Jリーグ ディビジョン1・第26節
 強烈な日差しがピッチに差し込んでくる中、名古屋の選手達が、午後2時15分過ぎ、ピッチへとウォーミングアップのため現れる。遠く地元から声援に駆けつけてくれたサポータに向けて、マスコットボールを投げ入れると、ピッチへ入り、早速体をほぐし始める。
 ピッチ内では、彼らに先駆け、GK楢崎と川島の2人が既に汗を一杯浮かべながら、コーチ陣の入れるボールをキャッチすることに忙しい。ディフェンス陣もようやく安定を見せ始めたものの、ちょっとしたミスを突かれて失点してしまっているだけに、キャプテン・楢崎としても、この後代表の遠征に気持ち良く旅立つためにも、今日こそは、と言う気持ちは相当に強いはず。楢崎同様、DFの要として、チームを引っ張る秋田も、その気持ちは誰にも負けないはず。とにかく今は、攻撃陣が奮起してくれることを願って、最後まで我慢強く、角田・古賀と共に厳しい守備を見せて欲しい。
 2時40分、一通りウォーミングアップをおこなった選手達は、思い思いに、誰彼と無く、声を掛け合いながらボールを蹴り合って、最後の調整をおこなっている。久し振りの先発となった中山も気合い充分な様子で、シュート練習をおこなっている。また、今日の右サイドを託された杉本も、右のスペースの芝生の感触を確かめながら、何度かクロスボールを入れてゆく。広島の鋭いカウンターの仕掛け人でもある服部とのマッチアップをしっかりと制して、攻撃の起点作りに頑張って欲しい。
 今日は、今の時間でおそらく30度近いと思われる天気も、敵に回ったと言えるだけに、後半は体力と言うより、気力勝負になるはず。“勝利”という2文字を目指して、最後まで諦めることなく戦ってくれることを期待したい。そして、2時45分、GKの楢崎が、いつものように先発メンバーの最後として、ゆっくりとした足取りでロッカーへ向かうと、試合前の練習が終了に。
〜前半15分
西からの強い日差しに、大きく影をピッチに落としながら、フェアプレイフラッグ、審判団に続いて、両チームの選手が入場してくると、それまでざわついていたスタジアムの雰囲気がより一層騒々しく変わってゆく。
GK楢崎、DFは右に角田、左に古賀、中央は秋田。中盤は、右サイドに杉本、左は中谷、ボランチは安とクライトン。トップ下は藤田。FWは、中山と中村の2人という布陣で臨む今日の試合。
前半、左にエンドを取ったホーム・広島に対し、名古屋は右から左へと攻め上がってゆく。前半は暑さと共に、逆光も意識しながら戦うことを強いられそうだ。前半はその名古屋のキックオフで試合開始。
1分、早速、広島が早い展開でDFの裏へのボールを入れてくると、佐藤が抜け出してくるが、これはオフサイドに。広島のもう1人のFW前田と共に、FWの2人は要注意だ。
2分、左に持ち上がった中谷のクロスは中央の中山の上を抜けてしまう。
 
 
3分、右サイド深い位置で、前田を古賀がファウルで倒してしまい、FKを与えてしまう。駒野が入れると見せかけ、服部が短く出したボールを広島・森崎が右足でシュートを狙ってくるが、ここは落ち着いてクライトンが阻止する。
4分、中央でこぼれ球を拾った広島・茂原がミドルシュートを狙ってくるが、これはDFが体に当ててカットしてゆく。
6分、中央で前田に入ったボールをワンタッチで、裏へとはたいたところを倒してしまい、FKに。ベットが縦に佐藤へといれてくるが、ここは角田がしっかりと体を寄せて、プレイさせず。
8分、左で中谷の落としたボールを受けた藤田が、縦のスペースへと出したボールに中山がこれを受けにゆくが、ボールはDFの網に掛かってしまう。
 
 
10分、右サイド出たてのスローインのボールを中村が落としたところへ、中山が走り込むが、相手DFが先にボールをカットしてしまう。
11分、自陣での競り合いのボールを茂原が拾うと、右のスペースへと抜ける李にパスを通してゆく。これをゴール前へと入れてこようとしたが、ボールは大きくゴールラインを割ってゆく。
12分、広島・駒野の縦のボールに茂原が抜け出してくるが、ここは古賀がしっかりと体を入れ、ボールには触れさせず。
 
 
13分、右から杉本の入れたクロスが、ジニーニョの足に当たって、相手ゴールに決まってしまい、名古屋は思ってもない形で先制点を手に入れる。 【得点】
13分 オウンゴール(名古屋)
〜前半30分
16分、右に持ち上がってきた駒野が中へと切り返すと、左足でゴール前へクロスボールを入れてくる。これに佐藤が飛び込んでくるが、前に出た楢崎がガッチリとボールをキャッチする。
18分、相手エリア内左深くでDFがボールを回しているところを、中村と中山がしつこくしかけてゆくが、ここはボールを奪えなかった。
19分、右からボールを持って入っていった杉本がそのままシュートを狙ってゆくが、これはポストの左に外れてしまう。
 
