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2006 Jリーグ ディビジョン1:第15節 |
ようやく夏が到来した事に喜ぶセミの声がスタジアムにこだまする中、いつもよりも10分程遅れて、選手達がウォーミングアップに現れると、名古屋サポーターから大きな声援が飛ぶ。
10分程前には、新加入外国人FWのフローデ・ヨンセン選手が挨拶を交わしたばかりと言うこともあって、サポーターは早くも興奮気味に。いつも通り、スタンドにオリジナルグッズを投げ入れた後、選手達はスタンドに手を振り、ピッチへと向かうと、すぐに体をほぐし始める。久し振りに先発に顔を揃えた藤田・古賀の2人も気合い充分な様子で体を動かしている。 |
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そして、ピッチ横のベンチではフェルフォーセン監督・ドワイトコーチが厳しい表情でその様子を伺っている。今の、苦しいチーム状況の中、恐らくはこの2人が一番辛い思いをしているのではないだろうか。チーム初の、オランダでのキャンプを充実した内容の中で終え、満を持して日本に戻り、リーグ戦再開に臨んだにもかかわらず、思った結果が出せないと言うよりも、キャンプで身に付けたものがなかなか発揮できない事への苛立たしさで恐らく胸中は一杯のはず。 |
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そして、サポーターに申し訳ないという気持ちもそれ以上に大きく胸の中を占めているはず。昨年の苦しいチーム状況を立て直すべく招聘した監督の手腕を信じてここまで来ているだけに、後は選手達が自信を取り戻してくれさえすれば、チームの勢いは盛り上がるはず。選手達にはそのことを理解した上で、しっかりとプレイして欲しいところだ。ガンバ戦での内容から、今日は守備の選手を3人代えてきた。久し振りのホームサポーターの前でゴールを守る役を得た楢崎も、気迫溢れる雰囲気を練習から見せている。彼を含め、藤田・古賀と言った、経験豊富な選手が入ったことでの安定感、そして緊張感と集中力、全てを高めて今日の試合の勝利に貢献して貰おう。
午後6時45分、先発メンバーも殆どピッチを去った後に、最後まで川島と納得ゆくまでボールを蹴っていた山口がロッカーへ去ってゆくと、いよいよキックオフに向けて、スタンドのテンションが盛り上がり始める。
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〜前半15分 |
日差しこそ、太陽が西に隠れ、夕暮れへと向かったが、相変わらず気温は高く、名古屋特有の蒸し暑さとサポーターの声援とで、スタジアム全体が熱気で溢れている。左エンドの大宮に対し、名古屋は右から左へと攻め上がってゆく。前半は、ホームの名古屋のボールで試合開始。
今日の先発は、GK楢崎、DFは大森・スピラール・古賀の3人。MFは右に中村、左は本田、中央は藤田がやや下がり目に位置し、その前に山口と金が陣取る。FWは玉田と杉本のスピードコンビだ。 |
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1分、中村からのタッチ際での縦パスを杉本が追うが、ここは大宮・土屋の厳しい寄せにプレイさせてもらえず。
2分、自陣中央でボールを受けた大宮・グラウがミドルシュートを狙ってくるが、これは大きくゴールを越えてゆく。
4分、縦にスピラールが跳ね返したボールが相手DFまで届くと、これの処理にもたつくところで杉本と山口が詰めてゆくが、ボールには触れず。
5分、相手陣内左中程でのFK。中村が上がっているスピラールに蹴ると見せかけて、本田がつま先で鋭いボールを蹴って直接狙っていったが、ボールは落ちきらず、バーの僅か上に抜けてしまう。 |
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7分、右で杉本がDFを置き去りにして縦に抜け出すと、ゴール前へと折り返してゆく。中央を詰めた玉田・山口には届かなかったが、逆サイドで本田がこれを拾い、更に中へ入れてゆく。反対に詰めてきた中村がダイレクトで中へ落としていったが、GKが正面で抑えてしまう。
9分、右深くでグラウがフリーのボールを拾うと中へと入れようとしてくるが、寄せた大宮・桜井へスピラール・金がしっかりと寄せてボールを奪ってゆく。
11分、左で金と本田で細かいパスを繋いで中へと抜けてゆこうとしたが、これはスペースが無く、止められてしまう。 |
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12分、自陣中程左での大宮のFK。小林(大)が右足から伸びるボールを蹴ってくるが、楢崎が落ち着いてキャッチ。
13分、相手陣内左深くでドリブルを仕掛けようとした玉田が倒され、FKを得る。今度は本田が動いて、中村が右足からカーブの掛かったボールを狙ってゆくが、DFに弾かれ、ポストの左へ。立ち上がりから良いリズムで試合を進めている名古屋。このテンポを続けて試合の主導権を握っている間に先制点が欲しいところだ。 |
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〜前半30分 |
