2006Jリーグ ディビジョン1・第4節
 なかなか厚い雲が上空から立ち去らず、博多の森球技場は午後2時のキックオフを前に早くも照明に灯がともる。我らが名古屋グランパスエイトは5年ぶりにJ1に帰ってきたアビスパ福岡戦第4節を戦う。
 午後1時30分過ぎ、前節・鹿島の攻撃陣をしっかりと抑え込んだことで付いた自信が選手達に浸透しているようで、秋田を筆頭にリラックスした様子で、ウォーミングアップの為、ピッチへと現れた。その一方で、フィールドプレイヤーの後ろでは、GKの川島が楢崎と共に、気合いの入ったセービングを見せながらコンディションを上げている。ここ3試合での彼の活躍には誰もが納得がいっているはず。今日も積極的で、果敢な飛び出しを見せて、福岡の攻撃を阻止して欲しい。
 出場停止の金に代わって、先発に入った須藤も気合いの入った動きを見せている1人。前節も途中交代ながら、ゲームの流れを変えることなく、チームに溶け込み、引き分けに大きく貢献していた。今日は前節決められなかった惜しいチャンスを取り返すためにも、守備だけでなく攻撃にもしっかりと絡んで欲しいところだ。
 しかし、今日一番の奮起を見せて欲しいのはなんと言っても玉田だ。前節の、10人になってからの彼の活躍は誰もが知るところ。しかし、GKとの1対1でも自ら得たPKも決めることができず、1人悔しい思いをしたはず。今日はその鬱憤を晴らすような活躍を見せて、チームの勝利に一番貢献して欲しい選手だ。
〜前半15分
1時50分、最後の仕上げとして、芝生のコンディションをチェックするためにドリブルやシュート練習を入念に行った選手達は、満足げな表情でロッカールームへと消えていった。左エンドの、ホーム・福岡に対し、右エンドを取った今日の名古屋。前半は福岡のキックオフで試合開始。  
 
今日の先発メンバーは、GK川島、DFは右から大森・秋田・古賀、そして本田の4人。中盤は、右に中村、左は今日も若い阿部が入り、中央は吉村と須藤のコンビ。FWは豊田と玉田が組む。
1分、相手陣内深く右からのスローイン。中村の入れたボールを中央で豊田が胸で落としてゴールへと向かおうとしたが、ボールはラインを割ってしまう。
3分、左からのCKのチャンス。中村が右足で短く出したボールを寄せた本田がダイレクトで中へと入れにゆくが、ボールはDFが先にカット。
4分、右から裏へと抜け出した豊田の右足シュートはポスト右、サイドネットを揺らす。
 
 
5分、左サイドをセレッソから移籍してきた久藤が持ち上がってくるが、大森がしっかりとマークに付き、中へは入れさせることはなかった。
6分、中央での浮き球を須藤が左にはたくと、これを本田がタッチ際の阿部に繋ごうとしたが、ボールが流れてしまい、タッチを割ってしまう。
8分、福岡・アレックスが左深くで戻したボールを久藤が中へといれてくるが、ここは古賀と吉村がしっかりと競りに入り、こぼれたところをクリアしてゆく。
9分、福岡の左からのCK。
 
 
10分、左から玉田の落としたボールを阿部が持ち込もうとするが、厳しいDFにボールを奪われそうになる。ここへ須藤が阻止しようと足下のボールにスライディングにゆくが、カードを貰ってしまう。
11分、DFの裏への長いボールに福岡・藪田が飛び出してくるが、これはオフサイド。福岡は名古屋のFWへ当てたボールを拾って、積極的に長いボールで裏を狙ってきている。
13分、右タッチ沿い、相手の中途半端なボールを奪った中村が寄せてきた豊田に預けると、これを持ち込んでゆく。中央に入ってきた玉田にラストパスを出すが、僅かに届かず、ボールは足を伸ばしたDFにカットされてしまった。
 
〜前半30分
15分、右で縦に出たボールを福岡・山形が拾いに出てくるが、ここは古賀がしっかりと先に体を入れて、チャンスを作らせない。
16分、中央から右のスペースに出たボールを福岡・藪田が拾うと、そのまま持ち込んで左足でシュートを狙ってくるが、ボールはクロスバーの上へ。
18分、自陣深く、福岡・アレックスが裏へと抜け出してくるが、ここは古賀が足を伸ばしてボールを外へと出してゆく。
19分、中央の中村からのロングボールを玉田が拾いにゆくが、ここは相手DF2人に寄せられ、前を向かせてもらえずチャンスを生かせなかった。
 
