Jリーグ ディビジョン1・第16節
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 今日は朝から曇と晴れ間が交互に入れ替わる、ちょっと不安定の天気だったが、お馴染みの蒸し暑さだけは継続する、相変わらずの夏の1日。しかし、午後6時を回り、ようやく太陽は西へと隠れ、夕暮れを迎えるこの時間はスタンドの間を心地よい風が抜けるようになり始める。前節は、横浜相手に接戦を演じた我らが名古屋グランパスエイト。しかし、またしても先制点を奪われるという苦しい内容。それでも、藤田移籍3試合目にして、ようやく他の選手とのコンビネーションも良くなり始め、その効果の結実として、藤田自身による移籍後初ゴール、それも鮮やかな技ありシュートで追いつくという劇的な内容には、スタジアムに観戦に訪れたサポーターには、勝利の美酒に酔うことは出来なかったものの、ゲーム内容には満足してもらえただろう。
 そして、今日13日(水)、首位を走る鹿島アントラーズを迎えた第16節を戦う。3試合引き分けを演じている名古屋にとって、この7月の連戦を良い形で勝ち抜けるため、そして、チームの勢いを右肩上がりにさせてゆくため、絶対に今日は勝たなければいけない。そういった雰囲気を感じ取ってか、今日は練習前のアップから選手達にはいつもと違った空気が漂っている。明るい様子を見せながらも、言葉は少ない。
 午後6時30分、入念にストレッチで体をほぐした選手達は、2人1組でボールを蹴り始める。サポーターの見守るゴール前で、芦川コーチを相手に蹴りこまれるボールを受ける楢崎の表情も険しい。先制されて、追いつくという形を作らせないためにも、守備陣をまとめる楢崎としては、今日こそは、と言う気持ちで一杯のはずだ。そして、もう1人気合いタップリなのが吉村だ。要所要所で効果的な働きを見せる、鹿島の攻撃のキーマン・小笠原を止めること、彼に託された仕事は大きいが、きっと果たしてくれると信じたい。
 ともかく今は勝利という結果がチームに一番必要なこと。厳しい内容の試合になるとは思うが、絶対に勝って勢いを付けたい。応援してくれるサポーターの鬱憤を晴らす様な試合を期待したい。
 6時45分、乾いた芝生の上でしっかりとボールを蹴って、コンディションのチェックを終えた選手達は、スタンドからの声援に応えながら、足早にロッカーへと消えていった。
〜前半15分
右エンドの鹿島に対し、いつものように左にエンドを取り右へと攻め上がる名古屋。前半は、ホームの名古屋のキックオフで試合が始まる。
先発メンバーは、GKは守護神・楢崎、DFは右から杉本・古賀・増川・中谷の4バック、MFは右に藤田、左に中村、中央は吉村とクライトン。FWは本田と中山の布陣で今日も臨む。
 
 
 
1分、相手陣内左入った位置でボールを持って前を向いた本田が裏へ出そうとしたところで倒され、早速セットプレーのチャンスを得る。中村の入れたボールは鹿島DFがクリア、右からのCKに変わる。
2分、中村の入れたボールはニアのDFがカットしてしまう。
3分、右に流れた本田の出したボールを中央で受けた中村がすかさず右サイドを上がってくる杉本にあわせてスルーパスを出してゆくが、これは相手DFに阻まれ、ボールを受ける前にGKに押さえられてしまう。
4分、右サイドを上がってくる鹿島・アリが中へと、アレックス・ミネイロへと入れてこようとするが、ここはDFがしっかりとプレッシャーを掛け、ミスを誘う。
 
 
6分、中央で本田が相手DFを背にボールをキープ、DFの間を抜けようとしたクライトンへ浮き球を入れるが、DFがカットしてしまう。
7分、鹿島の左からのCK。小笠原の入れたボールは楢崎が飛び出してパンチングで弾いてゆく。
8分、鹿島・本山がDFの裏へのボールに飛び出してくるが、これは文句なしのオフサイド。
9分、右からの鹿島のCK。フェルナンドが短く入れたボールは中村がクリアしてゆく。
10分、右サイドを鹿島・アリがドリブルでスルスルと抜けてくるが、ここは中谷・増川がしっかりとコースを阻み、仕事をさせず。
11分、左に出たボールを拾った鹿島・新井場が中へマイナスに折り返してくるが、これにはニアに詰めた選手がタイミングが合わず。
 
