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2006 Jリーグ ディビジョン1:第17節 |
開場直前まで大粒の雨を降らしていた黒い雲も何処かに消え、午後6時を回った頃からは、うっすらと夕焼けに彩られた青空が垣間見えるようになる。
そして、午後6時20分、夏休みの土曜の試合ということもあってか、いつも以上にギッシリとスタンドを埋め尽くした名古屋サポーターの前に選手達が現れると、大きな声援が巻き起こる。スタンドへとサイン入りのグッズを投げ入れ、足早にピッチ内へと入ってゆくと、改めて瑞穂陸上競技場の多くのサポーターへと手を振り、ウォーミングアップをスタートする。 |
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チームが連勝してきている事で、サポーターの顔も明るいが、それ以上に選手達も自信に満ちあふれているようで、ピッチで体を解している時の表情にも余裕が見える。名古屋入りして、すぐの千葉戦では2ゴールという強烈なデビューを果たしたヨンセンも、この2週間の中断期間にすっかりと選手達とのコミュニケーションも出来たようで、しっかりと溶け込んでいるようだ。全員でストレッチを行うと、先発メンバーはフィジカルメニューを始め出す。その後、対面でのボールを使ったメニューで体を慣らし、思い思いにボールを使いながら、シュートやドリブル、ロングボールを蹴り合いながら、芝生のチェックに時間を割く。愛知県選抜とのトレーニングマッチで負傷した玉田も驚異的な回復力を見せ、今日は先発メンバーへとしっかりと名を連ねた。最後の芝生のチェックの時も若干足を気にしながらも軽快な動きを見せながら、左右の足からのシュートを繰り出していた。 |
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チームが良い状態の時だけに、彼にもチームの勢いを加速させるような活躍でチームの勝利に貢献できるゴールを今日は決めて欲しいところだ。「中村、決めろよ!ウォウウォ〜」とサポーターからの大きなコールを受ける中、中村も最後までシュートやドリブルに時間を掛けていた。
27才にして初の代表招集を受けた遅咲きの彼だが、名古屋ではチームの顔と言える程の存在感を見せている。今回の代表で更に輝きを増した中村のプレイにも今日は期待したい。午後6時45分。心なしか涼しい風が吹き始めた中、最後まで練習に余念のない控えのGK川島を残して、先発メンバーはロッカーへと向かっていった。 |
〜前半15分 |
すっかり上空が夕闇になった中を、サポータの唱う応援歌に合わせて両チームイレブンがピッチへと入場してくると、スタジアムのボルテージが一気に上り詰めてゆく。前半は、右の甲府に対し、ホーム・名古屋は左から右へと攻め上がる。キックオフはその名古屋からだ。今日の先発は、GK楢崎、DFは大森・スピラール・古賀・本田の4バック。MFは中村と山口が並び、その前に藤田、FWはヨンセンを中央に、右に杉本左に玉田という、4-3-3の布陣で挑んでゆく。 |
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1分、早速ヨンセンに入ったボールを頭で左のスペースへと流し込んだところへ玉田が走り込んでゆくが、これは惜しくもオフサイドの判定。
2分、中央を甲府・茂原がドリブルで上がってくると、遠目から強烈なシュートを狙ってくるが、ボールはポストの左へ。 |
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4分、右から杉本がボールを持って勝負をかけようとするが、その前に早い寄せを受けてボールをカットされてしまう。
6分、右の大森が縦に送ったボールをヨンセンが頭で落とすと、これに玉田が寄せてバウンドしたところを頭で縦に流し込もうとしたが、DFに先にカットされてしまう。ここまでは、まだ蒸し暑いこともあってか、両チーム共にあまり飛ばすことなく、ボールが両陣営を行き来し、流れはどちらにも傾いてはいない。 |
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9分、左で縦に本田が出したボールは、ポジションを変えていたヨンセンの頭を越えて行く。 |
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11分、左から藤田の縦パスに抜け出した玉田が、飛び出してきたGKをよく見て、チップキックを狙うと、見事無人のゴールを捉え、幸先の良い先制点を決める。
13分、自陣中程やや左での甲府のFK。良い流れが出てきただけにここは集中してゆきたいところ。 |
【得点】
11分 玉田(名古屋) |
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14分、このFKを甲府・山本が豪快な直接狙いのボールを打ってくると、楢崎の指先をすり抜けて行くが、クロスバーに助けられる。 |
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〜前半30分 |
16分、自陣右エリアのすぐ外でのFKを甲府に与えてしまう。甲府・藤田がこのボールを蹴ってくるが、今度は壁の選手がしっかりと跳ね返してゆく。
