Jリーグ ディビジョン1・第22節
 午後6時半きっかりに名古屋の選手達がピッチに現れると、アウェイ側のスタンドに詰める名古屋のサポーターから大きな声援が沸き起こる。厳しい試合を続けているイレブンに対して送られる声には、何とか勝って貰いたい、という切なる気持ちがこもっている。
先頭で入ってきたのは角田。久し振りの先発と言うこともあるが、これまで練習場ではリザーブに甘んじながらも、折れることなく、固い意志でプレイを続けてきたことを評価されたことを知っているのか、既に臨戦態勢、気合い充分だ。また、山口・渡邊は元気タップリに、勢いよく走り込んでくる。今日は彼らの頑張りも大いに期待したいところだ。
 ピッチに入ると、2人1組になってボールを蹴り合いながら気合いを込めてゆく選手達。その後、短い時間の中でボールを回して、体をほぐし終えると、各自ボールに触れながら、思い思いにピッチの感触を確認したり、シュート練習をしながら、最終的に自らのコンディションを整え、キックオフを待ちわびる。杉本と中村は特に念入りにシュート練習を繰り返している。今日はこの二人の活躍も見たいところだ。また、控えに回った藤田は若い山口を手伝って彼らの頑張りに力を貸している。
 午後6時50分、試合前の最後の調整を終えた選手達がゆっくりと順にロッカーへと消えて行く。最後まで名残惜しそうにシュートを蹴り入れていた中村も、楢崎とともにスタンドのサポーターに手を振りながらロッカーへと消えていった。
〜前半15分
すっかり真っ暗となった空の下、午後7時、両チームメンバーが、横浜のキャラクターとフェアプレイフラッグを先頭に、審判団に引き連れられて入場。スタジアムのボルテージがここで一気に上ってゆく。
前半、左エンドの、ホーム・横浜に対し、右から左へと攻め上がる、我らが名古屋グランパスエイト。今日の先発は、GK楢崎、DFは右から山口・古賀・増川・角田、MFはボランチが吉村とクライトン、右に中村・左に若い渡邊、FWは杉本と豊田の2人。前半は横浜のボールで試合が始まる。
1分、自陣右の深い位置での横浜のFK。ドゥトラの入れたボールは角田がクリアしてゆく。高い選手を揃えている横浜のセットプレイは注意したい。
 
 
3分、左で杉本が奪ったボールを中へと入れると、これを中村が豊田に当てようとしたが、これは相手選手にカットされてしまうが、ファウルを得て、相手陣内真ん中ほぼ中央でのFKに。中村がセットして走り抜けたところで増川が右足で蹴ってゆくが、ボールは相手選手の足に当たって弾かれてしまう。
5分、縦パスを豊田が落としたところを拾った杉本が持ち上がって行こうとしたが、横浜DFの厳しいディフェンスにボールを奪われてしまう。
7分、横浜・上野が仕掛けてくると、DFの間からシュートに来るが、これは楢崎が好セーブを見せて外へ弾き出す。
8分、右からの横浜のCK。大橋の入れたボールはゴール前でこぼれるが、落ち着いてクリアしてゆく。
9分、横浜・中澤がボールを持ったところに杉本が突っかけにゆくが、これはボールをカット出来ない。
 
 
10分、左から上野とのパス交換で抜け出したドゥトラがゴール前に入れてこようとしたが、落ち着いてボールをカットしてゆく。
12分、自陣中央からクライトンが右のスペースに向けて長いボールを出し、杉本を走らせようとしたが、これは旗が上がってしまう。
13分、中央吉村から出たパスを受けた渡邊が縦にゆこうとしたが、これは前を横浜・田中に阻まれ、チャンスに繋げなかった。
14分、相手陣内左入った位置で、クライトンが倒されFKになるが、これはチャンスには出来なかった。
 
〜前半30分
16分、横浜が縦にボールを入れてこようとしたが、これを読んだ山口が素早くコースに入り頭でカットしてゆく。
17分、横浜・大橋の早いクロスにニアで大島が飛び込むが、これはしっかりとクリア、CKにしてゆく。右からの大橋のCKのボールは反対に抜けてゆく。
18分、右のDFの裏へのボールに抜け出した大島がダイレクトボレーを打ってくるが、このシュートも楢崎が好反応し、クロスバーの上へ弾き出してゆく。
 
 
20分、縦パスに抜け出そうとした杉本が横浜・河合のファウルを受け、FKを得る。相手陣内右中でのこのFKを中村が距離があったものの、ゴール前へと蹴ってゆくが、ボールは長すぎてしまい、ゴールラインを割ってしまう。
22分、自陣中程中央での横浜のFK。素早く出したボールを那須が入れてくるが、これは角田がカット。
 
