2006 Jリーグ ディビジョン1:第29節
 1時25分、GK以外は千葉の選手はまだ誰も現れていない豊田スタジアムのピッチに名古屋の選手達が走って入ってくると、スタジアムに名古屋のサポーターの声援が響き渡り始める。最高気温24度と、10月下旬とは思えないほどの日となった、今日のこの地方だが、今はスタンドの屋根の影が徐々に芝生に大きな影を広げ始めている。
 久し振り、杉本と共に先発に玉田が入り、名古屋自慢のスピードコンビが顔を揃えた、今日の千葉戦。前節の甲府戦でも途中出場ながら、チームの雰囲気を変えるなど、コンディションにはもはや問題なしと言っても良いだろう。FC東京・清水・甲府と、スッキリした勝ちがない名古屋にとっては、今日の彼の活躍が、調子を取り戻す一番の特効薬と言えるかもしれない。
 古賀に代わって、今日の先発を務めるDF増川も久し振りの登場だ。チームが安定している時にはなかなかメンバーを代えてこないフェルフォーセン監督の考えもあって、練習でも良いプレイを見せながらも、ずっとベンチを温めてきていた彼だけに、今日のこのチャンスをしっかりと生かし、チームの勝利に貢献して、千葉の攻撃を阻止して欲しい。
 先日の、U-21中国戦でも、その存在感を知らしめ、もはやこの世代の代表の顔にまで上り詰めた本田も、試合前から気合い充分だ。なかなか彼らしい攻撃に顔を出す場面が少ないが、彼の左足から繰り出される、切れ味鋭いボールやFKで千葉の守備陣を恐怖に陥れて欲しいものだ。
 午後1時45分、3分の1ほど、名古屋サポーターの上を覆うスタジアムの屋根にこだまする大きな声に見送られながら、ピッチでの最後の調整を終えた選手達はロッカーへと向かっていった。
〜前半15分
午後1時55分、ゆっくりとした足取りでフェアプレイフラッグが入場してくるタイミングに合わせて、名古屋サポーターによる応援歌がスタジアムを包んでゆく。そして、審判団を先頭に、両チームイレブンが登場、サポーターの声援が一際大きくなり、スタジアムが緊張に包まれてゆく。右にエンドを取る千葉に対し、名古屋は左から右へと攻め上がってゆく。
先発は、GK守護神・楢崎、DFは大森・スピラール・増川の3人、MFは右に中村、左に本田、中は藤田と山口が並ぶ、そして、FWは中央にヨンセン、右に杉本、左に玉田が控える、3-4-3の布陣だ。
前半は、アウェイ・千葉のキックオフで試合スタート。
 
 
 
1分、山口の縦へのボールに杉本が走り出すが、ボールへ寄せた千葉・水本がタッチの外へクリア。
3分、右に抜け出した千葉・水野のクロスボールは中でスピラールが縦へと、頭で弾き出す。
5分、中央で縦に入ったパスを受けた玉田が前を向こうとするが、厳しい寄せにボールを前へと運ぶことが出来なかった。
6分、相手陣内中程やや右でのFKのチャンス。これを本田が無回転を狙って蹴っていったが、ボールは大きくゴールの上を越えてしまう。
 
 
7分、千葉の早い展開から、右の水野からのボールにゴール前で千葉・巻が飛び込んできたが、ヘディングシュートはポストの左に。
8分、千葉の左からのCK。千葉・ハースのゴール前へのボールに、千葉・斎藤が頭で合わせてくるが、クロスバーの上へ。
10分、ゴール前への佐藤のボールを巻がシュートを狙ってくるが、これは中村が体を入れて弾いてゆく。
 
 
11分、本田が千葉・羽生にボールを奪われ、ピンチになるが、切り返して狙ってきたボールはスピラールが弾く。千葉の早い攻守の切り替えに名古屋も対抗して、カウンターからの攻め上がりを見せ、試合は両陣営を速いテンポで行き来しているこの時間帯。
14分、左サイドを切り裂いて玉田がドリブルを見せると、相手陣内深く切れ込んで、マイナスにボールを入れてゆくが、ここは千葉DFに跳ね返されてしまう。
 
〜前半30分
16分、左にポジションを代えていた羽生がDFの裏へと浮き球を狙って入れてくるが、これはスピラールが頭で簡単にカットする。
18分、右で縦パスをワンタッチで玉田が落とすと、これをヨンセンが左スペースへと大きく蹴り出して行く。杉本がスピードを飛ばしてこれを拾って中をへと勝負を仕掛けるが、寄せてきたDFの足に掛かり、抜け出そうとしたところでファウルを取られてしまう。
 
