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JリーグヤマザキナビスコカップD組第6節 |
細かな雨が降ったり止んだりを繰り返し、湿った空気が漂う、日本平スタジアム。スタンドにはオレンジ色の雨合羽を着たエスパルスサポーターが今か今かと試合開始の笛を待ちわびている。天気が良ければ、遠くに霊峰・富士山が望める絶好のロケーションのスタジアムだが、今日は厚い雲が邪魔をして、残念ながらその勇姿は垣間見ることが出来ない。
午後2時10分、濡れたピッチに登場した名古屋の選手達は、ゆっくりとした足取りで名古屋サポーターの陣取るスタンドにマスコットのサッカーボールを投げ入れ、今日の声援をお願いし終えると、ピッチ内へと散らばり、ウォーミングアップへと入って行く。今日の試合が自分にとって大事なアピールの場だと言うことを知っているのか、杉本や平林はウォーミングアップから力が入っている。今後、新加入・藤田がチームの一員になれば、様々なポジションでレギュラー争いが厳しさを増すことは目に見えているだけに、絶対に今日は結果を出したいという意気込みが伝わってくる。 |
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そして、もう一人気合いが入っているのが井川だ。クライトンの通訳がやってくれたという気合い充分のヘアースタイルで、最後の仕上げとして、右サイドからゴール前に向け何本もクロスを放り込んでいる。ここ数試合しっかりとレギュラーの座を獲得し、プレイにも自身が溢れている。守備だけではなく、攻撃でも積極的な攻め上がりを見せてチームの勝利に貢献して欲しい。
ナビスコ杯は残念ながら予選敗退が決まってしまったが、今日の試合は今後に向けての、大事なアピールの場。明日のサテライト戦が終わればチームはしばらくオフを迎えるだけに、今日はしっかりとした内容の試合で勝利を手にして、良いムードでオフに向かって欲しい。 |
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〜前半15分 |
相変わらず雨は止む様子を見せず、細かい粒が日本平のピッチを濡らしている。午後2時55分、両チーム選手が、清水のチームキャラクターに続いて、審判団と共に入場してくると、スタンドからは惜しみない拍手が送られる。
前半は、右にエンドを取った名古屋のキックオフで試合開始。名古屋は白のアウェイのユニフォーム、清水はオレンジ色の上下だ。
GK川島、DFは井川・古賀・増川・中谷、MFは右に中村、ボランチは須藤とクライトンの2人。左には平林が入る。FWは杉本と中山の2人という布陣で今日の清水戦に臨む。
早速、増川が縦に長いボールを挨拶代わりに放り込んで行くと、杉本が一気に走り込んで行く。相手DFが体を寄せて来たため、足に当たったボールはゴールラインを割りチャンスには出来なかったが、しっかりと気合いの入ったプレイだった。
1分、右サイドで相手選手がカットしたボールを拾った古賀が大きく縦に杉本を走らせるが、これはボールに追いつけず。 |
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3分、右からのクロスに中央で清水・チェがあわせてくるが、ボールはクロスバーの上へ。
4分、相手陣内中程でのFKのボールをクライトンが右のスペースへと大きく蹴ると、杉本が取りに行くが、ボールはタッチを割ってしまう。
6分、右でボールを持った中村が中へ流れるように見せて、左足で縦にパスを出すと、これに杉本が反応するが、ボールはDFが足を伸ばしてカットしてしまう。
7分、相手陣内左中程の位置でFKを得ると、中村が大きくカーブの掛かったボールを入れて、詰めていた増川にあわせて行くが、ボールはその前で相手選手がカット。
8分、右から上がっていった清水・高木(純)のグラウンダーのボールに中央で2人が飛び込んで来るが、ボールとタイミングが合わず後ろを抜けて行く。 |
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10分、右に上がっていた井川にパスが通ると、これを寄せてきた中村に渡そうとしたところをカットされ、清水のカウンターに。しかし、これは相手の中途半端なシュートに救われる。ここまでは清水の若い選手の出足の良さに押され気味になり、名古屋は守勢を強いられているものの、崩されることなく落ち着いたプレイを見せている。
12分、相手陣内中程右寄りの好位置でFKを得る。中村の右足からのボールをゴール前に中山・増川等が狙いに行くが、ボールは相手GKの正面へ。
13分、左でボールを持って中を向いた平林が中央にいた中村へと繋ぐと、これをDFの裏へと放り込んで行く。中山がこれに飛び出して右足でダイレクトにシュートを狙っていったが、ボールがミートせず、右のポストの外へ外れてしまう。 |
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〜前半30分 |
16分、右から清水・高木(純)が今度は中へとドリブルで入ってこようとするが、中谷が体で行って、これをしっかりと止めて行く。ここで雨が強さを増し、厳しいコンディションに変わってゆく。
17分、右からの清水のCK。藤本が左足でゴール前へ入れてくるが、前へ出た川島がクリアし、左からのCKに変わる。チェが右足で蹴ってきたボールは簡単にカットして行く。
19分、右から井川が入れたボールを平林が左で頭で中へと折り返して行くが、味方が寄せる前に相手DFがカットしてしまう。 |
