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第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会・4回戦 |
一向に止む気配を見せない雨は、午前中にもまして強くなり、午後12時25分、ピッチへと試合前の最後の調整のために現れた選手達に容赦なく叩きつけ続けている。
清水戦では出場停止のため出場を果たせなかった秋田としては、これ以上チームの雰囲気を暗いものにさせたくないとばかりに、気合いのこもった声を挙げて、他の選手達を鼓舞している。すると、その元気・勢いに触発されるように、力がこもり始める。久し振りの先発出場となった吉村も気合いの入っている選手の1人だ。非公開練習時に行われた紅白戦では、これまで出場できなかった分を取り戻そうと、鬼気迫るほどの勢い溢れるプレイを見せていたようだ。 |
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また、ここしばらく中耳炎のため、公式戦・練習共に遠ざかっていた中谷も気合いの入っている1人だ。本来のポジションではないにもかかわらず、怪我から復帰後、左サイドをこなしていた大森にポジションを奪われていただけに、今日は本職としてのプレイでチームの勝利に貢献して欲しい。そして、何よりも今日は、北陸出身の2人、豊田と本田には活躍を期待したい。特に先発FWとなった豊田には持ち前の、類い希なる身体能力の高さと高い決定力を生かして、チームが決勝まで突き進む勢いの原動力になって、心配されているチームの決定力不足を補って余りあるほどのゴールを演出して欲しい。 |
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午後12時40分、降り止まぬ雨の中でボールを使ってドリブルやシュートを行いながら芝生のコンディションを確認した選手達は、1人また1人と、足早にピッチを後にしていった。 |
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〜前半15分 |
強い雨の中、両チームの選手が入場すると、地元・アローズの声援に混じって、名古屋サポーターの大きな声援がスタジアムにこだまする。気温も上がらず、冷たく体を冷やす雨の中、この声援は嬉しいばかりだ。
右エンドの北陸に対し、名古屋は左から右へと攻め上がる。前半はその名古屋のキックオフで試合開始。 |
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先発の布陣は、GK楢崎、DFは右に大森、左に古賀、中央は秋田が陣取る。中盤は右に中村、左に中谷、ボランチは吉村と安、トップ下には藤田、そして、FWはクライトンと豊田という2人と言う構成だ。
早速、クライトンのパスを右で受けた中村が左足で、大きくサイドを変えると、豊田が右足でシュートを狙うが、ポストの右に。
1分、左からのCKのチャンス。中村の右足からのボールはニアで跳ね返されてしまう。
3分、相手陣内右入った位置でのFKのチャンス。中村のボールに豊田が2列目から飛び込むが、ボールを上手くミートできず。 |
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4分、左からの中村のCKはDFに弾かれてしまい、このチャンスは決めることが出来ず。
5分、吉村からのヘディングで前に出したボールを豊田がスペースへと頭で落とすが、これは誰も走り込めず。
6分、自陣左深い位置での北陸のスローインのボールを、北陸・北川が折り返そうとするが、これは大森が弾き出す。
7分、北陸・石橋が中央をドリブルで突破すると、強烈なシュート狙ってくるが、これは楢崎が正面でシュートを止め、失点逃れる。
9分、自陣深く右寄りの位置で選手を倒してしまい、北陸に危ない位置でFKを与えてしまう。北陸・上園のボールに北陸・三好が頭から飛び込んでくるが、ボールはポストの左に流れ救われる。
11分、右からのDFの裏へのボールに中村が拾いにゆくが、これはボールが長すぎてしまい、相手DFに渡ってしまう。 |
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12分、吉村が右の縦のスペースに出たボールに果敢に飛び出してゆくが、寄せてきたDFへのファウルを取られてしまう。
13分、中央で安、藤田、そしてまた安と細かく回したボールを右に展開、最後中村が中へ入れていったが、これは飛び込んだ豊田へは届かず。
14分、自陣中程左寄りでの北陸のFK。ファーサイドへ上げたボールを北陸・佐藤が頭で折り返すが、楢崎が落ち着いて押さえる。 |
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〜前半30分 |
16分、右に出たボールを持ち上がった中村からのゴール前へのクロスは、DFがクリア、右からのCKに。
17分、中村の入れたボールは、一旦は弾かれるが、右に出たボールを中村が再びゴール前へと入れてゆくと、中央で安がタイミング良く飛び込むものの、僅かに頭には届かず。一方的なほど名古屋がボールを支配しているものの、J1を食ってやろうという、北陸の気合いに跳ね返されているこの時間帯といえる。早く先制点を奪って試合を楽にしたいところ。 |
