|
|
2006 Jリーグ ディビジョン1:第19節 |
夕方から、等々力競技場の上空を覆っていた黒い雲も少し遠くに流れ、午後6時を回った当たりから雲の切れ間からうっすらと夕日が差し込んで来るようになる。それでも、天候は相変わらず不安定のため、今後の天気が少し心配だ。そして、午後6時25分。屋内でアップを終えた選手達がフィールドへと顔を出し、アウェイスタンドのサポーターの陣取るエリアの目の前を通過してゆく。平日ナイトゲームということもあり、数的には少し寂しかもしれないが、その分、いつも以上に大きな声で気合いの入った声援を送ってくれそうだ。ピッチ内で軽いランニングで体を解すと、すぐに2人1組に分かれ、対面でボールを使ってゆく。 |
|
日が沈んで少しは涼しくなるかと思われたが、上空を厚い雲が再び覆い始め、空気に湿度が混じり、その分蒸し暑さを感じるようになる。ボールを蹴り合い終えると、狭いエリア内でのボール回しをスタートさせる。来日してまだ1ヶ月も経たないとは思えない程のフィット感を見せているヨンセンも、思った程暑さを感じさせない事もあってか、軽快にボールを扱っている。前節こそゴールはなく、連続得点を決めることが出来なかったが、彼がいる分、チーム攻撃にバリエーションが増えたことで、攻撃陣が着実に得点を挙げるようになり、チームの得点力は上がってきている事は確か。今日も彼を中心とした分厚い攻撃が見られることを期待したい。 |
|
|
しかし、注目の選手と言えば金正友だろう。ドイツW杯に行けなかった悔しさの分を名古屋でしっかりと実績を積み上げ、チームでのコンディションを上げ始めていたところでオランダキャンプに行き、一気にブレイク。その後は戻ってから4試合で3得点と影の得点王とも賞される程。持ち前のハードでキレのあるマークが災いし、ここ2試合は出場停止となってしまうが、その分、新生韓国代表で活躍を見せ、今絶好調の選手と言っても良いだろう。今日は、彼の活躍が名古屋の勝利に大きな影響を与えてくれるはず。しっかりと注目したい。
午後6時45分、真っ黒な雲と暗闇が等々力陸上競技場を包んだ中、アップを終えた選手達はしっかりと汗を浮かべながらロッカーへと消えていった。 |
〜前半15分 |
BGMが鳴りやみ、ざわついた声がスタジアム内を包んでいるキックオフ直前。そして、夕闇の中に生演奏の管楽器が鳴り響く中、フェアプレイフラッグが入場し、スタジアムの雰囲気を緊張させると、その後に、大音響と共に両チームイレブンがゆっくりとした足取りで入場を始める。川崎の選手達より先に、集合写真を撮り終えると、名古屋のイレブンはピッチへと一気に広がってゆく。
左エンドのホーム・川崎に対し、上下赤のユニフォームに身を包んだ名古屋は右から左へと攻め上がってゆく。そして、川崎のキックオフで前半がスタート。今日は、GK楢崎、DFは大森・秋田・古賀の3バック、MFは杉本が右に、左サイドは須藤が務め、ボランチに山口、トップ下は中村と金、FWはヨンセンと玉田という3-5-2の布陣で臨む。 |
|
|
|
1分、左からの川崎のCK。川崎・マギヌンのショートコーナーのボールを川崎・マルコンが入れてこようとするが、大森がしっかりと跳ね返してゆく。
4分、右から川崎・中村が上がってくると、横パスを入れてくる。縦に上がってきた川崎・箕輪がスルーし、一瞬フリーな場面になってしまうが、ここは金が寄せてゆく。 |
|
|
|
5分、DFの裏へのボールに中央から飛び出したジュニーニョが強烈なシュートを打ってくるが、これはオフサイドに。予想通り、立ち上がりから川崎が早いパス回しから仕掛けてくるが、前節の途中出場で気迫溢れるプレイでチームを引っ張った秋田を中心として、DF陣も落ち着いたプレイを見せている。
8分、ヨンセンが縦パスを受けると、右に上がる杉本に合わせてパスを送ってゆくが、これはDFに止められてしまう。 |
|
|
|
9分、川崎・我那覇が右に下がってきてパスを落として前線へと繋いでゆこうとするが、山口・金がしっかりと寄せてパスをカットしてゆく。
10分、ヨンセンが戻したボールを前に出て受けた大森がその位置からロングシュートを狙うが、これはボールが飛びすぎてしまう。
12分、左で川崎・マルコンが杉本をかわしてクロスを入れてこようとするが、これは精度を欠く。 |
|
|
|
13分、下がってパスを受けたヨンセンが上がってゆく中村に預けると、これを反転してシュートを狙ってゆくが、DFの足に当たって弾かれる。 |
|
14分、右からの川崎のCK。川崎・中村のボールが逆に抜けたところをマルコンが折り返して、ゴール前に詰めていたジュニーニョに左足であわされて、失点を許してしまう。こぼれ球への反応の早い川崎の選手に手こずり、名古屋はなかなか自分達のサッカーをやらせてもらえない。ここは早く気持ちを切り替えて、早くペースを掴んでゆきたいところだ。 |