 
22分、左サイド相手陣内深くでスローインのボールをゴール前へと入れてゆくと、藤田が入ってゆくが、ボールには触れることが出来なかった。
23分、右サイドを上がってきた駒野が中谷を交わして、素早くボールを入れてくるが、これは大きく反対に抜けてゆく。
24分、左サイドから大きく展開したボールに右サイドを抜けてきた李がボレーシュートに。楢崎がこれを止めるものの、右からのCKに。
 
 
25分、広島の右からのCK。森崎の入れたボールはDFが弾き返してゆく。
26分、左サイドタッチ際を、安がこぼれ球を拾って上がってゆこうとするが、相手選手のプレッシャーにタッチを割ってしまう。
27分、中谷から藤田、中山とパスが通ると、最後相手ゴール正面でボールを持った中村がシュートにゆくが、体を入れたDFに当たって弾かれてしまう。広島の早い攻撃にも慣れた名古屋がしっかりと守備が出来るようになったこともあり、この時間帯は広島の雑な攻めが目立っている。
 
〜前半終了
31分、左で中谷が縦のスペースへと大きく蹴って藤田を使おうとするが、このボールは簡単に相手DFに奪われてしまう。
32分、自陣ゴール近くのところで前田に入ったボールに、秋田が後ろから厳しくいってしまいファウルを取られてしまう。
33分、自陣深くやや右寄りの位置からの広島のFK。駒野の蹴ったボールは壁が跳ね返すが、こぼれ球を今度は服部が左足で強烈なシュートを狙って蹴ってくる。しかし、ボールはポストの左に外れてゆく。
 
 
35分、右サイドで茂原の落としたボールを拾った前田が左足でゴールに曲がってくるボールを蹴ってくるが、ここは秋田がしっかりと落下点に入り、頭で跳ね返してゆく。
37分、相手陣内へと押し込んでゆくと、中谷の横パスを受けた中村が右サイドに上がってくる杉本の前のスペースへと大きくボールを入れてゆく。これをダイレクトで折り返そうとしたが、ボールはゴールラインを割ってしまう。
 
 
40分、自陣から大きく中谷が蹴り出したボールを中山が競り合いにゆくが、これは相手DFが慌てる場面もあったが、GKが押さえてしまう。
41分、右からのCKのチャンス。中村の入れたボールはDFに弾かれるが、左で拾った中谷が素早く入れてゆくと、古賀が頭で落としたボールに中山が飛び出して右足でシュートを狙うが、これはオフサイドに。
【交代:38分・広】
ベット高柳
 
42分、杉本の背後を服部に狙わせようとサイドチェンジをしてくるが、ここは足の速い杉本がしっかりと戻って、ボールに触れさせず。
44分、左からのCKのチャンス。中村の入れたボールが相手ゴール前に到達したところで、エリア内のファウルを取られ、相手のGKに。
ロスタイム1,右からの広島のCK。前田のゴール前へのボールは、楢崎が飛び出してキャッチ。
 
 
ロスタイム2、右に開いたクライトンが秋田からのボールをゴール前に早めに入れてゆくと、中山・杉本が飛び込んでいったが、相手GKに捉えられてしまう。そして、ここで前半が終了。思わぬ形で入った先制点とはいえ、これが名古屋の気持ちを落ち着かせたようで、殆ど危なげないまま、前半を1−0で乗り切ることが出来た。広島の早い展開も時間を追う毎にきっちりと対処でき、良い流れのまま試合が進んでいると言える。後半もこの雰囲気を続け、最後まで集中力を切らすことなくゲームを続けてゆけば勝利が見えてくるはずだ。  
〜後半15分
1−0で試合を折り返したものの、残り時間45分、まだまだセイフティリードとは全く言えない状況。良い形で試合を進めてゆくためにも、早い時間での追加点、それも相手をきっちりと崩しての得点で、広島の息の根を止めたいところ。
エンド入れ替わり、左からの右へ攻め上がる名古屋に対し、右エンドのホーム・広島のキックオフで試合が再開する。
1分、右でボールを持った杉本が早めに中のスペースへ入れて藤田にパスを通そうとするが、これは意思の疎通が無く、相手ボールに。
2分、左からの広島のCK。短く出したボールを服部が左足で入れてくるが、ボールは秋田が頭でしっかりと跳ね返してゆく。
 
 
3分、右でボールを持った茂原が楢崎とDFの間にボールを入れてくると、佐藤が飛び込んで来るが、ここは楢崎が慌てずにボールを押さえる。
4分、相手DFの裏へのボールに中山が抜け出すと、シュートを狙うが飛び出したGKと交錯、ボールをミートすることは出来なかった。
5分、右からの広島のCK。前田のニアを狙ったボールはクライトンが跳ね返す。
7分、広島の左からのCK。森崎の短く出したボールを入れてこようとするが、ここも集中して、相手のチャンスをしっかりと潰す。
 
