Jリーグ ディビジョン1・第18節
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午後6時15分、夏休みと言うこともあり、いつも以上に多くのサポーターが詰めかけている瑞穂のピッチに名古屋の選手がウォーミングアップに現れると、大声援が沸き起こる。その中にサインボールを投げ入れた選手達は足早にグランドの中へと向かうと、ゆっくりとしたペースで最後の仕上げに入る。
“HOT6”と名付けられておこなわれた7月の連戦。その言葉通り、連日の真夏日の中でのトレーニングを繰り返しながら、各試合に臨んだ選手達は、相当の疲労を蓄積しながら臨むこととなった。そして、前節の新潟戦では、その疲れからなのか、動きに精彩を欠いたまま、試合は0−3で完敗を喫してしまう。
上位進出を常に狙いながら、怪我人に泣かされ波に乗れず、苦しいシーズンを送っている中で、磐田や横浜FM、鹿島との強豪相手には完璧な試合内容を見せるなど、チームの総合力はリーグ屈指といえる。しかし、その一方で守備的なチームに対しては、相変わらず勝ちきれないという病気も直らず、それがチームの順位に大きく影響していることも事実だろう。今日は目下調子を上げ始めているジュビロ磐田をホーム・瑞穂に迎え撃つ。名古屋にとって、厳しい相手としては申し分なく、間違いなく激しい内容の試合にはなると思われるが、スタンドからの熱い声援を背に、最後まで走り続けて、勝利を手にしたいところだ。
10分間、しっかりと中央でストレッチングを終えた選手は、日が落ちて涼しくなったピッチの横で、2人1組に分かれてボールを蹴り合い始める。古巣・ジュビロが相手とあって、ベテラン・藤田も相当の気合いが入っているかと思われたが、そこは歴戦を戦ってきた彼のこと。いつものようにマイペースで、クライトンを相手にアップを続けている。しかし、反対のエンドでアップを始めたジュビロの選手に対する気持ちは、名古屋の選手の中でも、代表ゴールを川口と争う楢崎と共に相当のはずだろう。“名古屋”の藤田の活躍を今日は期待したい。
また、前回のアウェイ・磐田での戦いでは、新人と言うことで全くの無警戒だったこともあり、好きなようにプレイさせてもらえた杉本も今日は厳しいプレッシャーに迎えられることになるはず。彼には右サイドで相対するであろう磐田・村井を、自慢のスピードでしっかりと押さえ込んでスペースの奪い合いを制して、名古屋に勝利をもたらす活躍を見せて欲しい。
6時40分、ウォーミングアップを終えた選手達がピッチを後にする。ともかく今日は、全てのプレイで磐田に勝つ事だけを考えて、全力を出し切って戦って欲しい。そして、勝つ!それしかない!!
〜前半15分
さすがに強豪・磐田との対戦と言うこと、夏休みの日曜と言うこともあり、満員に溢れかえったスタンドには、若いサポーターのみでなく、家族連れの観戦も数多く詰めかけ、今日の試合への注目度の高さを感じさせる。
前半は右エンドの磐田に対し、名古屋は左から右へと攻め上がる。前半はアウェイ・磐田のキックオフでゲームが始まる。
名古屋のスターティングメンバーは、GK楢崎、DFは右から杉本・古賀・増川・中谷。MFは藤田・吉村・クライトン・本田、FWは中村・豊田
 
 
 
開始いきなり、右の磐田・太田が早いボールをゴール前に入れて前田を使おうとするが、ボールはそのままゴールラインを割る。
1分、右に上がった藤田からのクロスは中で豊田が受けるが前を向く前にDFに阻まれ戻すことしか出来ず。
2分、杉本からのパスを豊田がすかさず裏へとはたいてゆくが、これは中村がタイミングをあわせることが出来ず。
3分、簡単にボールを繋ぎながら攻め上がってくると、最後右から太田が入れて来ようとしたが、増川が落ち着いてクリアしてゆく。
5分、左で太田からボールを奪った中谷が縦に出して豊田を使おうとしたが、ボールをタッチの外へ弾き出されてしまう。
 
 
7分、DFの裏への前田のボールに名波が入ってくるが、後ろから寄せていった杉本が上手く倒して、CKにする。
8分、右からの磐田のCKは簡単に弾き返してゆく。ここまでの序盤は、磐田が中山に当ててそのボールを上手く拾って繋いでこようとしてくるが、DFも落ち着いており、危なげなく対処している。
9分、自陣からの長いボールに藤田がタイミングを合わせながら相手のDFの間から取りに飛び出すが、惜しくもオフサイドに。
10分、左から村井がカーブの掛かったボールをゴール前へと入れてくるが、詰めていた名波に届く目の前でしっかりとクリア。
 
 
11分、自陣で相手ボールを奪った吉村から良いボールは豊田にはいるが、これはトラップが流れたところでボールを持っていかれてしまう。この時間帯は中盤でのボールの奪い合いが目立つがどちらも簡単にはやらせていない。
14分、右の太田からのゴール前へのクロスは、中山の頭上を抜けて行く。
 