23分、しかし、こぼれを拾った田中が出したボールをゴール前へと入れられると、これをグラウに決められてしまい、横浜に先制点を奪われてしまう。ここは、横浜に調子に乗られないよう、早く切り替えて前を向いて同点を狙いたい。
26分、右サイド山口の裏へのボールを拾ったドゥトラがそのまま持ち込んでくると、右足で中へと入れてこようとしたが、これはDFがしっかりと弾き返してゆく。
【得点】
23分 グラウ(横浜)
 
27分、相手陣内でボールを持って前を向いた吉村が、遠目から左足でシュートを打つものの、これはポストの右に流れてしまう。
29分、相手陣内での競り合いでこぼれたボールを拾った豊田がエリアの外からシュートを狙うが、これは相手GKの正面。
 
〜前半終了
31分、相手陣内右中でのFK。中村の入れたゴール前へのボールはDFに跳ね返されてしまう。
32分、相手ゴール前エリアのすぐ中でルーズボールの奪い合いになると、豊田が倒されながらも何とか奪おうとするが、ファウルになってしまう。
33分、自陣から増川が相手DFの裏へのボールを蹴って杉本を使おうとするが、これはオフサイドに。
34分、中央でボールを受けた杉本が右に追い抜いて行く中村の足下を狙ってパスを出そうとしたが、これは横浜・松田にカットされてしまう。
35分、右に上がってきた田中がそのまま中へと入ってくると、左のスペースへ出し、ドゥトラがこれをゴール前へ流し入れてくる。右から大島が飛び込んできたが、増川が体をしっかりと寄せ、シュートは打たせなかった。セカンドボールを横浜に拾われる場面が多く、名古屋が守勢に回ってしまっているこの時間帯。ここは何とか耐えて、これ以上の失点は避けたいところだ。
 
 
39分、左からの横浜のCK。短く出たところをドゥトラが入れてくるが、反対に抜けてきたところに詰めた河合の右足のシュートは大きく左に流れてゆく。
40分、山口が相手パスをカットして縦に出したボールを杉本がそのまま勝負にゆこうとしたが、ボールが流れたところを河合にカットされてしまう。
41分、自陣中央やや左での横浜のFK。大橋が直接狙いの早いボールをゴール前に蹴ってきたが、これは楢崎が落ち着いて正面でキャッチする。
42分、中央の中村の左のスペースへのパスを渡邊が何とか拾おうと走り込むが、中澤の大きな体に阻まれ、ボールに触れることが出来なかった。
 
 
44分、中央でボールを持って前を向いた中村が、今度は右のスペースへ走る杉本に向けパスを出してゆくが、これも長すぎてしまい、杉本は追いつけず。
ロスタイム1、約1分のロスタイムは、両チーム共にボールが落ち着かないまま、前半終了の笛が鳴る。前半は横浜に先制を許したことで、相手に勢いづかせてしまい、守勢一方だった名古屋としては、何とか攻撃の形を作って、試合の主導権を早く奪い返し、点を取りにゆきたい。
 
〜後半15分
思うような攻撃が出来ないことにしびれを切らしたネルシーニョ監督は、後半から早くも2人を入れ替え勝負に出て来る。 【交代:45分・名】
山口ルイゾン
中村藤田
 
 
1分、右にこぼれたボールを杉本が拾って粘りを見せると、中へと折り返したボールにニアにいたルイゾンが落ち着いたボール捌きでシュートを放ち、これが見事ゴールネットを揺らし、来日初ゴールはチームのピンチを救う同点弾となる。
3分、左に上がってきた増川のパスを受けた豊田が相手DFラインの裏を狙ってパスを出すと、クライトンが抜け出すがシュートは打たせてもらえなかった。
【得点】
46分 ルイゾン(名古屋)
 
5分、中央でボールを持ったクライトンが相手DFの裏へ浮き球を入れて杉本を使うと、これを杉本がダイレクトでシュートにゆくが、ボールに上手くミートせず、右に流れてしまう。
7分、左から持ち上がった渡邊のゴール前へのクロスは横浜の高いDFに跳ね返されてしまう。
8分、左からドゥトラが入れてこようとするが、ここはポジションを変わった杉本がきっちりと寄せ、ゴール前へ入れさせなかった。
9分、自陣中程エリアのすぐ外での横浜のFK。グラウの蹴ったボールは壁でしっかりと跳ね返す。
12分、自陣で相手ボールを奪った渡邊の縦パスをルイゾンが受けてカウンター攻撃に。最後右に長い距離を上がってきた杉本がゴール前へと入れてゆくが、戻った横浜のDFにボールをカットされてしまう。
14分、右にドリブルで抜け出してきた田中が増川を振り切って、ゴールラインギリギリのところで中へと折り返したマイナスボールに那須があわせてくるが、ボールはバーの上に抜け、ピンチを逃れる。
15分、渡邊からの鋭い縦のボールに豊田が追いかけるが、球足が速く、ゴールラインを先に割ってしまう。
 