18分、自陣右中程での甲府のFK。今度は甲府・石原が左足でゴール前へと入れてこようとしたが、大森がその前で頭で跳ね返してゆく。
19分、自陣左でルーズになったボールを拾った甲府・長谷川が遠い位置からシュートに来ようとするが、これは体勢を崩し、ボールは左に大きく流れてゆく。 |
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20分、左の深い位置でボールを受けた本田が久し振りに持ち上がってゆくと、藤田に当てて、縦にではなく中へと流れて行くが、これは気持ちが通じず、藤田のパスはタッチの外へ。
22分、中村の縦パスを受けた玉田が右に流れてゆきながら、中へと切り返してゆこうとするが、甲府の厳しいマークに前は向かせてもらえず。 |
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24分、左サイドで本田がヨンセンの足下に早いパスを入れると、これを受けようとしたところでDFに倒されるが、これはファウルにはならず。
25分、自陣中央入ったところでの甲府のFK。甲府・山本が直接狙おうと蹴ってきたボールは、クロスバーを越えてゆく。
26分、甲府が早いカウンターを見せると、左に流れながら石原の入れたボールに中央で甲府・須藤が飛び込んでくるが、その前に体を入れたスピラールがボールを跳ね返して行く。 |
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27分、ゴール前の混戦でボールがルーズになったところを甲府・石原がエリアの中の至近距離からシュートを放ってくるが、楢崎がコースに体を入れてしっかりとボールを抑え、ゴールを割らせることはなかった。
29分、左サイドをヨンセンの落としたボールを持ち上がった本田が併走する玉田に預けると、これを中へと入っていきながらシュートを狙うが、右足でのシュートを躊躇したところでボールを奪われてしまう。 |
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〜前半終了 |
32分、右サイドをスピードに乗って仕掛けてきた甲府・杉山だったが、古賀がしっかりと足を入れて、ボールをカットしてゆく。 |
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33分、玉田の中央でのスルーパスに抜け出した杉本がそのまま持ち上がると、前に詰めてきたGKをかわして右足からのシュートを打ってゆく。ボールは右のポストの内側を抜けてゴールネットを揺らし、見事な追加点となる。
36分、中央でDFの足下を突くパスを入れられると、これを甲府・長谷川が詰めた楢崎の右に狙ってシュートを打ってくるが、このボールはポストの右へ。
38分、右でキープする玉田が縦に走る藤田を見て、角度のあるパスを縦に送ってゆくが、DFが伸ばした足に当たってしまう。
40分、中央で中村がパスを受けると、左にポジションを変えている杉本へパスを送る。これを左サイドを上がる本田を待ってタッチ沿いにパスを出すが、本田の足に届く前にタッチを割ってしまう。しかし、杉本による2点目が決まったことで、チーム全体の動きも良くなり、試合の流れを名古屋がしっかりと掴んでいる。
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【得点】
33分 杉本(名古屋) |
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43分、左から上がってきた本田が中央に待っている玉田にパスを出すと、これをワンタッチで、DFの裏へと入れてゆくが、前線にいたヨンセンの動きとは逆方向に。
44分、左サイドタッチ際の深い位置から甲府・長谷川がクロスを入れてくるが、これは楢崎の正面。
ロスタイム1、右からの甲府のCK。甲府・石原の左足からのボールは中央で流したところを遠いサイドの選手が頭で押し込んでこようとしたが、ボールはクロスバーを大きく越えてゆく。そして、ここで前半が終了に。スピードのあるFW2人、玉田・杉本のゴールにより、名古屋がガッチリと試合の流れを掴んでいる状況が続いている。時折、ゴール前での甲府のシュートの場面もあったが、各選手がしっかりと体を張ってゴールを守っている。後半もこの集中力を続けることで、勝利が近づいてくるはずだ。そのためにも、まずは後半立ち上がりを落ち着いて入ってゆきたいところだ。 |
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〜後半15分 |
1分、藤田の縦パスに右に抜け出した杉本。そのまま切れ込んで左足からのシュートが枠を捕らえるが、これは相手GKに阻まれてクロスバーの上へ弾かれる。
2分、左からのCK。本田のボールを中央に詰めていたヨンセンが頭で狙うが、ボールはポスト左へ。
5分、右から玉田がDFをかわして抜け出すと、エリア内へと深く侵入したところでマイナスにパスを寄せてきた藤田に送ろうとしたが、右足からのボールということでコントロールできず、相手DFにカットされてしまう。 |
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7分、左からゴール正面に入ってきたボールを甲府・藤田がワンタッチでゴール前に入れてくるが、このボールは楢崎が余裕で抑えてゆく。