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20分、中央で古賀からのパスを貰った中村が左足で右に上がるクライトンへとダイレクトで繋ごうとしたが、DFにカットされる。
21分、右からのCKのチャンス。中村の入れたボールにファーサイドであわせるものの、ボールはポストの左に。
23分、北陸・小柴の左からの折返しに中央でフリーの選手が飛び込んでくるが、これは楢崎が先に触って、間一髪外へと弾き出してゆく。 |
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25分、左の安から入ったボールを豊田が中へと落とすが、北陸のDF陣の集中力に押される形で跳ね返されてしまう。
27分、藤田がFKのボールを長く相手DFの裏へと入れてゆくものの、誰も走り込まず相手に渡してしまう。 |
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28分、一気にDFの裏へと出た長いボールに北陸・北川が走り込んでくるが、ここは秋田がマークにしっかりと付いてファウルを誘う。滑りやすいピッチが北陸に味方するかのように足を引っ張り、なかなかボールが良い形で収まらない。
30分、カウンターで抜け出した北陸・石橋の左足のシュートはポストの右へ。 |
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〜前半終了 |
31分、相手ペナルティエリア内中央で、藤田がキープ、DFに倒されながら持ちこたえたボールにクライトンが詰めて右足でシュートを放つが、これは不運にも相手GKの正面。
32分、中谷が左サイドを豊田に当てて上がってゆこうとするが、寄せてきたDFを交わそうとしたボールが流れてしまい、相手に奪われてしまう。雨は一向に止む気配を見せず、ますます雨脚が早くなるばかり。更に気温も下がり、厳しいコンディションに拍車が掛かっている状況だ。 |
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35分、右から中へと持ち込んだクライトンの出したマイナスのパスに安が左足からシュートを放つものの、これは左に流れ、枠を捕らえることは出来なかった。
37分、左サイドタッチ際に出たボールを北陸・小柴が狙って上がってくるが、ここは古賀が落ち着いてボールをクリアしてゆく。
38分、自陣左深く出たてに入ったスローインを拾いに来た北陸・北川を阻止しようと、大森が体を張ってゆく。 |
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40分、自陣に攻め込んできた北陸・山本のボールを吉村がカット、縦に上がるクライトンへと渡してゆくが、相手の厳しい寄せにボールを奪われてしまう。
42分、中央左寄りを上がっていった吉村が前線の豊田へと入れようとするが、相手の厳しい寄せに戻したところに安が走り込んでシュートに行ったが、ボールは大きくバーの上へ。
44分、自陣へと攻め込んできた北陸のボールを奪って、一気に前線に出してカウンターへ出ようとしたところで、豊田がオフサイドを取られてしまう。 |
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ロスタイム1、自陣DFの裏へと出たボールに北陸・北川が秋田と競り合いながら抜け出してくるが、ボールに触れた時はゴールラインの外。そして、ここで前半が終了。開始早々は押し気味の展開だったものの、徐々に北陸にセカンドボールを奪われてカウンターを狙われる場面が目立ち、苦しい内容で試合を折り返すことに。取りあえず、相手に先制されず調子に乗せなかったことが救いだったような状態の前半といえよう。後半はJ1らしいプレイでの奮起を期待したい。 |
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〜後半15分 |
エンド入れ替わり、左エンドの北陸のボールで後半がスタート。両チーム共にメンバー交代はなし。
1分、右から中村の入れたボールを藤田が落とすと、安が詰めるが、ボールに間に合わず、トラップはするもののシュートまで持ち込めず。 |
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4分、ゴール前へのボールを豊田が右足で押し込んで、ようやくと言った感じで待望の先制点が決まる。これで落ち着いて試合運びが出来そうだ。
6分、右のスペースへと長く出たボールを豊田が拾いにゆくが、これは芝に足を取られる形で倒れてしまい、チャンスに出来なかった。
7分、吉村が左足でタッチ際を中谷を走らせようと長いボールを蹴ってゆくが、これは相手DFにカットされてしまう。 |
【得点】
49分 豊田(名古屋) |
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9分、北陸・渡辺が抜け出してきて中を窺うが、しっかりとDFが寄せて、ボールを入れさせることはなかった。
