2006 Jリーグ ディビジョン1:第27節
 午後2時のキックオフを前に、スタジアムは汗ばむ程の暖かさに。上空にはうっすらと雲が覆い、日差しはそれほど厳しくないが、秋の1日としては、文句なしのサッカー日和と言えよう。前節・FC東京相手に、不甲斐ない敗戦を喫してしまった我らが名古屋グランパスエイト。
 午後1時15分過ぎ、いつものように、マスコットボールを持ってフィールドへと現れた選手達の表情にも、明るさは余り感じられない。しかし、硬さがある訳ではなく、この後の試合に向けて気持ちを高め始めているといった感じだ。彼らを見守るフェルフォーセン監督の表情も、いつもの柔和な雰囲気は全く感じれず、鬼気迫るほどの気迫が早くも見える程だ。
 ゆっくりとしたペースで、全員一緒になって体を解した後は、先発メンバー達は2人1組に分かれ、ボールを使ったメニューを始める。今日の先発に入った山口は、チームの雰囲気をしっかりと感じ取っているようで、一際気合いが入っている。前節、思うようなプレイを見せる事が出来なかった藤田も盛んに体を動かして、気合いを高めている事が良く伝わってくる。
 また、今日は戦列を離れていた玉田や吉村も控えながらも、待望の復帰を果たし、チームとしてはメンバーが揃って、今日の清水戦を迎えた事は喜ばしいところ。出場チャンスが巡ってきた時には、これまで出られなかった分を取り戻すような程のプレイでサポーターに復活をアピールして欲しいものだ。ともかく、今日の清水戦は勝利以外は考えられない。チームの雰囲気を変えるためにも、サポーターの気持ちを納得させる為にも、順位4という難敵・清水を相手に勝利し、勝ち点3をきっちりと挙げて試合を終えたい。
9月度の月間ランクル賞が発表され、ヨンセン選手が受賞しました。
〜前半15分
柔らかい日差しが差し込む、瑞穂陸上のフィールドに、サッカースクール生のちびっ子達の掲げる色鮮やかなフラッグにスタジアムの雰囲気が和んだところへ、フェアプレイフラッグに続いて、審判団に先導されて両チームイレブンが入場すると、スタジアム内の空気が一変する。いつものように左エンドからスタートのホーム・名古屋。そして、第27節・清水エスパルスとの一戦は、右エンド、アウェイ・清水のボールからスタートする。
今日の先発は、GK守護神・楢崎、DFは大森・スピラール・古賀の3バック。MFは藤田をワンボランチに、やや前に山口と金、右は中村、左は本田、FWはヨンセンと杉本という3-5-2の布陣で臨んでゆく。
 
 
 
1分、早速、大森が相手DFの裏へ長いボールを放り込んで清水DFの裏を狙ってゆくが、これはDFに杉本が前を阻まれる。
2分、左の清水・山西がDFの裏へ右から抜け出してくるアレシャンドレに合わせて放り込もうとしてくるが、これは古賀が頭で跳ね返す。
3分、右に抜け出していった杉本が深いところでマイナスに折り返すが、これはGKが抑えてしまう。
4分、相手GKが前に弾いたボールへしっかりと詰めていった山口がボールをシュートに行こうとしたが、清水GKの果敢な飛び出しに止められてしまう。
 
 
5分、中央で清水・チョジェジンが縦パスを落として、エリアに走り込む清水・高木(純)を使うが、すかさず大森が体を寄せてゆき、シュート体勢を止め入る。
7分、右の山口からのアーリークロスを藤田が頭で落とすと、中央でヨンセンがこれを狙うが、体勢が崩れ、合わせる事は出来なかった。
8分、左から抜けてきた清水・高木(純)の右足のクロスにニアで清水・チョジェジンヘディングを合わせてくるが、これは大きく浮いたところを楢崎が抑える。
11分、右のスペースに出た中村からのロングボールを拾った杉本がマイナスにクロスを上げると、左サイドから走り込んだ本田がヘディングシュートを狙ったが、ボールはポストの左に。
 