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18分、左から上がってきた本田が中へとパスを入れると、これを右に上がる中村に山口が届けてゆく。そして、左足に持ち替えたところで強烈に振り抜いたシュートでゴールネットを揺らすと、最高の形で先制点が決まる。
19分、左から大宮・冨田が持ち上がってくるが、大森が粘り強く付いてゆき、クロスを入れさせることは無かった。 |
【得点】
18分 中村(名古屋) |
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22分、右のスペースへとグラウが出したパスを大宮・久永が中を狙ってくるが、古賀がしっかりと付いていって、クロスを跳ね返してゆく。
24分、左から本田が抜け出してゆくと、中から左にと流れる玉田に合わせてスルーパスを入れてゆく。これを受けた玉田は左からではコースがないと見て、右足でシュートを狙ってゆくが、これはミートせずポストの左に。この時間は相変わらず名古屋がよいテンポでゲームを進める為、大宮はボールこそ持つものの、攻めあぐねてパスを回す場面ばかりが目立っている。 |
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29分、自陣中程中央での大宮のFK。小林(大)が左に上がる選手を狙って長いボールを入れてくるが、スピラールの陰に隠れ、触れたボールを簡単にラインの外へ。
30分、右から中村が早めのクロスを入れると、山口がスペースに飛び込むが、その前に体を入れたDFにクリアされる。 |
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〜前半終了 |
31分、左からのCKのチャンス。ゴール前へ入れたボールを中央で古賀がヘディングシュートにゆくが、ボールは浮いてしまいクロスバーの上へ。
33分、相手陣内中央真ん中でボールを持って前を向いた山口がコースが空いたのを見てミドルシュートを放つが、これは慌てたのか大きくバーを越えてしまう。
35分、本田からのロングボールを長い距離を走って受けた杉本だったが、中は向けずタッチ際へ出すのが精一杯。 |
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36分、右に開いたグラウにパスが通ると、DFの後ろの狭いスペースへグラウンダーのボールを入れてくる。中央で小林(大)が飛び込んでくるが、楢崎が落ち着いて正面で抑える。立ち上がりから思うと、少し疲れが見えたのか、名古屋の選手も出足が鈍りだしてくるが、大宮の選手も同様で、ルーズボールを奪い合う場面が目立ち始める。ここは不用意なパスミスをしないよう、しっかりと集中してゆきたい。
41分、スピラールの頭で落としたボールを大森が処理しようとゆくところで、大宮・桜井が体を入れてくるが、落ち着いて蹴り出してゆく。
42分、山口からの縦パスに本田が左サイドを上がってゆくが、ここは付いてきたDFにクリアされてしまう。 |
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44分、大宮・波戸が入れたボールを下がって受けたグラウをスピラールが倒してFKを与えてしまう。
ロスタイム1、小林(大)がゴール正面に入れたボールにグラウが飛び込んでくるが、その前に楢崎が落ち着いてキャッチしてゆく。
ロスタイム2、本田の縦パスをタッチ際で受けようと杉本が寄せてゆくが、厳しい後ろからのディフェンスにファウルを受けて倒されてしまう。そして、前半は本田が最後相手選手の寄せを心憎い個人技でかわしたところでホイッスルが鳴り、1-0という理想的な形で奪ったゴールを守りきって、後半へと折り返してゆく。前半途中からは飛ばし過ぎもあってか、運動量が落ちてしまったが、最後まで大事なところでは集中力を切らすことなくプレイが出来ていた。後半もこのペースを崩さず、集中した中で自分達のサッカーを自信を持って続けて欲しい。 |
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〜後半15分 |
前半、久し振りに良い流れからの中村のゴールで先制した名古屋。その後も攻撃の手を緩めることなく、攻め立てていったが、追加点は残念ながら奪うことが出来なかった。しかし、落ち着いた中で、ゲームをオーガナイズできているだけに、このペースで終了へと向かいたいところだ。エンド入れ替わり、後半は右エンドの大宮のボールで試合再開。 |
【交代:45分・大】
斉藤小林(慶)
片岡ディビッドソン |
1分、左で大宮・久永がパスを受けるが、中村が厳しく寄せて前を向かせない。
3分、左から大宮・冨田がゴール前に詰めている大宮選手に向けて早めのクロスを入れてくるが、ここは判断良く前に出た古賀が頭で弾き出してゆく。 |
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5分、右深くでパスを受けた杉本が倒され、好位置でFKを得る。この場面で中村が右足でゴール前に入れてゆくと、古賀・スピラールと飛び込んでゆくが、前に出た大宮GKにパンチングで弾き出されてしまう。
