Jリーグ ディビジョン1・第27節
 細かくピッチを濡らしていた雨は、試合開始1時間を切った頃から大粒に変わり、午後3時半現在、ピッチ内で黙々と、キックオフに向けた最後の仕上げをおこなう選手達を容赦なく叩いてゆく。
 オールスター戦による中断で、2週間の準備期間を経た中田新監督の率いる我らが名古屋グランパスエイトは、好調の川崎フロンターレをホーム・瑞穂に迎えて第27節を戦う。前節の、やはり上位進出を狙って、好調を維持していた広島との一戦は、予想通り苦しい戦いを強いられるものの、すっかり右サイドが定着した杉本がそのスピードを生かして、エリアを制覇、試合の流れをたぐり寄せる働きを見せて、中田監督に就任初白星に貢献した。今日の試合でも川崎のスピード溢れる強烈な外国人勢に負けず劣らずの快足を飛ばして、連勝を勝ち取る働きを見せて欲しい。
 今日は、怪我からの長いブランクを過ごした大森が復帰、久し振りの先発を果たした。自身の中ではまだ幾ばくかの不安は残っているようだが、中田監督の“熱い”要望に応える形で、ついに復活となった。今日の雨は、彼の復活を祝う試合としてはいささかコンディション的には厳しい天候となってしまったが、出来る限り長い時間をこなして、今後の完全復調を目指して欲しい。
 3時45分、強い雨の降りしきる中で、最後、ボールを使ってピッチコンディションを確認した先発メンバーは、濡れた練習着を気にすることなく、ゆっくりとした足取りでピッチを後にする。
キックオフ前、9月の月間ランクル賞が発表され、杉本選手が表彰されました。
〜前半15分
キックオフの時間を迎えても、雨はいっこうに収まる様子はなく、より一層、激しさを強めてゆく。そして、叩きつけるような雨の中に両チームメンバーが入場してくると、雨をものともしない名古屋サポーターの熱い声援がスタンドを飛び交うようになる。
前半は、右エンドの川崎に対し、名古屋は、右から左へと攻め上がってゆく。そして、試合はその名古屋のキックオフで始まる。
先発メンバーは、代表戦帰りのGK楢崎、DFは角田・秋田・古賀の3人。中盤は右サイドは杉本、左サイドは久し振りの先発出場となった大森が務める。ボランチは安とクライトンの2人。前線は豊田がワントップ気味になり、その後ろを藤田と中村が並ぶ形に。
 
開始0分、右サイドからの川崎・中村のボールにゴール前左から詰めた川崎・マルクスにヘディングシュートを決められ、先制点を早くも奪われる嫌な立ち上がりとなる。
2分、右から杉本が切り替えして縦に抜けてゆこうとしたが、川崎・アスグストに阻止されてしまう。
3分、自陣ほぼ中央真ん中寄りでの川崎のFK。これをマルクスが打つと見せかけ走り込んだアウグストが左足で蹴ってきたボールはDFに当たって右のCKに。
【得点】
0分 マルクス(川崎)
 
4分、右からのマルクスのニアへのボールは角田が跳ね返して行く。
6分、右サイドをドリブルで上がっていったクライトンがタイミングを見計らって杉本に出してゆくと、中村が寄せてヒールで流したボールを杉本が中央へ入れてゆく。しかし、詰めてきた藤田には届かず。ここで、なんと副審の一人が足の怪我で入れ替わるというハプニングが起こる。
8分、自陣から角田の長い縦のボールを豊田が拾いにゆくが、先に体を入れた川崎・寺田へのファウルを取られてしまい、相手ボールに。
10分、右サイドタッチ際に上げた角田のボールを豊田がまたも取りにゆくが、ここでも競り合った川崎・寺田へのファウルで今度はイエローを受けてしまう。
 
 
11分、古賀の裏を狙った早いスルーに川崎・我那覇が抜け出してくるが、ここは楢崎が飛び出してボールをスライディングで押さえる。
12分、豊田が落としたボールを右で受けた藤田が、そのまま早いクロスを入れてゆくが、中央に詰めた杉本の後ろを抜けてしまう。
13分、右からのCKのチャンス。中村の入れたボールを古賀が中央でヘディングシュートを狙うが、DFに体を寄せられ力強いボールは決められず、GKの正面に。
14分、自陣右深くでの川崎のスローイン。マルクスの入れたボールをアウグストが落としてエリア内へとマルクスを入れさせてこようとしたが、ボールはゴールラインを割ってゆく。
 
〜前半30分
16分、2列目から川崎・久野が飛び出してくると、左からゴール前へと入れてこようとするが、ここはクライトンがしっかりとマークに付き、ボールを入れさせることは無かった。
18分、角田が相手パスをカットして縦に上がると、豊田に当ててこれを前のスペースへと入れて行く。クライトンがこのボールを拾おうとしたが、反応が遅れてしまい、DFにカットされてしまう。
 