 
20分、自陣左中程での福岡のFK。山形が右足で直接狙って蹴ってくるが、ボールは川島が正面で落ち着いてキャッチしてゆく。
23分、中央から福岡が細かいパスを繋いで仕掛けてくるが、須藤が本田とのコンビネーションでボールを持った藪田を囲んでボールを奪ってゆく。
25分、右から阿部を振り切って上がってきた福岡・宮本を本田が体を張って止めるが、相手にFKを与えてしまう。ここで福岡・アレックスが左足で強烈なボールを入れてこようとするが、壁の選手が怖がらず、しっかりと弾いてゆく。
 
 
27分、相手陣内右入った位置でのFKのチャンス。本田が長いボールを入れて、詰めていた豊田に狙って蹴り入れると、DFが頭で弾いてCKに。
28分、左からのCK。中村のニアへのボールは相手選手がカットしてしまう。
29分、右からのCKチャンス。阿部のニアへのボールに中村が合わせにゆくが、僅かにボールがずれて合わせられず、惜しくも反対に抜けてしまう。
 
〜前半終了
31分、自陣からの川島のロングフィードを中村が競り勝って縦に落とすと、豊田が相手DFを背負いながら拾いにゆくが、相手へのファウルを取られてしまい、このチャンスをものに出来なかった。
32分、左にサイドチェンジしたボールを福岡・宮崎が拾って、トラップして大森をかわそうとしてくるが、ここは落ち着いて川島に戻してゆく。
34分、縦のスペースに出たボールを豊田が、相手DF、そしてGKと交錯して倒されると、PKに。
 
 
 
35分、この場面で蹴るのは玉田。福岡サポータの強烈なブーイングを前に、前節の悔しさをはね飛ばそうと、強烈なシュートをゴールマウスに叩き込んで、ついに今季初得点となる先制弾を決める。
37分、中央でこぼれ球を拾った玉田が前を向こうとしたところで福岡・藪田に厳しいタックルを受けて倒されてしまう。右足首を抑えて倒れ込む玉田だったが、大事には至らず、名古屋サポータは安堵のため息を漏らす。
39分、右にこぼれたボールを福岡・宮本がゴール前に入れてくると、福岡・中村ワンバウンドしたボールを頭で合わせに来るが、後ろから中村がこれにしっかりと体を寄せてゆき、ボールを前には飛ばさせず。
【得点】
35分 玉田(名古屋)
 
42分、自陣の吉村からの右のスペースへのボールを中村が拾うと、ドリブルで上がっていって中へと入れてゆこうとしてゆくが、戻ってきた福岡の選手に足でカットされてしまう。
44分、自陣左エリアのすぐ外でFKを与えてしまう。ここで福岡・久藤がワンステップの早いタイミングでゴール前へ入れてきたが、川島が落ち着いて前に出てゆくと、パンチングで弾き出してゆく。
ロスタイム1,DFの裏へのスペースへとボールが出てくるが、古賀が落ち着いてこれに対処、余裕を持ってタッチの外へと蹴り出して行く。そして、前半は玉田の決めたPKによる1点をしっかりと守って、1−0で後半へと折り返して行く。選手全員がセカンドボールへの意識も高く、相手の裏へのボールにもしっかりとついていっており、危なげない展開で前半を終えることが出来た。後半も集中力を切らすことなく、このままの流れで試合を運んで勝利へと向かいたい。
 
〜後半15分
後半はエンド代わって、左から攻め上がる赤のユニフォームの名古屋のキックオフで試合が再開。
1分、右にポジションを変えてきた福岡・久藤の縦の突破は、古賀がスライディングでボールを抑えにゆくが、ファウルとされてしまう。
3分、前にポジションを変えていた福岡・アレックスのシュートは須藤が弾くが、こぼれ球を今度は福岡・中村がミドルシュートに来る。しかし、川島がこれにはしっかり反応、外へと弾き出して行く。
4分、玉田の豪快な左からのボレーシュートは相手GKに弾かれ、CKに。中村のゴール前へのボールに上がっていた秋田が競りにゆくが、ボールは届かず。
【交代:45分・福】
山形吉村
 
6分、左のスペースへのボールを福岡・宮本が中へ持ち込んでくると、アレックスを使おうとするが、パスはゴールラインの外へ。
7分、福岡の左からのCK。久藤のゴール正面へのボールに金古が合わせに来るが、秋田・古賀がしっかりと競り勝って弾き出して行く。
9分、左からのCKのチャンス。中村のボールに秋田が飛び込むが、僅かに先に体を入れたDFに当たって流れてしまう。
 
