2006Jリーグ ディビジョン1・第10節
 昼間は春らしく暖かかったという関東地方だったが、夕方近くの雨の影響もあってか、午後6時を回った頃から、冷たい風がスタンド内を抜けるようになり、肌寒さを感じるようになる。
 午後6時25分、上空が薄暗さを増し始めた頃、名古屋の選手達が最後の調整のため、ピッチへと現れる。水曜のナビスコ杯・甲府戦を戦って中2日のハードスケジュールでここ味の素スタジアムに臨んできたが、今のところ疲れた様子はない。そして、スタンドに応援に駆けつけたサポータに大きく手を振ると、早速、ピッチに散らばり、体を動かし始める。
 誰もが、初の甲府での、それも2日間のトレーニングを行って、リフレッシュができたようで良い雰囲気だ。今日のF東京戦に向けた気負いは誰からも感じられない。そんな中で、今日の一番期待の選手はなんと言っても玉田だ。新天地を求めて、名古屋に移籍を果たし、昨年の怪我からも復帰しながら、ここまでPKによる1ゴールのみ。今日は日本代表・ジーコ監督も観戦に訪れるとのこと。最終メンバー発表までの残された時間の中、この試合は最高のアピールの場と言えるだけに、そろそろ爆発して欲しいところ。
 自ら2試合連続ゴールを決め、3試合続けて得点に絡む活躍を見せ、チームに勢いを付ける重要な役割を果たしそうなところで怪我のため戦列を離れてしまっていた本田も試合前から気合いが入っている。ここしばらく控えに回ることの多かった大森と共に、試合に出られなかったことで溜まった鬱憤を今日はしっかりと晴らす活躍を見せてくれると信じたい。しかし、今日の試合で最も注目は、やはり我らが名古屋グランパスエイトの守護神・楢崎とF東京・土肥とのGK対決だろう。まもなく発表されるドイツW杯代表のメンバー入りを掛けて、両選手の活躍は見逃せない。
なかなか勢いに乗れないチームの雰囲気を変えるのに、ジーコが見守る中での試合はそうとうな刺激になるはず。今日は玉田・楢崎という代表候補の活躍する試合展開となりそうな予感タップリだ。午後6時45分、ウォーミングアップを終えた選手達は、満足した表情で次々とロッカールームへ足早に消えていった。
〜前半15分
左エンドの、ホーム・東京に対し、上下赤で統一の名古屋は右にエンドを取る。前半は、ホーム・東京のキックオフで試合開始。
今日の先発は、GKは、日本代表・正GKの楢崎、DFは右から、大森・古賀・増川・阿部の4バック。MFは、右から中村・山口・金・本田の4人。FWは、杉本と玉田のスピードコンビによる、4−4−2の11人だ。
 
 
1分、右からのCKのチャンス。中村のボールに合わせた増川のヘディングシュートはバーの上へ。
2分、中央でパスカットした山口が右に流れながら中へパスを入れるが、これは待っていた玉田まで届かず。
3分、右サイド深く、東京・川口が切れ込んでくると中へと入れてくるが、ここは遠いサイドに詰めた選手のトラップミスに救われる。
 
 
4分、東京・鈴木の左足からのゴール前へのボールは金が頭で跳ね返してゆく。立ち上がりから東京がスピードに乗って攻勢を仕掛けてくるが、守備陣が落ち着いて対処、慌てる場面はない。
6分、左サイドで縦のスペースに出たボールに東京・赤嶺が飛び出すが、ここはオフサイド。
8分、自陣左深くでの東京のFK。鈴木のボールを中央で合わせてくるが、大きく右にボールは流れてゆく。
 
 
9分、左サイドで杉本が本田の競り勝って落としたボールを拾うが、トラップが流れてラインの外へ。
11分、左サイドタッチ際でボールを持った玉田がドリブルから右に出してゆくと、中村が追いついてゆくが、ゴールライン際での折返しは相手DFにカットされてしまう。
13分、金が本田から受けたパスを玉田に預けて縦に上がってゆくが、パスはDFにカットされてしまう。
 