7分、相手陣内でのこぼれ球に玉田が絡んでゆくが、ここは大宮のDFにプレイさせてもらえず。
9分、自陣左深くでのルーズボールに寄せてくるが、中村が体を先に入れて、落ち着いて、大きく縦に蹴り出してゆく。 |
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11分、自陣左すぐの位置での大宮のFK。小林(大)が長いボールを入れてこようとしたが、詰めていた金が頭でクリアしてゆく。
12分、中村のクリアボールが相手に当たってピンチになると、ゴール正面に流れながら小林(大)がシュートを放ってきたが、ポストの左へ。
14分、左サイド深くで大宮・久永が大森と競り合いながら抜け出そうとするが、体を張ってこれをしっかりと阻止してゆく。 |
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〜後半30分 |
16分、自陣中央ゴールほぼ正面のところでの大宮のFK。小林(大)が鋭いボールで、直接狙って蹴ってきたが、楢崎が正面で抑えてゆく。 |
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17分、本田のパスに左から抜け出した金が、寄せてきたDFを落ち着いてかわすと、右足からのシュートを相手ゴールに沈め、待望の追加点が決まる。 |
【得点】
62分 金(名古屋) |
20分、右でパスを受けた山口が勝負を仕掛けると、グラウンダーのボールを上がりながら入れてゆくが、これは詰めた津田まで届かず。
22分、左に抜け出した津田のボールがDFに当たってこぼれると、寄せてきた本田が落ち着いて中へ流すと、後ろから詰めてきた藤田がダイレクトでシュートにいったが、これは抑えが効かず、大きくバーの上へ外してしまう。 |
【交代:62分・大】
桜井吉原
【交代:63分・名】
玉田津田 |
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24分、小林(大)がDFの足下を抜いてゴール前へ入れようとしたが、コースを読んだ大森が先にコースへ入って、ボールを処理してゆく。
25分、右からのCKのチャンス。本田の入れたボールはルーズボールとなるが、先にこれに詰めた杉本がシュートにゆこうとしたが、DFに弾かれてしまう。
28分、本田が左から入れたボールを津田が正面で受けると、左足からすかさずシュートに行ったが、これは相手DFが体を入れて止めてしまう。 |
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【交代:75分・名】
杉本豊田 |
〜試合終了 |
32分、右で山口が相手パスをカットしたところを受けた豊田が前に出してゆこうとしたが、体を寄せていた大宮・土屋との激しい奪い合いでファウルを取られてしまう。
33分、左サイドを抜け出していった金が鋭い切り返しでDFをかわして中へとパスを入れてゆくが、逆サイドに上がってきた豊田は、先に走り込んでしまい、ボールを触ることが出来なかった。 |
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34分、右から古賀をかわして抜け出してきた大宮・吉原のシュートは左に切れて、ポストの外へ。
37分、左で縦にドリブルを仕掛ける本田が、追走してくる金にパスを通そうとしたが、これは読まれてしまい、カットされる。
39分、左タッチ沿いで本田が津田に預けて前に抜けてゆくが、その前で津田が倒され、パスはもらえず。この時間帯になっても名古屋は集中力をしっかりと高く保ち、良い流れでゲームを進めている。何とかこのペースを残り5分少々続けてゆきたい。 |
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41分、右に抜け出した大宮・久永のゴール前への折返しは、スピラールが体を入れて頭で弾き出してゆく。
42分、大宮のFK。小林(大)のFKのボールは壁でしっかりと跳ね返してゆく。
44分、ゴール前へと入れてきたボールをパワープレイで上がっていた大宮・トニーニョが頭で落としてくるが、DFが落ち着いてこぼれ球を蹴り出してゆく。
ロスタイム1、藤田の左タッチ際での縦パスを山口がダイレクトで縦に送ると、これを津田が追いかけるが、その前でタッチを割ってしまう。 |
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ロスタイム2、ゴール前へのボールを上がっている大宮・トニーニョがヘディングシュートに来るものの、これは楢崎が難なくキャッチ。そして、約3分のロスタイムを経て、ようやく主審の右手が上がると、名古屋に待望の勝利が。
ここ2試合続けて苦しい戦いを見せていた名古屋だったが、今日は立ち上がりから自分達のサッカーをしっかりと見せ、理想的な形で2得点を挙げ、しかも相手には1点も与えず2-0で完封し、正に次に繋がる、自信に満ちたゲーム内容での勝利と言えよう。最後まで熱い声援をありがとうございました。 |
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