Jリーグ ディビジョン1・第29節
 午後2時55分、ヒンヤリとした空気が満ちていたスタジアムに両チームの選手がウォーミングアップのためピッチへと現れると、温度が満ち始め、暖かさすら感じさせるようになる。自陣中央でサポータの声援に応え大きく手を振ると、選手達は互いにボールを蹴り合うなどして、コンディションを上げてゆく。
 前節の鹿島戦では、久し振りに緊張感溢れるディフェンスを見せ、鹿島の攻撃陣をしっかりと封じ込めていた守備陣の柱でもある秋田が出場停止となったため、彼に代わって、守備の要を任された角田だが、試合前の練習から相当気合いが入っているかと思われたが、表情も軟らかく落ち着いた様子だ。川崎F・鹿島と連続で星を落としてしまい、勝ち点を稼ぐことが出来ず、苦しい状況が続いているだけに、これ以上順位を下げ、下位チームの降格争いに巻き込まれないようにするためには、今日の対戦相手の清水エスパルスはしっかりと叩いて、勝ち点3を奪い、気持ちを楽にして、残り試合を戦ってゆく勢いにしたい。
 前節・鹿島戦を出場停止で欠場し、苦しい時を過ごした豊田も今日は先発に戻り、普段は大人しい様子からは想像出来ないほど、気合い充分の表情をしている。ずっと言われ続けている得点力不足を払拭するようなプレイ・ゴールシーンを今日は期待したいところ。
 3時15分過ぎ、思い思いにシュートやドリブル、クロスを上げながらピッチのコンディションを確かめた選手達は、キックオフ前にサポーターに元気を充填してくれるために登場した南山大学チアリーダーズと入れ替わるようにしてロッカーへと消えていった。
キックオフ前、南山大学チアリーダー“ラッスルズ”による演技が行われました。
〜前半15分
両チームサポーターの声援のまっただ中に、フェアプレイフラッグに先導された両チームイレブンが入場すると、スタジアムの温度が更に上がってゆく。
右にエンドを取った清水に対し、左から右に攻め上がる名古屋。前半は清水のキックオフでスタートする。
先発メンバーは、GK楢崎、DFは古賀・角田・増川の3バック。中盤は、右に杉本、左は今日も大森が入り、ボランチは安とクライトンの2人。トップ下には藤田が入り、FWは中村と豊田の2人という布陣だ。
 
 
1分、中央を抜けた藤田が、右に上がる杉本に当てて更に裏へと抜けてゆくが、ここは杉本がパスをこぼしてしまう。
2分、自陣中央での浮き球を清水・マルキーニョスが競りに来るが、増川が体をしっかりと入れファウルを誘う。
4分、中盤でパスをカットされると、左の清水・兵藤の縦のボールにチョが拾いに来るが、ボールはゴールラインの外へ。
5分、左でボールを持って上がってきた大森だったが、中へ入れようとしたところをコースを阻まれてしまう。
 
 
6分、相手パスをカットした中村が切り替えして素早く上がって行くと、右にいた藤田へ入れ、これを一旦安に渡して、ゴール前へと入っていく。そして、安からの裏へのボールに飛び込んだが、これはDFが体を先に入れカットしてしまった。  
8分、清水の左からのCK。兵藤の左足のボールは中央で跳ね返すが、ファーサイドでこぼれたボールを拾われ放り込まれると、再度ゴール前に入れられ、これを清水・青山にヘディングでシュートを決められ、清水に先制点を許してしまう。
11分、クライトンからの縦パスを豊田が右に流れながら受けようとするが、パスは後ろに抜けてしまった。
【得点】
8分 青山(清水)
 
12分、古賀からの縦への長いボールを杉本が拾いにゆくが、これは清水・森岡にクリアされてしまう。
13分、右に持ち上がった清水・太田からのゴール前へのグラウンダーにチョ・ジェジンが飛び込んでくるが、これは足が届かず、辛うじて救われる。
14分、左サイドのマルキーニョスにパスが入るが、ここは古賀が体を入れてボールをカット、タッチの外へと出して行く。
 
〜前半30分
16分、自陣から増川が大きく左サイドの縦のスペースへと蹴り出してゆくが、これを拾いにゆこうとした中村はオフサイド。
17分、クライトンの縦パスを受けた豊田がキープして、縦に出すと、これに杉本が飛び出して、ダイレクトで中へと折り返すが、DFに当たってCKになる。
 