 
20分、相手パスを奪った杉本からのパスを受けた中村が、中へと入って行きながら左足から強烈なシュートを遠目から打ってゆくと、これには相手GKも慌て、反応が遅れるが、伸ばした指に当たったボールはポストの右に弾き出されてしまった。ここへ来て雨は一層強さを増し、集中力を奪うほどに激しくなる。
24分、川崎・ジュニーニョのDFの裏へのボールは、秋田がしっかりと入ってボールをカットしてゆく。
25分、右サイドにポジションを変えていた中村が縦に出したスローインのボールを杉本が奪いに激しくゆくが、これはDFの堅い守りに阻まれてしまう。
 
 
27分、中村の縦のパスに右で上がっていったクライトンが、これを受けて杉本に渡すと、ダイレクトで中へと入れてゆく。しかし、雨でボールが上手く足下に収まらず、精度を欠いたボールは簡単にクリアされてしまう。
29分、自陣から楢崎が大きく蹴り出したボールを相手DFが拾ったところに、豊田・中村が突きにゆくが、ボールを奪うことは出来なかった。
 
〜前半終了
容赦なく振り付ける雨に、試合の流れが停滞気味となり、なかなか良いボールを前に入れることが出来ない名古屋。しかし、ここは集中を切らさぬよう、しっかりと守り失点は逃れたい。
31分、相手ボールをカットした角田が中央を上がると、右足でシュート気味のボールをゴール前へ。これが相手DFに当たり、左のCKに。
32分、中村が中央に上がっていた古賀を狙うが、これは簡単にクリアされてしまう。
34分、左からのCKのチャンス。この時間帯は名古屋が優位に攻め込んでいるだけに、ここで得点を奪いたいところだ。しかし、中村の左からのCKのボールはファーサイドに流れたところをクリアされてしまう。
 
 
35分、相手陣内右深くでのFKのチャンス。中村のカーブの掛かったボールがゴール正面へと入ってゆくが、誰もこれに触れることは出来なかった。
36分、杉本が落としたボールをクライトンが大きく縦に出すと、豊田が落下点に構えるが、これはオフサイドの旗が上がる。
38分、右からクライトンが入れたボールを受けた豊田が何とか切り替えして前を向くと、エリア内で縦に抜け出そうとしたが、厳しいDF2人に阻まれ、ボールをカットされてしまう。
39分、右に上がっていたクライトンのゴール前へのボールに豊田が飛び込むが、これは弾かれてしまうが、このこぼれ球を拾った大森がペナルティエリアのすぐ外からシュートを狙ったが、ポストの左に。
 
 
40分、自陣左でジュニーニョがボールを持つと勝負を仕掛けてこようとするが、ここはマークに付いた大森の貫禄勝ち。
42分、クライトンの外へはたいたボールを右で受けた杉本が早いボールを右足から入れて行くと、中央で待っていた豊田が胸で上手く落としてシュートにゆこうとしたが、相手DFの早い寄せにカットされ、打たしてもらえなかった。
44分、クライトンの縦の長いボールに杉本が右サイドから走ってゆくが、このボールは相手GKの下へと渡ってしまう。
 
 
ロスタイム、相手陣内でパスをパスを回してスペースを捜すうちにロスタイム1分が経過、前半は0−1で川崎の先行で試合を折り返すことに。ある程度の苦しい戦いは予想されたものの、雨で滑りやすいピッチも足を引っ張る形となり、勢いの良い川崎に前半は押される形に。それでも徐々にペースを掴みかけるようになったが、川崎DFの固い守備はなかなか崩すことが出来なかった。両チームが引き気味のカウンター狙いを仕掛けようとしているだけに、中盤での不用意なミスは命取りになる。そういう意味で、今はある程度我慢をしながら、相手のミスを上手く利用し、チャンスを作って攻撃に転じることになるだろう。  
〜後半15分
振り続く雨の中、両チームの選手がピッチに戻ってくる。厳しいコンディションが続く中、何とか早い時間帯でまずは同点として試合を振り出しに戻したいところだ。
後半はエンド入れ替わり、左から攻め上がる川崎のボールで試合再開。
 
2分、自陣中程右での川崎のFK。マルクスゴール前へのボールに左から抜け出してきた川崎・ジュニーニョに押し込まれ、追いつくどころか後半早々に追加点を奪われてしまう。
3分、中央でマルクスの落としたボールを拾ったジュニーニョが右足からのシュートを放ってくるが、これはポストの右に。
4分、相手の縦パスを右でカットした古賀が素早く出してゆくと、これを豊田が拾いにゆくが、厳しいディフェンスに阻まれてしまう。
【得点】
47分 ジュニーニョ(川崎)
 
6分、左サイドで大森とのワンツーで中村が抜け出そうとしたが、ボールが上手く転がらず、相手DFがカットしてしまった。
8分、相手陣内右でパスを受けた中村が右から入れてゆくと、これをファーサイドから豊田が詰めてゆくが、相手DFとの交錯で倒れ、チャンスを作ることは出来なかった。
 
