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2006 Jリーグ ディビジョン1:第22節 |
今にも雨が落ちてきそうな銀色の雲の下、午後5時20分。
名古屋の選手達がスタジアムのメンバー紹介のアナウンスが終わるのを待ちかねたように、足早にスタンドからの拍手に手を振りながら、ピッチ内へと足を踏み入れてゆく。 |
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手前のエンド中央で改めてスタンドに全員で手を振って応えると、早速アップをスタートさせる。
ゆっくりと横に体を入れ替えながら、体を動かしてゆく選手達。代表戦から帰国したばかりのヨンセンも中村も表情は明るく、休養十分なようだ。
前節の鹿島戦では、ヨンセンが居ないことで攻撃に物足りなさを感じさせただけに、今日戻って先発に顔を揃えてくれたことは、サポーターだけでなく、他の選手達にとっても頼もしく映っていることだろう。
全員で体を動かした後は、先発メンバーはビブスを着用して2組に分かれると、ピッチの隅で気合いの入ったボール回しを行い、集中力を高めてゆく。 |
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気温はそれほど高くないものの、湿度が高いこともあってか、選手達の顔にはすぐに汗が浮かび始める。
臀部の打撲で試合を離れていた金もコンディションは良さそうで、切れ味鋭い切り返しを見せている。中盤での彼の存在が攻守に大きく影響しているだけに、彼に復帰は大きな力だ。
午後5時45分。キックオフ時間が6時という事で、上空はまだ明るさを残しているが、スタジアム内はキックオフに向け、準備は整ったようだ。最後、ピッチの中を縦横にボールを動かして、芝のコンディションやボールの転がり具合などを確かめた選手達は、納得した表情を見せながら、名古屋のサポーターの声援に応えながらロッカーへと向かっていった。勝ち点24に名古屋に対し、広島は勝ち点22。負ければ順位が入れ替わってしまうだけに、心して試合に入りたいところだ。 |
〜前半15分 |
心なしか、上空の雲が少なくなり、所々に晴れ間が見え始めてきている広島ビッグアーチのピッチに両チームのサポーターの声援と大音響に迎えられて、両イレブンが入場を始める。
左エンドのホーム・広島に対し、上下真っ白のユニフォームに身を包んだ、アウェイ・名古屋は右から左へと攻め上がる。そして、名古屋のキックオフで試合が始まる。
今日の先発は、GKは守護神・楢崎。DFは右に増川、左に古賀、中央にスピラールという3バック。MFは山口と金が中央、右に中村、左に本田、トップ下に藤田、そしてFWは、ヨンセンと杉本という、3-5-2の布陣だ。 |
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1分、前線の広島・ウェズレイに縦のパスが入るが、古賀がしっかりとマークに付きファウルを誘ってゆく。
2分、中央でボールを持って前を向いた金がそのまま縦に仕掛け、ミドルシュートを狙ってゆくが、ボールはポストの左。
5分、左で本田がボールを持ったところを古賀がスペースを詰めてゆくが、パスを受ける時には、広島・駒野がしっかりと詰めてしまい、前を向かせてはもらえず。 |
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6分、広島・青山の縦のボールに左から抜け出した広島・佐藤がこれを受けると、すかさず左足でクロスを入れてこようとするが、ボールはゴールラインを割ってゆく。
7分、右サイドタッチ際でのボールをライン上で増川が見送ろうとしたところを佐藤が頭で持ち出してGKと1対1になるが、これはその前にラインを割っていた。
9分、本田が左の縦のスペースへと蹴り出して杉本を使おうとするが、ボールの落下点に上手く入れず、ラインの外へ出してしまう。
10分、左で金の落としたボールを本田がゴール前へと入れてゆくと、遠いサイドに詰めていたヨンセンが合わせにゆくが、これは前に出たGKに抑えられてしまう。 |
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11分、左からのCKのチャンス。中村のボールにニアサイドへスピラールが詰めてゆくが、体を入れたDFに弾かれてしまう。
12分、左深くでのスローインのボールがゴール前へこぼれたところを藤田が詰めるが、目の前でDFに先にクリアされてしまう。
13分、山口、中村、藤田と続いたパスをヨンセンが前で落として中村を待つが、その前でボールをDFに奪われてしまった。
15分、左からの広島のCK。ウェズレイが短く出したボールを再度受けて、中へと入れてこようとしたが、ここは藤田がコースに入って跳ね返してゆく。 |
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〜前半30分 |
序盤は互いに相手の出方を見たプレイだったが、徐々に両チームの持ち味を出しながら、相手ゴールへと迫るようになってくる。広島は徹底して、DFの裏へとボールを入れて佐藤を走らせてくるが、ここまでは危なげはない。対する名古屋もサイドを広く使いながらボールを回して、広島の守備の綻びを見つけようとしてゆくが、しっかりと引いた守備にはまだチャンスは見つけることが出来ない。
18分、本田が左からロングボールをゴール前に入れてゆくと、ヨンセンが飛び込んでゆくが、GKが正面で抑えてしまう。
19分、右の駒野からのクロスにニアサイドで佐藤が走り込んでくるが、スピラールが落ち着いてコースに入り、頭でボールを弾き出してゆく。