 
9分、右で前田がドリブルで勝負に来ると、古賀がしっかりとついてゆく。するとこれを佐藤に短く繋いで、シュートを狙ってくるが、角度のないところのボールはそのままゴールラインを割る。
12分、右からのCKのチャンス。しかし、中村の入れたボールはニアの選手に簡単に弾かれてしまう。
13分、大きく右にサイドチェンジさせたボールを駒野が入れてこようとするが、藤田が体を張ってこれを止める。
14分、中央の藤田から出たボールを上がってきて受けた中谷が中へと折返しを狙うが、マークに付いてきたDFのスライディングにボールを置いていってしまい、チャンスを生かすことが出来なかった。
 
〜後半30分
16分、左サイドで角田が服部にボールを奪われると、そのまま持ち上がってきて、ゴール前へ入れてくるものの、これは精度が悪く、楢崎が正面で押さえる。
17分、右に勝負を仕掛けた杉本の早いクロスがゴール前へ入るが、中央の中山は体がゴールの方に流れてしまい、ボールには触れず。
 
 
18分、自陣から角田の出した長いボールを杉本が頭で中へと落とすが、このボールは大きくなってしまい、相手GKの下へ渡ってしまった。  
20分、上げていたDFラインの裏へのボールを、クリアしようと飛び出した楢崎が追いつく前に広島・佐藤に奪われてしまい、そのまま左足でシュートをゴールへと決められてしまい、ついに広島に追いつかれてしまう。ここは早くこの失点を切り替えて、攻撃に向かいたい。
23分、自陣エリア周辺でパスを回されると、茂原がエリアの外からミドルシュートに来るが、これはクロスバーの上へ。
【交代:64分・広】
ガウボン
【得点】
64分 佐藤(広島)
 
25分、左から高柳が角田をかわして中へとボールを入れてくるが、これは楢崎の正面。
26分、中央で前田がDFのラインの間に出たボールを縦に勝負にくるが、これはその前にオフサイドフラッグが上がる。
27分、右からのCKのチャンス。中村の精度の高いボールに秋田・古賀が競り合いにゆくが、広島・小村に跳ね返されてしまう。
28分、自陣に大きく出たボールを秋田が落としたところを狙っていた佐藤が左足でゴール前へ入れてくるものの、これは古賀がクリアし、辛うじて難を逃れる。
【交代:68分・名】
中山豊田
〜試合終了
30分、右に抜け出した杉本のクロスに中央で豊田が待ちかまえるが、その前でDFにボールをカットされてしまった。
31分、右で藤田が上がって受けたボールを杉本に預けると、これをダイレクトで入れてゆこうとするが、このボールは精度を欠き、簡単に相手のものになる。
 
 
 
32分、そして、右から杉本に左足で入れたボールが藤田の頭を経由すると、ファーサイドに詰めていた豊田の下へ。これを落ち着いて右足で放ったボレーシュートが見事に相手GKの指先を抜け、相手ゴールネットを揺らすゴールに。
35分、右からクライトンの放り込んだボールに豊田が高い打点の頭で飛び込んでゆくが、ボールはGKが弾いてしまう。
36分、左サイド深くで高柳がキープしているところを倒してしまい、危険な位置でFKを与えてしまう。これを駒野が右足でゴール前へ入れて、高いガウボンに合わせようとするが、楢崎がきっちりとキャッチしてゆく。
【得点】
77分 豊田(名古屋)
39分、右に上がる杉本からの横パスが中央の中村にはいるが、これはタイミングが悪く、相手へのパスとなってしまう。
40分、自陣右中程での広島のFK。駒野の入れたボールは中央を経由して、反対に抜けるとこれを小村が拾おうとして、ゴールラインの外へ。
【交代:82分・名】
中谷本田
 
42分、山口のパスを受けたクライトンがそのまま縦のスペースに中村を走らせようと流し込んでゆくが、これはボールが長すぎてしまう。
43分、自陣左中程での広島のFK。残り時間を考えても、ここはしっかりと集中したいところ。駒野のゴールに向かってくるボールに中央から何もの広島の選手がなだれ込んでくるが、ボールは楢崎が正面で落ち着いてキャッチ。
44分、相手陣左深い位置でのFK。本田がマイナスに出したボールをクライトンがミドルシュートを狙うが、惜しくもポストの右に外れる。
【交代:85分・名】
杉本山口
 

ロスタイム1、慌てることなく時間をかけてボールを回す名古屋の選手。右から山口が藤田に当てて入ってゆくと、これを中央の本田に。相手DFが体を寄せていたこともあり体を反転させようとするが、これは倒れてしまい、チャンスを潰してしまう。
ロスタイム2、時間のないことを見て、広島がロングボールを放り込んで前線の選手を走らせようとしたが、これは楢崎の下まで飛んでくる。そして、約3分のロスタイムを経て、ようやく試合終了の笛が広島ビッグアーチに鳴り響き、名古屋の久し振りの勝利が決まる。この勝利には選手達も大喜びすると言うより、ホッと胸をなで下ろすように、安心した笑顔を交わし合いながらサポータースタンドに向かう。ここでようやく今日の勝利をサポーターと分かち合えたのか選手達の顔には笑顔が溢れるようになる。中田監督代行、就任初勝利おめでとうございます。そして、サポーターの皆さん、最後まで熱い声援ありがとうございました。