われたが、午後1時15分過ぎからのアップを始める頃には、太陽が顔を出し始め、柔らかい日差しがピッチにあたる様になる。そして、午後2時からのキックオフに向けた最後の調整を選手達はスタートさせる。スタンドには今季でチームを去る秋田に暖かいメッセージが送られている。リーグ戦は今日で最後だが、次週の鹿島との天皇杯もあるだけに、今日の試合は、順位を上げてゆくことは勿論だが、最後までしっかりと自分達のサッカーをして次に繋げたいところだ。
 前節のホーム・福岡戦では、出場できなかったヨンセンが今日は戻ってきた。シーズン半ばからの加入とはいえ、10得点は頼もしい限りだ。最終戦も彼のゴールで締めくくって貰おう。そして、もう1人。自らのゴールだけでなく、ヨンセンのサポート役としても存在感を示している杉本も忘れてはいけない。J2落ちとなってしまう京都には申し訳ないが、ヨンセンと2人でゴールを挙げ、「勝利」という結果を出して欲しい。
 午後1時45分、日差しの戻ったピッチの上で、芝生の具合を確かめ、体をしっかりと試合モードへと切り替えた選手達は、冷たい風に体を晒すことを避ける様に、足早にピッチを立ち去っていった。
〜前半15分
少し力強い日差しが差し込む様になり始めた、西京極総合運動公園のピッチに、両イレブンが審判団に続いて入場すると、J1最後となる、名古屋との1戦を見届けようとスタジアムに訪れた京都サポーターが声を振り絞って声援を送り始める。逆に、それまで心なしか余裕の見えた名古屋のサポーターも、京都のサポーターに呼応する様に、負けじと声を張り上げ、スタジアムに熱気が沸き起こり始める。  
 
 
右にエンドを取る、ホームの京都に対し、上下白のアウェイユニフォームの名古屋は、左から右へと攻め上がってゆく。前半は京都のキックオフ。
名古屋は、GK守護神・楢崎、DFは右に大森、左は増川、中央はスピラールの3バック、MFは右に中村、左は渡邊、中央に藤田、少し前目に山口と金が並び、FWはヨンセンと杉本という、3-5-2の布陣だ。
1分、右からの京都のCK。京都・星のニアへのボールは簡単にクリアする。
2分、左から杉本が細かいドリブルで入り込んでくると、左に上がる渡邊にパスを送る。これをダイレクトで中へと折り返すが、ヨンセンが詰める前に相手DFがカットしてしまう。
 
 
4分、左のスペースへと出たボールを京都・星が中へと送り込んでくるが、渡邊が右から走り込んでくる京都・アンドレの前でボールをしっかりとカットする。
6分、右で中村の戻したボールを大森が大きく蹴り出すと、山口が追いかけるが、コースに入った京都DFが頭でGKに預けてしまう。
7分、右でこぼれ球を拾った大森がゴール前へと放り込むと、左に詰めてきた渡邊が頭で中へと落とそうとしたが、これはゴールラインを割ってしまう。
 
 
8分、自陣右中程での京都のFK。京都・パウリーニョが左足でニアを狙って蹴ってくると、何人かの選手が飛び込んでくるが、楢崎が体を張ってボールを抑える。
10分、増川からのロングボールを相手ゴールラインギリギリで拾った杉本だったが、中へと入れてゆくことは出来ず、ボールがラインを越えてしまう。
11分、左からのCKのチャンス。
 
 
 
 
12分、渡邊からのCKのボールを中央でスピラールが頭で合わせると、このボールがしっかりと相手ゴールを捕らえ、見事な先制点が決まる。
13分、中央の金が左のスペースへとボールを出すと、杉本が快足を飛ばして拾って、すぐにゴール前を狙って蹴り入れてゆくが、ボールはゴールラインを直接割ってしまう。
【得点】
12分 スピラール(名古屋)
〜前半30分
16分、京都・渡邉の左からのDFの裏へのボールに、星が中央から抜け出して右足で合わせようとするが、これは完全にオフサイド。
京都は立ち上がりから、右サイドを使って攻撃を仕掛けてくるが、名古屋がこれにしっかりと対応できたことと、スピラールのJリーグ初ゴールもあって、落ち着いて試合の主導権を握っている。
 
