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2006 Jリーグ ディビジョン1:第23節 |
上空はすっかり漆黒の闇に包まれた、午後6時30分。スタンドを埋め尽くした名古屋サポーターの下へと向かってマスコットボールを投げ入れた選手達は、そのままピッチへと走り込んでゆく。一旦、呼吸を整えるように整列して、サイド大きくスタンドへ手を振り挨拶を交わしたあと、各自が走り込みを開始、いよいよこの後の新潟戦に向けた最後の調整に入ってゆく。 |
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秋に向かって気温が下がり始めてきたこともあり、スタンドの上は蒸し暑いが、ピッチの上は心地よい風が時折抜けてゆくので、選手達もリラックスした表情を見せながらボールを使い始める。それでも、ビブスを着用しボール回しを始める頃から藤田の大きな声が響き始め、徐々に気合いの入った表情へと変わってゆく。その雰囲気を嗅ぎ取ったかのように、両チームサポーターの声援にも熱が籠もり始める。
寒い国から日本へ、それも湿度の高い名古屋という厳しいコンディションの土地へ来たことで、体調が心配視されたヨンセンも無事名古屋の夏を乗り切り、代表での疲れも癒えたようで、快調にボールを蹴り合っている。サポーターの待ち望むゴールを今日も是非決めて欲しいところ。 |
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約5分間、しっかりとボールを奪い合った先発メンバーは、何本か走り込んだ後は、芝生の上でボールを動かしてゆく。急な発熱で入院を余儀なくされた本田も全くそんなことを感じさせない様子で、軽快なドリブルや豪快なシュートを蹴り入れて、試合前の準備を仕上げてゆく。また、久し振りの先発に入った渡邊も落ち着いた様子でクロスボールをヨンセンに向けて繰り返しゆく。なかなかメンバーとして定着できなかった分を今日はしっかりと取り戻すプレイでヨンセンや他の攻撃陣をアシストして、スタジアムを盛り上げて欲しい。 |
試合前、8月度の月間ランクル賞が発表され、中村選手が受賞しました。 |
〜前半15分 |
選手入場を前に、スタジアム内に名古屋の先発メンバーが流れると、スタンドからは大きな拍手と共に、名古屋サポータの唱えるエールが大きく響き、盛り上がりを見せ始める。右エンドの新潟に対し、名古屋は左にエンドを取り、新潟のサポーターの待ち構えるエンドへと攻め上がってゆく。
今日は、GKは守護神・楢崎、DFは右に出場停止から戻った大森、左は古賀、中央はスピラールという3バックだ。MFは右に中村、左は渡邊、ボランチの位置には藤田と金が肩を並べる。FWはヨンセンを中心に左に杉本、右に本田という3-4-3の布陣で新潟に挑む。 |
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1分、藤田のDFの裏へのボールを受けた本田が中へと流れながら左足で放ったシュートはDFに弾かれる。
2分、今度は左にポジションを戻した本田の前にスピラールからのボールが入るが、新潟DFがタッチの外へ蹴り出して行く。
3分、エジミウソンからのパスを高い位置で受けた新潟・矢野が前を向いてシュートを狙おうとしてくるが、ここは藤田がプレッシャーを掛けて、ボールを奪い去る。 |
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4分、右に抜け出した中村からのゴール前へのクロスは、ニアでヨンセンが合わせにゆくが、その前を抜け相手GKの抑えられてしまう。
5分、左でボールを持って前を向いた新潟・ファビーニョのシュートは大森が体で止めてゆく。
6分、左からの新潟のCK。寺川の短く出したボールを中へと狙ってくるが、ボールへの早い寄せで弾き返してゆく。
7分、新潟・三田からの前線で待つ矢野の頭越えのボールはゴールラインを大きく割ってゆく。 |
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8分、中央で杉本が縦パスを上手く右にはたくと、本田がそのまま持ち込んでいって左足からのシュートを狙っていったが、これはポストの右に。
9分、相手陣内右すぐのところでのFK。本田が長いボールを蹴ってゆくと、遠いサイドにスピラールが詰めてゆくが、ボールはその前の前で大きく曲がり、ゴールラインを割ってゆく。
10分、自陣中程右寄りの位置での新潟のFK。新潟・エジミウソンが横に流したボールを蹴ってくるが、低い打球は壁で跳ね返してゆく。 |
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11分、右からのCKのチャンス。本田の入れたボールは中央でDFに頭で弾き出されてしまう。立ち上がりは名古屋が積極的に新潟陣内へと攻め入り、良い流れで試合を進めている。
14分、自陣深く中よりの位置で新潟にFKを与えてしまうと、今度も新潟・エジミウソンが壁を越えるボールを蹴ってくるが、これは楢崎の正面に。
15分、右から中村の入れたボールに、遠いサイドの杉本がヘディングで合わせたシュートは惜しくもポストの左に。 |
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〜前半30分 |
16分、自陣深く右タッチ際での新潟のFK。新潟・鈴木がゴール前に伸びるボールを入れてくるが、これはDFがカット。こぼれを拾った海本のシュートはバーを越えてゆく。 |
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17分、中央で金が持ち込んだボールはシュート打つ前にDFに止められるが、こぼれ球を右で拾った杉本がグラウンダーをゴール前に流し込んでゆくと、逆サイドから本田が詰めて、落ち着いてGKの脇にシュートを決める。