〜前半30分
15分、中央をドリブルで豊田が抜けて行こうとしたが、リズムが簡単になってしまい奪われてしまう。  
 
 
16分、右に抜け出した中村が寄せてきたDFを鮮やかなステップで切り替えして抜き去ると、左足で豪快にシュートを相手ゴールに叩き込み、見事な先制点を決める。両チームが主導権の握り合いをしていた時間帯だっただけに、最高の先制点といえる。 【得点】
16分 中村(名古屋)
 
18分、今度は杉本が藤田からのパスに抜け出すと、ゴールラインギリギリから折り返してゆくが、これは惜しくもDFが弾き返してしまう。
20分、左に上がった村井からのクロスがゴール前へ入ると詰めていた選手にヘディングシュートを決められそうになるが、横に足を素早く反応させて、見事なセーブを見せこのボールを弾き返す。
22分、中央の狭いところを吉村が豊田に当てて抜けて行こうとしたが、これはパスが出てこず。先制したことで名古屋が良いリズムを持って試合が出来ているだけにここは遠慮せず、これを続けて欲しいところ。
 
 
24分、右サイドで杉本が村井をかわしてクロスを入れてゆこうとするが、タイミングを見計らううちに、ゴールラインを割ってしまう。
26分、クライントンがボールを持つとすかさず中村が裏へと抜けてゆくが、これはパスを受けたところで旗が上がってしまう。
27分、右のタッチ際での浮き球を中村が拾いにゆくが、寄せてきた茶野への厳しいファウルで相手ボールに。
28分、右から前田が放り込んできたボールを楢崎がパンチングで弾き出したところを拾った服部が胸で落としてシュートに来るが、このボールはクロスバーを大きく越えて行く。
29分、前田が右で落としたボールに詰めた太田のミドルシュートは、楢崎が好セーブで弾き返して、ゴールを割らせることはなかった。
 
〜前半終了
31分、クライトンの右からのゴール前へ狙ったボールは抜けだしていった藤田の前でカットされてしまう。
33分、磐田・川口のゴールキックのボールを杉本が頭で跳ね返してゆくと、落下点に中村が入って競り合いになるが、これはオフサイドの判定。
34分、右から福西がドリブルで入ってきて体勢を崩しながらもエリア内で粘りを見せ、中へと折り返してこようとしたが、ここは中谷がしっかりと押さえ込む。
35分、縦パス豊田が落とすと、これをクライトンが縦のスペース出して本田を走らせるが、ボールに追いつくことが出来ず。
 
 
36分、右に流れたボールを中山が放り込んでくるが、これは増川が落ち着いて弾き出してゆく。
38分、増川からパスを受けた藤田が、すぐにDFの裏へと出そうとしたが、このボールはDFが頭でカット。中村がタイミングにあっていただけに惜しい場面だ。
39分、右のスペースに出たボールを上手く拾った中村が今度は前を向くと中へと折り返す。中央に飛び込んできた豊田の足には僅かに届かず、反対に抜けてしまう。
41分、相手陣内へと押し上がってDFラインが下がったところで、杉本がゴール前へボールを入れてゆこうとしたが、これは長すぎてラインを割ってしまう。
43分、左から中谷が豊田に当てて入っていこうとしたが、ボールがDFにカットされる。
44分、磐田・鈴木が太田に預けて縦に上がってくるが、ここでも中谷がしっかりと集中してついてゆき、チャンスにさせなかった。
 
 
ロスタイム1、右からのCKのチャンス。中村からの精度の高いボールは相手DFに当たって再びCKに。右から中村が蹴ってゆくが、これはミスキック気味になり、相手DFがクリアしたところで前半が終了。中身の濃い試合展開にあっという間に時間が経過した感じの前半戦。序盤、磐田が押し気味だったのを中村のゴールで押し返すと、その後は名古屋が試合の主導権を握り、そのまま攻守の切り替えの激しい展開を繰り広げながらも、楢崎の再三による好セーブもあって、ガッチリと磐田の攻撃を阻止している。この雰囲気で後半も、磐田の攻撃を上回る内容のゲームを見せて、しっかりと勝利を掴みたい。  
〜後半15分
前半の早い時間帯で先制点を奪ったことで、磐田にリズムを掴ませなかった名古屋だが、徐々にパスが繋がり始めてきているだけに後半の立ち上がりは注意が必要だ。逆にもう1点、名古屋に早い時間帯で入れば、この試合は絶対ものに出来るはず。そういう意味でも今の集中力を続けていき事は大事だ。
後半はエンドを右に入れ替えた名古屋のキックオフで試合が始まる。
 
1分、左で村井に入れ替わって縦に抜けた名波のクロスはしっかりと杉本が弾き返して行く。
3分、左から本田が個人技でかわして中を見据えると、浮き球をゴール前へと入れて行く。これを藤田が頭で流してファーサイドの豊田の下に通してゆくが、このボールはシュートまで持って行くことが出来なかった。
4分、左に持ち上がった村井からのニアの低いクロスに前田が飛び込んでくるが、ワンタッチのボールは右のポストの外へ抜けて行く。
【交代:45分・磐】
中山カレン
 