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20分、中央で中村が左に流れながら相手DFの足に届かない距離の、絶妙のパスを中山に通すと、これを左から持ち込んで、最後マイナスに折り返したボールをニアに流れた平林が左足でシュートを狙うが、ポストの僅かに左に。序盤こそ清水の若い勢いで押し込まれていたが、ここへ来て名古屋もボールが落ち着くようになり、徐々に清水陣内へと押し入る場面が増えるように。
23分、中村が右に上がる井川に渡すと、これを簡単に相手ゴール前へと流し込んでいったが、前を走る杉本には届かず。
24分、自陣中程やや左寄りの位置での清水のFK。清水・和田が直接狙いのボールを蹴ってくるが、壁に当たって弾かれる。
26分、自陣左中程のタッチ際で中村が清水・杉山を倒してしまい、清水に危ない位置でFKを与えてしまう。 |
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28分、チェの蹴ってきたボールは川島がクリアし右からのCKに変わる。右から清水・藤本のゴール前へのCKのボールも川島が飛び出して、果敢にパンチングで弾き出して行く。 |
【交代:27分・清】
杉山枝村 |
〜前半終了 |
30分、自陣で浮き球を拾った須藤が大きく縦に蹴り出すと、これを杉本が相手GKと競り合いに出て行くが、大きく弾んだところをGKにキャッチされてしまった。
32分、相手の横パスをカットした井川が中村に預けると、これを中山へと繋いだところで厳しいチェックを受け、中山が倒されてしまい、チャンスを潰されてしまう。
34分、右からのスローインのボールを受けた清水・藤本がエリアの外から強烈なミドルを放ってくるが、これはボールが浮いてクロスバーの上へ抜けて行く。
35分、右からの清水のCK。藤本の左足からの増川が頭で弾き出して行く。
36分、右からのCKのチャンス。中村のニアの平林を狙ったボールはその前でカットされてしまった。 |
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38分、中央出たてにパスを頭で繋がれ、DF増川の裏へと抜け出されるが、これは相手のオフサイドに救われる。
39分、中央でボールを受けた清水・枝村が左からミドルシュートを枠に狙って蹴ってきたが、川島が好セーブを見せてこれを弾き出して行く。
40分、左からの清水のCK。残り時間を考えてもこのセットプレーは集中して凌ぎたい。和田のゴール前のボールがこぼれたところを拾われ、シュートを打たれるが、幸いにもこのボールは川島が正面で落ち着いてキャッチ。相変わらず雨脚が強く、ピッチの具合も厳しくなる。ここは落ち着いてプレイして、無駄に相手にチャンスを作らせたくない。 |
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44分、右サイドで中村からのパスを受けた杉本が持ち込んで行くと、細かいステップで相手DFを翻弄、寄せてきたところで中央で待っていた中山にラストパス。これをダイレクトで合わせたボールは相手GKが反応して弾いてしまうが、再度正面で拾った中山が今度は落ち着いて相手ゴールへと叩き込み、見事な先制弾を決める。 |
【得点】
44分 中山(名古屋) |
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ロスタイム1、中央からドリブルで抜け出した平林がそのまま持ち上がって外からシュートを放つと、相手GKが濡れたボールにこれを弾き、再度詰めた平林がシュートに行こうとするが、トラップが流れてしまい、決めることは出来なかった。そして、ここで前半が終了。清水の出足に序盤は押し込まれ気味だったが、それを上手く乗り切った後は名古屋ペースに。そして、杉本からのパスを中山が落ち着いて見事な2戦連発の得点を決め、名古屋はしっかりと試合のリズムを掴んで前半を終えることが出来た。後半もこのペースでいきたい。 |
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〜後半15分 |
左にエンドを変わった名古屋に対し、右エンドの清水のキックオフで後半がスタート。
1分、自陣左で井川が相手選手を押さえ込んだと言うことでFKを与えてしまう。これをゴール前へ放り込んでくると、風でボールが流れ増川が大きくクリアしきれないところを狙われるが、DFが体を張ってボールを弾き、何とかこのピンチを逃れて行く。
2分、自陣左深い危険な位置で清水にFKを与える。チェの蹴ったファーサイドのボールに清水・岩下がへディングシュートに来るが、ボールはポストに右に流れる。
4分、左に開いてパスを受けた杉本がそのまま自ら仕掛けていって、相手ペナルティ付近まで持ち込んでいってシュートに行くが、上手くミートせず、シュートはポスト左に。
5分、左から早いドリブルで持ち上がったチェのクロスに、ニアへ流れながらチョがダイレクトで合わせてシュートに来るが、ボールはクロスバーの上へ。相変わらずこの2人のホットラインは強烈だ。 |
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7分、左からの清水のCK。チェのボールをファーサイドで岩下が頭であわせてくるが、ボールはポストの右に外れる。
9分、右からのCKのチャンス。中村の蹴ったボールをファーサイドで折り返すと、最後、右にいた中山がダイレクトで狙っていったが、ボールは左に流れてしまい、枠を捕らえることは出来なかった。
