第86回天皇杯・4回戦
 春を思わせるほど、暖かく強い日差しが瑞穂のピッチにメインスタンドの影を落としている。午後1時から天皇杯4回戦:ベガルタ仙台戦を戦う選手達は、12時25分、名古屋サポータの詰めるホーム側の自由席スタンドへと大きく手を振った後、ピッチ内へと向かうと、早速、最後の調整をスタートさせる。
 本来であれば、今日先発予定だった絶好調を維持していた杉本が体調不良で出場することが出来ず、急遽、先発となった津田。ここ最近は後半途中、それも試合の流れを見ながらの投入で慣れてきただけに、今日は久し振りの先発ということで気合い充分な雰囲気でアップを行っている。先日には、ユースの来年昇格のメンバーも発表され、先輩格として今後の存在感を高めるためにも、今日の先発のチャンスをしっかりと生かして欲しいところだ。
 前節、復帰早々にして見事な突破からのPKよるゴールを決めた玉田。監督も語っていたようにこれまでで一番フィットしてきているというコンディションを今日も見せて、もう一人のスピードスター・杉本の不在の分を補って余りあるスピードで、仙台DF陣をキリキリ舞にして欲しい。
 もう1人、目下絶好調とも言える選手が山口だ。シーズン当初は右サイドを務めることも多かったが、オランダキャンプ以降、中盤でそれもやや前気味でプレイをするようになってからは、彼の思い切りの良い飛び出しが生きるようになり、攻撃に何度も顔を出すようになって、チームの攻撃のテンポ作りに大きな役割を果たしている。前節も、千葉の1人退場は彼の動きを止めきれなくなっての事だった。直接ではないといえ、勝利の影のアシストを果たしたと言っても言い過ぎではないだろう。しっかりと彼らしいプレイを今日も見せて勝利に貢献して欲しい。
 12時45分、約20分入念に体を動かした選手達は、汗を滴り落としながらピッチを後にしていった。
〜前半15分
いつもと雰囲気の違う、のんびりとした雰囲気が続く中に、ようやくフェアプレイフラッグと共に、審判団、そして両チームイレブンが入場してくる。するとそれまで静かだった、スタンドが火がついたように賑やかになり、両チームサポーターによる応援が繰り広げられるようになる。
左エンドの仙台に対し、名古屋は右にエンドを取り、左へと攻め上がってゆく前半。試合はホーム・名古屋のキックオフからスタート。
今日の先発は、GK守護神・楢崎、DFは右に大森、左に増川、中央はスピラールという3バック。MFは右に津田、左が本田、中央に藤田と山口が並び、トップ下に中村、FWはヨンセンと玉田の、3-5-2の布陣だ。
 
 
2分、仙台の左中程でのFK。仙台・チアゴのゴール前へのボールを、仙台・磯崎がダイレクトで狙ってくるが、ポストの左へ。
3分、中央に入ったボールをヨンセンが頭で相手ゴール前へ送ってゆくが、これはGKが抑えてしまう。
4分、左のスペースへのボールを中村が拾うと、右に上がってくる山口にパスを渡す。寄せてきたDFをかわして狙ったシュートはDFに弾かれてしまう。
 
 
5分、右からのCK。玉田のゴールに向かって曲がってゆくボールはGKがパンチングで弾き出してしまう。
6分、右からのCKのチャンス。玉田の左足からのボールをニアで津田が競り合うが、これはDFに体を寄せられ、大きく浮いてしまう。
7分、左スペースへのスピラールからのロングパスを本田がダイレクトで入れてゆくと、ニアで玉田が飛び込むが、これはDFが体を入れカットしてしまう。
8分、左からのCK。玉田のニアへのボールを中村が頭で流し込んでゆくが、ボールはポストの右に。
 
 
9分、相手陣内中程中央でヨンセンが倒され、好位置でのFKを得る。ここでセットしたボールを本田・中村・増川が囲んでゆくが、最後は本田が直接狙って蹴ったボールを壁に弾かれてしまう。ここまでは名古屋が良い流れ・テンポで試合を運んでいる。できれば早いうちに先制点を奪って試合を有利にしてゆきたいところ。
12分、左の仙台・チアゴのクロスを右から飛び込んできた仙台・中田がダイレクトで狙ってきたが、シュートは楢崎の正面。
14分、ヨンセンのパスに右から抜け出した玉田がエリア深くで、得意の左足ではなく、右足からのシュートを角度のないところから狙っていったが、枠は捕らえられない。
 