 
18分、右からのCKのチャンス。中村の右足からのボールを中央で増川がヘディングシュートを狙いにいったが、ボールは相手GKの正面。
20分、左サイドで大森が持ち上がると、追走してくる藤田にパスを通す。これを更にタッチ際で待っていた中村へと出して行くが、これもオフサイドに。この時間帯は先制したことで気持ちに余裕の出た清水がボールを持つ時間が多く、思う通りにやられてしまい、守勢に回る展開が続いている。
23分、左サイドでゴールライン際のボールをチョ・ジェジンが折り返すと、中央でマルキーニョスにあわせられるが、これは角田がコースに入ってボールを止める。
 
 
26分、右に上がってきた太田からの早いクロスを中央でチョ・ジェジンが頭であわせにくるが、これは前には飛ばず。
28分、クライトンからのパスを受けた大森が縦に速いボールを蹴り出すと、これを中村が受けにゆくが、清水のDFに体を入れられ、先に奪われてしまう。
 
〜前半終了
31分、ゴール前でのこぼれ球を次々と拾われると、シュートを枠に向かって打たれるが、楢崎が再三に渡って体を張ってボールを跳ね返し、辛うじて失点は逃れることができた。
33分、中央で角田がボールを持って前を向くと、裏へ抜けようとする杉本にボールを出してゆくが、これはDFにカットされてしまう。
34分、左からのCKのチャンス。中村のボールをニアで豊田が受けると頭で後ろへと流し込もうとするが、ボールはクロスバーの上へ抜けてしまう。
 
36分、左に大きく展開されたボールを清水・マルキーニョスが受けると、ゴール正面へと放り込んでゆくと、これがゴール前に飛び込んできた選手を意識した楢崎の横を抜けて直接決まってしまい、前半にして2失点目を喫してしまうという、苦しい展開に。 【得点】
36分 マルキーニョス(清水)
 
39分、相手陣内でボールを回しながらチャンスを窺うと、中央でボールを受けてキープしていた豊田がファウルで倒され、好位置で倒され、FKを得る。
40分、このFKを増川が直接狙って強烈なボールを蹴っていったが、壁に当たって弾かれてしまう。
42分、下がってボールを受けた中村が縦に抜け出す杉本の前へと蹴り出してゆくが、杉本が追いつく前にGKに押さえられてしまう。
43分、右でボールを受けた杉本が中村に当てて、ペナルティエリア内へと入ってゆくが、スライディングに来たDFにボールを弾き出されてしまい、シュートまで持ってゆけなかった。
 
 
44分、右の杉本が足下を抜ける鋭いクロスを入れると、中央で豊田、そして藤田と次々に飛び込むが、どちらの足にもボールは当たらず、得点を挙げることはできなかった。そして、前半は0−2で清水がリードしたまま終了。名古屋はまたしても苦しい試合を強いられることになってしまう。しかし、前半終了間際の杉本が起点となった攻撃で徐々に光明が見え始めただけに、後半の早い時間帯でまずはゴールを挙げ、勢いを付けてゆきたいところだ。  
〜後半15分
エンド入れ替わり、右から左へと攻め上がる名古屋のキックオフで試合が再開。
1分、相手陣内での大森のスローインのボールを藤田が拾いにゆくが、清水の選手の速い出足にカットされてしまう。
2分、自陣深く右寄りの位置での清水のFK。これを兵藤が左足で入れてくるが、大森がニアで落ち着いてカットしてゆく。
4分、左にDFの裏へと抜け出した中村の折返しはDFに弾かれCKに。
 
 
5分、左からのCKのチャンスに、中村が入れたボールが遠いサイドに飛び込んだ古賀の頭に吸い寄せられてゆくが、右のポストに当たって跳ね返されてしまう。
7分、中村が相手陣内深くで粘ると、左からのCKのチャンスをもぎ取るが、ゴール前へのボールは誰も決めることが出来なかった。
9分、相手陣内深く左寄りの位置で藤田が倒され、絶好のFKを得る。このセットプレーのチャンスに中村の入れたボールは反対にDFに弾き出されるが、こぼれ球を杉本が拾って左足でゴール前へ入れてゆく。しかし、これは清水のDFの厳しいマークに阻まれ、前すら向かせてもらえなかった。
 