 
12分、右に抜け出した中村がゴールライン際からクロスを入れると、ファーサイドで藤田がフリーで待ちうけていたが、その前でボールをカットされてしまう。
14分、自陣左中程での鹿島のFK。このセットプレイは要注意だ。しかし、ニアに入れた小笠原のボールは中村が落ち着いて弾き返してゆく。
 
〜前半30分
16分、左でフリーでボールを受けた中谷がすかさず中央に走る中山へ入れてゆく。これをダイレクトで縦に蹴ってゆく中山だったが、相手ゴールまでは届かず。
17分、右でボールを持った杉本が、早めにゴール前へとグラウンダーを入れてゆくと、中山がこれに詰めてゆくが、僅かに間に合わず、相手GKが先に押さえてしまう。
 
 
19分、相手陣内で相手ボールを奪った吉村が藤田に渡すと、右の裏のスペースに鋭いボールを出してゆくが、これは球足が速く中山が追いかけるが、タッチを割ってしまう。
20分、吉村のDFの裏への長いボールに杉本が拾いにゆくが、大きく弾んだボールの処理に手間取り、ゴールラインの外へ。
21分、相手ペナルティエリア内でボールをキープした本田が粘りを見せ、DFの大岩のファウルを誘い、PKを得る。
 
 
 
21分、そしてこのPKの場面で、中村が落ち着いて相手GKの動きを見ながら、逆に蹴りこみ、見事ネットを揺らす。ここまで良い流れ出来ていただけに、待ち焦がれた先制点が入った。これでリズムに乗れるはずだろう。 【得点】
21分 中村(名古屋)
 
23分、右でボールを持った本田が裏へと蹴り出したボールに中山が飛び出すが、これは相手選手が頭で先に反応、タッチの外へと出してしまう。
26分、DFの裏へのボールに飛び出した鈴木を中谷が体を張って押さえ込み、最後には相手のイエローを誘う。
27分、右サイドで杉本のパスを受けた藤田が流れるようなトラップで中村に渡すと、今度は縦のスペースへと走り出すが、中村からのパスはタッチを割ってしまう。
29分、左サイドでパスを得た中谷が上がってゆこうとしたが、厳しいDFのタックルに中へ入れる前に倒されてしまう。
 
〜前半終了
30分、クライトンの縦パスに杉本が飛び出すが、鹿島・新井場にコースを阻まれ、チャンスに結びつけることが出来なかった。
31分、鹿島・本山が主審への異議を述べ、退場に。鹿島は前半のこの時間から残りを10人で戦うことに。
33分、鹿島の左からのCK。小笠原のファーサイドへのボールに羽田が頭であわせようとしたが、前には飛ばす。
34分、自陣中央ゴール正面で鹿島にFKを与えてしまう。
1人少ないとはいえ、セットプレーにだけは注意が必要だ。このFKの場面を鹿島・小笠原が蹴ると見せて、フェルナンドが早いステップで左足で直接狙ってきたが、これは楢崎が正面で止め、このピンチを救う。
36分、相手陣内中央でボールを持ったクライトンがDFの裏への中山を走らせようとスルーパスを出したが、オフサイドに。
 
 
37分、右からの鹿島のCK。小笠原の蹴ったボールは精度を欠き、大きく上を抜けてゆく。
38分、右で杉本にパスを貰った本田が中へと入れると、藤田のスルーを受けた中村がDFをかわしてコースを見つけると、ミドルシュートを放ってゆく。しかし、これはクロスバーの上へ抜けてしまった。
40分、自陣中央入った位置での鹿島のFKのリスタートのボールを鈴木がゴール前で受けると粘ってシュートに来ようとしたが、しっかりと体を寄せて前に打たせずCKに逃れてゆく。
41分、左からの鹿島のCK。鈴木に入ったボールを増川がきっちりとクリアしてゆく。
42分、右サイドをワンツーで鹿島・アリが抜け出してきたが、中村がしっかりとついてゆき、クロスを入れさせることはさせなかった。
44分、相手陣内右で上手く裏へ抜けた杉本にボールが出ると、これを鋭く折り返す。ファーサイドで本田が体勢を崩しながらもあわせていったが、GKが押さえてしまう。
 