〜後半30分
17分、右の高い位置にポジションを取っていた杉本を走らせようとクライトンが裏へパスを出していったが、これは長すぎてしまい、相手GKの下へ。
18分、相手パスを藤田が胸でカットすると、ルイゾンに当てて自ら持ち上がってゆく。最後、杉本にパスが入ったところでドゥトラの厳しいタックルに遭い、倒されてしまう。
 
 
19分、自陣左深い位置で、横浜・松田を倒してしまい、危険な位置で横浜にFKを与えてしまう。
20分、このFKを大橋が入れてくると、飛び込んできた河合がドンピシャリのヘディングシュートを叩きつけてくるが、真下に落としたため大きく弾んで、バーを抜けてゆき救われる。
21分、右にクライトンのパスに抜け出してきた杉本が深い位置で折り返してゆくが、これはボールが長くなってしまい、ファーサイドに詰めた豊田の頭上を抜けてしまう。
23分、角田の縦への鋭いボールが豊田にはいるが、横浜の厳しいディフェンスに遭い前を向かせて貰うことは出来なかった。
25分、左でボールを持ったドゥトラが縦に出すと、上野が抜け出してゴール前へと入れてくるが、これは増川が頭で弾き返してゆく。
 
 
28分、秋田は角田のいたリベロの位置に入り、角田は渡邊の務めていた左サイドの位置に入る。藤田がこのFKを蹴ってゆくと、相手GKとDFの間に入れてゆくが、誰もこれに詰め切れず、ゴールラインを割ってしまう。 【交代:73分・名】
渡邊秋田
〜試合終了
31分、横浜の右からのCK。大橋のボールに中央で飛び込んでくるが、秋田が体をしっかりと寄せて、仕事をさせなかった。  
 
33分、長い縦の浮き球を競り合った藤田が、これをカットして前に抜け出そうとしたが、ボールが上手く足下に落ち着かず、逆にカットされてしまう。
34分、自陣左中程での横浜のFK。大橋のゴールに向かって来るボールに多くの選手が飛び込んでくるが、DF陣が落ち着いてこれをカットし、横浜の得点を許さなかった。
36分、クライトンからの縦パスに抜け出した杉本が相手DFを交わしてゆこうと勝負にゆくが、DFに阻まれボールを奪われてしまう。
37分、右に抜け出してきた横浜・上野の強烈なシュートは、楢崎が体を張って阻止する。
38分、右の藤田からのパスを貰ったルイゾンが縦にグラウンダーを入れてゆくが、これはDFにカットされてしまう。
【交代:76分・横】
グラウ坂田
 
 
39分、右でボールを受けた杉本が相手DFの足下を抜く鋭いボールを入れると、これにファーサイドから飛び込んだルイゾンが、この日2得点目となるシュートを横浜のゴールに叩き込み、ついに横浜を突き放す。 【得点】
84分 ルイゾン(名古屋)
41分、相手陣内右タッチ際でルイゾンが倒され、FKを得ると、藤田が流したボールをクライトンが戻して、藤田が再び中へと入れると、吉村がそのままミドルシュートに。これに相手GKが反応してこぼれたところにルイゾンが詰めてゆくが、その前に起きあがったGKがボールを押さえてしまった。
44分、杉本が戻したボールをクライトンが縦に入れると、豊田が追うが、これはDFにコース阻まれボールまでいけなかった。
【交代:85分・横】
大橋山瀬
 
ロスタイム1、ここで自陣エリア内での選手同士の交錯があり、古賀がなんとこの日2枚目のイエローを受け退場になってしまい、横浜にPKが与えられてしまう。  
ロスタイム2、このPKを横浜:山瀬に決められてしまい、なんと終了間際に同点とされてしまう。
ロスタイム3、自陣左中程での横浜のFK。山瀬の入れてきたボールは楢崎が正面でガッチリと押さえる。
ロスタイム4、自陣で相手ボールを奪った杉本のロングボールは、待っていたルイゾンの頭上を大きく抜けてしまう。そして、ここで無情にも試合終了の笛がスタジアム内に響き渡り、第22節・横浜との一戦は勝ち点1ずつを分け合う形で終了。名古屋はまたしてもすぐ目の前まで来ていた勝利を取り逃してしまい、悔しい引き分けとなってしまう。ようやくというか、待ちに待ったルイゾンの来日初ゴールには、残念ながら花を添えることは出来なかった。サポーターの皆さん、最後まで熱い声援をありがとうございました。
【得点】
89分 山瀬(横浜)