 
12分、右から中へと流れながら中村が左足から遠いサイドに詰めているヨンセンを狙ってクロスを上げるが、これは厳しいDFのプレスにボールに触れるのが精一杯だった。
14分、清水・アレシャンドレのゴール前へのパスを大森がカットすると、これを中村が受けてタッチ際に杉本を走らそうと長いパスを入れてゆくが、ボールが右に流れ、杉本に届く前にタッチを割ってしまう。前半ここまでの時間帯は落ち着いたプレイを見せている名古屋。決定力のある、清水・チョジェジンへのマークも厳しく、簡単にプレイさせることなく、良い雰囲気の試合運びを見せている。
 
〜前半30分
16分、左スペースへ出たボールを本田が体をしっかりと入れて受けると、相手DFをかわして中を狙うが、ボールは弾かれCKに。
17分、左からのCKのチャンス。金のヘディングシュートはDFに当たり、右からのCKに。本田がゴールに向かって曲がってゆくボールを蹴ってゆくが、これは相手GKがパンチングで弾き出す。
 
 
18分、自陣エリア内での浮き球を、前にスペースがあるところを狙い、清水・マルキーニョスがダイレクトでシュートを打ってくるが、これはコントロールされずポストの左へ飛ぶ。
20分、自陣中程右寄りの位置での清水のFK。清水・枝村の流したボールを中央で青山がシュートを遠いところから打ってくる。抑えの効いた鋭いボールが枠を捕らえて飛んでくるが、楢崎が横っ飛びでこれを弾き出し、ゴールを守る好セーブを見せる。
 
 
23分、右に抜け出してきた山口の前にパスが通ると、これをマイナスに入れて中央に詰めてくる杉本の足下へと入れてゆくが、このボールは戻ってコースに入った清水DFにカットされてしまう。
25分、大森からのロングボールをヨンセンが頭でDFの裏へと落とすと、杉本が走り込んでゆくが、先に飛び出した清水GKがボールを抑えてしまう。
 
 
27分、相手エリアのすぐ外でヨンセンが清水・青山と競り合いながらロングボールを上手く味方の前に落としてゆくが、これはファウルを取られてしまう。
29分、左からマルキーニョスがパス交換から抜けてこようとするが、パスを出す選手への中村の厳しい寄せがミスを誘い、タッチをボールは割る。
 
〜前半終了
31分、杉本が相手エリア内でパスを受けるが前を向かせてもらえないと、これを右から中村が寄せてボールをもらい、外から積極的にシュートを打っていったが、ボールはポストの左に外れてしまう。
33分、左から清水・高木(純)がシュートを放ってくるが、これは楢崎が正面で弾いてゆく。中央でこぼれ球をマルキーニョスがミドルシュートに来るが、ボールはクロスバーを越える。
 
 
35分、中央で古賀からのボールを受けた中村が左足から相手DFの裏へと左から飛び出してゆく金に合わせてボールを蹴り出してゆくが、これは清水GKに渡ってしまう。
37分、右の中村からのパスを中央で受けた藤田が、寄せてきた選手のマークを外して左足でDFの裏を狙っていた本田に合わせて蹴り入れてゆく。タイミング良くこれに抜け出した本田だったが、トラップが上手くあわず、GKにカットされてしまう。
 
 
39分、右から清水・市川の入れたクロスを古賀がクリアできず、エリア内左寄りにいた清水・チョジェジンの前にこぼれてしまう。これを迷わずシュートに来ようとしたが、スピラールが早い反応でボールをカットし、このピンチを救った。
41分、ゴール前でチョジェジンのパスに抜け出したマルキーニョスと1対1になるが、ここは楢崎が果敢に飛び出し、シュートに来る前にボールを抑える。
43分、自陣深くでパスを繋ぎながら清水が中を窺うと、最後、右に上がっていた清水・市川がゴール前へとしびれを切らして放り込んできたが、これはスピラールが難なくクリア。
 
