2006Jリーグ ディビジョン1・第5節
 徐々に雲が遠くへと流れ、瑞穂陸上は上空に青空が広がり、春休みの日曜、最高のサッカー観戦の日となる。我らが名古屋グランパスエイトは、ホーム・瑞穂に大分トリニータを迎えて、第5節を戦う。
 前節・福岡戦は5年ぶりの博多の森に臨んでの試合となったが、闘将・秋田が抜群のリーダーシップを発揮し、見事な完封劇を演じて、玉田のPKによる虎の子の1点を守りきって、勝ち点をガッチリと手に入れ、自信を持って今日の試合を迎えることが出来た。今日の試合の先発出場で、前人未踏の、試合出場通算382試合という、金字塔を打ち立てた秋田には、最後尾で、声を限りにチームの戦いを盛り立てて、チームの勝利の立役者の一人になって欲しいところだ。鹿島戦で、痛恨の退場を受けた、金も今日は練習前から落ち着いた様子を見せながら、ウォーミングアップに臨んでいる。今日は、迷惑をかけたチームメイトやサポーターのためにも、安定感を増し始めたチームの守備を支える1人として、最高のパフォーマンスを見せて欲しい。
 若い本田と共に、今日も先発を務める阿部も2戦目ともなると、ウォーミングアップでも余裕すら感じるようになってきた。名古屋のサポーターの大きな声援に応えた後は、元気にチームメイトの輪に交じって、ウォーミングアップを行っていた。
 4試合を終えて、2勝1分1敗と結果を出している、現在の名古屋。選手間にもフェルフォーセン監督の標榜する戦術理解が浸透し始め、結果が伴ってきていることもあり、練習場でも雰囲気が明るい。この良い雰囲気を勢いに繋げ、さらに上向きにチームの状態をしてゆくためにも、今日の大分戦は必ず取りたい試合だ。
 午後1時45分、柔らかい春の日差しを受けて、暖かいピッチの上で、最後の調整を終えた選手達は軽い足取りで、名古屋サポーターの声援に応えながらロッカーへと消えていった。
〜前半15分
柔らかい日差しの中に両チーム選手が入場してくると、スタジアム内は騒然とした雰囲気に変貌、今日の試合に期待するサポーターの気持ちがヒシヒシと伝わってくる。
右エンドの大分に対し、左エンドの名古屋。前半は、上下青色のユニフォームに身を包んだアウェイ・大分のキックオフで試合が始まる。名古屋の先発は、GK川島、DFは右から、大森・秋田・古賀、そして左SBは今日も本田が務める。中盤は、右に中村、左に阿部、中央は吉村と戻ってきた金、FWは、豊田と玉田の2人という、4−4−2の布陣。
1分、大分陣内深く、左サイドで玉田が落としてボールを本田が中へ捌くと、金がダイレクトでDFの裏へと放り込んだが、追いかけた玉田には届かない。
 
 
3分、阿部とパス交換でボールを受けた本田が金に渡すと、二度三度と切り返してゴール前へと蹴り入れていったが、豊田の詰める前に相手GKがこのボールを押さえてしまう。
4分、縦に入ったボールを豊田が頭でスペースに落とすと、詰めてきた阿部が足を伸ばすが、僅かにボールに届かず。
5分、右から大分・梅田が放り込んできたボールは秋田が落ち着いて頭で跳ね返してゆく。
6分、左でDFの裏へのボールを抜け出した大分・根本が左足でゴール前の高松に当ててくるが、ここはDFが先にこぼれ球に反応、落ち着いて処理。
 
 
8分、左のスペースへと出してきたボールを高松が拾って中へと折り返すと、中央で大分・オズマールがこれを合わせに来るが、ボールは少し外を反対へと抜けてゆく。
9分、右寄りの位置で大森が吉村に短く繋ぐと、DFの足下を抜くスルーパスを出して豊田を走らせるが、僅かにボールが長く、DFにコースを阻まれてしまう。
 
