2006Jリーグ ディビジョン1・第1節
午後1時20分、すっかりお馴染みとなった、スタンドへのマスコットボールの投げ入れのために選手達がピッチへと現れると、彼らを待ちわびたサポーターからの大声援が沸き起こる。我らが名古屋グランパスエイトは、ホームにセレッソ大阪を迎えて、開幕戦を戦う。
風もなく、暖かなピッチの上で最後の調整をおこなっている選手達も、1/34の試合と言うことは分かっていても、開幕戦と言うこともあってか、嫌が上でもモチベーションが高まって来ていることが伝わってくる。
サポーターの最大の期待を寄せられている玉田も練習前から、早く試合を始めて欲しいとばかりに、落ち着きが無くそわそわとしていた。今日は相方の“スピードスター”の杉本選手との高速コンビでサポーターの大喜びするようなプレイで、ホーム・瑞穂を沸かせて欲しい。
そして、玉田以上に気合いが伝わってくるのが、3年目にしてついに開幕スタメンの座を得た、川島選手だ。楢崎の怪我による離脱で回ってきた先発だが、元々のポテンシャルは高く、他チームだったら間違いなくレギュラーに君臨するほどの選手。昨年はセレッソとの対戦ではあまり良い結果が出せていないだけに、屈辱を晴らす意味でも、これまでで最高のパフォーマンスを披露して、チームの勝利に貢献して欲しい。
午後1時45分、スタンドに詰めかけたサポータの声援に、手を振って応えながら選手達は、セレッソとの対戦に向けて、熱く滾る気持ちを燃え上がらせながら、ロッカーへと消えて行った。
〜前半15分
スタンドの影が落ちるメインの客席は肌寒さがあるが、両チームサポーターの陣取る、自由席・向こう上面のスタンドは、暖かな日が差し、心地よい。しかし、キックオフ10分前から始まった、名古屋のメンバー紹介の為、気温が上がりっぱなしだ。そんな興奮に包まれた中に両チームのメンバーが入場、スタジアムの雰囲気は最高潮に転じて行く。
左エンドを取る、アウェイ・セレッソに対し、名古屋は右から左へと攻め上がる。今日の名古屋は、GKは川島、DFは右から大森・深津・古賀・有村、中盤は右に中村、左に新加入の片山、ボランチの位置には吉村と金が入る。そしてFWは、高速コンビの玉田と杉本の2人だ。前半はセレッソのキックオフで試合開始。
1分、左に抜け出した杉本が中へと折り返すと、これに金が詰めていってダイレクトシュートにいったが、強くミートせず。
2分、左に抜けてきた大阪・ゼカルロスのゴール前へのボールはコースに入った古賀が跳ね返して行く。
 
 
3分、古賀からの長いボールに右から玉田が抜け出そうとするが、ここはDFに体を寄せられ、ボールを見失ってしまう。
4分、右のスペースへ出たボールを大阪・ピンゴが拾って縦に勝負を仕掛けてくるが、片山と有村がしっかりとこれをケア、ゴールラインを割らせる。
5分、左からのCKのチャンス。中村からの右足のボールをファーサイドに詰めた深津が胸で落としてシュートを狙うが、ここは相手DFが先に詰め、ボールをカットされる。
7分、大阪・西澤からの右のスペースへのボールを森島が拾って中へ入れてくるが、西澤が落としたボールは反対に流れて行く。
 
 
8分、右でスペースに出たボールを俊足を飛ばして拾った杉本がゴールライン際で切り替えして、中へと折返しを狙ったが、戻ったDFに弾かれてしまい、このチャンスを生かせなかった。
10分、相手陣内左中程でのFKのチャンス。中へ出したところを吉村がミドルシュートを狙っていったが、ボールは惜しくも相手GKの守備範囲内。ここまでは落ち着いたプレイを見せ、名古屋が優勢に試合を進めている。
11分、金が相手陣内中央で厳しいタックルに遭い、好位置でのFKを得る。
12分、このFKの場面で昨日まで練習していたセットプレイを拾う。中村が流したボールを吉村が押さえると、玉田が直接狙って蹴って行く。強烈なボールはGKに抑えられてしまった。
14分、有村からの縦パスに杉本がDFを交わして縦に抜け出そうとしたが、ここは体を入れられてしまい、ボールを奪われてしまう。
 
〜前半30分
16分、自陣右深い位置でのセレッソのFK。ゼ・カルロスの左足からのボールはゴールを巻くようにして、ポストの左に抜ける。
18分、左で西澤の落としたボールをゼ・カルロスが狙ってくるが、ここは大森が体を入れて阻止して行く。
 