 
18分、中央で京都・石井がルーズボールを拾って縦に送ってくるが、ここは相手選手が走り込む前に楢崎が落ち着いて抑える。
21分、中央でこぼれ球を拾った山口がダイレクトで縦に送ったボールを、杉本がDFをかわして飛び出すが、これはオフサイドになってしまう。
23分、右からの京都のCK。パウリーニョのゴールに向かってくるボールは、中央でヨンセンが頭で弾き出す。
 
 
24分、中央で藤田がボールを持つと、縦に鋭く蹴り出して山口を走らそうとするが、これは相手DFの後ろからのマークにあい、ボールを奪われてしまう。
26分、中央でパスを受けた京都・アンドレが右のスペースへ走り込む選手を狙ってパスを出してくるが、ここは戻っていた渡邊がインターセプトする。
28分、左の縦へと出たロングボールに渡邊が追い付くと、ダイレクトでゴール前へ送ってゆく。このボールに右からヨンセンがフリーで飛び込むが、右足で触れたボールを前に飛ばすことは出来ず、追加点は奪えなかった。
 
〜前半終了
31分、ヨンセンがDFと競り合ってこぼれたボールをDFの裏へ放り込むと、杉本がタイミング良く飛び出し、GKと1対1に。しかし、右足で振り抜いたシュートは相手GKの正面に。
33分、左から京都・児玉がゴール前を狙って蹴り入れてくるが、これは中央で増川がしっかりと弾き出す。
34分、相手ゴール正面、エリアのすぐ外でボールを拾って前を向いた山口が右足を振り抜いてシュートを放つが、慌てたのかボールはクロスバーを大きく越えてしまう。
 
 
35分、相手陣内深くで厳しいプレッシャーを見せた金がボールを奪うと、これに藤田が反応、すかさずエリア内へと持ち込んでゆこうとするが、その前に金がファウルを取られてしまう。
37分、左からの京都のCK。星の右足からのボールは中央でヨンセンが競り勝って頭で弾き出す。
 
 
39分、相手陣内中央、ゴールほぼ正面でのFK。増川が強烈なボールを蹴っていったが、これは壁に当たって弾かれてしまう。
42分、右でボールを持った中村が中へと入り込みながら、左足からのシュートを狙ってゆくが、このシュートはDFに当たって弾かれてしまう。
44分、自陣でのこぼれ球を京都・パウリーニョが拾うと、遠目から左足を振り抜いて、シュートを狙ってくるが、ボールは楢崎の指先をかすめ、ポスト右に外れる。
 
 
ロスタイム1、自陣深く、ペナルティアークすぐ近くのところで、京都・パウリーニョを倒してしまい、危険な位置でのFKを与えてしまう。しかし、パウリーニョの左足からのボールは壁になった選手がコースを変えて、クロスバーの上へと弾き出す。
そして、前半はスピラールの挙げたゴールを守って、1-0で試合を折り返す。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、右から攻め上がる名古屋のボールで後半がスタート。
1分、右に上がってくる京都・大久保の前にパスが出てくるが、渡邊が体を入れてこれには触れさせず。
2分、ヨンセンの落としたボールを渡邊が縦に大きく蹴り出してゆくが、これを狙っていた杉本には届かず。
3分、左のスペースへとボールを渡邊が運ぶと、ゴール前に走り込むヨンセンめがけてクロスを入れるが、飛び出した京都GKにボールを抑えられてしまう。
 
 
4分、左からのCKのチャンス。ニアへ速いボールを渡邊が蹴ると、杉本が頭でコースを変えるが、遠いサイドに詰めていた増川の頭上を越えてしまう。
6分、左に上がっていた増川がゴール正面へと入れると、相手DFと体を合わせていたヨンセンが右足でスペースへとボールを落としていこうとしたが、ボールが流れゴールラインを割ってしまう。
 