21分、中央で藤田が金とのワンツーで抜けると、右に上がるヨンセンの前にパスを送ってゆく。これをエリアに入ったところからシュートにゆくが、右足からのボールはクロスバーの抜けてしまう。
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22分、相手陣内右中程でのFKのチャンス。本田が軽く突いたボールを中村がドリブルで前に持ち上がったところでゴール前へ入れてゆくが、これはDFに弾かれてしまい、前線で待ち構えるヨンセンには届かず。
24分、中央を持ち上がったスピラールからのパスを左で金が落とすとヨンセンが中へと入れてゆこうとするが、これはDFに当たって相手ボールになってしまう。 |
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25分、中央でボールを拾った佐藤が上がってゆくと左のウェズレイへ。エリアのすぐ外でこれを持ち込んでこようとするが、増川がしっかりとコースを阻み、シュートまで行かせることはなかった。
29分、左サイドでスローインのボールを受けた佐藤が前を向こうとするが、ここはスピラールがしっかりと詰めてボールを蹴り出してゆく。 |
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29分、左に抜け出した杉本がスピードに乗って走り、このボールを受けると、切り返して右足で逆サイドに上がってくるヨンセンの前へパスを入れてゆく。しかし、伸ばした足には僅かに届かず、ボールは抜けてしまった。 |
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〜前半終了 |
31分、自陣中央、ゴールほぼ正面での広島のFK。広島・森崎(浩)の左足からの直接狙ったボールはクロスバーを越えてゆく。
33分、右の縦に抜けだした駒野からのゴール前へのクロスボールは、楢崎が余裕のジャンプでキャッチしてゆく。
34分、右から山口がグラウンダーのミドルシュートを狙ってゆくが、相手GKがバウンドに上手く合わせて、このボールを抑える。
35分、右にポジションを取っていた杉本が中村にパスを貰うと、そのまま縦に勝負を仕掛けるが、トラップが長くなってしまい、ボールはゴールラインを割ってしまう。 |
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36分、右のスペースへ出たボールをウェズレイが受けると、古賀をかわして右足でゴール正面にシュート気味の速いボールを打ってくる、逆サイドから佐藤が飛び込んできたが、ボールはその前を抜けてゆく。
37分、左に抜け出した本田からのクロスに中央でヨンセンが走り込むが、相手DFに体を抑えられ、ボールに詰めることが出来なかった。
40分、広島・服部が左からゴール正面へパスを入れて、詰めていた佐藤を使おうとするが、古賀がしっかりとこれを読んで先に体を入れて、ボールを奪う。
43分、右タッチ際で、広島・青山の縦パスに駒野が抜け出してくるが、ボールは追い付く前にゴールラインを割ってゆく。 |
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ロスタイム1、中央でボールを持った金がDFの足下を抜くスルーパスを出してゆくと、杉本が上手く抜け出してゆくが、これは飛び出した相手GKが先に抑えてしまう。
そして、前半はどちらも決定的な場面を作ることなく終了。後半へと望みを託すことになる。
予想以上の蒸し暑さからなのか、移動の疲れからなのか、ヨンセンを含め、全体的に精彩を欠く為に、全体的に攻撃に厚みが少ない名古屋。
広島がしっかりと引いて守っていることもあり、裏のスペースが少ないこともあって杉本の速さも使い切れていない。
後半はもう少し相手DF陣を引き出すようなプレイでスペースを作ってチャンスを増やし、相手ゴールをこじ開けてゆくことが必要だ。後半に期待したい。
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〜後半15分 |
前半は持ち味を出し切れず、攻撃にも精彩を欠いてしまい、良いところがないまま終わってしまった名古屋としては、後半は立ち上がりからもう少し仕掛けて、試合の流れを掴んで、早い時間帯で先制点を取って、ゲームを優位に進めたいところだ。
エンド入れ替わり、後半は左エンドの名古屋に対し、右から攻め上がる広島のボールで試合が再開する。 |
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1分、増川の縦パスをヨンセンが胸で落として、DFをかわそうとするが、ボールが流れてしまう。
3分、自陣中央でのこぼれ球を拾った広島・柏木がシュートに来ようとするが、厳しい寄せを見せたスピラールがしっかりとボールを奪う。
4分、自陣左深くでの広島のFK。ウェズレイのボールに、ニアで合わせた広島・ダバツのヘディングシュートはクロスバーの上へ。 |
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5分、右から中村がDFの裏へ放り込んでゆくが、ヨンセン、杉本共に反応できず。
6分、左からのCKのチャンス。中村の右足からのボールに遠いサイドのスピラールが頭で合わせてゆくが、ボールは大きく浮いてしまい、ゴールを越える。
8分、右に抜け出してきた駒野のクロスは、ゴール前で楢崎がしっかりとキャッチする。
11分、広島・青山が遠目からシュートに来るが、これはシュートコースに入ったスピラールが跳ね返してゆく。 |