14分、右から川口のクロスに2列目から飛び込んだルーカスにヘディングで決められ、東京に先制を許してしまう。 【得点】
14分 ルーカス(東京)
〜前半30分
16分、金の縦パスを玉田が落とすと、右から中村が入ってゆくが、僅かにタイミングが合わず。  
17分、東京・ルーカスに左からのミドルシュートを決められ、立て続けの失点を東京に喫してしまう苦しい展開に。
18分、左で阿部からのパスを受けて前を向こうとした玉田だったが、後ろからの厳しいプレッシャーにあいボールを奪われてしまう。
【得点】
17分 ルーカス(東京)
 
20分、右からの東京のCK。東京・梶山の右足からのボールは金が頭で弾き出してゆく。
21分、阿部からの早いボールが相手DFに当たってこぼれたところを本田が寄せてゆくが、ボールは相手GKが前に出て先に抑えてしまう。
23分、ここで阿部を前に上げて、3−5−2の布陣へと変更する。
24分、自陣右中程での東京のFK。宮沢の左足からのゴール前へのボールはしっかりと跳ね返してゆく。
 
 
26分、金が相手との競り合いで大きく背中から墜落するが、大事には至らず。
27分、右に上がる山口からの縦のスペースへのボールには、玉田も杉本も反応出来ず。
29分、阿部のスローインのボールをもらった山口が縦に抜けながらパスを出そうとするが、相手選手の伸ばした足にカットされてしまう。
 
〜前半終了
 
30分、相手陣内左深くでのFK。本田の早いゴール前へのボールに、ニアに流れてきた中村のボレーはポストに当たって跳ね返されてしまう。
31分、自陣右深くでの東京のFK。宮沢のニアへのボールは反対に弾いてゆくと、古賀がバウンドしたところを頭でクリアしてゆく。
33分、右サイドを東京・徳永がドリブルで上がってきて中を狙ってくるが、ここは付いていった山口が跳ね返してゆく。
 
 
34分、左から阿部の中へのパスを中村が入ってきて受けると、前を向こうとするが、トラップが流れたところを奪われてしまう。
36分、相手陣内でのこぼれ球に詰めた山口のシュートは相手GKに阻まれ、左からのCKに。
37分、杉本がこのCKのボールを蹴ってゆくが、大きく反対に抜けてしまう。
39分、左からのCKのチャンス。本田の左足からのボールを遠いサイドから飛び込んだ古賀が合わせにゆくが、相手DFにカットされてしまう。
 
 
40分、下がってパスを貰った玉田が相手DFの間を抜くスルーパスを入れると、杉本が中央で飛び出すが、ボールに足が届く前に相手GKが抑えてしまう。
42分、本田が相手DFの間に体を入れてボールを奪うと、中へと入れてゆくが、前に待っていた杉本には届かず。
44分、金の縦に入れたボールが相手DFがカットしてこぼれたところに、阿部が詰めてゆくがボールを拾うことは出来なかった。
 
 
ロスタイム1、相手陣内中央でこぼれ球を拾った玉田が個人技で前を向こうとするが、厳しいプレッシャーにあいボールを奪われ、シュートを打たせてはもらえなかった。そして、前半が終了。開始からの東京の早い展開に振り回される形で名古屋は押し込まれてしまい、早々に2失点を喫するという苦しい展開。しかし、途中からは名古屋が試合を支配し始めるが、中村のシュートはポストを叩き、山口のシュートはGKの攻守に阻まれるという、運の無さもあって無得点に終わってしまう。後半は逆に名古屋が早い時間でゴールを奪えば試合の流れを手に入れることが出来るはず。立ち上がりからの攻勢を見せて欲しい。  
〜後半15分
1分、左からのCKのチャンス。本田のボールに古賀が詰めるが、頭上を抜けてしまう。
1分、右タッチ際で中村の縦パスを杉本がワンタッチで縦に送ろうとしたが、DFにカットされてしまう。
2分、右からの中村のクロスを古賀が頭で落とすと、これに玉田が詰めて左足からシュートを狙いにゆくが、ボールにジャストミートできず。
【交代:45分・名】
阿部吉村
 
4分、東京の左からのCK。宮沢のゴール前へのボールが左にこぼれたところを川口がシュートを打ってくるが、ボールはバーの上へ抜けてゆく。
5分、本田へのパスを梶山に奪われると、そのままドリブルからシュートを打ってくるが、ここは楢崎がしっかりとコースに入り、シュートを跳ね返す好セーブを見せる。
7分、右からDFの裏へ抜け出した杉本の右足シュートはDFに当たって枠を捕らえることが出来なかった。
 