9分、右サイドで抜け出してきたジュニーニョがクロスをゴール前へ入れてくるが、これは秋田がカット。しかし、これを右で再び拾ったジュニーニョが左足で放ったシュートは、カーブを描いてネットに突き刺さり、更に追加点を奪われてしまう。 【得点】
54分 ジュニーニョ(川崎)
 
13分、自陣右深くでクライトンがボールを持つと、川崎・我那覇の厳しい寄せに何とか交わそうとして粘りを見せ、ファウルを誘う。
15分、左のスペースへのボールを拾って縦に仕掛けようとした中村だったが、厳しい足下へのスライディングで倒されてしまう。
 
〜後半30分
16分、相手陣内ほぼ中央でのFK。中村が直接狙うがボールは壁に当たって弾かれてしまう。
17分、川崎が早い展開から右に抜け出したジュニーニョがドリブルで仕掛けてくるが、ここは角田が勇気あるタックルを見せてシュートを打たせることはなかった。
19分、中央で相手ボールをカットしたクライトンがそのまま持ち上がると、右についてきた中村へパスを繋ぐ。これを中村が縦に出したところへクライトンがそのまま抜け出してシュートにゆこうとしたが追いつけず、相手GKが先にボールを押さえてしまった。
 
 
21分、相手陣内左中程でのFK。早いリスタートで出たボールに杉本がDFの裏へと飛び出してくるが、これは惜しくもオフサイドに。
23分、川崎の左からのCK。アウグストのボールにゴール前で混戦になると、最後こぼれ球をマルクスがシュートに来るが、ボールはクロスバーの上へ。
24分、DFの裏へのボールに素早い抜け出しを見せたジュニーニョをペナルティエリア内で楢崎が倒してしまうと、PKに。
【交代:70分・名】
豊田中山
26分、このPKをジュニーニョ自らが蹴ってくると、一旦は楢崎がコースを読んで止めるものの、このボールにジュニーニョが再び詰めてシュートを決めてしまい、痛恨の4点目を奪われてしまう。 【得点】
71分 ジュニーニョ(川崎)
 
27分、中央でクライトンからのパスを受けた中村が何とかシュートコースを探すが、川崎のDFの集中に前を阻まれ、打たせてはもらえなかった。
29分、相手陣内中央でボールを持って前を向いた安が前線の選手がフリーでいないと見ると、強烈なミドルシュートを放ってゆくが、ボールは相手GKが押さえてしまった。
【交代:75分・川】
マルクス今野
〜試合終了
32分、クライトンのDFの裏へのボールに左から大森が抜け出してゆくが、ピッチで滑ったボールは予想以上に球足が速く、追いつく前にラインの外へ。
33分、左サイドを上がってきた大森にパスが繋がると、左足でゴール前へ入れてゆくが、右に詰めた杉本のシュートはDFに弾かれる。右からのCK。中村の入れたボールはDFに跳ね返されてしまう。
【交代:78分・名】
杉本山口
 
 
34分、右でボールを拾った中村の左足からのゴール前のクロスにCKで残っていた古賀が頭で押し込み、1点を奪い返す。
37分、相手陣内右、安のパスを受けた藤田がダイレクトで縦に出して山口を走らせようとするが、これは寄せてきたDFに当たってカットされてしまう。
38分、相手陣内へと角田が持ち上がると、右からゴール前へと入れてゆくが、このボールは簡単にクリアされてしまう。
40分、中央でボールを持ったジュニーニョが縦に出すと、これを我那覇が受けて右足で飛び出した楢崎を交わして、無人のゴールにシュートを打ってくるが、ここは山口が間に合い、滑り込んで伸ばした足でボールを弾き、失点を阻止する。
【得点】
79分 古賀(名古屋)
 
42分、相手ゴール前で中山が頭で落としたボールを中村が拾うと、右に広がりながらゴール前へ入れていったが、ボールはDFの頭で弾き出されてしまう。
44分、相手陣内右中程でのFK。中村の蹴り入れたボールに遠いサイドで安が待ちかまえるが、ボールはその前でDFがカット。こぼれ球を拾った大森が右足でシュートを狙うものの、これは相手GKの守備範囲内。
ロスタイム1、左サイドタッチ際をジュニーニョがボールを持って上がってくるが、角田がマークに付いて中へと入れさせなかった。
 
ロスタイム3、右サイドで安がクライトンに渡そうとしたボールは川崎・黒津に奪われ、縦へと仕掛けられるが、何とか古賀が体を入れてチャンスを作らせることはなかった。そして、試合は1−4のまま終了。名古屋は殆ど良いところを見せることなく、ホーム・サポータの前で、川崎の攻撃力の前に屈するこことなってしまった。最後まで声援ありがとうございました。 【交代:89分・川】
我那覇黒津