 
44分、相手DFの裏へのパスを杉本がスルスルと抜けだして拾うと、そのままエリア内へと持ち込んで進入してゆくが、清水DFの厳しいマークに遭い、シュートは打たせて貰う事が出来なかった。そして前半は、0-0のまま終了。
立ち上がりこそ良い流れで相手ゴール前へとボールを運ぶ事が多かったが、次第に清水の前からの早いプレッシャーが利き始め、簡単にはやらせてもらえなくなってしまった。後半はヨンセンを狙った単純なロングボールや杉本の裏への飛び出し以外に、攻撃に工夫をしていかなければ、固い清水の守備から得点を奪う事は難しいだろう。後半に向けて、どういう修正をフェルフォーセン監督がしてくるか楽しみだ。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、右から地元サポーターで埋め尽くされたスタンドへと攻め上がる名古屋のボールで試合が再開。
1分、清水GKからのロングボールをチョジェジンが頭でスペースに落とすと、これにマルキーニョスが走り込んでくるが、古賀が体を張ってこれを止め、シュートを打たせなかった。
 
 
2分、自陣右深くでの清水のFK。枝村の右足からのボールを青山が待ち構えるが、スピラールが頭でカット。
4分、左タッチ際をスピードに乗ったドリブルで上がってゆく本田からのパスに体一つ抜け出した杉本だったが、前のボールを落とした時に手に当ててしまう。
 
 
 
5分、左から杉本の上げていったクロスボールを逆サイドでゴールから遠ざかるように体を流してゆきながらも、ヨンセンがこのボールをしっかりと頭で捕らえてボールを枠に収め、名古屋に待望の先制点が入る。このゴールで名古屋が良い雰囲気でこのまま試合を進めてゆければ最高だ。逆に清水は攻撃の力を強めてくるだけに、油断は禁物、前半以上に集中した守備が必要だ。
8分、左からのCKのチャンス。中村が右足からゴール前へと入れたボールにヨンセンが待ち構えるが、飛び出してきた清水GKがパンチングで弾き出してしまう。
11分、自陣右中程での清水のFK。清水・山西が左足でゴールに向かって曲がるボールを蹴りこんでくるが、楢崎がこれは止める。
【得点】
50分 ヨンセン(名古屋)
 
13分、杉本が右からDFをかわして左足からのシュートを放つと、枠を捕らえたかと思われたが、横へと飛んだGKの指先に当たり、左ポストをかすめて弾き出されてしまう。
14分、左からのCKのボールはGに弾き出されてしまう。右からのCKのチャンス。本田のニアを狙ったボールは簡単に弾かれてしまう。
 
15分、右からマルキーニョスが持ち込んでシュートを狙ってくるが、これを楢崎が一旦は抑えるものの、前にこぼれたところを寄せていたチョジェジンにシュートを決められてしまう。 【得点】
60分 チョ(清水)
〜後半30分
18分、自陣中程右寄りでの清水のFK。杉山のゴール正面へのボールに青山が身体ごと飛び込んでくるが、ここはコースに入った本田へのファウルでマイボールとなる。
20分、右からマルキーニョスの入れてきたパスに、中央で何人か清水の選手が待ち構えるが、先に体を入れたスピラールがこのボールをカット、ピンチを未然に防ぐ。
【交代:62分・清】
枝村杉山
 
21分、右から持ち込んでいった中村の深い位置でのマイナスなクロスに、ヨンセン・杉本と中央で詰めてゆくが、これは足下を抜けてしまう。これに本田が詰めて左足でGKのポジションの逆を突くシュートを放つが、左ポストに当たって弾かれてしまい、追加点を奪う事は出来なかった。
24分、右でボールを持った清水・マルキーニョスが中を狙うが、しっかりとマークについた本田がこのボールを跳ね返す。
26分、スピラールの跳ね返したセカンドボールを藤田が受けて前を向こうとしたところを、すかさず狙ってきた清水・アレシャンドレだったが、トラップが大きく流れ、これを楢崎が落ち着いて抑える。
 