10分、大分の右からのCK。大分・根本の左足からのボールを上がっていたDF深谷に押し込まれ、大分に先制を許してしまう。 【得点】
10分 深谷(大分)
 
12分、相手陣内左深くで玉田が倒され、好位置でFKを得る。出会い頭の失点に近いだけに、早めに取り返しておきたい。
13分、このFKのチャンスを本田が直接狙って蹴っていったが、壁に跳ね返されてしまう。しかし、こぼれ球をDFの裏へと入れたところに古賀が詰めて右足からのシュートを狙うが、慌てたのか右に大きく外してしまった。
 
〜前半30分
15分、左で戻ってパスを受けた玉田が阿部に託すと、これを左サイドを駆け上がる本田の前のスペースへと出していったが、惜しくも僅かにタイミングあわず、オフサイドに。
16分、中盤でのセカンドボールへの早い寄せを嫌った大分・西山が深谷に戻したボールを前線の高松に当てようと蹴り出してくるが、これは精度が無く、川島が正面で余裕を見せて押さえる。
18分、自陣左中程での大分のスローインのボールを高松が古賀を背負いながら落として、チャンスにしてこようとするが、ここは落ち着いてクリアしてゆく。
 
 
19分、左の本田に預けて一気に縦にスピードに乗って飛び出した玉田にパスが出る。左でこれをシュートにいったが、戻ったDFの伸ばした足に弾かれてしまう。
20分、相手陣内左深めの位置でのFKのチャンス。今度は中村が遠いサイドに上がってくる金めがけて蹴っていったが、ボールは僅かに頭上を抜けてしまう。
21分、右のスペースへのボールを大分・梅田が中へと入れてくると、左から高松が拾ってシュートに来ようとするが、秋田がしっかりとこれをクリアしてゆく。
23分、前線で細かく動きながらポジションを捜す豊田へと秋田からロングボールが出るが、タイミングが合わず、豊田の頭上を抜けてしまった。
 
 
25分、左の阿部からのクロスがカットされ、CKを得る。中村の右足からのボールを遠いサイドの秋田がヘディングシュートにいったが、ボールはバーの上に。
26分、右からの大分のCK。根本の左足からの精度のあるボールがゴールに向かって曲がってくるが、川島が果敢に飛び出して、パンチングでボールを弾き出してゆく。
28分、相手陣内右中寄りでのFKのチャンス。中村がゴール前に蹴ったボールは競り合いで浮くと、古賀の落としたボールを上がっていた秋田が競りにいこうとしたところでGKが先に押さえてしまう。
29分、相手ペナルティエリアすぐ右でのこぼれ球を吉村が左足から強烈なシュートを放っていったが、惜しくもサイドネットを揺らす。
 
〜前半終了
31分、相手ペナルティエリアすぐ外で、こぼれ球の奪い合いになるが、大分DFが体を倒しながらボールを抑えてしまい、前へと運ぶことは出来ず。
32分、自陣で跳ね返った大分のFKのボールを拾った阿部が、すぐさま縦のスペースへと蹴り出してゆこうとするが、残っていたDFに弾かれ、右に抜け出そうとした豊田はこれを拾いにゆけず。
34分、左で金が相手選手を引きつけて右に出来たスペースへと大きく展開してゆくが、このパスを大森が受けようとしたところで、これを読んだ根本にカットされ、チャンスを潰されてしまう。
 
 
36分、相手陣内からのロングボールを大分・梅田が落とすと、下がっていた高松が強烈なミドルシュートを放ってくるが、これはクロスバーの上に大きく抜けてゆく。
38分、徐々に自陣へと固く引き始めた大分の陣内へと川島が長いボールを放り込んで行くと、豊田がDfと競り合いながら落とそうとするが、ファウルを取られてしまう。
41分、相手DFの裏を狙って出した古賀のボールを本田が左で拾おうとするが、寄せてきたDFが先にクリアに逃れてしまう。
 