〜前半30分
16分、左で藤田がワンタッチで大きく縦に蹴りだして、津田を走らせてゆこうと狙うが、ボールが長すぎてしまう。
18分、相手陣内左中程でのFK。藤田が早いリスタートから縦に出すと、本田がこれに感じて走り出し、ダイレクトで中へ蹴り入れたが、ニアサイドの選手に頭で弾かれてしまう。
 
 
21分、中央で中村が津田とのワンツーを仕掛けるが、津田がDFに後ろから押さえ込まれ、パスを繋げなかった。
22分、左のスペースへ出たボールを津田が拾ってマイナスに折り返すと、藤田が左足でダイレクトにシュートにゆくが、これはGKの正面に飛んでしまう。
23分、仙台・富田からのDFの間を抜くスルーパスに仙台・大柴が抜け出してくるが、文句なしのオフサイド。
 
 
24分、中央でパスを受けたヨンセンがトラップから右に上がってくる津田に鋭くはたいてゆくが、ワンタッチしたボールはタッチラインを割ってしまう。
27分、スピラールが相手ボールをカットしてそのまま中央を持ち上がると、前線の中村へと送ってゆくが、このボールはDFにコースを読まれ、カットされてしまう。
 
 
28分、藤田が中央で右に抜け出そうとした山口に合わせてロングボールを蹴り出して行くが、これは長すぎてしまう。
29分、左タッチ際で上がっていたスピラールのヒールパスを受けた本田がそれをゴール前へと入れてゆくが、中央のヨンセンには届かず。
 
〜前半終了
31分、中央で相手パスをカットした山口のこぼれを仙台・ロペスに拾われ、右に展開してくる。パスを受けた仙台・チアゴのシュートは楢崎が抑える。  
 
 
 
32分、右で縦パスに抜け出した津田からの折返しを中央で合わせたヨンセンのシュートが見事相手ゴールネットを揺らし、名古屋に待望の先制点が決まる。
35分、津田からのパスを受けた中村が右足で戻したボールを、寄せた藤田がダイレクトで相手DFの頭越しにパスを入れようとしたが、これは相手のDFの頭に跳ね返されてしまう。
【得点】
32分 ヨンセン(名古屋)
 
36分、左のスペースへのロングボールを拾った仙台・チアゴが左足でゴール前を狙って蹴り入れてくるが、これは楢崎の守備範囲内。
この時間帯は仙台が早く追い付こうとボールを繋ぎながら、時間を掛けて名古屋の守備を崩しに掛かるが、安定したプレイを続けており、落ち着いてこれに対応している。しかし、これに付き合うように名古屋のプレイのテンポが落ち着いてしまう。
 
 
43分、右から津田が抜け出して、相手エリア内へと入り込むと、マイナスに折返しを出して、中央に待つヨンセン、寄せてきた玉田と繋ごうとしたが、戻った仙台のDFに弾かれてしまう。
ロスタイム1、右で仙台・大柴がフリーでパスを受けると、飛び込んだ増川をかわしてシュートを放ってくるが、しっかりと楢崎がこれに反応、シュートを止める。
そして、前半はヨンセンの挙げたゴールによる1点を守って、1-0で仙台をリードして終える。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、後半は左エンドのホーム・名古屋に対し、右エンドの仙台のキックオフで試合が再開。
2分、大森の縦パスを受けた中村が縦に走りながら右足から中を狙うが、寄せてきたDFに弾き返されてしまう。
3分、仙台陣内右深くでのFKのチャンス。中村が右足からゴール前へとヨンセンに合わせて蹴り入れるが、これはDFがカットしてしまう。こぼれ球を正面で拾った津田のミドルシュートはクロスバーの上へ。
 
 
6分、中盤でのルーズボールを拾った仙台の選手が前を向こうとするが、中村が厳しいプレッシャーをかけ続けて、相手のチャンスを潰す。
7分、右でのフリーでボールを受けた山口が左足からゴール前へと入れてゆくが、これはDFにクリアされてしまう。
 