 
27分、左サイドから清水・高木(純)がドリブルで仕掛けてくるが、ここは山口がしっかりとマークについて行き、ミスを誘う。  
29分、清水・伊東の浮き球に、右から代わったばかりの久保山がシュートを狙ってくるが、ボールは大きく左に外れる。
30分、右から久保山の入れた鋭いクロスに、中央でマルキーニョスがヘディングシュートを放つが、これはクロスバーの上へ。
【交代:73分・清】
アレシャンドレ久保山
〜試合終了
31分、セカンドボールを繋いで、右から清水・高木(純)が勝負を仕掛けようとするが、古賀と山口がしっかりと抑え込んでボールをタッチの外へと出させる。
33分、中央を自陣からのカウンターで持ち上がってゆく本田だったが、相手DFの速い戻りに前を阻まれてしまい、このチャンスを生かす事が出来なかった。
 
34分、左からの清水のCK。杉山のボールをゴール正面、やや離れたところから合わせてくるが、ボールは右に大きく流れる。
35分、ボールがなかなか落ち着かず、セカンドボールが自陣深く相手選手の前にこぼれてゆくが、大森がしっかりとこれを読んで足を伸ばし、タッチの外へと蹴り出す。
【交代:78分・名】
本田玉田
 
37分、左から清水・高木(純)に鋭いパスが入ってくると、これを受けて前を向こうとするが、中村・山口が厳しい寄せを見せて、こぼれたところを藤田がクリア。
39分、右からのCKのチャンス。玉田の左足からのボールがそのまま伸びて、飛び出したGKの指先を抜けてゆくが、逆サイドには誰も詰め切れず、結果的にボールはゴールラインを割ってしまう。
 
40分、相手ゴール前へのボールに飛び出した選手とGKが交錯、ボールがルーズになったところを藤田が拾って右足からのシュートを決めて、ついに追加点か、と思われたが、これはその前のプレイでオフサイドの判定となり、ゴールは幻に終わってしまう。 【交代:85分・名】
杉本津田
 
42分、中央を玉田がドリブルで上がると、藤田とのワンツーで更に抜け出そうとするが、パスは足下へは届かず。  
43分、右で中村のパスを受けた玉田が勝負を仕掛けると、深い位置からマイナスにパスを入れるが、清水DFにこれはカットされてしまう。
44分、自陣右中程での清水FK。縦へと入れたボールをマルキーニョスが大きく入れてくると、清水・岡崎がヘディングに来るが、ボールはポストの左に。
ロスタイム1、左からドリブルで持ち上がった玉田のゴール前への曲がるクロスに、逆サイドから詰めたヨンセンが右足を伸ばして合わせたボールは枠を捕らえる事が出来なかった。
【交代:87分・清】
高木(純)岡崎
 
ロスタイム2、相手ペナルティ内での浮き球を中村が倒れ込みながらも体を張って競り勝ってボールを奪うと、右足で中を狙ってゆくが、最後まで集中した清水DFの壁に弾かれてしまい、決めることは出来なかった。
そして、4分以上のロスタイムを何とか追加点を奪って清水を突き放そうとしたが、追加点を奪うことは出来ず、第27節・清水エスパルスとの一戦は1-1で終了、互いに勝ち点1ずつを分け合う結果となってしまう。
しかし、勝ち点48現在4位の清水を相手に、引けを取らないプレイを見せたことは、今後に繋がる大きな結果と言えるだろう。そして、試合終了の笛が鳴り響くまで、諦めることなく清水陣内へと攻撃を続け、清水の速い攻撃をしっかりと抑え込んだ選手達へと、サポーターの詰めるスタンドからは暖かい拍手と大きな声援が送られたことで、選手達はホームでの試合で勝利できなかった悔しい気持ちを少しは癒すことが出来たはずだろう。
最後まで、熱い声援をありがとうございました。