2006Jヤマザキナビスコカップ/Dグループ第3日
 午後6時25分を回った頃、セレッソの選手に先駆けて、名古屋のメンバーが勢いよくピッチへと入ってくる。さすがに水曜夜の開催と言うこともあり、スタンドは寂しい雰囲気だが、なんとか名古屋の勝利を目の前で見たいというサポーターも応援に駆けつけてきているようで、選手に向けて大きな声が聞こえてくる。
 照明灯の落とす鮮やかな光の中、ウォーミングアップを始める名古屋のフィールドプレイヤー選手達の横では、彼らに先駆け、川島、そして楢崎が黙々とボールを受けている。そう、今日はいよいよ楢崎が公式戦に戻ってきた。これまで練習試合は出場を果たしたものの、カップ戦とはいえ、公式戦は昨年以来だ。長きにわたってリハビリで過ごしてきた時間を埋める程の、活躍を見せて、復帰を飾りたい。
楢崎同様、シーズン開始前のトレーニングで痛めた怪我で、今季の出場が遅れた藤田も、ここ数試合をこなしてきたこともあってか、ウォーミングアップを行う姿も明るい。まだまだ彼本来の動きではないと言え、らしさを見せ始めている。前節ゴールを挙げた中村と共に、決定力不足を解消するプレイを見せて欲しい。
 ナビスコ杯と言うことや、リーグ戦の合間の水曜開催と言うこともあり、セレッソもメンバーを大幅にいじってきているが、チーム状態が良くないだけに、激しい試合を仕掛けてきそう。互いに、これからに向けての良い流れを作ろうと言う、意気込みが試合前の、この練習を見ていても伺える。名古屋としては、絶対に負けることなく、勝ち点3を持って帰りたい試合だ。
 6時45分、すっかり暗くなった上空を、心地よい風に乗って、雲が流れ始める中、選手達はシュートやドリブルで最後のチェックを入念に行った後、ピッチを後にした。
〜前半15分
左エンドのホーム・セレッソに対し、上下白の、アウェイユニフォームの名古屋は右にエンドを取って左へと攻め上がる。前半はその名古屋のキックオフで試合開始。
先発は、GKは帰ってきた守護神・楢崎。DFは右から角田・深津・増川・有村。中盤は右に中村、左に本田。中は金と須藤の2人。FWはやや下がり目の藤田と平林という、4-4-2・11人のメンバーだ。
1分、有村が縦に蹴り出したボールは、前の平林が反応が遅れ、拾えず。
2分、自陣中央やや入った位置でのセレッソのFK。ゼ・カルロスが強いボールを蹴り入れてくるが、壁に当たってはコースが変わったところをDFが落ち着いてクリアしてゆく。
 
 
4分、角田が縦に入れてゆこうとしたボールはコースに入った選手にカットされる。
6分、右に上がった角田の早めの相手ゴール前へのクロスは、GKが先にコースに入り抑えられてしまう。
9分、本田からのゴール前の平林のボールは頭で上手くスペースへと落として、自ら勝負にゆくが、厳しいDFに挟まれ、チャンスには結びつけられず。
 
 
12分、本田が斜めに入ってくる藤田に合わせてパスを入れてゆくが、DFが体をしっかりと寄せていたため前を向かせてはもらえず。
14分、相手ゴール前へのロングボールに平林が走り込んでいくが、ボールには追いつけず。
 
〜前半30分
両チーム共に、ボールが落ち着かず、ボールが行きつ戻りつすることが多く、危ない場面も殆どなく、試合の先はまだ見えない状態が続くこの時間帯。
18分、中央に入ったパスを藤田がダイレクトで出したボールを受けた平林が、これを右に流れながら、スペースに入ってゆく中村へと入れてゆこうとしたが、DF2人に体を阻まれ、抜けさせてもらえず。
21分、本田の落としたボールを金が縦に、平林へと当てていったが、トラップが大きくなったところをDFにカットされてしまう。
 
 
22分、有村が中へと入っていきながら、右足で左に流れる藤田にパスを出すと、これをエリア内へ入れてゆくが、誰も詰めることは出来ず。
24分、右タッチ沿いをセレッソ・柿本がドリブルで抜け出そうとするが、ここは増川がしっかりとマークについてゆき、ファウルを誘う。
25分、本田にボールを預けていった金がそのまま左に抜け出してゆくと、本田のパスをDFを一人かわしてゴール前へ入れてゆくが、平林には届かず。
 
 
28分、相手陣内でクリアの小さくなったところを拾いに行った須藤だったが、ボールは相手DFがカットしてしまう。
29分、セレッソ・古橋が右に抜け出して、シュートをエリアに入ってすぐのところから放ってくるが、楢崎が正面でしっかりとこのボールを受け止め、ゴールは破らせない。
 
〜前半終了
32分、右に上がってゆく角田の左足からのクロスボールに、積極的に上がって行った金が頭から飛び込むが、競り合ったDFへのファウルを取られてしまう。
34分、中盤での浮き球を須藤が拾って縦に送ると、これを受けた藤田が勝負に行こうとしたところで倒され、FKを得る。
 
 
 
 
35分、相手陣内中程やや左の位置でのFKを、中村が流して、須藤が止めたボールを蹴った本田が直接ゴール左上に決めて、名古屋に待望の先制点が入る。流れの中からではないが、良いリズムが生まれだしてきていた中でのこのゴールはチームには良いアドバンテージとなりそうだ。
38分、右のスペースへのボールを受けた中村が強引に中へと切れ込んでゆこうとしたが、ここはマークに付いた選手の厳しい寄せにボールを奪われてしまう。
40分、左からゼ・カルロスがピンゴに当てて中へと入ってこようとするが、ここは中盤の選手が落ち着いてボールをカット、前には入れさせなかった。
【得点】
35分 本田(名古屋)
 