 
8分、右からのCK。玉田のボールはニアで跳ね返されてしまう。左からのCK。玉田のニアの選手の上を越えるボールはゴール正面で相手GKにパンチングで弾き出されてしまう。
10分、右でパスを受けた玉田のこぼれ球をスピラールが持ち上がると、右からゴール前へとクロスボールを入れてゆく。中央でヨンセンがDFを背負いながらヘディングシュートを狙ってゆくが、ボールはクロスバーの僅かに上へ。
 
 
12分、左タッチ沿いに本田の出したロングボールを津田がスピードを飛ばして拾いにゆくが、体を入れてきたDFと競り合い、ボールが先にゴールラインを割ってしまう。
14分、中央でヨンセンが競り合って落としたボールを玉田が拾って、相手DFの足下を抜くパスを出そうとしたが、倒れながら相手DFが伸ばした足に弾かれてしまう。
 
〜後半30分
16分、中央に走り込んだ玉田の足下に良い形でヨンセンのパスが入ったところでファウルで倒され、ペナルアーク内ほぼラインギリギリ相手ゴール正面の絶好の位置でのFKを得る。
17分、このFKを玉田が自ら左足でゴール右隅を狙って蹴っていったが、僅かに右に流れ、枠を捕らえることは出来なかった。
 
 
20分、右で津田からのパスを持ち上がった中村がゴール前を狙って入れたクロスボールは、ゴールラインを直接割ってしまう。
21分、相手ゴール正面ややや左の中程でパスを受けた増川が強烈な左足からのシュートを放ってゆくと、相手GKが正面で止めたボールがゴール前にこぼれるが、これには誰も詰めることが出来ず。
 
23分、右から抜け出した選手からの折返しを受けた仙台・中田がゴール前へと流れながらシュートを狙ってきたが、ボールがコントロールされず、大きくポストの左に流れる。 【交代:66分・仙】
大柴中島
 
26分、自陣中程やや右での仙台のFK。チアゴが左から抜け出してくる仙台・ロペスに合わせて蹴り入れてくるが、ヘディングシュートを合わせたタイミングはオフサイド。
29分、右に流れていた山口へのパスをダイレクトで入れていったが、これはDFに簡単に弾き返されてしまう。
【交代:70分・名】
津田吉村
〜試合終了
30分、中央へ左からドリブルで入り込んできた藤田のシュートはポスト右。
32分、ヨンセンが縦に入ったボールをDFに押さえ込まれながらも右にはたくと、山口が拾いにゆくが、ボールが先にタッチを割ってしまう。
34分、仙台・チアゴのスペースへのパスを受けようと、仙台・磯崎が上がってくるが、中村がしっかりと体を入れてこれを抑え、ボールをゴールラインの外へと見送る。
 
 
36分、相手ゴール前右でボールを持った中村が左足でシュートを狙うが、これはGKに弾かれてしまう。更にこぼれ球が正面に詰める玉田の足下に収まりかけるが、相手DFの体を張った守備にあい、シュート体勢にゆく前に蹴り出されてしまう。
38分、左でフリーでパスを受けた仙台・磯崎からのスルーパスを中央から抜け出した仙台・ボルジェスに拾われると、楢崎との1対1に。しかし、これはオフサイドとなり救われる。
 
 
40分、自陣右中程での仙台のFK。仙台・チアゴが直接狙ってくるが、ボールに抑えが効かず、クロスバーを大きく越える。
42分、吉村からの左の玉田を狙ったロングボールは相手DFに胸でカットされてしまう。
 
 
43分、相手陣内左でのFK。本田が短く玉田に出してゆくが、足下への厳しいDFでボールはタッチを割ってしまう。  
 
ロスタイム1、相手陣内右深くでドリブルを仕掛けようとした玉田が倒され、好位置でのFKを得る。しかし、ここは攻め急がず短く中村が繋いでゆく。そして、試合は1点を守って逃げ切った名古屋が辛くもJ2仙台に勝利する結果に終わる。
内容的には欲求不満気味の内容ではあるが、天皇杯の緒戦と言うことでは、しっかりと勝って次ぎに繋げたことの意義は大きいはずだ。
最後まで熱い声援をありがとうございました。