 
19分、自陣ほぼ中央、ゴール正面でのセレッソのFK。今度もゼ・カルロスが直接狙って左足で蹴ってくるが、川島が正面でしっかり押さえてゆく。
21分、左でドリブルで仕掛けてきたゼ・カルロスだったが、大森が1対1での強さを見せ、ボールを簡単に奪ってゆく。
22分、左から中村が上がって出来たスペースへ出たボールを拾ったゼ・カルロスからのスルーに古橋が抜け出してシュートに来たが、川島が正面でキャッチ。
 
 
23分、左で玉田の落としたボールを片山がドリブルで持ち込んで行くが、ここは厳しいプレスに負けてしまい、ボールを奪われてしまう。
25分、左に抜け出したゼ・カルロスからのクロスに右から入ったピンゴがヘディングシュートを狙ってくるが、このシュートも川島が正面で抑える。
 
 
 
 
27分、右からのCKのチャンス。片山の左足からのマイナスのボールを吉村が戻すと、これを片山がゴール前に放り込んでゆき、上がっていた古賀が、またしても開幕戦でのゴールを頭で叩き込み、見事な先制弾を決める。セレッソが徐々に押し込み始めていただけに、この得点は、勢いを跳ね返す意味で大きい1点だ。 【得点】
27分 古賀(名古屋)
〜前半終了
31分、右から相手のパスをカットして中に入ってきた中村が、ドリブルで仕掛けてゆくと、DFの寄せたところでアウトサイドにかけたスルーパスを出して、玉田を走らせようとするが、これはボールが僅かに長すぎてしまい、前に出たGKの抑えられる。
33分、右から古橋とのワンツーで入り込んできたピンゴだったが、パスを受けられず、名古屋ボールに。
34分、右で中村からの長いスルーパスに杉本が抜け出してゆくが、ゴールライン際で切り返そうとしたところでボールが先にラインを割ってしまう。
36分、自陣からの川島の長いボールを杉本が落としたところに片山が詰めるが、トラップが流れ、タッチを割ってしまう。
 
 
37分、玉田からのパスを受けて左に上がった片山のクロスはDFに弾かれるが、CKのチャンスに。
38分、右からの中村の早いボールに中央へ玉田があわせに入ってゆくが、ボールはその前でカットされてしまった。
40分、相手DFが自陣でのボール処理をもたつくところで玉田がプレッシャーをかけてゆき、右からのCKのチャンスを得る。片山の短いボールを中村が戻すと、ダイレクトでゴール前を狙ったが、ポストの右に外れてしまう。
42分、ブルーノ・クアドロスが長いボールを裏へと蹴り入れてくるが、ここは有村がコースに入り、相手選手の寄せを阻止してゆく。
43分、自陣左中程でのセレッソのFK。古橋の右足からのボールがゴール前でこぼれるが、詰めていた金が落ち着いてクリアしてゆく。そして、ロスタイムもほとんど無く、名古屋は古賀のゴールによる1点でリードのまま、試合を折り返す。
 
〜後半15分
1分、右の出たボールを中村が早めに入れると、ニアの杉本が胸で落として中へと入ってゆこうとしたが、後ろからの厳しいマークにボールを奪われてしまう。  
2分、自陣左中程でのセレッソのFK。古橋のゴールに向かってくるボールは古賀が頭でクリアして、セレッソの右からのCKに。ゼ・カルロスのボールに遠いサイドにいた前田に頭であわされてしまい、同点弾を許してしまう。
3分、右で杉本が自らのトラップで裏へと抜け出して、ドリブルで仕掛けてゆくが、詰めてきたブルーノ・クアドロスの厳しい寄せにファウルを犯してしまう。
【得点】
47分 前田(C大阪)
 
4分、左で吉村のクリアミスを古橋に拾われると、川島と1対1の場面になるが、果敢に前へと飛び出して、シュートを正面でガッチリと押さえ、失点を防ぐ好セーブを見せて、サポーターを沸かせる。
5分、中央に流れてボールを受けた中村が左で裏へとボールを出して、玉田を使おうとするが、これはパスが長すぎ相手GKの下へ。
7分、自陣すぐで縦に入ったボールを西澤が反転して前を向こうとするが、ここは吉村が体を張って阻止してゆく。後半は立ち上がりからセレッソが早い攻め上がりを見せ、名古屋が受けて立つ形で始まっている。ここは落ち着いて、これ以上の失点は防いでゆきたい。
 