 
ロスタイム1、右に出た本田がドリブルで仕掛けてゆくと、左足でDFの足下を抜くボールを入れてゆく。これに藤田が飛び出して、ダイレクトであわせてゴールネットに沈め2試合連続ゴールかと思われたが、残念ながらオフサイドに。
ロスタイム2、自陣中程での鹿島のFK。残り時間僅か、ここは集中を切らせたくないところ。
ロスタイム3、鹿島・フェルナンドがこのFKを直接狙って左足で蹴ってくるが、ボールはクロスバーを大きく越えて行く。そして、ここで前半が終了。名古屋としては念願の先制点を奪って試合の主導権を掴み、さらに本山の退場により数的有利に。後半はこのメリットを生かして、更なる追加点を奪いにゆきたい。
 
〜後半15分
DF陣は前半からしっかりとした集中力を見せ、鹿島の攻撃をきっちり抑えきれば、攻撃陣も本田・中山が相手DFを相手に体を張り、前を向いて仕事ができてる。あとはこの流れの中で、できればもう1点追加点を奪って、鹿島を突き放したい。
後半は左エンドの鹿島のキックオフでスタート。
1分、クライトンが相手陣内へと持ち込むと、ニアに流れてくる中山にあわせてボールを出そうとしたが、これはDFがカットしてしまう。
3分、右サイドで下がってボールを受けたアレックスからのパスを受けた青木が前に出そうとするが、中村が厳しく寄せていってボールをタッチの外へとカットしてゆく。
 
 
4分、右の本田が大きくサイドを変えたボールを受けた中山が寄せてきたDFをかわし左足でシュートに。しかし、これは相手GKの正面に。
5分、自陣左に大きく出たボールを拾うと走るアレックスを古賀が深い位置で倒してしまい、FKを鹿島に与える。小笠原が入れたボールはDFが中央で頭でカット、このこぼれ球をダイレクトで合わせた新井場の左足のボレーは左に大きく流れて行く。
 
 
9分、自陣から早い攻撃で中村がドリブルで上がると、右に上がってきているクライトンにパス。これをダイレクトでDFの裏へと出していったが、中山が完全なオフサイド。連戦の影響もあってか、この時間帯は名古屋はあまり攻め急がず、時間を掛けている様子がうかがえる。しかし、ちょっとしたミスでやられることもあるので、集中力は絶やさないことだ。  
14分、左から上がった新井場のクロスにファーサイドにいた青木が頭でゴールを狙ってきたが、ボールはポストの右へ流れる。 【交代:58分・鹿】
アリ野沢
〜後半30分
16分、自陣左深い位置での鹿島のFK。小笠原のニアへのボールがこぼれたところを青木が左足でシュートに来たが、これは味方の選手の体に当たってコースが変わり、大きく右に流れて、ゴールラインの外へ。
17分、右からスピードに乗って上がって中へと流れていったクライトンが相手ゴール正面の位置で倒され、FKを得る。
 
 
18分、FKを本田がノーステップでDFの間に出来たスペースを狙って蹴ったが、惜しくもGKの正面。
20分、右のスペースへと大きく出たボールを中山に変わって久し振りのFWに入った杉本が猛スピードで拾いにいったが、飛び出してきた相手GKが先に追いつき、カットされてしまう。
【交代:63分・名】
中山井川
22分、杉本との壁パスで抜け出した井川が持ち上がってゴール前へと入れていったが、これは相手DFが伸ばした足に当ててカットしてしまう。 【交代:66分・鹿】
アレックス深井
 