6分、左で中村へ鮮やかなパスを本田が出すと、これを中へと流してクライトンにシュートを打たせてゆく。しかし、シュートは惜しくもGKの正面。
7分、磐田の右からのCK。名波のニアへのボールはしっかりと跳ね返してゆく。
8分、中央でボールを持った前田が増川をかわしてシュートに来るが、これは中谷がコースに足を上手く出してボールを弾き出す。
 
 
 
 
9分、本田からのDFの裏へのパスに上手く抜け出した中村がGKと1対1に。そして、飛び出してきたGK川口の足下を抜くシュートを見事に無人のゴールに流し込み、2−0と磐田を突き放す。 【得点】
53分 中村(名古屋)
 
12分、左のスペースに出たボールに豊田が飛び出して行くと、これをDFをかわしきれず倒されてしまうが、主審は豊田のシミュレーションを取る。
15分、左に抜け出していった本田からのゴール前へのグラウンダーのクロスに豊田が飛び込んでダイレクトであわせてゆくが、ボールは僅かに左のポストの外。
 
〜後半30分
17分、磐田の左からのCK。村井がニアへ入れてくると、ダイレクトで流し込もうとしてくるが、DFがしっかりと集中し、大きくクリアしていく。
18分、中央でリターンパスでDFの裏へと出たボールに福西が飛び出して、楢崎と1対1になるが、これはオフサイドに。
 
19分、相手陣内右中程でのFK。ファーサイドで待っていた豊田にあわせて蹴っていったが、その前でDFがクリアしてしまう。 【交代:64分・磐】
福西河村
 
20分、左でボールをもった本田が中谷とのワンツーでパスを貰うと、DFとGKの間のスペースに狙ってパスを入れていく。これに中村が飛び込んでいったが、僅かにGKが早く、ボールをキャッチしてしまう。
23分、本田が渡したボールを中谷が持ち上がってDFの間を通して行こうとしたが、これは足でタッチの外へ弾かれてしまった。
24分、右からの磐田のCK。太田の入れたボールはニアの中谷が弾き返してゆく。
 
 
25分、自陣で相手パスをカットした藤田が本田に繋ぐと、これをスピードアップでDFをかわし、前に走る豊田の足下へ抜けるスルーパスを狙うが、相手DFの足に当たってしまい通らず。
27分、右からのCKのチャンス。中村のゴール正面へのボールに増川が飛び込むが、ボールは右に流れてしまう。
28分、左にポジションを代えていたクライトンが中谷からの裏へのボールに抜け出すと、ゴール前へと入れてゆく。待っていた豊田がDFと競り合いにゆくが、受けた位置がオフサイド。
 
  【交代:75分・磐】
名波川口(信)
〜試合終了
31分、右から長い距離を走ってくる杉本にあわせてクライトンが裏へと出して行くが、相手ペナルティエリアのところで切り替えしたところで、ボールが浮いてしまい、それをカットされてしまう。抜けていればビッグチャンスだっただけに、ちょっと残念だ。
32分、DFの裏へ浮き球を放り込んでくるが、古賀が戻りながら頭で弾いて落ちたボールを杉本が体を張って蹴り出して行く。
 
 
34分、右でパスを繋いで、最後、川口に出たボールを中へと入れてこようとしたが、これは精度を欠き、ファーサイドへ大きく抜けて行く。  
37分、増川からの長いボールを中山が胸で落として、上がってきたクライトンへと繋ごうとしたが、これはDFがカットしてしまった。
38分、右サイドでパスを受けた太田が、すぐに縦に大きく出してくると、川口を走らせてくるが、このパスは長すぎ。
39分、右に出たボールを中村が拾うと、一気に持ち上がり、中へとマイナスに折り返して行く。これを受けたクライトンがシュートを狙いにゆくが、ボールはDFが体で弾き返してしまう。
残り時間は10分を切った。さあ、このまま一気に磐田を完封で押し切ろう!
41分、DFの裏へのボールに中山が飛び出して、伸ばした足に当てようとジャンプするが、相手GKの飛び出しが僅かに早く、ボールに触れる前に押さえられてしまう。
【交代:80分・名】
豊田中山
 
43分、左で中谷がクライトンと意気のあったところを見せ、短くパスを繋いで一気に抜き去ろうとしたが、パスがDFに当たってしまい、チャンスにすることが出来ず。
44分、藤田からのスルーパスに中山が飛び出していったが、僅かにボールに間に合わず追いつけなかった。
ロスタイム1、自陣からの増川の長いボールに中山が追いついて、切り替えして中へ抜けてゆこうとしたが、遅れて笛が鳴り、オフサイドの判定。
ロスタイム2、河村が杉本の処理しきれないボールを拾って上がってくると、中へと入れてこようとしたが、DFがしっかり集中し、ボールを頭で弾き返してゆく。そして試合は名古屋が2−0で見事に、大一番の試合を制して、勝利を手にする。後半、追加点を奪ってからは、磐田に良い形を作らせることはほとんど無く、名古屋が堂々の完封勝ちを決めたといえる。後半戦に向け、最高の形で試合を終えることができたことは大きな励みになるだろう。最後まで熱い声援をありがとうございました。