Jリーグ ディビジョン1・第20節
 午後6時半、すっかりと日が沈んで、ナイター照明に彩られたピッチに名古屋の選手が現れると、大きなブーイングが入り交じった声援がスタンド内を包む。今日は夏休みと言うこともあり、小さな子供が多く、黄色い声援がそこかしこで起こる。今日は代表選手を多く抱える東京の中でも、代表のゴールを競い合う、我らが名古屋の守護神・楢崎と東京・土肥のGK争いも大きな見どころの1つだ。
 ピッチでアップを始める選手達はさすがに今日は気合いが入っている。それもそのはず、前節の神戸との試合の負けを絶対に払拭してやろうという気持ちの表れだ。長かった怪我から無事復帰を果たし、生まれ育った地元・岡山へ凱旋した安だったが錦を故郷に飾ることは出来なかった。挽回の気持ちを込め、今日は東京の早い攻撃の芽をドンドンと潰して欲しい。
 前節スタメン落ちした本田も、今日は練習前から大きな声が出ており気合いが入っている。同じく久し振りの先発の、トレードマークでもあった長髪をバッサリと切って気合い充分で臨んできた井川と共に、前節の敗戦で沈んだ雰囲気を残しているチームの中を持ち前の明るさで変えて欲しい。そして、持ち前の個人技の高さで、前節交代で入って見せたルイゾンとの連携プレイを今日は楽しみにしたい。そして、やはりルイゾンには日本に移籍後初ゴールを決めて欲しい。彼が得点を決めることでチーム内の攻撃に勢いが付くことは間違いない。彼のゴールが楽しみだ。
 午後6時50分、しっかりとした風が吹きはじめ、涼しくなったピッチをウォーミングアップを終えた選手が1人、また1人と消えてゆく。
〜前半15分
東京サポーターの歌声が響く中、フェアプレイフラッグが入場すると、それに呼応するように名古屋のサポータの声援が沸き起こり始め、スタジアムの緊張が高まり始める。そして、その興奮度が最高潮に上り詰めた中に、審判団に連れられて、両チームのスターティングメンバーが入場を始める。
左エンドのホーム・東京に対し、名古屋は右から左へと攻め上がる。東京のキックオフで前半がスタート。
今日の先発は、GK楢崎、DFは右から井川・古賀・増川・中谷、MFは右に中村・左に藤田、ボランチは安とクライトンの2人。FWは本田とルイゾンの2トップによる4−4−2。
1分、右からのCKのチャンス。中村のボールをファーサイドの古賀があわせるが、これはクロスバーの上へ。
 
 
2分、中谷の右足による縦パスをルイゾンが頭で縦に流すが、これは誰も反応出来ない。
3分、中央でボールを持った藤田が右にはたいて中村を使うが、このボールは長すぎてしまい、タッチを割ってしまう。
4分、右からドリブルで井川が持ち上がるが、これは深くまで持ってゆく前にDFにカットされる。
6分、左のスペースに出たボールを本田が拾うと、そのまま左足でシュートを狙うが、ボールは左のサイドネットを揺らしてしまう。
7分、右に抜け出した東京・石川の折返しをルーカスが受けてシュートに来るが、これは楢崎の正面。
 
 
8分、左からの東京のCK。栗澤のボールに上がっていたジャーンがあわせるが、クロスバーの上。
9分、左サイドを上がった中谷が深い位置で倒され、好位置でのFKを得る。これを中村が低く早いボールを蹴っていったが、詰めていた選手に足で弾かれてしまう。
11分、自陣で中谷がカットしたボールが縦に入ったところでルイゾンが受けようとするが、寄せてきたDFに倒されてしまう。
13分、自陣で相手のスローインのボールを本田が奪って縦に出すが、これはタッチを割ってしまう。
 
〜前半30分
15分、右に上がってきた東京・加地の入れたボールを石川が受けてシュートを狙ってくるが、これは中谷がしっかりと足を出しボールを弾き返す。
16分、自陣中程右寄りでの東京のFK。鈴木が強烈なボールを打ってくるが、壁の選手がしっかりと跳ね返してゆく。
 