23分、自陣深くやや左の危険な位置で鹿島にFKのチャンスを与えてしまう。  
24分、名古屋2人目メンバー交代:本田→豊田。鹿島・小笠原の蹴ったボールは壁に立った選手が体で弾き返して行き、このピンチを救う。 【交代:69分・名】
本田豊田
26分、鹿島・深井が左に出たボールを持つと細かいステップで井川をかわそうとするが、ここはしっかりと振り切られることなくついてゆき、ボールをゴールラインの外へと出させる。
28分、相手陣内深く左のスペースへクライトンが出したボールを杉本が拾いにゆくが、相手DFの厳しい当たりに粘ると、ファウルを逆に奪われる。
29分、藤田が左のスペースへ出したボールを杉本がしっかりと中へ折り返すと、これに中央で豊田が詰めるが、相手DFが体をぴったり寄せていたため強く打たせてもらえず、GKが目の前に転がるボールを押さえてしまう。
【交代:70分・鹿】
新井場阿部
〜試合終了
 
 
31分、左で縦に抜けだした杉本がそのまま持ち込んで行くと、相手DFが寄せて出来た中央のスペースに待っていた豊田に見事なラストパスを入れる。そして、今度こそは豊田が落ち着いて左足でこれを相手ゴールに沈め、待ちに待った追加点、それも豊田の初ゴールでついに鹿島を突き放す。こうなったら絶対に鹿島を無得点に抑えて、完封で勝利をものにしたい。 【得点】
76分 豊田(名古屋)
 
33分、左にポジションを変えていた鹿島・フェルナンドのクロスはゴール前にいた深井のオフサイド。
35分、右サイドで鹿島・深井がボールを持って中へと入れてこようとしたが、守備に戻ってスペースを埋めた中村がボールを拾うと、大きく縦にクリアして行く。
 
 
36分、右のスペースへ出たボールを鹿島・鈴木が落として中を狙おうとしてくるが、中谷が上手く体を入れてボールをタッチの外へと出して行く。
37分、相手パスを中央でカットした吉村が上手く相手をかわして中央を上がると、左にいた杉本にパスを繋ぐ。フリーで受けたGKと1対1になるが慌てたのか、シュートにゆくことが出来なかった。
39分、自陣ゴール前で外へ出そうとしたボールを深井に奪われると、そのまま左足でシュートを打ってきたが、これは楢崎が余裕を持って正面で押さえる。
 
 
 
 
40分、左サイドで相手パスをカットした中谷がそのまま一気に持ち上がって]行くと、最後右からゴール前へ詰めてきた豊田に折り返して行く。このパスを一度持ち替えると、GKの動きを見て落ち着いてシュートを叩き込み、なんと自身この日2得点目となるゴールを決め鹿島をさらに突き放して行く。 【得点】
85分 豊田(名古屋)
 
 
43分、鹿島の右からのCK。小笠原の入れたボールはニアでクリア、再度右からのCKに。今度は中へと入れてきたボールがこぼれたところに鈴木が詰めて左足で押し込もうとしたが、ボールは右のポストの外へ。残り時間も殆ど残っていないこの時間帯。もう慌てることはない、時間をゆっくりと掛けて、試合終了の笛を待ちたい。
ロスタイム1、杉本が粘って左でボールをキープしたところを寄せた中谷が貰うとそのまま持ち込んで行き、最後ゴール正面に待つ豊田にパスを出して行くが、これはオフサイド。
ロスタイム2、中央で平林がボールを受けると、時間を掛けて右のスペースにいた吉村へと出して行く。そして、ついに久し振りの勝利、それも首位・鹿島に完勝が決まる瞬間がやってきた。
主審の大きく吹き鳴らすホイッスルが瑞穂の空にこだますると、スタンドからは割れんばかりの拍手が沸き起こる。最後まで集中を切らすことなく戦った名古屋の選手たち。ここまでの3連続引き分けが勝てなかったのではなく、負けなかった事を証明する瞬間と言って良いだろう。今日のこの勝利で一気に勢いに乗ってゆきたい。最後まで熱い声援ありがとうございました。
【交代:87分・名】
藤田平林