【得点】
14分 ジュニーニョ(川崎) |
〜前半30分 |
17分、相手陣内深くの右寄りの位置でボールを持った玉田がそのままミドルシュートを狙うが、これはGKに弾かれてしまう。 |
|
|
|
|
|
18分、しかし、このシュートで得たCKのチャンスに玉田からのボールがゴール前にこぼれたところを、秋田が2試合連続となるシュートを右足から決めてすぐに追い付き、試合を振り出しに戻してゆく。
19分、川崎・中村からのスルーパスに中央から抜け出したジュニーニョが楢崎と1対1になるが、しっかりと前に出てコースを消してゆくと、右足からのシュートはポストの左に外れる。
22分、杉本が須藤とポジションを入れ替えてゆく。川崎・飛弾が右に上がってくると、寄せてきたジュニーニョとのパス交換を仕掛けてくるが、ポジションを変えた杉本がしっかりと体を入れてボールを奪ってゆく。 |
【得点】
18分 秋田(名古屋) |
|
|
24分、右に上がる川崎・飛弾がゴール前へ低いクロスを入れてくると、中央で我那覇、逆サイドからはマギヌンが詰めてくるが、ボールはその足下を抜けてゆく。 |
|
26分、右からの川崎のCK。川崎・中村の大きく蹴ったボールが逆サイドへ抜けると、これをマルコンが縦に繋ぎ左深くからゴール前に上げたボールを中央で我那覇にヘディングシュートを決められ、またしても川崎に先行を許してしまう。
28分、左サイドで相手ボールをカットした山口からのパスを受けた杉本が、前に走る玉田のスピードを生かそうと早いパスを送ってゆくが、これは長すぎてしまい、ボールがタッチを割ってしまう。 |
【得点】
26分 我那覇(川崎) |
〜前半終了 |
30分、左から山口のDFの裏へのボールに猛スピードで杉本が拾いにゆくが、川崎DFに激しい当たりに阻止されてしまう。
31分、右から抜け出してきたジュニーニョの右足からのシュートは、楢崎が右手一本で弾き飛ばしてゆく。
32分、左からの川崎のCK。マギヌンのボールはゴール中央でしっかりと跳ね返してゆく。 |
|
|
|
34分、杉本からのスローインのボールを引いてきたヨンセンがトラップをしながら、前線に待つ金へと送ってゆくが、体を寄せていたDFへのファウルを取られてしまう。
35分、自陣左エリアのすぐ外という危険な位置でFKを川崎に与えてしまう。 |
|
36分、川崎・中村のボールが相手に当たったところでゴール前の味方に当たってしまい、これがオウンゴールに。
39分、相手ゴール前へのロングボールをDFと競り合いながら玉田が受けようとするが、これはDFとの奪い合いでファウルを取られてしまう。
|
【得点】
35分 オウンゴール(川崎) |
|
|
41分、左で相手ボールを奪った渡邊が縦に金へと渡すと、これをすかさずロングボールを蹴り出し玉田を走らせるが、これには追いつけず。
42分、右から箕輪の縦のスペースへのグラウンダーに飛弾が抜け出そうとするが、ここは渡邊がしっかりとついて行く。 |
【交代:39分・名】
須藤増川
杉本渡邊 |
|
|
|
|
43分、左にスピードに乗って抜け出した渡邊がダイレクトで絶好のクロスを入れると、逆サイドから詰めてきたヨンセンがタイミング良くこれを合わせ、しっかりとボールを叩きつけた、見事なヘディングシュートを決め、1点差とする。
ロスタイム1、左サイドを抜け出そうとしてきた川崎・マギヌンに対し、秋田が激しいタックルを見せてこれを止めてゆく。そして、前半は2-3という派手な点の取り合いで終了となる。常に先制してゆく川崎に対し、名古屋も下を向くことなく、しっかりとゴールを奪って追いかけてゆくという展開。今のチームの勢いがあるからこそ、素晴らしい粘りを見せる事が出来ていると言える。後半は、出来るだけ早い時間帯にまずは同点として、試合を振り出しに戻し、改めて試合の主導権を握ってゆきたい。 |
【得点】
43分 ヨンセン(名古屋) |
〜後半15分 |
エンド入れ替わり、左から攻め上がる名古屋のボールで後半が始まる。DFは増川・秋田・古賀の3バック、右サイドは大森、左は渡邊が入る。
1分、渡邊のダイレクトボールを拾いに玉田が走るが、DFにカットされ左からのCKに。
2分、中村のボールを遠いサイドの増川が頭で折り返すと、ニアサイドのヨンセンがこれを頭で流し込もうとしたが、ボールはポストの左へ。
3分、自陣中程やや左での川崎のFK。川崎・中村がGKとDFの間を狙って蹴り入れてこようとしたが、増川が頭で跳ね返す。 |
|
|
|
4分、自陣中程、今度はやや右での川崎のFK。マギヌンが直接狙って蹴ってくるが、ボールは大きくクロスバーの上を抜けてゆく。