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13分、中央からスピラールが上がってゆくと、DFとGKの間を狙って浮き球を入れてゆく。これを競り勝ったヨンセンが頭で落としてゆくが、藤田が中央で詰め切る前にDFにカットされてしまう。
14分、縦パスを受けたウェズレイがダイレクトでDFの裏へと蹴りこんでくるが、佐藤が抜け出す前に楢崎がしっかりと反応、これを抑えてゆく。 |
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〜後半30分 |
17分、右サイドでボールを持った駒野が縦に勝負してくるが、マークに付いた本田がしっかりとこれをケア、相手のミスを誘ってゆく。
18分、森崎(浩)の縦パスを広島・服部が抜け出して中へと入れてこようとするが、その前にオフサイドの旗が上がる。 |
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19分、中央の藤田からのパスを右で受けた杉本がそのまま中へと持ち込んでいって、右足のアウトにかけたボールをDFの間にねじ込んでゆこうとしたが、ボールを強く入れることが出来なかった。 |
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21分、右から佐藤がドリブルを飛ばして、古賀をかわしてエリア深く入り込んでくるが、スピラールがしっかりとこれに寄せて、ボールをカットしてゆく。
22分、左に抜け出した杉本がタイミング良くゴール前へと入れてゆくが、これは誰も付いてこれず、逆サイドに抜けてしまう。 |
【交代:65分・名】
金須藤 |
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24分、森崎(浩)の縦パスを左サイドで受けたウェズレイが右に流れながら右足からのシュートを狙ってくるが、マークに付いた増川がこれをしっかりと弾き返してゆく。
26分、藤田のパスを受けた中村が早めに中へ入れて蹴るが、ボールは大きく、詰めていたヨンセンの頭上を抜けてしまう。
27分、左から縦パスに抜け出した杉本がそのままエリア内へと侵入、上手く前にコースが空いて絶好のチャンスを迎えるが、体勢を整える前にDFに詰められ、シュートを打ちきれず。
29分、広島の右からのCK。ゴール前へと巻いてくるボールは楢崎が体勢を崩しながらもしっかりと抑えてゆく。 |
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〜試合終了 |
32分、相手陣内中央ゴール正面の位置でのFKのチャンスを得る。ここで蹴るのは本田。ゴール前で落ちるボールに相手GKが弾くのが精一杯だったが、こぼれ球には誰も詰めることは出来なかった。 |
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34分、中央で相手パスを藤田がカットすると、すぐさまヨンセンに当てて自ら上がってゆこうとするが、ボールがヨンセンの足下に上手く収まらず、相手ボールになってしまう。
35分、右から駒野が細かいステップで抜け出して中へと入り込んでくると、マイナスのボールをゴール前に入れてくるが、中にいた須藤がすぐにこれに反応、縦に蹴り出す。 |
【交代:78分・名】
杉本片山 |
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37分、左から山口にとのワンツーで本田が入り込んでくると、そのままゴール正面、ペナルティアークの手前で倒され、絶好の位置でのFKを得る。
38分、このFKの場面で本田ではなく、中村が右足で直接狙って蹴っていったが、ボールに抑え効かず、クロスバーの上を抜けてゆく。 |
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40分、右からのCKのチャンス。本田のボールに正面でヨンセンとスピラール、遠いサイドで増川が待ち構えるが、誰もこれは触れることは出来ず。
41分、相手陣内右中程でのFKのチャンス。 |
【交代:83分・名】
山口渡邊 |
42分、本田がFKを蹴っていったが、ニアサイドの広島の選手の頭に弾き返されてしまう。 |
【交代:86分・広】
柏木李 |
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43分、左からのCKのチャンス。中村からのボールが遠いサイドに抜けると、スピラールが頭で折り返すが、上手く中へと入れてゆくことが出来ず。 |
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ロスタイム1、右に抜け出してきた駒野のクロスを逆サイドで森崎(浩)が待ち受けるが、増川が体を張ってこれを抑え、ヘディングでのシュートは打たせなかった。
ロスタイム2、左から服部がゴール前へと放り込んでくるが、渡邊が落ち着いて蹴り出して行く。 |
【交代:89分・広】
佐藤前田 |
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そして試合は最後まで広島のゴールネットを揺らす事が出来ないまま、終了を迎え、勝ち点1ずつを分け合う形のスコアレスドローに。
ヨンセン、中村が遠征疲れでキレが無く、金も本来の調子が出せなかったことを考えれば、今日の勝ち点1は負けなかったと言うことでは、大きな勝ち点と言っても良いかもしれない。
最後まで熱い声援ありがとうございました。 |
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