 
12分、大森が左で上手くボールをキープ、裏へと出すと、左から中村が抜け出しゴール前へ速いボールを入れてゆくが、誰もこれをあわせることが出来ず、得点は奪えなかった。この時間帯は名古屋が良い攻撃を見せているだけに、早くゴールが欲しいところだ。
14分、右でボールを持った杉本が中を狙うが、DFが弾き返してしまう。しかし、こぼれ球を拾った安がクライトンに渡すと、これをDFの裏へ入れ藤田を走らせようとしたが、パスが長すぎてしまう。
 
  【交代:60分・名】
本田
〜後半30分
18分、中央でボールを拾ったクライトンがダイレクトで、DFの裏へと蹴りこんで行くが、このボールは簡単にカットされてしまう。  
 
20分、左に大きく展開されたボールを大森が拾うと、これをゴール前へ入れて行くが、DFがカットしてしまう。  
 
 
22分、右からのCKのチャンス。ゴール前の中村のボールがこぼれたところをエリアの外から詰めた角田が積極的に放ったシュートがGKに当たったものの、ゴールラインを割り、1点差に詰め寄るゴールとなる。
24分、自陣で相手のドリブルのボールをかすめ取った本田が上がってゆくと、ノールックで左足のアウトサイドのスルーパスを縦に出してゆくが、これに飛び出した中村はオフサイドを取られてしまう。
27分、縦に入ったパスを清水・マルキーニョスがトラップして反転、前を向こうとしてくるが、ここは角田が上手くコースに体を入れてゆき、勝負させなかった。
【得点】
66分 角田(名古屋)
 
29分、クライトンが持ち上がってきたボールを本田に渡すと、これを前にではなく右のスペースに待ちかまえていた中村へと展開するが、これもオフサイドになってしまう。  
〜試合終了
31分、左サイドで杉本が拾ったボールをもらった大森が縦に勝負に出るが、清水DFの厳しいマークにクロスを上げる前にゴールラインを割ってしまう。  
【交代:76分・名】
杉本中山
33分、右でこぼれ球を拾ったクライトンのDFの裏へのボールに今度はオフサイドに掛からないよう上手く中村が抜け出すと、左足でタイミングを計って中へと流れながらシュートを放っていったが、シュートは僅かにポストの左に流れ、同点にすることは出来なかった。
35分、浮き球を競り勝った本田が落としたボールを豊田が左で拾うと、そのまま持ち上がってゆき、ゴール前に入れてゆくが、DFに弾かれCKに。
 
 
37分、左からのCKを本田が速いボールで入れていったが、清水のDFに弾かれてしまう。
39分、自陣で清水のパスを奪った藤田がそのまま前を向くと、中央に上がる中村へと出してゆく。更に右に上がってきた中山に渡していくが、タッチを割ってしまう。
40分、相手陣内右中程でのFKのチャンス。本田のボールにファーサイドで角田があわせにゆくが、DFに体を寄せられ、枠へはヘディングシュートを飛ばすことは出来なかった。
42分、自陣中程右寄りの位置での清水のFK。兵藤のゴールに向かうボールにチョ・ジェジンが入ってくるが、角田がしっかりとついてゆきカットしてゆく。
【交代:82分・清】
マルキーニョス西野
 
43分、右に開いた中山がボールを受けると、ゴール前へ入れてゆく。これを清水DFが弾いてこぼれたところに詰めた本田がシュート気味に放ったボールが相手選手に当たりまたしてもこぼれる。これを藤田が左足でシュートを狙ったがDFに当たって跳ね返され、追加点は奪えなかった。  
ロスタイム1、相手陣内右でボールを持った中村が左足で放り込んでゆくと、上がっていた古賀がヘディングシュートを打つが、これは残念ながらGKの正面。
ロスタイム2、下がっていた本田からのロングボールを前にポジションを取っている古賀が受けにゆくが、これは清水のDFに跳ね返されてしまう。
【交代:89分・清】
太田和田
 
ロスタイム3、相手陣内左でボールを持った大森が中へ放り込んで行こうとするが、芝生に足を取られてボールが流れたところを清水の選手に奪われてしまう。そして、最後、大きく清水の前線にボールが蹴り出されたところで試合終了の笛がスタジアム内に響き渡り、名古屋にとっては辛く厳しい敗戦が決まってしまう。結果的には敗れはしたものの、後半は圧倒的に名古屋が攻め立てていただけに、追加点を奪えなかったことは悔やんでも悔やみきれないところだ。最後まで声援ありがとうございました。