 
18分、安が縦に出したボールを本田が受けて浮いたところで藤田が競り合いにゆくが、相手へのファウルを取られてしまう。
19分、右で、安が戻ってボールを受けたルイゾンに当てて上がってゆこうとするが、東京の厳しい寄せにボールを奪われてしまう。開始からの東京の激しい押し上げがようやく収まり、名古屋が少しずつボールを持つ時間が増え始める。しかし、名古屋も東京の長い走りに付き合わされ、相当の運動量を強いられているのも確かだ。
 
 
22分、右に上がってゆく井川に狙ってクライトンがボールを出してゆくが、これは東京DFの網に掛かってしまう。
23分、右に東京・ルーカスが抜け出してシュートを狙ってくるが、ここは増川と中谷がしっかりと寄せてまともには打たせなかった。
25分、細かくボールを持って押し上げてゆくが、最後井川が不用意な横パスを出してカットされカウンターになりかけるが、DFが踏ん張ってこれを抑える。
 
 
26分、相手陣内DFの裏を狙って増川が長いボールを蹴り入れてゆくが、これは長すぎてGKが先にキャッチしてしまう。
28分、クライトンの縦パスを受けた中村が反転しながら縦のスペースへボールを出してゆくと、これを藤田が追いかけるが、ボールには間に合わず。
29分、左のスペースへのボールを持って東京・鈴木が抜けてこようとしたが、ここは古賀が足下に入り、しっかりとクリアしてゆく。
 
〜前半終了
31分、右に出たボールを加地が石川に渡すと、これをゴール前へ入れてくるが増川が高い打点で弾き返してゆく。
33分、自陣エリアのすぐ近くで浮き球を競り勝ったルーカスが古賀の裏へと抜け出そうとするが、ここはしっかりと付いて相手のファウルを誘う。
 
 
35分、相手エリアの前で入れたボールが右にこぼれたところをクライトンがフリーで拾うと、GKが寄せたのを見てループ気味にシュートにゆくが、これをクロスバーの上へ外してしまう。
38分、ルイゾンが縦に藤田に当てたボールを井川がゴール前へと入れてゆくと、これにルイゾン、本田と入ってゆくが頭のすぐ上に抜けてしまい、あわせることが出来なかった。
40分、右から井川の入れたアーリークロスをルイゾンが縦の右スペースへ落として味方の走り込みを待つが、これはタッチを割ってしまう。
 
 
42分、中村のマイナスボールを受けたクライトンが更に縦に出すと、これを中村が拾って折り返してゆこうとするが、ボールはゴールラインを先に割ってしまう。
44分、相手陣内左中程でのFKのチャンス。中村の長いボールに増川が入って頭であわせたが、ボールは枠を捕らえることは出来なかった。
(ロスタイム表示1分)
ロスタイム1、右から井川のクロスにファーサイドで本田、藤田と詰めていったが、これを折り返すことは出来なかった。そしてここで前半が終了。東京らしくない固く引いてのカウンター狙いに攻めあぐねた前半と言うところ。東京の両サイドを警戒していることもあるが、両サイドを上手く使って相手の守備を崩す工夫が欲しいところだ。後半戦に期待しよう。
 
〜後半15分
エンド入れ替わり、後半は左から右に攻め上がる名古屋のボールで試合が再開。
1分、左に抜け出した鈴木のゴール前へのボールを右で受けた栗澤が持ち替えてシュートに来るが、ボールはクロスバーの上へ。
2分、中央でドリブルで上がった藤田がルイゾンに当てて、さらに上がろうとするが、ルイゾンへのパスをカットされてしまう。
 
 
4分、中央でボールを持ったクライトンにあわせて井川が右サイドを走り出すが、パスコースにDFに入られカットされてしまう。
6分、クライトンの縦パスに藤田が走って頭でゴール前へと落とすが、これには誰も詰めることが出来ず。
8分、相手縦パスをルイゾンが競り合って落とすが、これを拾われ左サイドに展開してくる。しかし、東京・鈴木がこれを追うが、ボールはタッチの外へ。
10分、左から今野が抜けてきて、中へと入れようとするが、これはクライトンが折返しをカットしてゆく。
 
 
12分、古賀の縦へのヘディングのボールをクライトンが更に縦に繋ぐと、これを受けたルイゾンが前を向こうとするが、DFの厳しいマークにファウルを受けてしまう。
14分、右に入ったボールを本田が落とすと、これを拾った中村のキープで出たボールを安が縦に出して藤田を使おうとするが、ボールは足を伸ばしたDFに当たって繋がらず、チャンスを潰されてしまう。
 