20分、左深くでボールを持ったエジミウソンが中を向こうとするが、スピラールと大森が連携してこのボールをしっかりと奪ってゆく。 |
【得点】
17分 本田(名古屋) |
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21分、左から本田をかわした新潟・中野が縦にスルーパスを入れてこようとするが、中村と大森が上手く体を入れて、相手FWをボールに向かわせなかった。
22分、新潟の右からのCK。鈴木のゴールに向かってくるボールは本田が頭で弾き出してゆく。 |
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23分、右のタッチを割りそうなボールを拾った杉本が、そのまま持ち上がってゆくと、杉本が入れたゴール前への鋭いクロスを逆サイドに詰めていたヨンセンがダイレクトで蹴り入れて、2点目となるゴールを奪う。
26分、藤田からの縦パスに杉本が俊足を飛ばしてゆくと、相手陣内深くで拾ってDFに当ててCKを取ってゆく。
27分、右からのCKのチャンス。低くニアサイドに本田が蹴ってゆくが、これはDFに蹴り出されてしまう。 |
【得点】
23分 ヨンセン(名古屋) |
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28分、相手ゴール正面でのこぼれ球に詰めたヨンセンが右足からシュートを狙ってゆくが、彼にしては珍しく、慌てたのかクロスバーの上へと外してしまう。
30分、左の上がってゆく渡邊に向け、金から良いボールが出てくるが、これはバウンドを読み違えたのか、タッチの外へ出してしまう。 |
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〜前半終了 |
32分、右でボールを受けた本田がそのまま中へと相手DFを引き連れながら入り込んでゆく。最後はユニフォームを引っ張られて倒されるが、好位置でのFKとなる。本田のゴール右へのボールは、惜しくもGKが弾き出して、右からのCKに。
34分、右からの本田のCKのボールはゴール前でルーズになるが、これを杉本がオーバーヘッドで狙っていったが、ボールは左に流れてしまう。 |
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36分、自陣左中程での新潟のFK。シルビーニョのゴール前へのボールをクリアしようとしてヨンセンに当たったボールがそのまま枠にいってしまい、オウンゴールになってしまう。 |
【得点】
36分 オウンゴール(新潟) |
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38分、中央でヨンセンからの縦パスを受けて前を向いた杉本だったが、ドリブルを仕掛けようとしたところをDFにカットされてしまった。
39分、左で本田のパスを受けた渡邊がクロスを入れてゆくが、これは逆サイドにいた中村に届く前にDFが頭で弾き出す。
41分、自陣中央ほぼゴール正面での新潟のFK。この場面では流したボールを新潟・鈴木が狙ってこようとしたが、DFがコースに入ってボールを弾いてゆく。 |
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42分、縦のロングパスを受けた新潟・矢野が右から攻め入ってこようとするが、スピラールがしっかりとマークに付き、シュートミスを誘ってゆく。
44分、左から新潟・ファビーニョが抜け出してこようとするが、ここでもスピラールがしっかりと体を寄せてファウルを誘う。 |
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ロスタイム1、相手ゴール正面、エリアのすぐ外でこぼれ球に詰めたヨンセンが狙いすまして右足を振り抜くと、鋭いボールが相手ゴールに向かうが、ボールはクロスバーに当たってしまい、惜しくも追加点を奪うことは出来なかった。
そして、前半は2-1で名古屋が1点のリードで前半を終えることに。
良い流れで、2点を奪って試合の主導権を握った名古屋だったが、オウンゴールで流れを手放してしまっただけに、後半はしっかりと気持ちを切り替え、リフレッシュして試合に臨みたい。そして、畳みかけるような攻撃を見せて、さらに3点4点とゴールを重ねて欲しいところ。 |
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〜後半15分 |
エンド入れ替わり、右から左へと攻め上がる名古屋のボールで試合が再開。両チーム共にメンバー交代は無し。
1分、左から縦に出たボールをヨンセンが持ち出そうとするが、バウンドが足下に収まらず、DFにカットされてしまう。
2分、自陣からの大森のロングボールに杉本が走り込んでゆくが、DFにコースを阻まれ、抜け出すことが出来ず。 |
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4分、中央をドリブルで長い距離を上がってきたスピラールからのパスを左で受けたヨンセンが、左のタッチ際に詰めてきた渡邊へとパスを送ってゆくが、足下に上手く届かず、タッチを割ってしまう。
5分、右から新潟・三田が持ち上がってくるが、ヨンセンが戻ってしっかりと守備をしてくれたこともあって、慌てて入れてきたクロスボールは楢崎が難なく抑える。 |
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7分、右から中へとDFを連れて入り込んだ中村からのパスを、右でフリーで受けた杉本からのクロスはボールが大きく流れてしまい、ゴールラインの外へ。
9分、右からエジミウソンが渡邊を振り切って中へとクロスを入れてくるが、楢崎がしっかり飛び出して正面で抑える。 |