 
42分、中央をドリブルで豊田が勝負にゆくと、左の上がる阿部の前にパスを通す。これをゴール前へと早めに入れてゆくが、右から詰めた玉田のタイミングには合わず、横を抜けてしまう。
44分、相手陣内深く左でのスローインの場面。本田が長いボールをゴール前へと入れて豊田を競りに行かせるが、厳しいディフェンスにあい、触ることは出来ず。
ロスタイム1、相手陣内左深めの位置でのFK。中村がこれをニアサイドに直接狙って蹴っていったが、ボールはGKの正面を衝いてしまう。
 
 
ロスタイム2、名古屋のサポーターのブーイングを受けながらも、最終ラインでゆっくりとボールを回す大分。最後、GKが長いボールを縦に蹴りだしたところで前半終了が告げられる。前半の早い時間帯での失点で大分に守備を固められてしまった名古屋。元々が守備の固いチームだけに、後半は攻撃に工夫を見せて、相手のDFを崩して得点を奪いにゆきたい。  
〜後半15分
前半セットプレーからの失点で落ち着きが無くなってしまった名古屋に対し、プラン通りのゲーム運びを見せている大分に付き合わされてしまった感がある。後半は気持ちを切り替えて、大分を苦しめるゲーム内容を期待したい。
エンド入れ替わり、右にエンドを変えた赤いユニフォームの名古屋のキックオフで後半が始まる。
 
1分、右からのCKのチャンス。本田の左足からの、ゴールに向かうボールはGKが跳ね返してしまう。
2分、ロングボールを秋田がエリアのすぐ外で落としたところに、大分・西山が詰めてすかさずシュートを放ってきたが、これはバーの上へ。
【交代:45分・名】
阿部有村
 
4分、右へと展開してきたボールを大分・西山が中へと狙おうとしてくるが、代わったばかりの有村がしっかりとボールを抑えにゆき、チャンスを未然に潰してゆく。
6分、自陣の大森からのロングボールを豊田が頭で落としたところに玉田が詰めてゆくが、相手GKが先に抑えてしまう。
7分、右からのCKのチャンス。ゴール前へと入れた本田のボールは何度か浮いてしまい、なかなか落ち着かなかったが、最後豊田の入れたボールをGKが抑えてしまう。
10分、相手陣内右で豊田が足下のボールを前に持ち出そうとするが、DF2人に囲まれ、仕事をさせてもらえず。
 
 
11分、自陣右のスペースへ出たボールを大分・梅田が拾いに来るが、有村が体を張ったディフェンスでこれを阻止する。  
12分、自陣右深くでの大分のFK。根本にニアへのボールにフリーで飛び込んだ西山にヘディングシュートを決められてしまい、同点に追いつくはずが、追加点を奪われてしまう。
14分、右でボールを持った大分・オズマールを意識しすぎて、中央でトゥーリオをフリーにすると、ここへパスが通る。しかし、秋田がしっかりと体を寄せ、コースを消しに行ったことで左足で放ったシュートはバーの上へ。
【得点】
57分 西山(大分)
〜後半30分
16分、自陣で相手選手からボールを奪った秋田からのパスを受けた中村が中央でドリブルで仕掛けてゆくと、DFの間へのスルーパスを狙うが、これは惜しくも玉田の足下に届く前に、DFがカットしてしまう。  
17分、ゴール前で裏へと抜けた高松からのシュートを正面で弾いたボールが、左にフリーで詰めていた根本に頭で押し込まれ、3点目を奪われてしまう。 【得点】
62分 根本(大分)
 