 
11分、左のスペースへと出たボールを福岡・藪田が流れて拾うと、中へと入れてアレックスへ当てて行こうとするが、古賀がしっかりとこれに体を入れて競り勝ち、ボールを奪ってゆく。
14分、自陣右深い位置で福岡・ホベルトを倒してしまい、FKを与えてしまう。久藤が右足で中へと蹴り入れてくるが、須藤がボールにしっかりと入って、頭で跳ね返してゆく。
 
〜後半30分
16分、左でボールを持った福岡・宮本が中へと入れてこようとするが、入ってきた選手を秋田がしっかりと抑え、ボールに触れさせることさえさせなかった。  
19分、右からのCKのチャンス。阿部の左足からのボールに遠いサイドで豊田が飛び込むが、DFが体を寄せていたため頭で合わせたボールは左へと流れてしまう。
20分、中央でのこぼれ球の奪い合いになり、最後、福岡・吉村が中央からスルーパスを入れてこようとするが、古賀が相手選手の前に体を入れ、流してゆく。天気予報が外れ、ここへ来て雨が強くなり、気温も下がり始め、厳しいコンディションへと変わってゆく。
【交代:63分・福】
宮本
 
22分、裏へのボールに福岡・藪田が抜けてこようとしたが、古賀が体を張ってこれを阻止する。
23分、中央で玉田がキープしているところから右に上がってきた中村にパスが繋がると、そのまま持ち上がって右足でシュートを放ってゆく。GKの指先を抜けたシュートは僅かに左に流れ、ポストの外を通過、残念ながら追加点にはならなかった。
 
 
24分、阿部のポジションに本田が上がって、サイドバックに有村が入る。
27分、福岡・吉村の左からのクロスに中央でヘディングシュートを合わせてくるが、枠へのボールは川島がしっかりと反応して弾き返し、ゴールを死守する。
【交代:69分・名】
阿部有村
〜試合終了
30分、相手陣内右中程でのこぼれ球を豊田が拾いに行ったところで相手選手と交錯、FKのチャンスを得るが、中村のボールは思ったほど遠くに飛ばず、相手選手に弾かれてしまう。  
32分、左からの有村のFKのボールに豊田がゴール前で競り合うが、僅かに届かず相手GKが抑えてしまう。
33分、自陣で相手選手に倒された玉田が得たFKを早いリスタートでスペースへと蹴り出していったが、これはさすがに他の選手が間に合わず。
【交代:75分・福】
宮崎松下
 
35分、中央でパスを細かく繋がれると、藪田の右のスペースへのボールに福岡・中村が走り込んでシュートに来るが、川島が左にジャンプし、好セーブでこのボールを止めてゆく。
37分、右で玉田の落としたボールを中村がDFを引きつけたところでタッチ沿いに縦に出そうとしたが、ボールは雨に滑って流れてしまいタッチを割ってしまう。
39分、自陣から中村の出した縦パスを取りにいった豊田が相手陣内中程で倒され、FKに。
40分、相手陣内右中程でのFK。本田が中へと流したところを吉村が右足でDFの裏を狙って蹴り入れてゆくが、ボールが長くなってしまい、相手GKが抑えてしまう。
41分、相手陣内でのこぼれ球を吉村が拾って、強烈ミドルシュートを放つと、これがGKに当たって前にこぼれるが、寄せていた豊田の横を抜けてしまう。
 
 
44分、相手陣内右深くでのFKのチャンス。玉田が軽く流して中村が横へすらすと、玉田が左足でシュートを狙うが、ボールはポストの右に。  
ロスタイム2、右でこぼれ球を福岡・中村が拾って中を狙ってくるが、古賀がしっかりと体を入れて、ボールを奪ってゆく。 【交代:89分・名】
玉田高橋
 
ロスタイム4、豊田に代わって、怪我から戻ってFW(!)に入った増川。
ロスタイム5、自陣右深く福岡のFK。アレックスのゴール前へのボールは全員が守備に戻って体を張ってこれを跳ね返してゆく。最後、福岡・ホベルトのエリアの外からの苦し紛れのシュートを須藤が止めて、大きく左スペースへと蹴り出したところで、ようやく主審の右手が上がり、約5分近くのロスタイムを経て、名古屋の勝利を告げる笛が博多の森に鳴り響いた。ホームの利を生かして、積極的な攻め上がりを見せてきた福岡を、鹿島戦に続いて秋田を中心としたDF陣、そして、初先発となった須藤等が無得点に抑えて、今日の勝利に大きく貢献した。最後まで熱い声援ありがとうございました。
【交代:89分・名】
豊田増川