11分、左のスペースに出たボールを藤本が一気に走り込んで拾いに来るが、ここは古賀が身体能力の高さを見せつけ、きっちりとボールに先に追いつき、このボールをカットして行く。
13分、自陣で相手ボールを奪った増川の大きく縦に出したボールに杉本が追いかけて行くが、雨で濡れたピッチにボールの球足が速くなり、追いつくことは出来なかった。
15分、清水・岩下が右に出したボールを受けた和田がそのままエリアの外からシュートに来るが、これは精度を欠き、大きくクロスバーの上へ抜けて行く。 |
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〜後半30分 |
16分、清水・高木(純)が左に流れて、縦にパスを出してくるが、これは中央にいたチョがオフサイド。 |
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19分、中央でドリブルで杉本が仕掛けると、そのまま強引に左足でシュートに行ったが、ボールは右に外れてしまう。
21分、相手陣内左中程でのFK。クライトンが大きく右に蹴り出して行くと、井川が拾いにゆくが、これは相手選手がカットしてしまう。 |
【交代:63分・清】
和田西野 |
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22分、清水・藤本のエリアの外からゴール左上を狙った技ありのシュートは、川島が苦しい体勢から反転して、伸ばした指に当て、外へと弾き出してゆく。
23分、清水・西野の裏へ浮かしたパスにチョが左足であわせてくるが、前に飛び出した川島に当たって横を抜けたボールはゴールラインをわり、ここでも清水に得点を与えることはなかった。
25分、清水の左からのCK。兵働のゴール前へのボールは、清水の選手があわせるものの、前には飛ばす。 |
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28分、右からのCKのチャンス。中村のゴール前へのボールはGKがパンチングで弾き出してしまう。
29分、自陣左深くで清水・チョが渡邊への肘打ちにより退場し、清水は10人に。 |
【交代:71分・名】
杉本エドアルド
平林渡邊 |
〜試合終了 |
31分、中央でエドアルドのパスを受けたクライトンが右に上がる井川にあわせて蹴り出して行くが、これは惜しくもオフサイド。
32分、右に大きく出たボールをライン際で拾った中村が中へとクロスボールを入れて行くが、これは相手DFが簡単にカットしてしまう。
33分、左サイドに出たボールを渡邊が受けると、寄せてきた中谷にヒールでパスを繋ぐ。これをマイナスに折り返したところにクライトンが詰めて行くが、シュートまでは持ってゆけず。
34分、右からの井川のパスを中央で受けたエドアルドが反転してシュートに行くが、戻ってきた清水DFの足に弾かれ、決める事が出来なかった。 |
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36分、相手陣内中央ほぼ真ん中でパスを受けた中山が倒され、好位置でFKを得る。中村が蹴ると見せかけ、増川が強烈なボールを蹴って行くが、残念ながら壁に阻まれてしまう。 |
【交代:80分・清】
藤本佐藤 |
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38分、自陣右での清水のFK。ゴール正面へのボールを清水・高木(和)が頭で落とすと、詰めていた選手がシュートに来るが、ボールは大きく外れる。
39分、清水ゴール正面でこぼれ球に詰めた中山が左足でシュートを狙うが、これはDFにコースに体を入れられボールを弾かれてしまう。
40分、自陣左深くエリアのすぐ外という危険な位置で清水にFKを与えてしまう。清水・佐藤が直接狙って蹴ってきたが、川島が落ち着いて正面のボールをパンチングで弾き出して行く。相手が1人少ないことや残り時間を考えても、ここは慌てることなく清水にチャンスを作らせないよう、じっくりと時間を掛けてボールを回してゆきたいところだ。
43分、右でパスを受けたエドアルドがそのまま仕掛けて行くと、最後エリア内で中へと折り返して行くが、詰めていた渡邊に届く前にGKにボールを押さえ込まれてしまう。
44分、右からの清水のCK。佐藤のニアへのボールを中村が頭で弾いたボールが小さくなったところに詰めてきた枝村がシュートに来る。抑えの効いたボールは川島の指先を抜けると、そのままクロスバーの上へと外れ、清水サポーターのため息の中へと飛んで行く。 |
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ロスタイム1、自陣右深くでの清水のFK。このセットプレーは絶対に凌いで行きたい。ニアへのボールは右にクリアし再びCKに。佐藤の蹴ってきたボールはゴール前で浮いたところを中山がクリアして行く。
ロスタイム2、自陣左入った位置での清水のFK。佐藤が長いボールをゴール近くへと入れてくるが、須藤が落ち着いてこのボールを縦に蹴り出して行く。そして、清水のゴールキックを井川が競り勝って大きく弾き返したところで主審の長い笛が鳴り渡り、およそ5分と長いロスタイムを経て、名古屋の勝利が決まる。後半途中からは、1人人数の少ない清水が何とか追いつこうとして、激しく気迫溢れるプレイで押し込んできたが、選手全員が最後まで集中力を切らすことなく、落ち着いた試合運びで清水の攻撃を凌ぎ切り、見事な完封勝ちを決める。最後まで熱い声援ありがとうございました。 |
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