42分、右のスペースへ出たボールを拾った中村が、ゴールラインギリギリのところでクロスを中へ入れていったが、マイナス気味のボールは相手GKが先に反応、詰め行く選手の前にボールを抑えてしまう。
44分、自陣右でのルーズボールを拾ったセレッソ・古橋が河村へとボールを渡すと、これをゴール前へと入れてこようとしたが、ボールに精度が無く、ゴールラインを割ってゆく。
 
 
ロスタイム1、左でボールを持ったセレッソ・ピンゴが強引なドリブルで中へと入ってこようとしたが、須藤が足下のボールを簡単に奪ってゆく。そして前半は殆ど危なげないまま、終了を迎える。本田のFKが名古屋の流れを良い方向に持っていったことで、選手達の動きも良くなり、相手の攻撃もしっかりと早いところで芽を摘んでゆき、良い雰囲気で終わった前半。後半もこの流れを失うことなく、試合の主導権を握ったままで突き進んで欲しい。  
〜後半15分
後半は、エンドを右に入れ替えたホーム・セレッソのボールで試合が再開する。
1分、相手のカットしたボールをコースに入って受けた金が、長いボールを相手のDFの間に蹴り出すと平林が走り込んでゆくが、ボールには追いつけず。
3分、自陣右深くでのセレッソのスローインをゴール前へ入れてこようとしたが、中央で須藤が頭で跳ね返してゆく。
【交代:45分・名】
本田阿部
 
6分、左でボールを受けた藤田がそのまま持ち込んでいって左足でゴール前へ入れてゆく。中央から平林が詰めるがDFが先にボールをカットしてしまう。
8分、柿本が右から入ったパスをスペースへ落とすと、これにピンゴが右から走り込んでシュートに来るが、ボールは大きくファーサイドへ流れてゆく。
 
 
10分、右から抜け出した選手の放ったシュートを楢崎が抑えるが、こぼれたところを正面から詰めた古橋に押し込まれてしまい、同点とされてしまう。 【得点】
55分 古橋(大阪)
14分、中央を崩されそうになると、ピンゴがトラップで抜け出してシュートに来るが、ボールに先に詰めた有村がこれをカット、ピンチを救う。 【交代:57分・名】
平林杉本
〜後半30分
17分、右で角田の戻したボールを中村がゴール前へ入れてゆこうとしたが、ボールは大きく左に流れてしまう。
19分、左で上がっていた有村が阿部に当てて更に抜けてゆこうとするが、このパスを相手選手にカットされてしまう。
21分、相手陣内でパスを回しながら隙を窺うと、縦に左の阿部の前のスペースへとボールを出してゆくが、これはDFに詰められてしまう。
【交代:60分・大】
ピンゴ宮原
 
23分、相手陣内右で角田が中へ勝負を仕掛けようとしたところで倒され、良い位置でFKを得る。これを中村が蹴っていったがボールは大きくなり、ゴールラインを直接割ってしまう。
25分、右から入ったボールを柿本が落としたところに走り込んだセレッソ・宮原のシュートはバーの上へ。
 
 
27分、右のスペースでのボールを拾った中村が、寄せてきたDFをかわしながら左足で強引にシュートに行ったが、ボールはバーの上へ。 【交代:71分・大】
河村酒本
【交代:72分・名】
須藤山口
29分、代わって入った山口が右に入り、藤田が下がってボランチの位置に下がり、FWは中村と杉本の2人。  
〜試合終了
31分、左でフリーでボールを持った有村の右足からのクロスに、中央で山口が競り合うものの、高さでは勝てず、ボールは跳ね返されてしまう。
33分、右に持ち上がった杉本のクロスは相手DFに当たって跳ね返ってしまう。
35分、有村からのパスをダイレクトで落として藤田に渡そうとした杉本だったが、厳しい相手DFのタックルに倒されてしまう。
37分、右の角田からの低いクロスをゴール前で杉本が頭でコースを変えてシュートにゆくが、相手GKが反応、ポスト右に弾き出されてしまう。
 
 
40分、左でパスをカットした阿部が中村に当てると、右のスペースへと大きく出してゆく。これに杉本が走り出すが、その前に旗が上がってしまう。
41分、相手陣内右深い位置でのFKのチャンス。中村のボールに中央で金が頭で合わせてゆくが、上手くミート出来ず、浮いたところを相手GKが抑えてしまう。
【交代:84分・大】
柿本徳重
 
44分、自陣左中程でのセレッソのFK。古橋の入れてきたボールは正面で増川が跳ね返してゆく。
ロスタイム1、中央で阿部が縦のスペースへと出したボールを山口が追うが、僅かに追いつけず。
ロスタイム2、前で残っていた杉本に阿部からのパスが出るが、これは相手選手の厳しいファウルで止められてしまう。
 
 
ロスタイム3、セレッソの左からのCK。古橋の入れてきたボールは楢崎が外へと弾き出してゆく。その後もセレッソが最後の力を出して、名古屋ゴールに攻めるが、楢崎が正面でボールをキャッチしたところで、主審の笛が鳴り、試合は1−1の引き分けで終了。
名古屋はまたしても勝利を手にすることは出来なかった。最後まで熱い声援をありがとうございました。