 
10分、本田からのパスを受けた吉村が縦に出すと、これを玉田が一旦落として、味方に預けて縦に抜け出すが、ボールは戻ってこなかった。
12分、左でボールを持って前を向いた玉田がDF2人を連れながら縦に突破を図るが、厳しいDFに倒されるが、ファウルは取ってもらえず。
13分、右からの東京のCK。梶山のボールは一旦は弾くものの、こぼれ球を再度繋がれ、梶山が入れてくると、ジャーンが頭で合わせてくるが、ボールは左に流れてゆく。
15分、右にフリーで抜け出してきた梶山のシュートも、至近距離ながら飛び出した楢崎が好セーブで跳ね返してゆく。名古屋が前掛かりになっていることもあり、東京はサイドの上がった裏を狙ってくる。
 
〜後半30分
17分、自陣から相手ボールを奪った吉村からの縦パスを玉田が落とすと、左に展開、本田がこれを拾って縦に仕掛けてゆく。相手陣内深くで中央へ杉本が走り込むところを狙ってパスを入れるが、角度が厳しく、GKに抑えられてしまう。
18分、金から右のスペースへのボールを受けた杉本がそのまま勝負にゆくが、東京・茂庭にクロスを入れようとしたところを阻まれてしまった。
 
 
21分、相手陣内でのこぼれ球を吉村が強烈なミドルシュートを狙ってゆくが、僅かに高く、バーの上へ抜けてしまう。
23分、左サイドでボールを持った玉田が反転しながら前を向くと、左タッチ際の本田へ渡そうとするが、本田の動きは逆に。
25分、左からドリブルで持ち込もうとした金が倒されるが、ここもファウルはもらえず。
 
 
26分、相手陣内中央でパスを受けた玉田が中央に入ってきた本田に当ててゆこうとするが、ボールが届く前に相手DFが前に出てカットしてしまう。
27分、右の中村からのパスがこぼれたところを左で受けた本田が中へシュートを狙って蹴ってゆくが、寄せてきたDFに弾かれてしまう。
 
  【交代:74分・東】
ルーカス伊野波
【交代:75分・東】
川口リチェーリ
【交代:76分・名】
中村片山
〜試合終了
32分、右にポジションを変えていた本田からのゴール前へのクロスに左から飛び込んだ玉田のダイレクトボレーは惜しくもバーの僅かに上へ抜けてしまう。
33分、左でパスを受けた片山が中へと入れてゆこうとするが、ここは前に詰めた相手選手に弾かれてしまう。
 
 
35分、右タッチ際に本田の頭で流したボールを杉本がワンタッチで縦に落としてゆくが、ボールが流れてタッチを割ってしまう。
38分、自陣深くやや右での東京のFK。宮沢のボールは楢崎が指先に当てて弾き出してゆく。
 
41分、吉村からの右のスペースへのボールを受けた山口がクロスを狙うが、その前にDFがクリアしてしまう。
42分、右からの本田が切れ味鋭いドリブルで入り込んでゆくと、マイナスに絶好のボールを入れるが、これは誰も詰め切れず。
【交代:84分・名】
杉本藤田
【交代:86分・東】
宮沢三浦
 
 
43分、吉村が強烈なミドルシュートを叩き込んで、ついに名古屋にも1点が入る。
44分、自陣からのロングボールを古賀が頭で落としたところに玉田が詰めてゆくが、僅かに長く、タッチを割ってしまう。
【得点】
88分 吉村(名古屋)
 
ロスタイム1、相手陣内深くでボールを持った玉田が落としたボールを山口が受けると、ゴール前へと放り込んでゆく。増川、古賀が待ち構えるが飛び出した相手GKにキャッチされてしまう。そして、試合は終盤名古屋が押し込んでゆくものの、追加点を奪うことは出来ず、惜しくも1-2の惜敗となってしまった。しかし、最後まで諦めることなく相手ゴール前へ攻め上がり、何とかゴールを奪おうとした姿は、応援に駆けつけたサポーターには納得できた内容だったのではないだろうか。最後まで応援ありがとうございました。