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11分、相手陣内左中程でのFKの場面。今回は中村が右足から直接狙って蹴っていったが、弧を描いて飛んだボールは僅かにクロスバーの上へ。
12分、左に抜け出してきた新潟・鈴木の強烈なシュートは楢崎が正面で止める。こぼれ球もスピラールが相手FKが詰める前にしっかりとクリアしてゆく。 |
【交代:55分・新】
中野藤井 |
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13分、ヨンセンの縦パスをDFをかわしながら杉本が左足で中へと入れようとするが、これはDFに当たってCKに。左からのCKは中村が入れてゆくが、ゴール前で味方に当たって逆サイドのタッチを割ってしまう。 |
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〜後半30分 |
16分、左で金の落としたボールを藤田がワンタッチで縦に送ると、これを渡邊が拾いにゆくが、相手DFとの競り合いでボールは先にカットされてしまった。
18分、中央で藤田が中村とスイッチする形でパスを受け渡すと、中村が左足でミドルシュートを放ってゆく。枠を捕らえる抑えの効いたボールだったが、相手GKに弾かれてしまい、追加点は奪うことが出来なかった。 |
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19分、右から杉本が入れたクロスがこぼれたところを拾った本田のシュートは、またしてもGKに当たって左のポストに弾かれてしまう。 |
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22分、中央で杉本のパスを受けた本田が左に詰める渡邊にパスを通すと、これをゴール前へ放り込んでゆく。ヨンセンが体を逃げるようしながらヘディングシュートを狙っていったが、ボールはクロスバーの上へ。 |
【交代:65分・新】
矢野松下 |
24分、左から金がスピードに載ったドリブルで駆け上がると、相手陣内深く持ち込んでゆくが、ゴール正面でボールより体が出たところを相手DFに後ろからチャージを受けて倒されボールを奪われてしまう。 |
【交代:67分・名】
渡邊津田 |
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26分、自陣深く左にいた本田からの縦パスを反転して受けながら抜け出そうとした金だったが、新潟の選手の厳しいタックルに倒されてしまう。
27分、中央でボールを持った金からのゴール前へのボールに遠いサイドのヨンセンが頭でシュートを狙うがこれはGKの正面。 |
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【交代:74分・新】
藤井喜多 |
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29分、後半はゴールまでがなかなか遠い名古屋だったが、杉本のシュートのこぼれ球に詰めた津田が右から落ち着いてボールを流し込み、待望の追加点が良い時間帯で決まる。 |
【得点】
74分 津田(名古屋) |
〜試合終了 |
32分、右からパスを受けて持ち込んだ津田のゴール前への速いクロスに中央で杉本が飛び込むが、ヘディングシュートは惜しくもポストの左へ。
36分、右に抜け出してきた新潟・松下のゴール前を狙ったグラウンダーのボールは、戻ってきた古賀が足でこれをきっちりカット。 |
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38分、スピラールの縦に入れたボールを相手DFと競り合いながら津田が頭でスペースへ落としてゆくが、ボールは誰も走り込めず。 |
【交代:82分・名】
杉本山口 |
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39分、右に持ち込んでいった中村のクロスがこぼれたところを金がエリアの外で拾うと、そこからシュートを狙ってゆく。抑えの効いたボールだったが、惜しくもGKの正面だった。この時間帯は名古屋が余裕のパス回しで時間を掛けながら、新潟陣内へと押し上げてゆく。しかし、決して簡単に放り込むことはせず、時間を有効に使ってゆく。 |
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41分、自陣からのロングボールに左の高い位置に上がっていた山口が相手DFに競り勝って上手く落とすが、ファウルを取られてしまった。
43分、本田が左で上手くパスを受けると、縦に走る津田に向けてパスを送るが、これはタッチに流れてしまう。
ロスタイム1、相手エリア内で左から持ち込んだ山口のパスをゴール正面で受けたヨンセンだったが、しっかりとキープすると、縦に寄せてくる藤田へ。さらにこれを中村、そして右の津田へと繋いでゆくが、シュートまでは行かず時間を稼いでゆく。 |
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ロスタイム2、右から金のパスを受けて持ち上がるヨンセンからのゴール前へのボールは津田が飛び込むものの、飛び出したGKにパンチングで弾かれる。
そして、最後エジミウソンが左から持ち込んできたボールを大森が楢崎に戻したところで、試合終了を告げる主審の笛が高らかに瑞穂の空に鳴り渡り、名古屋は久し振りの勝利をホームで決める。
ゴールこそ無かったものの、この日3得点全てに絡んだ杉本がMVPにふさわしい大活躍を見せてくれた試合と言っても良いだろう。
最後まで熱い声援をありがとうございました。 |
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