 
9分、自陣中程ゴールほぼ正面での京都のFK。パウリーニョが速いボールを直接狙って蹴ってくるが、楢崎がきっちりとこれに反応し、ポストの右に弾き出してゴールを守る。
10分、藤田がドリブルで左を上がると、左に上がる渡邊に合わせてスルーパスを出してゆくが、これは旗が上がってオフサイドに。
 
 
12分、右から入り込んできた星のボールを中央で京都・中山にシュートを打たれるが、これはクロスバーの上へ抜ける。  
14分、相手陣内中程やや左寄りの位置でのFK。中村が直接狙って蹴っていったが、これはGKの正面に飛んでしまう。 【交代:58分・京】
加藤
〜後半30分
16分、右からのCKのチャンス。中村の入れていったボールは弾き出されてしまう。
17分、右に上がってゆく中村が中央へと走り込む山口に合わせたボールを入れてゆくが、僅かに山口の足には届かず。
19分、左からヨンセンがドリブルで上がってゆくが、ここは厳しいプレッシャーにボールを奪われてしまう。
 
 
21分、自陣中程右寄りの位置での京都のFK。パウリーニョの蹴ったボールは壁が弾く。
24分、京都・加藤が右から上がってきて、中を狙ってくるが、渡邊と山口の2人がかりでこのボールを止める。
【交代:65分・京】
児玉美尾
 
27分、右のやや下がり目の位置でボールを受けた玉田が、その位置からミドルシュートを狙う。しかし、ボールは相手GKの正面に。
28分、中村からの縦パスを、DFを背負いながらエリア内へと入り込んだヨンセンが右足からシュートを打ってゆくが、これは相手GKに正面で止められてしまう。
【交代:70分・京】
中山
【交代:71分・名】
杉本玉田
〜試合終了
31分、右から持ち込んでいった中村が、コースを阻むDFを切り返して外すと、左足でシュートを狙ったが、コースに入ったGKにボールをゴールの外へ弾き出されてしまい、追加点を決めることは出来なかった。
33分、右に抜け出してきた、京都・斉藤のクロスは、逆サイドへと抜ける。
 
 
34分、大森が中村の位置に上がり、右のストッパーの位置に秋田が入る。
35分、相手DFを左タッチ際でかわし、玉田が縦にドリブルを仕掛けようとするが、後ろからのファウルに潰されてしまう。
37分、中央の藤田から出たスルーパスを左で受けた玉田がコースに入ってきたDFをかわして右足でシュートを狙うが、これはGKに弾かれ、決めることが出来なかった。
【交代:79分・名】
中村秋田
 
39分、左に抜け出した渡邊からのクロスに中央で頭で飛び込んだヨンセンだったが、ヘディングシュートをクロスバーの上へ外してしまう。
40分、京都・大久保が2枚目のイエローで退場になる。
 
42分、金からの左スペースへのボールを拾ったヨンセンがゴール前へ低いボールを入れると、ニアへ走り込んだ玉田がワンタッチでゴール右へと流し込もうとしたが、ボールに勢いが無く、ポストの右に流れてしまう。
ロスタイム1、右のスペースへと出たボールを山口がキープすると、これを加藤が狙ってくるが、最後まで粘り強くこれを抑え、相手のファウルを誘う。
【交代:86分・名】
渡邊吉村
 
ロスタイム2、右からドリブルで玉田が持ち込んでゆくと、DFを1人かわして、左足からシュートにゆくが、これはGKに止められてしまう。
ロスタイム3、ヨンセンがドリブルで上がってゆくと、相手DFをあざ笑うかの様に右のスペースにラストパスを送る。これを受けた玉田がGKと1対1になるが、右足で狙ったシュートをゴール右に外してしまう。
結局、1人少ない京都相手に終盤攻め立てて、何本かチャンスを得るものの、最下位の京都相手に追加点を奪うことは出来ず、前半に奪ったゴールを最後まで守りきった形で試合終了を迎える。
リーグ最終戦を飾るには少々不満の残る試合内容だったが、最後まで相手にゴールを奪われることなく、逃げ切って完封で勝利を得たことは、次に繋げる結果だったとしたい。
最後まで熱い声援をありがとうございました。