19分、ゴール前へと入ったボールに千葉・羽生が飛び出すと、ワントラップから右足のシュートをゴール左に決め、千葉に先制を許してしまう、苦しい立ち上がりとなってしまう。 【得点】
19分 羽生(千葉)
 
21分、藤田が縦に入ったパスをワンタッチで前に送っていったが、これはヨンセンへと届く前に千葉DFにカットされてしまう。
22分、右で中村が切り返してDFをかわすと、右足でクロスを入れてゆくが、これは逆サイドから飛び込む本田の頭上を抜けてしまう。
 
 
24分、中央をスピラールが持ち上がると、そのまま左の本田に預けて前線へと上がってゆく。しかし、本田が中へ入れようと狙っていたところで千葉DFにボールを奪われてしまう。
25分、相手陣内中程やや右でのFKのチャンス。本田のボールがDFに当たって大きく弾むと、ゴールを捕らえそうになるが、GKに弾き出されてしまう。
 
 
26分、左からのCKのチャンス。玉田がこれを蹴り入れていくが、DFに弾かれてしまう。
28分、右から中村がヨンセンの落としたボールを放り込んでゆくが、左に上がってきた本田に届く前にDFがカットしてしまう。
 
〜前半終了
30分、千葉・ストヤノフが前線に上がってくると、左からスピラールをかわそうとしてエリア内で倒れ込むが、これは主審もしっかりと見ており、ファウルを与えることなく流す。前半ずっと速いペースで進んでいた試合も、ここへ来てちょっと落ち着きが見え始め、互いに相手の様子を見ながら、自陣でパスを回す場面が増えるようになる。
36分、ゴール前へのパスを千葉・山岸がワンタッチで落としたところに巻が詰めてくるが、これはDFが体をしっかりと寄せて、クリア。
 
 
38分、左で相手パスをカットして抜け出した玉田が深くでマイナスに入れてゆこうとしたが、DFにこれを読まれ、カットされてしまう。
40分、左から千葉・ハースが勝負を仕掛けてくるが、エリア内へと入り込んで大森を抜こうとしたボールを右足で体勢を崩しながらも、しっかりとカット。
41分、相手陣内中程やや右位置で、DFがハンドを犯したため、FKを得る。
 
 
42分、これを本田が長いボールを蹴ると、左からスピラールが猛然と飛び込んでくるが、すぐ目の前をボールが抜けてしまい、触れることが出来なかった。
44分、増川からの縦のボールを杉本が受けて、そのまま持ち上がってゆくと、相手陣内深くで左足からのクロスを狙っていったが、ボールが上手く足に掛からず、相手GKの正面に飛んでしまう。
 
 
ロスタイム1、左からの千葉のCK。ハースの入れたボールを相手選手が触るものの、これは枠を捕らえることなく、大きく外へと飛んでいったところで主審の笛が前半終了を告げる。
一瞬の隙を突かれて、先制を許してしまったが、その後はしっかりとボールを繋ぎながら、自分達のサッカーが出来ている名古屋。ともかく後半の早い時間帯で同点として、試合を振り出しに戻して、追加点を狙いにゆきたいところ。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、後半は右エンドの名古屋のキックオフで試合が始まる。
1分、左サイドを上がった本田からのクロスが中央のDFを抜け、待っていたヨンセンがヘディングシュートを狙っていったが、惜しくもこれはGKの正面。ここで千葉・ストヤノフが山口へのファウルで退場、千葉は10人となり、名古屋に大きなアドバンテージが転がり込んでくる。
2分、相手陣内深く左でのFKを中村が蹴っていったが、右足からのボールは上手く引っかからず、クロスバーの上を抜けてしまう。
3分、中央からドリブルを仕掛けていった玉田がエリア内で倒され、PKを得る。
【交代:48分・千】
ハース中島
 
 
 
4分、このPKを自ら蹴りにゆくと、ゴール左へ気合いのこもった力強いボールを名古屋サポーターの目の前で蹴り入れ、見事、同点とする。
6分、左を本田に当てたボールを受けた増川が上がってゆくと、左足でゴール前へと入れてゆくが、中央に走り込んだヨンセンには届かず。
7分、右サイドをスペースに出たボールに長い距離を上がった水野からのクロスに左から巻が詰めてきたが、このシュートは楢崎が正面で抑える。
8分、右サイドを上がる杉本からの速いゴール間へのボールに、中央で飛び込んだヨンセンだったが、ボールのバウンドと自分の足のタイミングが合わず、苦し紛れのシュートはポストの左へ。
【得点】
49分 玉田(名古屋)
 