5分、大森が中村とのワンツーで右サイドを抜け出してゆくが、球足が速く、追い付く前にゴールラインをボールが割ってしまう。
7分、秋田の縦パスを金が落とすと、これを中村が相手DFの裏へと送って玉田を走らせるが、僅かにパスが長すぎてしまう。
8分、中央を抜け出したジュニーニョのパスを右に走り込んだ川崎・我那覇がフリーで受けると、シュート体勢にくるが、古賀がしっかりとこれに寄せて阻止する。 |
|
|
|
11分、左からの川崎のCK。川崎・中村の蹴り入れてきたボールは遠いサイドの古賀が頭で弾き出してゆく。
12分、相手陣内右中程でのFKのチャンス。この場面で玉田が左足でゴールに向かって曲がるボールを入れると、中央で秋田が走り込んでゆくが、マークに付いてきたDFにボールを弾かれてしまう。
14分、左サイドでジュニーニョが粘って落としたところをマルコンが受けてゴール前にと放り込んでくるが、これは楢崎が抑えてゆく。 |
|
〜後半30分 |
16分、狭いエリアの中でパスを繋いでくるが、中村が厳しいファウルギリギリのプレイで止めてゆく。
17分、自陣左中程での川崎のFK。川崎・中村のボールにマルコンが合わせてくるが、ボールは大きくバーを越えてゆく。ここ数試合の名古屋の得点源でもあるカウンターをする余裕がない程、川崎の攻守の切り替えが早い為、名古屋はなかなか攻撃の糸口が見えない。 |
|
|
|
19分、左からのゴール前へのクロスが逆サイドにこぼれたところを箕輪に拾われると、これを深く持ち込まれたところでマイナスに入れてきたところを、ゴール前に待っていたジュニーニョに合わせられて2-4とされてしまい、またしても苦しい展開に。
21分、左の渡邊の入れたパスを玉田が縦に送ると、金がこれを落としたところに中央で山口が拾って攻め上がりを見せるが、トラップが流れたところを奪われてしまう。 |
【得点】
64分 ジュニーニョ(川崎) |
|
|
23分、エリアの外からマルコンがミドルシュートを放ってくるが、これは楢崎が正面でしっかりと抑えてゆく。
25分、下がってパスを受けたヨンセンが左に駆け上がる渡邊に合わせてパスを出してゆくが、川崎DFの早い戻りにパスをカットされてしまう。
26分、自陣から押し上げようと金に送ったパスを奪われると、中村がミドルシュートを狙ってくるが、これはポストの左に。
27分、相手陣内右中程でのFK。中村が低い弾道のボールでゴール右隅を狙うが、これは相手GKの守備範囲。 |
|
|
|
28分、自陣からのロングボールに玉田が久し振りに前を向いてドリブルを仕掛けてゆくが、相手DF2人による厳しい寄せにボールを奪われる。
29分、左スペースのパスをジュニーニョが受けて中を狙って蹴ってくるが、このボールは大きく逆サイドを抜けてゆく。 |
|
〜試合終了 |
30分、秋田を代えて、大森がDF中央に入り右に津田が入る。
33分、中央をスピードに乗ってジュニーニョが勝負を仕掛けてくると、楢崎の目の前まで来たところで右足のアウトサイドからのシュートを狙ってくるが、これはクロスバーの上へ。
34分、右から山口がゴール前へ好クロスを入れてゆくと、ヨンセンが中央で飛び込んでゆくが、ボールには触れない。
36分、ヨンセンが中央で体勢を崩しながら玉田にパスを送ると、これを左足からシュートを狙ってゆくが、飛び出したGKに弾かれてしまい、決めることは出来なかった。 |
【交代:77分・名】
秋田津田 |
|
|
37分、左でパスを受けた金がゴール前に走り込む津田にパスを入れてゆくが、タイミングが合わず、DFに奪われてしまう。
39分、津田のダイレクトで縦に送ったパスを中村が追いかけるが、これはDFに体を入れられてしまい拾うことが出来ず。 |
|
43分、中央でヨンセンに当てたボールを金が拾って更に縦に勝負を仕掛けようとして倒されるが、これはファウルはもらえず。 |
【交代:86分・川】
我那覇黒津
飛弾井川 |
|
|
ロスタイム1、左から持ち上がる渡邊がゴール前へと入れてゆこうとするが、これはポスト左に流れてしまう。
ロスタイム2、中央で黒津にパスをカットされると、付いてきたジュニーニョを経由して、右にフリーで上がってきた選手へとパスが通るが、楢崎が飛び出して体を張ってこのシュートを抑えてゆく。そして、自陣深くでジュニーニョが粘っているところを、増川・津田が厳しく寄せてボールを奪い楢崎に預けると、大きく前線で待つヨンセンへと繋ごうと蹴り出したところで試合終了が告げられる。
前半から奪われても、しっかり奪い返しにゆく粘りあるプレイを続けていたが、豊富な運動量を武器に、中盤から早いプレスでボール奪って仕掛けてくる川崎の攻撃を最後まで押し返して、逆転へと試合を運んでゆくことは残念ながら出来なかった。最後まで熱い声援ありがとうございました。 |
|