10分、中央の藤田から安、そして縦のスペースへ出してクライトンとボールを繋げてゆくが、裏へと抜けたところをカットされてしまう。
11分、左でボールを持って前を向いた豊田がDF3人を引きつけたところで、オーバーラップしていった中谷へスルーパスを出すが、これは惜しくもオフサイドの判定。
13分、自陣右深くでの北陸のFK。上園の入れたボールは中央で待ち受ける選手の頭上を抜ける。 |
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〜後半30分 |
16分、左でボールを繋いだ中谷が詰めていたクライトンに渡すと、これを中の藤田に渡してゆく。最後は、藤田の落としたボールを中村が左足からシュートに行ったが、ボールはクロスバーの上へ。 |
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17分、ここへ来て、収まりかけていた雨脚が再び激しさを増してゆく。
18分、北陸・渡辺が右から入れたボールを中央で受けた北陸・北川の左足シュートはポストの右に。 |
【交代:62分・北】
長山島袋 |
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20分、右サイドを上がって行った大森からの折返しを受けたクライトンが、トラップから右足でシュートに行ったが、ボールをポストの左に外してしまう。
22分、右に上がった北陸・小柴のゴール前への折返しは、誰も詰め切れず。 |
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24分、左で山口のスルーしたボールを受けた豊田が右足でシュートにゆこうとしたが、是はコースを阻んだDFにボール奪われてしまう。 |
【交代:66分・名】
中谷山口 |
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26分、大森からの縦パスを受けた吉村が左足でゴール前へと入れてゆくが、ボールはDFがクリアしてしまい、左からのCKに。
27分、左からのショートコーナーのボールをクライトンが入れてゆくが、DFに跳ね返され、追加点は奪えず。 |
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【交代:74分・北】
渡辺松下 |
〜試合終了 |
31分、右からの中村のCKのボールに、詰めていた古賀が頭であわせにゆくが、僅かに届かず。 |
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33分、北陸のカウンターアタック。左サイドから入ったボールを中央の北陸・北川が古賀を切り替えしてシュートに来ようとしたが、ここはプロの読みでシュートコースを読みきっちりと跳ね返し、ゴールを割らせることはなかった。 |
【交代:77分・名】
豊田本田 |
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35分、左からのCKのチャンス。クライトンがこれを蹴ると、ニアへ速いボールを入れてゆくが、DFに弾き返される。
37分、クライトンが左から放り込んでゆくが、このボールはDFに止まれて簡単にカットされてしまう。この時間帯は何とか同点に追いつこうという北陸の気迫溢れるプレイが目立ち、守勢を強いられる名古屋だ。最後まで集中して、ここはプロの意地を見せて絶対に逃げ切りたい。 |
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40分、右のスペースへと大森が出したボールを本田がDFを背負いながら抜け出してゆこうとするが、振り切ろうとしたところでファウルを取られてしまう。
41分、北陸の左からのCKはニアへ入れてくるが、ボールをしっかりと跳ね返し、このピンチをきっちり切ってゆく。
42分、藤田の相手の上がっていたラインの裏を狙ったスルーパスに中村が抜け出したが、オフサイドに。 |
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44分、中央で藤田の出したスルーに杉本が抜け出してゆくが、飛び出したGKに邪魔されシュートまで持ってゆくことが出来なかった。
ロスタイム1、左からドリブルで仕掛けてきた北陸・北川の右足のシュートはポストの左に外れる。
ロスタイム2、相手陣内右中程での名古屋のFK。大森が右足で放り込んでゆくが、秋田がDFに弾かれてしまう。
そして、約3分半のロスタイムを経て、主審の笛がスタジアムに響くと、名古屋は久し振りの勝利で試合を終えることに。終始苦しい時間が続きながらも、豊田の決めた虎の子の1点を守りきり、まずは4回戦を勝ち抜くことが出来た。勢いが戻ったと言うにはまだまだそれほどの内容を見せることが出来なかったが、辛勝ながらも“勝利”の2文字を得るという重大事を久し振りに果たせたことは、大きな収穫といえよう。最後まで熱い声援ありがとうございました。 |
【交代:88分・名】
クライトン杉本 |
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