11分、相手陣内で増川がカットしたパスを杉本が受けると、すぐさま中を狙うが、これはDFに弾かれ、中へとは入れてゆくことは出来なかった。しかし、試合の流れは同点にした名古屋に大きく傾いており、全員が集中力も高い。このチャンスに畳みかけて、一気に逆転を狙ってゆきたいところだ。
14分、中央をドリブルで上がった増川が、強烈なミドルシュートを狙ってゆくが、これはGKに弾かれてしまう。
 
〜後半30分
16分、中央へヨンセンが落としたボールを玉田が拾うと、エリアのすぐ外からシュートを狙っていったが、ボールをジャストミートできず、ポストの右に。
18分、左からのCKのチャンス。玉田の左足からのボールはニアで弾かれるが、こぼれ球を藤田がミドルシュートを放ってゆく。相手GKが正面でボールを弾くが、正面で再度抑えてしまう。
 
 
19分、左を上がる本田が右から詰めてくるヨンセンにパスを送ると、深い位置からこれをゴール前へと流し込んでゆく。ニアサイドで玉田が詰めていったが、ボールに追い付く前にGKに先に抑えられてしまう。
20分、中央で下がってボールを持った玉田が、2列目から飛び出す藤田に合わせて裏へと入れてゆくが、これは相手DFの頭で弾かれてしまう。
22分、左からのCKのチャンス。玉田のボールに中央でスピラールが飛び込むが、これは触れることが出来ず。
24分、右の中村からの縦パスを杉本がワンタッチで中へと流し込もうとしたが、これは足下に上手く収まらず。
25分、右のスペースと出たボールを杉本がゴール前へと入れてゆくと、逆サイドから藤田が入り込んでいったが、そのすぐ上をボールは抜けてしまう。
 
 
 
 
26分、左から本田がヨンセンの縦パスが落ちたところを受けると、左足で裏へとラストパスを送ってゆく。これに中央で飛び込んだ杉本が右足からの強烈なシュートをクロスバーに当てながらも、しっかりと叩き込み、ついに名古屋が千葉を2-1と逆転する。 【得点】
71分 杉本(名古屋)
  【交代:72分・千】
羽生坂本
〜試合終了
32分、自陣左中程での千葉のFK。水野のゴール前で弾むボールに、千葉・中島が合わせてくるが、楢崎が体を張ってこれに飛び込み、シュートを打たせることはなかった。
34分、左の縦のスペースへと出たパスを杉本がトラップして、寄せてきたDFをかわして、中へと勝負を仕掛けようとしたが、相手に当たってしまい、これをGKが先に抑え込んでしまう。
 
 
36分、千葉・水野が自陣右深くでロングスローを放り込んでくるが、これは相手選手のエリア内でのファウルでマイボールに。
38分、右から上がってきた千葉・水野が本田を切り返しで振り切り、右足からクロスを入れてくると、逆サイドで待っていた巻が胸で落としてシュートを狙ってくるが、中村がマークにしっかりと付いて、このボールを跳ね返し、こぼれたところを大森が外へと出す。
 
 
40分、右のタッチ際に出たロングボールを拾った杉本がそのまま持ち込んでゆくと、中へと切れ込んでゆく。左から詰めてきた本田が無回転シュートを放つがこれはGKが正面で弾き、これに詰めようとしていたヨンセンが拾うとしたところでオフサイドの旗が上がる。
41分、自陣エリアのすぐ外でドリブルを仕掛けてくると、DFの裏へと放り込んだボールに山岸が抜け出してヘディングシュートを放ってきたが、これは楢崎が正面で落ち着いてキャッチする。
 
44分、右にフリーで上がってきた杉本のゴール前へのボールを、これもフリーのヨンセンがシュートに行ったが、GKが飛び出し、これを弾いてしまう。 【交代:87分・名】
藤田吉村
ロスタイム2、中央でのこぼれ球を山口がワンタッチで縦に送って津田を使おうとしたが、その前のプレイで山口がファウルを取られてしまう。 【交代:89分・名】
杉本津田
 
ロスタイム3、そして試合は、最後、相手陣内深くで、本田や山口がしっかりとボールをキープして時間を稼ぐと、久し振りに、試合終了の笛を、サポーターも選手達も勝利で聞くことに。
今日のこの勝利で、残り試合をしっかりと勝ちきって、順位を出来るだけ高く高くあげていって欲しい。
最後まで熱い声援をありがとうございました。
【交代:89分・名】
玉田渡邊