19分、そして、フェルフォーセン監督は大胆な策を取る。何と、秋田・古賀をストッパーに有村をDF中央に入れ、3バックとし、杉本を右サイドに、増川を何とFWの位置に入れる。
22分、右で相手選手とのボールを奪い合いを制した杉本が中へと入れてゆくと、中央で玉田が飛び込むが、マイナス気味のボールとなり、背中を通過してしまう。
【交代:64分・名】
大森増川
【交代:65分・名】
中村杉本
 
23分、金のペナルティエリアの外からのミドルシュートはポストの右に流れてしまう。
24分、ドリブルで増川が仕掛け、右の杉本に預けると、そのまま中へと入ってゆく。杉本の折返しはDFがカット、右のCKに。本田の左足からのニアへのボールはDFが頭でカットしてしまう。
26分、右に抜け出してきた大分・西山のゴール前へのボールは川島が前に弾くが、これに大分の選手が詰めてシュートに来る。しかし、金がコースに入ってボールを弾き出し、このピンチを逃れてゆく。
 
 
28分、相手陣内左でボールを受けた増川が右に展開すると、杉本がこれを受けて勝負に行ったが、寄せたDFにボールを奪われてしまう。
29分、右から鋭いドリブルでDFを交わしてエリア内へと入っていた玉田がDFの足下へのスライディングに倒され、またしてもPKかと思われたが、ここは主審に流されてしまう。
 
〜試合終了
31分、左で玉田とのワンツーで抜け出した本田がゴール前へと入れてゆくと、右に詰めた杉本がこれを拾ってマイナスに折り返してゆく。しかし、前に詰めた選手達がゴール前に寄せすぎてしまい、相手へのパスとなってしまう。
33分、左からのCKのチャンス。本田のゴール前へのボールを豊田が頭であわせにいったが、前に飛ばすことは出来なかった。
35分、中央で相手パスをカットして前に上がる金から左に上がってゆく豊田にパスが出ると、これをダイレクトでゴール前へと入れてゆこうとしたが、角度が付きすぎてしまい、相手GKへのパスになってしまった。
 
 
38分、相手陣内左中程でのFKの場面。本田のボールに古賀が頭で合わせるが、ボールは僅かに高く、バーの上へ抜けてしまう。
39分、中央で金のスルーパスに抜け出した豊田がエリア内でボールを受けて右に流れようとして倒されるが、ここでもファウルはもらえず、チャンスを潰されてしまう。
【交代:82分・大】
西山内村
41分、左のこぼれたボールを拾った本田のクロスに中央で増川が頭から飛び込むが、前に出たGKが先にボールを抑えてしまう。 【交代:85分・大】
高松松橋
 
43分、右で金からのボールをもらって前を向いた杉本が左足でゴール前へ入れてゆくと、豊田がDFと競り合いながら頭でスペースへ落としてゆくが、相手へのファウルを取られてしまう。
44分、細かいパスを繋いで最後、吉村がエリア内へ持ち込んでゆくと、寄せてきた玉田にパスを通す。これを反転しながら左足でシュートを狙ったが、寄せてきたDFに弾かれてしまう。
ロスタイム1、左からのCKのチャンス。本田からのボールがこぼれたところを秋田が上げると、増川がヘディングシュートにいったが、ボールは僅かに浮いてしまい、バーを越えてしまう。
【交代:87分・大】
オズマール山崎
 
ロスタイム2、相手陣内中程でのFK。秋田が上がっていた古賀を狙って蹴り入れたが、このボールは競り合えず。そして、大分GKがゴールキックのボールを大きく蹴り出したところで主審の右手が上がり、試合終了が告げられる。
2戦完封をしたチームとはいえないほどDF陣が綻びを見せ、まさかの0−3という厳しい負けを突きつけられてしまった名古屋。また、失点以上に攻撃の形が作れないことも勢いを掴めない要因のひとつと言えるだけに、ナビスコ杯初戦を挟んだ、次節・浦和とのアウェイ戦に向け、相当の立て直しが必要といえるだろう。最後まで熱い声援ありがとうございました。