 
10分、左で縦に出たボールを玉田が狙いにゆくが、相手選手の多い狭い位置のため、カットされてしまった。
12分、左から抜け出してきた片山が左足からシュートを狙ってゆくが、ボールは相手GKの正面。
13分、セレッソの左からのCK。遠いサイドの前田を狙って蹴って来るが、前に出た川島が片手で弾き出してゆく。
14分、自陣で相手の横パスをカットした大森からのボールを深津が左に展開してゆこうとするが、片山には通らず。
15分、中央でパスを受けた中村が右に上がってきた大森に預けると、これを中へと入れてゆく。吉村が斜めに右に流れたところを狙ったところに杉本がコースを阻んでしまい、相手ボールになってしまった。
 
〜後半30分
17分、自陣左中程でのセレッソのFK。早いリスタートからのボールを河村が直接狙ってきたが、クロスバーの上へ。  
19分、左に出た長いボールを拾った代わったばかりの徳重が仕掛けてこようとするが、深津がしっかりとついてゆき、中へのボールを弾き返してゆく。
20分、中央を吉村がドリブルで仕掛けてゆくと、DFが寄せたところで裏へのボールを出してゆくが、抜け出した杉本は、ゼ・カルロスに阻まれ、ボールを受けることが出来なかった。
【交代:63分・大】
森島徳重
 
22分、右タッチ沿いからの大森からのロングボールに杉本が抜け出したが、ここはオフサイドになってしまう。
23分、中央に入ってきた中村からパスを受けた片山が早いクロスをゴール前へ入れてゆくが、グラウンダー気味のボールは中央で待っていた杉本・玉田には届かない。
 
 
 
 
25分、金のパスを受けた玉田がドリブルから相手DFの足下を抜く鋭いスルーパスを出すと、これに左から抜け出した杉本が飛び出したGKの当てながらもシュートをきっちりと枠に収め、2点目を決める。 【得点】
70分 杉本(名古屋)
27分、相手DFの上がった裏へ飛び出した杉本がGKと1対1になる。しかし、足がつったのか右足からのシュートはポスト右に外してしまう。
28分、セレッソ・古橋のエリアのすぐ外からのミドルシュートはクロスバーに当たり、大きく跳ね返ってゆく。ここで頑張っていた深津も足がつり、ピッチの外へ。
【交代:71分・名】
有村阿部
【交代:71分・大】
ピンゴ徳重
  【交代:74分・名】
杉本豊田
〜試合終了
 
 
31分、相手ゴール前でドリブルでDFの間を抜け出した豊田がそのままエリア内へと入ったところから、強烈な右足からのシュートを叩き込み、3−1とセレッソを突き放すゴールを叩き込む。
34分、右に流れていた玉田を狙って中村がパスを狙ってゆくが、これは相手DFに読まれて、カットされてしまう。セレッソも前半からの杉本と玉田の速い2人に付き合わされたのか、ここへ来て運動量が落ち、中盤でボールがルーズになり始める。
【得点】
76分 豊田(名古屋)
36分、左でこぼれ球を拾った阿部が長いボールを縦に蹴ってゆこうとするが、走り出していた豊田には届かず。
37分、左サイドからのボールに、スルっと抜け出した玉田がエリア内で左足を振り抜いてシュートを放っていったが、緊張したのかクロスバーの上へ外してしまい、追加点とはならなかった。
39分、中央でDFの裏へと出てきたボールに西澤が抜け出してきたが、飛び出した川島が滑り込んで抑える。
【交代:80分・大】
ゼ・カルロス柿本
 
40分、左で阿部とのワンツーで抜けた片山からのクロスに中央で豊田が頭から飛び込んで狙ったヘディングは僅かにクロスバーの上。  
42分、自陣左深い位置でのセレッソのFK。古橋のゴール前へのボールは豊田がクリア。セレッソの右からのCK。徳重の入れたボールをゴール前であわせられるが、これを川島が弾き返すが、こぼれ球を再度、西澤に押し込まれ、3−2とされる。 【得点】
87分 西澤(C大阪)
 
44分、相手陣内深く右寄りの位置でのFKのチャンス。短く出していったボールは弾かれてしまう。
ロスタイム1、左で阿部からの裏へのボールに抜け出した片山が深く持ち込むと、最後ゴール前へとマイナスに折り返してゆくが、ボールは前に出たGKが抑えてしまう。
ロスタイム2、最後は慌てることなく、中盤でボールを繋ぎながら終了を待つが、足下がもたつき、相当に疲れが出てきたことがよく分かる。
そして、3分のロスタイムを経て、激しい撃ち合いを名古屋が制し、見事、フェルフォーセン監督指揮の下、開幕戦を白星で飾ることに。最後まで熱い声援ありがとうございました。