〜後半30分
18分、右でボールを拾った中村が左足で、大きくサイドを変えて藤田に預けてゆくが、ボールはDFが頭でカットしてしまう。
19分、やや右寄りでボールを持って前を向いた本田がそのまま持ち上がると、右に上がる中村にパスを入れる。これを引きつけてクロスをゴール前へと上げていったが、ボールは長すぎてしまい、詰めてきたルイゾンの頭上を抜けてしまう。
【交代:62分・F東】
鈴木ササ
 
21分、中央の東京・梶山からのパスを受けた加地がそのまま持ち上がりゴール前へ入れてこようとするが、このボールは精度が無く、そのままゴールラインを割る。
22分、右で藤田がスローインを中村に当ててそのまま右に上がってゆくと、ゴール前へと右足で入れてゆくが、ボールは長すぎて、反対へ抜けてしまう。
24分、東京・ササが縦に大きく出たボールを走り込んで受けると、楢崎のポジションを見てループ気味にシュートを狙ってくるが、これは大きくクロスバーを越える。
25分、東京の左からのCK。栗澤の入れたボールに右でフリーの選手がシュートを打ってこようとしたが、中谷が体を入れてこれを阻止する。
 
 
26分、栗澤の入れたCKのボールにファーサイドでルーカスがあわせるが、ボールは右に外れてゆく。
28分、中村の裏へのボールに代わって入った中山が走り込んでいったが、東京・茂庭にタッチの外へクリアされてしまう。
29分、左サイドをドリブルで抜けてゆこうとしたルーカスを井川がしっかりとついてゆくと、中へと入れてこようとしたクロスボールを体をはって止めにゆく。
【交代:71分・名】
ルイゾン中山
〜試合終了
31分、右からの東京のCK。石川の入れたボールをゴール前に折り返されたところにジャーンが詰めてくるが、シュートは楢崎が跳ね返す。  
 
 
 
32分、右のスペースに出たボールをDFを交わして中村が抜け出すと、最後マイナスに入れたボールを藤田がきっちりと右足でシュートを決め、ついに均衡を破る得点が名古屋に決まる。 【得点】
77分 藤田(名古屋)
36分、相手エリアの外で藤田からのボールを受けようとして中山が後ろから倒されるが、主審のジャッジは東京ボールの判定。 【交代:78分・名】
井川吉村
【交代:79分・F東】
金沢馬場
38分、左から栗澤がゴール前のルーカスに入れようとするが、ここはクライトンがしっかりと詰めて前を向かせることはさせなかった。残り時間僅か、ここはしっかりと東京の攻撃を凌いで、逃げ切りたいところだ。 【交代:82分・F東】
梶山三浦
 
40分、右で藤田の縦のスローインのボールに、中山が受けにゆくが、相手の厳しいマークに倒されてしまう。
41分、左からの早いパスを繋がれると、最後、東京・ササが中央を抜け出してシュートに来るが、これは幸いにも楢崎の正面。
42分、右に抜け出していった藤田がゴールラインギリギリのところで鋭い切り返しを見せると、左足でシュートにゆくが、これはGKの正面。
 
 
43分、東京・今野にゴールをこじ開けられてしまい、痛恨の失点を喫し、同点とされてしまう。 【得点】
88分 今野(FC東京)
(ロスタイム表示3分)
ロスタイム1、クライトンからのパスを受けた渡邊が前を向こうとするがここは厳しい寄せにタッチの外へボールを出してしまう。
ロスタイム2、右に抜け出した石川からのクロスにササがヘディングシュートに来るが、これはゴールエリア内にDFに入った選手が弾き出してゆく。
【交代:88分・名】
本田渡邊
 
ロスタイム3,相手の攻め上がりのボールをカットすると、中央で藤田がドリブルで持ち上がったところで主審の長い笛が響き渡り、名古屋は地元サポーターの強い後押しを得た東京に最後の最後で追いつかれてしまい、1−1の痛いドローで試合を終え、勝ち点3を目の前で逃してしまう。最後まで熱い声援をありがとうございました。