9分、左から持ち上がってきた甲府・山本のシュート狙いのクロスは、大きく左に逸れてゆく。 |
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11分、右に上がってきた甲府・杉山のマイナスのパスを中央で受けた甲府・長谷川がコントロールして右足からのシュートをDFの間を抜いて狙ってくる。味方の選手が影になったこともあり、楢崎は一歩も動けず、ゴールを奪われてしまう。 |
【得点】
56分 長谷川(甲府) |
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14分、自陣からのロングボールをヨンセンが競り合いから頭でスペースに落とすが、ここには誰も詰め切れず。 |
【交代:57分・名】
藤田須藤 |
〜後半30分 |
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16分、自陣でボールを奪うと、玉田が大きく右に展開。これを杉本が受けるとその前を走り抜けた中村の前にパスを送ってゆく。そして中央に上がってきたヨンセンにラストパスを流し込んでゆくと、長い足を伸ばしてこのパスをしっかりと捉えて、この日3点目となるゴールを奪ってゆく。
19分、左の本田からの縦パスを玉田が追いかけるが、さすがに球足が速すぎてしまい、追いつけず。
21分、右タッチ際で甲府・杉山がボールを持って攻め入ってこようとしたが、本田が厳しいプレッシャーを掛けボールをしっかりとカットしてゆく。 |
【得点】
61分 ヨンセン(名古屋) |
23分、左でボールを持った玉田が中央の中村へ送ると、これを引きつけて右に上がる大森にパスを通してゆく。そのまま大森が持ち上がると、DFの裏へとループ気味のパスを送ると杉本が走り込むが、足には届かず。
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【交代:67分・甲】
須藤山崎 |
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26分、右にこぼれたボールを山口がそのまま縦に持ち込もうとしたが、厳しい寄せに奪われてしまう。しかし、中央をスルーパスに抜け出していった中村が寄せてきたGKをしっかりとかわして、左足からのシュートをきっちりと枠に収め、この日4点目となるゴールをきっちりと決めてゆく。 |
【得点】
71分 中村(名古屋) |
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【交代:73分・甲】
林大西 |
〜試合終了 |
31分、右からのCKのチャンス。本田の入れたボールに遠いサイドに詰めていた古賀が頭で合わせにゆくが、ボールは僅かに頭上を抜けてしまう。
32分、縦に入ったボールがゴール前で落ちたところに詰めてきた甲府・長谷川のシュートはポストの左に。
34分、右サイドで古賀のパスがカットされると、ゴール正面へと入れてきたところで甲府・茂原がシュートを狙ってくるが、正面に入ったスピラールがカットしてゆく。 |
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37分、右からの甲府のCK。甲府・藤田のボールはニアでしっかりと跳ね返してゆく。右にドリブルで持ち上がっていった津田が、DFの厳しいマークに遭うが上手く抜け出すと、深い位置からマイナスに折り返すが、パスコースを遮られてしまい、味方に届かせることが出来なかった。 |
【交代:80分・名】
玉田津田
【交代:81分・甲】
長谷川アライール |
41分、中村が相手パスをカットすると、そのまま縦に送ってヨンセンへと届けて行く。これを持ち上がってゆくと、シュートを狙うがコースを阻まれていた為、左についてきた片山へと繋いでゆく。しかし、パスが長すぎてしまい、足下には収めることが出来なかった。甲府も最後の粘りを見せ、中盤でパスを繋ぎながら名古屋のスペースを狙ってシュートを狙ってきたが、DF陣が落ち着いてボールを跳ね返してゆく。 |
【交代:85分・名】
杉本片山 |
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44分、右に抜け出した津田がそのまま持ち上がって行くと、左足に切り返したところで、先ほどのようなパスではなく、左足からのシュートを放ってゆく。そしてこのシュートが見事ゴールを捉え、ついにこの日の、怒濤のゴールラッシュを締めくくるような鮮やかな、J初ゴールをサポーターの前で叩き出す。
ロスタイム1、相手陣内左中程でのFKを得るが、もはや残り時間が無いこともあり、選手達は慌てることなく、ゆっくりとボールを繋いでゆく。
ロスタイム2、DFラインの逆を突いて、左からタイミング良く抜け出した本田がそのまま持ち込んで行くと、角度のないところから左足でシュートをゴール右隅に狙って蹴っていったが、僅かにポストの右に外れてしまう。そして、今季初の3連勝、玉田・杉本・ヨンセン(ホーム初ゴール)・中村・津田(J初ゴール)という、攻撃の選手5人がきっちりと結果を出した見事な勝利が、主審の長い笛で伝えられる。
今シーズン最高の結果を見せた名古屋、最後まで熱い声援をありがとうございました。 |
【得点】
89分 津田(名古屋) |
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